異色の経営本、です。
いや、これは哲学書、心理学の書かもしれません。
経営計画、中計策定などを期待して手に取ったのですが、いきなり鴨長明からはじまります。
そうです。あの「方丈記」の作者です。
そのほか、「森の生活」のソロー、パスカル、アリストテレス、三木清、ドラッカー、ニーチェやゲーテ・・・哀川翔まで出てきます(笑)。
本気で使える経営計画の立て方・見直し方
岡本吏郎著 すばる舎リンケージ 2800円+税
同書には、さまざまなキャッチフレーズがついています。
「中小企業経営者のための」
「カリスマコンサルタントの秘伝を解禁!」
「9割の計画書は使えない!」
「画期的手法をあなただけに!」・・・
本当は、まだまだあるのですが、ここで止めておきます。
この「本気で使える経営計画の立て方・見直し方」の著者岡本さんは、税理士。
メルマガやソーシャルネットワーク、ブログ等を集大成した電子出版的な書籍かもしれません。
いろいろと勉強をされている博覧強記の著者のバックボーンが見えてきます。
経営本を読むと言うよりも、随筆、エッセイを読む感覚で読み進めることが出来ます。
経営本は、退屈でツマラナイという常識に対する著者からのアンチテーゼなのかもしれません。
目次
第1章 大前提 経営計画とは関係ないところからはじめてみる
第2章 補助線 経営計画に近いところまで話を戻してみる
第3章 作成 経営計画はこうやって立てる
第4章 解説 経営計画を立てるための指針
第5章 現実の検証 重要なことは実行と検証。そしてフィードバック。他に何もいらない。
第6章 次のための補助線 繰り返しの人生をどう繰り返すか
経営計画を立てるときは、だいたいが前年までの売上に根拠のない希望的な数字を乗っけたもの・・・それでは、駄目!と指摘します。
むしろ、毎年10%ずつ売上が下がっていくという「嫌な気持ち」から出発することが重要と主張します。
なるほど、そのとおりだと思います。
事実と意見を分ける
数字は、動詞としか結びつかない
売りは怖い
経営とは、金繰りと人繰り
戦争のプロは兵站を語り、戦争の素人は戦略を語る
実行する、から整える時代。
必要条件を整える
依存性について何も考えないで、最適化、効率化というリスク
経営は基本的に敗者のゲーム
戦略の明確性と一貫性
正の連鎖反応を作る 見たくない現実を見ること&見たくない現実から構想力を鍛えること
数字は未来の行動の評価である
確実売上・浮動売上・新規売上
ライバルにやられたら「嫌だなあ~」と思うものをだす
家畜化からの脱出
数値は目標ではない
深みと高み
なかなか鋭い切り口とキーワードが、経営の変革に役立ちそうです。
経営計画策定ステップ
1. 現状把握・・・気になること抽出、今年調子が良かった事業が半分になると仮定。ほっておくと・・・。
2. 熟成
3. 方針策定
4. 方策決定・・・やるべきことの整理、必要条件を洗い出す、数値測定、存在意義と矛盾チェック
5. 行動計画
6. 予測利益計算書
7. 実行
面白く一気に読み進めることが出来ました。
ちょっと時間を置いて、「熟成」させて、再度目を通してみたいと思います。