今度こそ、本当に変わらないとヤバイかも???
デジタル化、グローバル化、多様化、ソフト化、少子高齢化等のインパクトは、あらゆる業種業態に大きな変革を要求しています。
環境に順応できなければ、ダーウィン的な進化できなければ、組織も個人も苦戦を強いられることになります。
時代の先端をいっていると思われている広告業界もまた、時代の潮流の中でもがき続けているようです。
数十年前、わたし自身も広告代理店に勤務していました。
当時、まだメジャーとは言えなかったマーケティングの勉強に始まり、GRP、リーチ、フリケンシー、メディアミックスから全国の地方局のコールサインまで一所懸命覚えていました。
とはいえ、事業の柱は、タイムブローカーであり、スペースブローカー・・・会社は手数料ビジネスで飯を食っていたのでした。
当時も、マルチメディアの萌芽、国際化の波、外資系代理店の上陸・・・などなど、典型的なトップの訓示である「激変する環境変化」への対応を迫られていましたが、実際はギョーカイ君として楽しい日々を過ごしていたのです(笑)。
ケータイもないしパソコンもないし、本当にのどかな新入社員生活でした・・・。
日本広告業協会(JAAA)では、「代理店」という名称は下請けっぽく、ブローカー的なので「広告会社」にしようという動きを加速していましたが、その目論見は外れ、今でも「広告代理店」という言葉はそのまま残っています。
その後、老舗の万年社やイケイケドンドンの中央宣興が経営危機に陥り、中堅・中小の代理店も様々な変化を遂げているようです。
当時はユニーク代理店がたくさんありました。
国連社、創芸、南北社などなど・・・今どうなっているんでしょうか?
それから数十年。
私の勤務していた広告代理店も、いまや外資系へと変わっています。
今の状況は、感覚的にも今までとは違う大きなうねりのようなものを感じます。
広告代理店も、今変わらないと本当にヤバいと思うのです。
「広告ビジネス次の10年 データを制するものがビジネスを制す」
横山隆治・栄枝洋文著 翔泳社刊 1800円+税
著者の横山さんは、デジタルインテリジェンス代表取締役。
旭通信社を経て、現在のデジタルコンサルの仕事をされています。
「はじめに」では、広告マンとしての想い、明日の広告業界への期待を述べたうえで、具体的なリスクとチャンスについて言及していきます。
このままでは、
広告マンの8割が職を失うこと、
電博以外の中堅広告代理店は淘汰されるであろうこと・・・
データオリエンテッドな、なかなか読みごたえのある一冊だと言えます。
目次
第1章 土俵際の広告代理店
第2章 データを制するものがビジネスを制す
第3章 データマーケティング時代の広告主
第4章 塗り替わる業界地図
第5章 明暗がわかれる日本の状況
第6章 次世代型広告マンに必要なスキル
第7章 近未来予測
第8章 10年後の広告業界
第9章 広告主、メディア側から見た存在価値
同書では、最新の広告用語も勉強することが出来ます。巻末には、用語集まで付いており、とても親切。
アトリビューション分析
アーンドメディア
オウンドメディア
オプトイン
データドリブン
トリプルメディア
パーチェスファネル
リターゲティング
レコメンド・・・
これらの用語を説明できますか?
広告マンのみならず、企業の宣伝部やマーケター、広告代理店志望の学生など必読の一冊だと思います。
著者が予測する広告業界の変化について引用させていただきます。
個人的には、1980年代と変わらないトレンドだと思うのですが・・・。
ただその程度が大きく異なるのです。
今、その対応を怠ると生死にかかわる重大な局面にあると思います。
1.電通イージスネットワークのさらなるグローバル化
2.電博以外の総合広告代理店の衰退
3.デジタルエキスパートの台頭
4.異業種参入
5.ネット代理店からの脱却
6.黒船たちの再進出
7.あらたなハウスエージェンシー
電通の強さは不変・・・そのおこぼれを拾う中堅代理店・・・デジタル化、グローバル化に乗り遅れた代理店、広告マンは淘汰。コンサル会社や外資系等の異業種からの参入・・・5フォースの全てからのプレッシャー、広告主はハウスエージェンシーを設立しコンペや価格圧力もかかり続ける・・・本当に「生き馬の目を抜く」世界になりそうです。
サバイバルの方法は、伸びしろのある分野の専門性、実務力を探索し、他者より、より早く学び習得すること・・・。
違うと思えば近接する専門分野にシフトし、さらに努力を重ねていくしかないように思います。
広告業界は、激変必至です。