能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

組織学習の理論と実践 個人の力が仕事で活きるチームをつくれ!ただ、怪しい世界ではあります。

2014年06月29日 | 本と雑誌

職場、チーム、組織、グループ・・・。


人間は、一人では成し遂げられないことを集団を作って活動します。

これは、紀元前、ピラミッドやパルテノン神殿、万里の長城を造る時から続けられています。

ただ、集団、組織を作る人間は面白いもので、1+1が3にも10にもなったり、1+1が0.5やマイナスになったりする場合もあります。

これをプラスに転じるために、心理学や社会学、経営学などの研究が進められてきました。


経営学の世界では、フレドリック・テーラーの科学的管理法、レスリスバーガーの人間関係論、ダグラス・マクレガーのX理論・Y理論などの基礎研究があります。

組織論でいえば、チャンドラー。


チャンドラーは、組織を「共通の目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」という要素が具備されたものと定義し、機能する組織のために基礎づけられる条件を探究しています。


今回とりあげる一冊は、企業勤務経験のある経営学者が書かれた一冊。

学術的な作法というより、現場志向の切り口により読みやすくなっています。

 

「組織学習の理論と実践 個人の力が仕事で活きるチームをつくれ!」

辻本篤著 生産性出版 2200円+税

 

著者の辻本さんは、北海道大学准教授。

組織学習、リスクコミュニケーション論を専門とされている方。

今回の著書には、著者の体験談が随所に散りばめられており、親近感を感じます。

苦手だった英語への取り組み、健康論、職場での体験談などが出てきます。


目次

第1章 組織学習論はどのように生まれてきたのか 大きな利益を手にするチャンスとなる学習組織

第2章 組織人としてイメージをどう共有するのか 最高の組織を実現するのに重要なシステム思考

第3章 組織学習がしやすい環境をととのえる 組織メンバーの質改善をするために

第4章 個人から組織学習への移行を推進する

第5章 組織学習の新展開


同書では、ピーター・センゲの「5つの法則」のフレームワークを中心に展開されます。

これは、組織学習に先鞭をつけたセンゲ教授「最強組織の法則」、1990年に発刊されたものです。


1.自己マスタリー

2.メンタルモデルの克服

3.共有ビジョンの構築

4.チーム学習

5.システム思考


著者は、1.自己マスタリーと、5.システム思考の重要性を強調します。

特に自己マスタリーでは、自分自身の英語学習をいかに進めたかという体験談も織り込み、「自身の思考と行動を洗練させる」ための日常の努力の必要性を説きます。

マネジメントを学習している人には、ぜひ一読していただきたい一冊です。

同書には、最近キーワードとしてよく使われている重要語が出てきます。

このあたりをフォローすると組織学習論の扉を開くことが出来ると思います。


・意味づけされた情報

・有機的組織 バーンズ&ストーカー

・ダブルループ学習 アージリス

・U理論 オットー・シャーマー

・AI

・クリエイティブテンション

・快情動

・組織感情

・感情労働論

・社会構成主義


組織開発、組織理論・・・今のところ正解のない、怪しい世界です・・・笑。


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