菅首相、デジタル庁や不妊治療など新機軸矢継ぎ早に 「縦割り110番」即日設置

2020年09月18日 02時55分25秒 | 社会・文化・政治・経済

9/17(木) 21:11配信

毎日新聞

菅義偉首相は就任2日目の17日、首相官邸に河野太郎行政改革担当相、平井卓也デジタル担当相、田村憲久厚生労働相の3人を相次いで呼び、自民党総裁選で掲げた「縦割り打破」「デジタル庁新設」「不妊治療への保険適用」の検討を加速するよう改めて指示した。河野氏は17日、自身の公式サイトに「行政改革目安箱(縦割り110番)」を早速設置。新政権は「新機軸」の打ち出しに腐心している。

【菅内閣の顔ぶれ】

 首相は16日夜の記者会見で「行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破って規制改革を進める。国民のために働く内閣を作る」と述べ、「規制改革をこの政権のど真ん中に置く」と表明。河野氏に「縦割り110番」の新設を検討するよう指示したと明かしていた。河野氏が設置した「目安箱」では、メールアドレスや住所などを入力し、自由記述の意見を送信できる。河野氏本人が全てに目を通すという。ツイッターには「霞ケ関の住民からのインプットも歓迎します」と記し、詳細を知る官僚による提案も受け付けるとした。内閣府でなく自身のサイトを使った理由について、河野氏は「役所がやったらいつまでかかるか分からない。自分でやれば1時間でできる」と周囲に語った。

 首相は17日朝、首相官邸で記者団に「まさに身の引き締まる思いだ。国民のために働く内閣をスタートさせて、しっかりとした成果を上げて国民の期待に応えたい」と決意を語った。本格始動した菅内閣は18日、各府省の副大臣・政務官人事を行い、政務の陣容を固める。

 加藤勝信官房長官は就任後初の定例会見で、政権が取り組む課題について「新型コロナウイルスを抑止し、経済社会活動をいかに戻し、発展させていくかにしっかり傾注する。前例踏襲や縦割りの排除、既得権益をもう1回チェックする必要がある」と説明した。

 政府・与党は今国会を18日に閉会し、10月中にも臨時国会を再召集する方針。日英貿易協定が締結された場合は国会承認などが必要になるためだ。野党は臨時国会の早期召集を要求している。だが首相は総裁選でも発言の訂正が相次ぐなど首相としての国会答弁の能力は未知数だ。

 衆院解散の時期も首相の頭を悩ませそうだ。首相は16日夜の会見では、新型コロナ対策と経済回復に専念するのが先だとした上で、来年10月の衆院議員の任期満了を念頭に「時間の制約も視野に入れながら考えていきたい」と述べるにとどめている。

 コロナ収束前に衆院を解散して政治空白を作ることにはリスクもあり、16日の閣僚人事で再任、横滑りが多かったことから「解散がありそうなにおいのしない内閣だ」(閣僚経験者)などの声も出ている。一方で、首相が内閣発足からそれほど間を置かず、比較的高い支持率を維持しているうちに衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとの臆測も政府・与党内で消えていない。

 自民党の二階俊博幹事長は16日、NHKの番組で「いつ解散があっても対応できるように準備を整えている。明日からでも結構だ」と述べた。首相は17日、東京都内のホテルで選挙プランナーの三浦博史氏と朝食を共にした。選挙情勢について意見交換した可能性がある。【佐野格、畠山嵩】

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解散「野党の準備整えば」 自民・二階幹事長

2020年09月18日 02時48分03秒 | 社会・文化・政治・経済

9/16(水) 15:18配信

時事通信
 自民党の二階俊博幹事長が16日、衆院解散・総選挙の時期について「野党の皆さんの準備が整ったところで平和的に」と語り、周囲が慌てて打ち消す一幕があった。

  新国民民主党の執行部があいさつ回りで国会の自民党控室を訪れた際の発言。冗談のつもりだったようだが、隣で聞いていた二階氏側近の林幹雄幹事長代理が真面目な調子で「幹事長は選挙と聞くとすぐやりたがっちゃうから聞かないでください」と割って入り、周囲は笑いに包まれた。

