「あの時に止まった時間と、今生きている時間。
体の中に二つの時計があって、広がる落差に悲しみは深まる一方なんです。」
2001年6月8日、大阪教育大付属池田小学校で、不審者が児童8人を殺害する事件が起きた。
10年過ぎた今、遺族への取材で得た言葉。
そして東日本大震災で1万5千を超す人命が奪われ、被災地取材時、遺族の方々に
「頑張れ」と声をかける違和感がどうしてもぬぐえなかったと書く記者。
そこで、池田小事件の遺族に
「同じように愛する人を突然失った被災者に、どのような言葉をかけますか?」と尋ねた。
「生きることに罪悪感を持つ方もいるでしょう。私もそうでした。
そして生きる意味を一生懸命探した。
でも生きる意味というのは必要ないんです。
生きる意志さえあれば大丈夫なんです。」
「頑張れ」と声をかける違和感をぬぐえなかった記者も
この言葉を、東日本大震災被災者の方々に伝えたいと思った。