サラリーパースンが9割を占める日本社会は、まさに会社を中心としたムラ社会。
そのムラに入るということは、「就職」ではなく「就社」であり、
仕事そのものではなく「人」を基準にして評価されるというメンバーシップ・・・。
ムラの掟を守り定年まで勤め上げるということでもあります。
今週は、ニッポンの雇用に関連する書籍を3冊読破。
そのなかでも、日本における中高年雇用の歴史的事実を分かりやすくまとめたのが本書です。
学部のリポート的な感じの流れで構成でまとめられており、気軽に読み進めることが出来ます。
「日本の雇用と中高年」
濱口桂一郎著
ちくま新書 780円+税
著者の濱口さんは、労働省等を経て現在労働政策研究・研修機構の研究員。
欧州の雇用事情にも強く、同書の中でも一部その比較が試みられています。
雇用に関して、欧米では若者、日本では中高年にスポットが当てられていることを分かりやすく解説しています。
これをベースに、著者はジョブ型社員を強く主張。
職務を明確化することにより、若年層の雇用、中高年~高年齢者の雇用がスムーズにいくという論陣をはられています。
目次
序章 若者と中高年、どっちが損か?
1.中高年問題の文脈
2.日本型雇用と高齢者政策
3.年齢差別禁止政策
4.管理職、成果主義、残業代
5.ジョブ型労働社会へ
この中で興味深かったのが、日本の管理職は、「機能」ではなく「身分」であるということ。
組織を離れたとたんに、その効力はなくなるという点。
これは、ニッポンの会社というムラ社会に入り、そこそこ順調に昇進昇格すればたどり着ける一つの「身分」であるというのです。
職能集団というよりもメンバーシップ社会に近い日本の会社の特徴であるとします。
再就職の就職面接で、
「あなたは何が出来ますか?」
「部長ができます。」
というジョークがなくなる日が、近い将来実現するのではないでしょうか?