 この後、同席した国民幹部は「野党の準備が整ったらというなら、いつまでたってもできない」と自嘲した。

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立民・福山幹事長、「生い立ち」発言の小川淳也氏を擁護

2020年09月18日 02時44分03秒 | 事件・事故

9/17(木) 22:26配信

産経新聞

立憲民主党の小川淳也衆院議員

 立憲民主党の福山哲郎幹事長は17日の記者会見で、同党の小川淳也衆院議員(比例四国)が菅義偉(すが・よしひで)首相に対し、国会で生い立ちを説明するようTBSのBS番組で求めたことを擁護した。「一般的に出自などでの差別は許されない。首相になられる方は、(生い立ちなどを)それなりにさらされるものだ」と語った。

 福山氏は「菅首相が2世、3世議員でもなく、苦労しながらリーダーになったことは評価したい」としつつ「生い立ちなどについては、トップリーダーはある種さらされるものだ」と繰り返した。

 小川氏は14日のBS番組で「どういう人間かは、どういう生い立ち、どういう環境かに規定されるんですよ」などと主張し、インターネット上で批判が広がっていた。小川氏は17日、自身のツイッターに動画を投稿し、「この言葉が持つ非常にセンシティブな意味合いに対して、もっともっと敏感でなければならなかった」などとして謝罪した。

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菅首相への「生い立ち明らかに」発言 立憲・小川淳也氏が謝罪「多くの方を傷つけ、不信を招いてしまった」

2020年09月18日 02時38分28秒 | 社会・文化・政治・経済

9/17(木) 19:36配信

J-CASTニュース

無所属から立憲民主党に合流した小川淳也衆院議員が、菅義偉首相の出自を明らかにする必要があるとした発言をめぐり、2020年9月17日にツイッターで謝罪を行った。

【謝罪をした小川淳也議員のツイート】

■「私の未熟を深くお詫び申し上げます」

 小川氏は14日、テレビ番組「報道1930」(BS-TBS)で、

「叩き上げストーリーをもし作られているとしたら、それはちゃんと実情を見ないといけない」「逆の意味の虚像を作っているのであれば、それはきちんと国会も含めて、どういう人物なのか、というところをしっかり明らかにすることが、総理大臣としては最初の仕事であるような気がします」

などと、持論を展開。その後「少し真意が十分伝わらなかった」としてツイッターの動画などで釈明をしていた。そして今回、

「一晩置いてよく考えさせて頂きました。この間のお叱り、ご批判を真摯に受け止め深くお詫び申し上げます。真意をお伝えしきれず、多くの皆様を傷つけ、不愉快な思いをおかけいたしました。重ねて深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございません」

と文章で前置きをし、動画の中でも

「元々は、新しい首相の経歴は『等身大で報じられるべきだ』という問題意識でした。しかしそれがあたかも『人を生い立ちで差別するのか』というふうに取られてしまったことは、本当に不本意で、私の未熟を深くお詫び申し上げます」と謝罪。

また、発言の経緯について、小川氏自身が「庶民の家庭で生まれ育った」という経歴を持ち、それを誇りとしながら活動をしてきたとした上で、

「巨大な権力や特に既得権としっかり戦って、公平な社会を作りたいということを、文字通り何度も発言してきた私自身の歴史があります。ひょっとしたらそこからきた発言だったのかもしれない」と振り返った。

最後に

「一方、世の中の受け止めは、いろんな諸事情を抱えておられる方々、そしてこの言葉が持つ非常にセンシティブな意味あい、こういうものに対してもっともっと敏感でなければならなかった。そのことによって結果として多くの方を傷つけ、また不信を招いてしまった」

とした上で、改めて「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪を行った。

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岸田・石破氏、大敗に「反省」 自民主流派は祝勝会さながら

2020年09月18日 02時35分16秒 | 社会・文化・政治・経済

9/17(木) 20:31配信

時事通信

自民党石破派の政治資金パーティーであいさつする石破茂元幹事長=17日午後、東京都千代田区

 自民党総裁選で敗れた岸田文雄前政調会長(岸田派会長)と石破茂元幹事長(石破派会長)が再起に向けて動き始めた。

17日にはそろって「反省」を表明。いずれも菅政権で要職に起用されず、1年後に予定される次期総裁選に向けて存在感を発揮できるかが問われる。一方、菅義偉首相を支持した主流派からは閣僚・党役員人事を歓迎する声が相次いだ。

