再収監は最高裁次第か
東京高裁は再審開始に関する静岡地裁の判断をほぼすべて覆した。
だが、「年齢や生活状況、健康状態などに照らすと、逃走の恐れが高まるなど、刑執行が困難になる危険性は乏しい」とし、袴田さんの釈放は維持した。(朝日新聞デジタル)
東京高裁は再審開始に関する静岡地裁の判断をほぼすべて覆した。だが、「年齢や生活状況、健康状態などに照らすと、逃走の恐れが高まるなど、刑執行が困難になる危険性は乏しい」とし、袴田さんの釈放は維持した。
地裁が釈放を認めたのは、証拠が捏造(ねつぞう)された疑いがあるなどとして、再審で無罪になる可能性が高いと判断したためで、決定で「拘置をこれ以上継続することは、耐え難いほど正義に反する」としていた。
その点、高裁決定は前提がなくなっており、矛盾しているという指摘もある。
検察幹部は「おかしな決定と読めなくはない。何ができるか考えたい」と話す。法務・検察内には「再収監すべきだ」という意見もある。刑事訴訟法は、死刑判決などを受けた人が拘禁されていない場合、検察官が呼び出さなければならず、応じなければ強制的に身柄を収容できると定める。
ただ、袴田さんは高齢で、意思疎通も難しくなっている。高裁決定についてベテラン刑事裁判官は「袴田さんの現状を考え、法律的に可能なら、収監しない方がいいという判断を示そうとしたんだろう」とみる。
朝日新聞社