今のニッポンは、高齢化社会、高齢社会を通り越して、超高齢社会。
65歳人口が21%を超えると「超高齢社会」。
そういえば、道を歩いても、電車に乗っても、バスに乗っても、お店に入っても、中高年の方々をよく見るようになりました。
「成功するシニアビジネスの教科書 超高齢社会をビジネスチャンスにする技術」
村田裕之著 日本経済新聞出版社 1600円+税
著者の村田さんは、日本総合研究所などを経て村田アソシエイツを立ち上げた経営コンサルタント。
実務家として実際のケース、フィールドをとらえたシニアビジネス論を展開していきます。
同書の特長は、その最終章に記述されているように「シニアの仕事を作れば、消費に回る」という持論。
「知縁」型ビジネスというモデルを提唱されています。
他書では、高齢者に対するマーケティング的なアプローチ、欧米の事例などが中心となる高齢者マーケティングが主流ですが、
同書は少し違った切り口でのシニアビジネス論を展開していきます。
目次
第1章 シニアの消費行動はいかにして起こるか 消費のトリガーは年齢ではなく変化
第2章 いかにしてビジネスチャンスを見つけるか シニアビジネスの基本は「不」の解消
第3章 いかにしてシニアビジネスを発想するか
第4章 いかにしてシニアのニーズを把握するか 市場調査では見えてこないシニア市場
第5章 いかにしてシニア「個客」にうける商品開発をするか 団塊世代は団「壊」世代
第6章 いかにしてシニアの消費心理を踏まえた商品提案をするか 財布のひもが緩むのは解放段階と家族との絆
第7章 いかにしてシニア顧客にリーチするか
第8章 いかにしてシニア顧客をあなたの顧客にするか 重要なのはお金の報酬より心の報酬
シニア世代は、ストックリッチ、フロープア。
貯金、資産は豊富なものの、毎月の年金、賃金等のキャッシュはわずか。
そこに3つの「不」が消費のブレーキをかけていきます。
「不便」「不満」「不安」。
これらの心の壁を、いかにして乗り越えていくかについて、事例を交えながら解説していきます。
また、導入部分では、俗説について否定していきます。
俗説1 シニア層は、他の年齢層よりお金持ちである・・・×
俗説2 シニア層は、資産持ちなので日常消費も多い・・・×
俗説3 シニア層は、みな消費の仕方が同じ・・・×
俗説4 シニア層の消費は、年齢で決まる・・・×
俗説5 シニア市場は、人数の多いマスマーケットである・・・×
・退職後はも毎日遊んで暮らす・・・×
・親世代と子世代は離れて暮らす・・・×
同書の結論の一つが、「知縁型商品・サービス」で、知的新陳代謝を促すということ。
縁には、血縁、地縁、社縁、職縁があるそうですが、これからは社縁、職縁が特に大切になってくると主張。
テーマ型旅行、カルチャーセンター、オムニチャネル等を引用し、その有効性を示しています。
超高齢社会ニッポン。
絶対的ボリュームゾーンのシニア世代について考えさせられる面白い一冊。
お奨めです。