 岸田氏は東京都内で講演し、「2位に終わったことは努力不足だ。謙虚に反省する」と述べた。安倍政権で外相、政調会長と一貫して要職を占めてきたが、菅政権で無役となった。国会議員票で石破氏を引き離したものの、141あった地方票は得票わずか10票と、党員に浸透できていない現実に直面。かねて指摘されてきた発信力不足を克服できるのか、まさに背水の陣を強いられる。

 長らく「ポスト安倍」の本命と目されながら最下位に沈んだ石破氏も、都内で開いた政治資金パーティーで「私に何が足りないかを虚心坦懐(たんかい)に反省し、改め、同志の思いに応えていかねばならない」と再挑戦への決意を語った。

 パーティーではゲストとして招いた二階俊博幹事長が講演した。石破氏は総裁選での支援を当て込んで6月に招待していたが、勝敗を決する重要局面で二階氏は石破氏に目もくれなかった。講演も「新しい時代を担っていく重要な任務が石破先生に課せられているとすれば、力強いご支援を下さるようお願い申し上げる」と型通りだった。

 これに対し、菅政権の重要ポストを分け合った主流派がそれぞれ開いた例会は、「祝勝会」さながらの様相を呈した。

 5人が入閣、1人が党四役の一角を占めた最大派閥の細田派では、萩生田光一文部科学相、岸信夫防衛相らが拍手で迎えられ、会長の細田博之元幹事長は「皆さん頑張っていただきたい」と満面の笑みを浮かべた。二階派では重鎮の伊吹文明元衆院議長が「二階さんが幹事長続投になり、2人の入閣があり、派としては非常におめでたいことだ」と手放しの歓迎ぶりだった。

 竹下派は会長代行の茂木敏充外相が続投、首相が務めた官房長官は加藤勝信氏が引き継いだ。茂木氏は「2人でタッグを組みながら菅政権を支えていきたい」と表明。加藤氏について、会長の竹下亘元総務会長は記者団に「能力は非常に優れている。このポストを一つのジャンプ台に、次へ次へとジャンプするよう期待する」と語った。 

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大麻―薬物規制の功罪 専門家「薬理作用よりも、刑罰やバッシングが人生を台無しにしている」

2020年09月18日 02時21分07秒 | 事件・事故

最後の更新 2020年9月14日. 公開 2020年9月10日

俳優の伊勢谷友介さんが大麻の所持で逮捕され、バッシングが始まっています。そもそも大麻の健康影響ははっきりしているのでしょうか? 薬物問題の治療を専門とする松本俊彦さんに緊急インタビューをしました。
Naoko Iwanaga
by Naoko Iwanaga
岩永直子 BuzzFeed News Editor, Japan

自宅で大麻を所持していたとして、俳優の伊勢谷友介さんが9月8日、警視庁に大麻取締法違反容疑で現行犯逮捕された。

ワイドショーやスポーツ新聞はいつものようにセンセーショナルに報じ、伊勢谷さんが出演したドラマの配信も停止された。

「問題児が輝ける機会の提供」を掲げて伊勢谷さんらが開校した「Loohcs(ルークス高等学院)」は、「誠に遺憾であり、また教育事業を行うものとして、その責任を痛感しております」と謝罪文を掲載した。

大麻は日本で確かに違法薬物とされている。だが、その健康被害ははっきりしていない。つまづいた人をさらに叩きのめし、再起しづらくすることを私たちの社会はなぜ繰り返すのか。

 
「これを機会に違法薬物、とりわけ大麻の取り扱いについて議論を」と呼びかける松本俊彦さん

BuzzFeed Japan Medicalは、薬物依存症が専門の国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長、松本俊彦さんに緊急インタビューをした。

大麻の場合「刑罰」もおかしいが「治療」も必要か?

ーー有名人が薬物が逮捕される度に、その「転落」を消費する報道が繰り返されています。薬物の専門家としてどのようにご覧になっていますか?

