ビジネスのスピード感は、グローバル化により一段と加速しています。
勝ち組と言われた企業が、あっという間に谷底へ転げ落ちることは、もはや普通のことになっています。
競争に負ける、コンプライアンスに違反する、ゲームのルールが変わる・・・対応を誤ると一瞬にして営業利益が赤になる時代・・・。
経営陣は、本当に大変な時代になってきました。
ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ルール、相手、土俵を変える
内田和成編著 日本経済新聞出版社 1600円+税
著者は、早稲田大学ビジネススクール教授。
前著「異業種競争戦略」では、従来のシェア争いに留まらない垣根のない競争戦略について、事例、ケースを用いながら分かりやすく解説。
今回の新著では、それに続き、「ゲーム・チェンジャー」というキーワードで、競争戦略を体系化していきます。
イノベーションで、ビジネスのルールそのものを変えてしまう・・・
それにより、自社の独壇場を創出するためのフレームワークを解説した一冊です。
◆目次
第1章 新たなゲームのはじまり 激化する異業種競争
第2章 相手の儲けの仕組みを無力化する 秩序破壊型
第3章 顧客が気づいていない価値を具体化する 市場創造型
第4章 新たな事業モデルを作り出す ビジネス創造型
第5章 バリューチェーンを見直す プロセス改革型
第6章 既存のプレーヤーはどう対抗するか
おわりに 変化しない者は生き延びられない
同書では、アンゾフ・マトリックスをベースにして、ゲーム・チェンジャーを4類型に整理しています。
「既存の儲けの仕組み」「新しい儲けの仕組み」と「既存の製品・サービス」「新しい製品・サービス」を掛け合わせた4つのセル。
「既存の儲けの仕組み」×「既存の製品・サービス」を「プロセス改革型」
「既存の儲けの仕組み」×「新しい製品・サービス」を「市場創造型」
「新しい儲けの仕組み」×「既存の製品・サービス」を「秩序破壊型」
「新しい儲けの仕組み」×「新しい製品・サービス」を「ビジネス創造型」
「プロセス改革型」Arranger・・・アマゾン、セブンカフェなど
「市場創造型」Creator・・・東進ハイスクール、青山フラワーマーケットなど
「秩序破壊型」Breaker・・・スマホゲーム、コストコ、QBハウス、リブセンスなど
「ビジネス創造型」Developer・・・価格.com、カーシェアリングなど
クリステンセンハーバード大学教授が提唱した「イノベーションのジレンマ」。
ゲームのルールを変えようというプレーヤーが登場した場合、守りに入ろうとネガティブな戦略、戦術を取り自滅していく企業。
成功の失敗というやつです。
同書では、第6章で「既存のプレーヤーはどう対抗するか」についても言及しています。
取り立てて新しい概念や切り口はないのですが、比較的新しいたくさんの事例やケースを取り上げているため理解しやすい一冊になっています。
今起こりつつある新しいビジネスモデルを整理するには役立つ本だと思います。