日経ビジネス誌2017.2.20号の特集「行きたい大学がない 授業も入試も受験産業に丸投げ」。
なかなか面白い特集でした。
国際的に見ると、日本の大学は、本当に、ガラパゴス。
教育機関としても中途半端、研究機関としてもすごい温度差・・・。
大学改革とか、入試改革が叫ばれつつも、基本的なコンセプトは何も変わっていないように思えます。
この特集は、4つのパートから構成されています。
Part1 死にゆく大学 空洞化の衝撃・・・資金不足、教職員不足、学生不足
Part2 世界で負け続ける理由 学産官ともビジョン欠落
Part3 そこまでやるか!徹底力が道をひらく
Part4 教育なくして成長なし 大学無償化は実現するのか
大学がつぶれ始めています。
東京女学館大学、福岡国際大学、聖トマス大学などが閉校、募集停止。
私立大学の半数が定員割れする中、地方の私立大学一部は、入試はカタチだけで誰でも入れる、学生の大半が中国人、授業も入試も受験産業に丸投げといったところが多々あります。
大学生ではなく、「高校4年生」と言われたりします。
少子化が進むと、この傾向は、さらに進むと思います。
さらに、文科省の天下り問題が発覚。
早稲田大や慶応大まで、監督官庁からの天下り天国になっています。
助成金も出すから、就職先として人を受け入れろ・・・。
学の独立どころか、お役人さんの植民地に成り下がっています。
大隈重信さんや福沢諭吉さんが、草葉の陰で泣いていると思います。
そして、日本の大学の競争力。
英国のタイムズ・ハイヤ・エデュケーション(THE)の調査では、世界のトップ200校にランク入りした日本の大学は、わずか2校。
東京大学 39位
京都大学 91位
だそうです。
トップ200には、香港が5大学、中国・韓国がそれぞれ4大学が入っています。
グローバル対応というのが日本の大学の弱点だと思うのですが、それにしても惨敗です。
同特集のPart3では、日本のそんな大学事情を打破するイノベーティブな大学が3校紹介されています。
立命館アジア太平洋大学・・・真の国際化をめざす 意図的に学生を混ぜる
東京理科大学・・・起業家を組織的に育成 米MITと国際連携
広島大学・・・数値目標を競争力に(世界トップ100を目指す)
以前、経営コンサルタントの冨山和彦さんが、G型大学とL型大学を提起し、社会的な波紋を巻き起こしました。
個人的には大賛成です。
G型大学とは「グローバル型大学」、L型大学とは「ローカル型大学」。
前者は、国際的な視野で研究開発やリベラルアーツをコアとする大学、
後者は職業能力の習得、地域に貢献する人材の育成を行う大学。
L型大学では、
シェイクスピアや文学概論ではなく、観光業で役立つ英語や地域の歴史や観光名所を学ぶ
マイケル・ポーターや戦略論ではなく、簿記や弥生会計を学ぶ
憲法や刑法ではなく、道路交通法や大型特殊免許取得する
機械工学や流体力学ではなく、トヨタで使われている最新のマシンの使い方習得
といった実務、実学志向・・・まさに職業訓練校です。
冨山さんは、東大でさえL型大学だと喝破しています。
まわりに結構います・・・
簿記の出来ない商学部卒
英会話の出来ない英文学科卒
親族相続法の分からない法学部卒
日経新聞を読まない経済学部卒・・・
小職の尊敬する先輩は、営業学部、営業学科の創設を目指しています。
文系学部の卒業生の多くが就く営業職。
それならば、営業職に必要なスキル、知識、実務を習得させて、即戦力で社会に出したいという想い。
まさに、究極のL型大学です。
確かに、リベラルアーツは、人生を豊かにしてくれると思います。
文学、哲学、歴史、芸術・・・人間的な深み、教養を増してくれると思います。
が、それだけではメシが食えない・・・。
今でも、文学部や美術大学の卒業生はシューカツで大苦戦しています。
それでも、いい・・・自力で人生を切り開くという人たちは、G型大学に進学するということだと思います。
でも、アカデミックな世界、象牙の塔と揶揄されるクローズドな世界でご飯を食べてきた博士先生たちには、職域を荒らされる嫌な議論・・・いや、ありえない話なんでしょうね。
これからの大学・・・。
グローバル競争に打って出るか、職業訓練校としての実学志向でいくかだと考えています。
一読いただきたい日経ビジネスの最新号です。