作品の配信停止や、スティグマ(負のレッテル)を強めるような報道に不満があるのは毎度のことです。

一方で、全て断ってはいるのですが、メディアから「薬物依存症の治療プログラムについて教えてください」「治療現場を撮影させてください」という依頼も増えてきています。「刑罰よりも治療」を意識するメディアも出ています。これ自体はありがたいことです。

ただ、大麻使用者の場合、刑罰を与えるのもおかしいけれど、治療の対象にするのもおかしいというケースが多いのです。

覚せい剤なら話は簡単です。逮捕された人の相当な割合が何らかの治療や支援を必要とするでしょう。でも、大麻はこの数年で芸能人が逮捕された例がいくつかありますが、みんなそんなにおかしい行動をしていたでしょうか?

今回捕まった伊勢谷さんは個人的にとても好きな俳優で、映画『あしたのジョー』の力石役や『るろうに剣心』でも素晴らしい演技をされたアーティストだと思います。そしてそれは、大麻をやっていたからできたわけではない。

他の捕まった人も素晴らしい仕事をされていて、おかしくはなっていないのです。

大麻よりも問題な「適法薬物」の影響は見過ごされている

それよりも週末の盛り場で酔っ払っている人たちの方がよほどおかしいです。お酒で問題を起こした芸能人もたくさんいます。

アルコールは違法ではないので飲んだだけでは捕まらないからというのもあるのでしょうが、暴力をふるったり、性暴力を起こしたりしたタレントもいます。タクシーの無賃乗車もありましたね。

大麻ではそういった話はきいたことがない。

今日僕は、外来診療で三人の新規患者を診察したのですが、問題になっていた薬物は、医者が処方した睡眠薬や抗不安薬、そして、がん性疼痛に対して出された痛み止め「オピオイド」、それから、市販の咳止め薬でした。

3人とも合法な医薬品で問題が起きていて、健康被害という点ではそちらの方が目につきます。

もちろん大麻で問題を起こしていない人が全くいないわけではありません。ただ、興味深いのは、一般の人たちにおける大麻使用経験率と治療に訪れる大麻関連精神障害患者の数とのギャップなのです。

私たちが行なっている地域の住民調査では、生涯経験率が一番高い違法薬物は大麻です。海外の影響もあって、確かにじわじわと増えています。

しかし、大麻使用による様々な精神障害で薬物依存症専門外来を訪れる人は非常に少ない。それでも、少数ながら受診する患者はいるにはいて、そうした人たちは大きく二つに分類できます。

一つは、元々他に精神障害があった人たちです。精神障害の症状を和らげるために大麻を使用し、一時的には確かに効果があったものの、最終的にかえってこじれてしまったケースです。

もう一つは、逮捕され、保釈中で裁判を控えている時期に、減刑を求めるための法廷戦略として、専門病院で治療を受けた実績作り、あるいは、依存症水準ではないという証明がほしいなどといった理由から、受診する人たちです。

後者のタイプの人たちは、しばしば20~30年にわたって連日大麻を使用していたりするのですが、それで幻覚や妄想が出たり、粗暴な行動におよんだり、仕事をしなくなって生活が立ち行かなくなったりしている人は、滅多にいません。ただ、法律で禁じられている薬物を使っていただけです。

その意味では、依存症治療の最前線では、大麻よりも、むしろ処方薬や市販薬の乱用の方が問題で、もしかすると規制や流通のコントロールが必要なのはそうした医薬品の方ではないのか、と思うこともよくあります。

規制を強めた結果、どこでも手に入る市販薬へ

ーー違法薬物よりも、市販薬や処方薬の乱用が問題となっているのはなぜなのでしょう。

この十年あまり前、有名大学の学生たちが大麻を使ったということで取り締まりが厳しくなり、盛んに報道された時期がありました。

その結果、今度は規制を逃れようと「脱法ハーブ」が出てきました。国が規制を強めれば強めるほど中身がより有害性の高いものになり、交通事故や暴力事件が多発するようになりました。

むしろ市販薬や医師が処方する医薬品の乱用で困っている人の方が多い
それが収まった後で、今、10代の子の中で問題になっているのが市販薬です。ドラッグストアもコンビニの数より増えているし、対面販売で1人1箱と規制しても、ネット通販でも買えるようになった。

