総務省が打ち出した「独創的な人向け特別枠(仮称)」。
スティーブ・ジョブズのような「変な人」を行政の力で育成していこうというもの。
思わず笑ってしまいました。
経済産業省でもなく、厚生労働省でもなく総務省というのが一つ。
そして、ジョブズのような人材を国の力で発掘、育成できるものなのか?天国のジョブズは苦笑していると思います。
ロジカルシンキングは必要ながらも、最近はデザインシンキングに利き足が移りつつあるように感じています。
総務省のお役人さんもロジカルに物事を考えて政策形成されたのでしょうが、果たして論理性をもってしてイノベーションを引き起こせるのか?考えれば考えるほど難しい感じがします。
税金のムダにならないよう祈るばかりです。
天真爛漫で能天気な血液型B型の人が、几帳面で安定志向のA型の人に認めてもらいたくもないし、また、A型の人も、そんな変な仕事したくない!ということだと思います。
イノベーションの代名詞、ティム・ブラウンさん。
デザインコンサルティング会社IDEOの社長。
デザイン思考のトップランナーでもあります。
(総務省も、「変な人」を直接探すのではなく、ティム・ブラウンさんのようなプロデュサー的、ディレクター的な人材を育成するほうが成果に結びつくと思うのですが・・・)
「デザイン思考が世界を変える イノベーションを導く新しい考え方」
ティム・ブラウン著 千葉敏生訳 早川書房 700円+税
目次
1.デザイン思考を知る デザインはスタイルの問題ではない
2.ニーズを需要に変える 人間を優先に
3.メンタルマトリクス
4.作って考える プロトタイプ製作のバワー
トム・ピーターズさんも推奨するプロトタイプ。粗々でもいいからスピーディに打ち出すことがポイントと説きます。
5.初心に帰る 経験のデザイン
6.メッセージを広げる 物語の重要性
ストーリーテリング・・・魅力的な物語は指示、命令よりはるかに強力です。
7.デザイン思考が企業に出会うとき
8.新しい社会体制 ひとつの世界に生きる
9.デザインアクティヴィズム
10.いま、未来をデザインする
この最終章は、とても大切です。ポイントは・・・
「スタートからかかわる」
「人間中心のアプローチを大切にする」
「早めに何度も失敗する」
「プロの手を借りる」
「大小のプロジェクトを織り交ぜる」
「ペースに合わせた予算ぐみ」「才能の発掘」
です。
このデザインシンキング。ロジカルシンキングとは逆の思考回路。
ロジカルシンキングは、三段論法、ピラミッド思考、MECE、クリティカルといった側面がコアですが、デザインシンキングは、現場密着とホーリスティック思考、カッコよさの追及、美的センス、クリエイティブが中心価値となります。
どちらが大切ということではなく、イノベーションという世の中を変えるイベントを起こすためには、デザイン思考で考えロジカルに伝えていくということなのでしょう。
デザインシンキングは、若さの特権。
気持ちの若さ、考え方の柔軟性、ココロの若さが必須だと思います。
ティム・ブラウンさんの一冊・・・20歳代の若者たちにぜひとも読んでいただきたい書籍。
40歳以上のオジサン・オバサン達にも参考書として読んでいただきたいと思います。
同書の最終章にある「人生をデザインする」。
この中から、一節を引用させていただきます。
「人生を計画するのと、
人生を漂うのと、
人生をデザインするのとでは、
大きな違いがある。」
ティム・ブラウン