国としても医療費を下げるために色々な薬を処方薬から市販薬にスイッチしている状況があります。その中で新たな問題が生じているのです。

大麻の作用ではなく、刑罰やバッシングで人生が台無しに

人類の歴史の中で、薬物を法と刑罰によってコントロールすべく、実効性のある国際協調した規制を始めたのは、今からおよそ60年前です。1961年の「麻薬に関する単一条約」からです。

以降、いくつかの薬物規制に関する条約を提唱され、それらに批准した国々が、そうした条約に基づいて規制法を作りました。日本もです。

麻薬に関する単一条約の前文には、「人類の健康及び福祉に思いをいたし」と書かれています。そのために、薬物を法と刑罰によってコントロールしていくと書かれているのです。とても納得がいきますね。

締約国は、人類の健康及び福祉に思いをいたし、麻薬の医療上の使用が苦痛の軽減のために依然として不可欠であること及びこの目的のための麻薬の入手を確保するために適切な措置を執らなければならないことを認め、麻薬の中毒が個人にとつて重大な害悪であり、人類に対する社会的及び経済的な危険を伴うものであることを認め、この害悪を防止し、かつ、これと戦う締約国の義務を自覚し、麻薬の濫用に対する措置が効果的であるためには、協同して、かつ、世界的規模で行動することが必要であることを考慮し(省略)(「麻薬に関する単一条約」前文より)

それなのに、現状を見ると、大麻の薬理作用でこれといった健康被害は生じていないのに、刑罰や社会から与えられるスティグマやバッシングによって人生が台無しになっている……。あくまでも薬物依存症専門外来から眺めた感想ではありますが、そんな印象がどうしても拭えないのです。

才能のある俳優の人生を刑罰や社会的なバッシングで葬り去ることは、社会にとってプラスになるのか?
誤解しないでほしいのですが、法で規制するのが悪いと言っているわけではありません。やはり一定程度、それは必要です。

ただ、この機会に、規制や刑罰というスティグマ化が個人にもたらす弊害と、薬物使用による個人の健康被害とを天秤にかけてみて、その功罪を慎重に検討してみてはどうかと思うのです。

大麻の健康被害は日本でほとんど研究がない

薬理作用だけで言えば、アルコールで人生を台無しにする人は結構いると思いますし、アルコールは、肝臓や脳をはじめとして、人間の諸臓器に深刻な健康被害を起こし得る薬物だと思います。

では、それに比べて大麻の健康被害はどの程度のものなのかを考えてみる必要があります。

そもそもなぜ大麻が規制されたのか。

生涯経験率が一番高いのに、大麻で病院に来る人はほとんどいません。覚せい剤はたくさん来ます。そのギャップは何なのでしょう。

大麻の精神医学的障害に関しては、それほどきちんとしたデータが日本にはないのです。

昨年度、我々は、9つの薬物依存症専門病院に協力してもらって、71例の大麻に関連する精神障害を呈した患者の分析をしました。どんな人が依存症になりやすいのか、大麻の後遺症で起こり得るとされてきた慢性・持続性の精神病の発症には、何がリスク要因になっているのかを調べたのです。

例えば使用頻度、使用期間、10代から始めているか、親族に精神疾患がある人がいるか、元々本人が精神疾患があるか。大麻でも多幸感を与える成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が一番少ない乾燥大麻のようなものを使うのか、樹脂のような濃度の高いものを使うのか。

その結果、依存症のリスク要因は、長く、高頻度に、THCの含有濃度が高いものを使うことだとわかりました。これは、お酒でも、度数の強いものを、長い期間、高頻度に飲む人が依存症になるのと同じですね。

でも、後遺症の精神病は、逆にTHCの濃度が低いものだけを使っている人が多くなっていて、精神病と大麻の総使用量との関連についてははっきりしないのです。

71例の研究から言えることは限られますが、少なくとも大麻をたくさん使ったから後遺症が出るわけではなさそうです。

大麻による精神障害の先行研究といえば、これまで日本には最大6例程度の症例報告しかなくて、その意味では、71例でも破格に多い研究です。しかし逆に言えば、このことは、それぐらい大麻の患者は少ないということを意味しています。

結局、大麻の健康影響について、みんなきちんとした研究や十分な臨床経験に基づいて言っているいるわけではありません。「みんなそう言うから」そう言っているだけで、専門家も含めてそれほどよくわかっていないのです。

規制ありきの大麻の取り締まりの歴史

海外でも、アメリカでも長い間、研究目的でも大麻を使うことは禁止されていました(州単位では合法化や許容するところが出てきた今でも、連邦政府としては禁止されたままです)。大麻については国際的にもわかっていないことが多いのです。

国際条約の規制対象薬として最初にあがったのはアヘンやモルヒネやヘロインのオピオイドです。コカインも入れた後に、厳罰化を狙ったアメリカが政治的な力で強引に大麻もねじ込んできたのが歴史的経緯です。

これも最近では、大麻をオピオイドやコカインと同列に捉えるのはいかがなものか、見直すべきではないか、として国際的な議論が始まっています。

なぜアメリカがそこまで大麻を規制しようとしたのでしょう。決して大麻の乱用が問題になり、健康被害が拡大したからではないのです。


George Rinhart / Getty Images
禁酒法の時代、密造ビールを摘発した当局によって樽からこぼされるビール
あくまでも噂レベルの話ですが、1933年までのアメリカで行われていた禁酒法が廃止となってしまい、それで不要となったアルコール捜査官たちの再雇用先を確保するためだったのではないか、などともいわれています。もちろん、真偽のほどは不明です。

ただ、大麻使用による直接的な影響が何らかの健康被害をもたらしていた、という実態はありませんでした。

当時、大麻を使っていたのは移民の人たちでした。プエルト・リコやメキシコから来て、貧しくてたばこが買えなかった。たばこよりもはるかに安く、生まれ故郷で普通に使われていた大麻を使った。貧困が大麻使用の一番の理由だったのです。

その少数民族に対する嫌悪感や差別感情も手伝って、大麻を規制しようということになりました。でも、その数年後にNY市長が「大麻の健康被害はあるのか」との疑問から独自の研究班を作り、それほど問題ではないという報告書を出しました。

連邦政府は怒って報告書を否定し、研究目的でも大麻が使えないようにしました。それからオバマ政権あたりまで、長らく研究もできない状況でした。

大麻に関しては乱用実態もないまま規制され、日本は敗戦後にGHQの指導で大麻取締法を作ったという経緯です。

カナダは合法化 日本は米国の影響下で依然厳罰的に

米国はその後も大麻の規制を強めていきました。特に1970年代前半、ベトナム戦争でニクソン大統領の支持率が下がった時に、若者やヒッピーが反戦運動を展開し、連邦政府への反抗心を示すためにあえて大麻を使いました。

その反戦運動を抑えるために、ニクソンは大麻に対する厳罰を課していきます。当時のアメリカのネガティブキャンペーンはもの凄かったんです。大麻をやると、女性は淫乱になって、男は凶暴になるなどと、非現実的なまでに弊害が誇張されたネガティブ・キャンペーンが展開されました。

でも、2018年にカナダで娯楽目的の大麻が合法化された時に、10万人以上の若者たちが集まって大麻を吸ったのですが、少なくとも報道を見る限り、暴動は起きませんでしたね。もしも同じ状況で、大麻ではなくアルコールだったらどうだったでしょうか?


カナダで大麻の合法化を祝う人たち

そういう意味で、大麻に関して十分な知見がないまま、第2次世界大戦後、GHQの指導のもとで大麻取締法を制定し、それを無批判に維持しているのが今日の日本であるという見方も、あながち間違いとはいえません。

ーー厚生労働省は大麻がもっと強い薬物のゲートウェイドラッグ(入り口)になるとキャンペーンをやっています。

ゲートウェイになっているのは、違法化しているからでもあります。反社会勢力と接触しないと買えないものにしているからです。

カナダ政府がなぜ大麻を合法化し、娯楽的使用を認めたかといえば、大麻の研究で、「10代のうちからやるのは、依存症や精神障害の発症リスクが高くなるかもしれない」という点だけ比較的はっきりしているからです。

10代の子が密売から買ってしまうぐらいなら、国が管理して売ろうとしたのです。合法にすることによって、ゲートウェイドラッグにしないという科学的根拠に基づいた取り組みです。

誤解しないでほしいのですが、私は決して「日本でも大麻を解禁すべきだ」などと言いたいのではありません。それどころか、今、それをやればいろんな混乱が起きるのは間違いない。

ただ、大麻使用者をあたかも凶悪犯罪者のように非難し、集中的な治療を受けないと激しい禁断症状に襲われる、といった情報が、ワイドショーなどで喧伝されるのはおかしいのではないか、と思うのです。

すでに言いましたように、僕の外来には、大麻で逮捕されて法廷戦略で受診する人を診ているといつも不思議に思うのです。彼らの多くはミュージシャンなど、比較的自由な職業の人たちですが、大麻を30年ぐらい毎日、たばこ感覚で吸っていたけれどもどこも何ともない。

もちろん、様々な医学的検査もしますが、率直に言って、内臓障害の程度にせよ、脳萎縮の程度にせよ、長年、習慣的にアルコールを飲んできた人よりもはるかにましなのです。

「大麻は酒やタバコよりも安全だ」という主張が必ずしも正しいとは思いませんが、だからといって、「それは絶対間違っている」と強く反駁できるようなエビデンスもまったくないわけです。そういったことを理解した上で、メディアはこの問題を取り上げるべきだと思います。

少数派の愛する薬物は違法とされ、多数派は合法に

薬物使用によって医学的もしくは社会的な問題を呈している人に対しては、刑罰ではなく、治療を提供すべきです。でも同時に、「治療が不要な人」も数多存在します。

それは、ニコチンやアルコール、あるいはカフェインのヘビーユーザー全員に必ずしも治療が必要ではないのと一緒です。


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アルコールで酔いつぶれる害の大きさが指摘されるが、違法ではないため放置されている
もちろん人に煙などで迷惑をかけてはいけません。

でも基本的に個人の趣味嗜好の問題であって、少なくとも本人がこれまで頑張って築いた実績を全部剥奪され、社会から総スカンを食らうほど悪いことなのかどうか、今回をきっかけとして考えていただけないかと思うのです。

ーーアルコールやたばこは健康被害は大きいのに規制されていないですね。依存性はどうですか?

全国の病院調査でも大麻の依存症に該当する人は確かにいますが、他の薬物に比べると少ない。

もちろん、それでも、アルコールやニコチン、カフェインと同じ嗜好品ですから、度を超した使い方をすれば依存するのは当然です。そうした危険を踏まえて、成人があくまでも自身の嗜好として個人の責任で使用する。それに対して、国がいちいち介入すべきなのかについては、この機会に再考してほしいです。

ーー酒飲みの私も耳に痛いです。

たとえば、ニコチンを考えてみましょう。高度成長期の日本は男性の喫煙率は8割を超えていて、そうした人々がある時期の日本の経済的成長を支えてきたともいえます。

あるいは、深夜の残業を乗り切るために濃厚なコーヒーをがぶ飲みするサラリーマンや、仕事帰りにカレーショップで激辛カレーを頬張るキャリアウーマン。アルコールもニコチンもカフェインも、それからカプサイシンも、所詮は嗜好品です。

嗜好品が体に100%いいわけがない。でも、少しだけ健康によくないことをすることで頑張れている人がいる、というのも事実ではないでしょうか?

「ドラッグとの戦い」と言いますが、人類が薬物と戦っているというよりは、様々な薬物同士が戦っている印象です。

そして少数民族の愛する薬物は違法薬物とされて、メインストリームの民族が愛する薬物は合法とされている気がします。

例えば、ペルーではコカの葉を昔から吸っていますし、大麻も南米やアフリカの一部の地域では昔から使われている。北米のネイティブ・アメリカンの間では、かつて成人式の際に、新成人は年長者からペヨーテ(幻覚サボテン)の正しい使い方を指南される風習があったと言われています。

それから、レゲエミュージシャンに多いラスタファリズムにおいては、酒とタバコが毒物として禁止されている一方で、大麻は「神の草」「健康にいい」として推奨されている。アルコールをタブーとするイスラム圏では、サウジアラビアのようにアルコールを違法とする国もあります。

現時点ではキリスト教を中心とした白人文化が世界的にメインストリームです。ワインはキリスト教ではイエスの血ですから、アルコールは広く受容されている。薬物の問題は、もう少し歴史的な経緯などを広い視野で見たほうがいいです。

ーー薬物の問題を抱える人は、生い立ちなど何らかの理由でありのままの自分を認められない人が多いと指摘されています。その心の穴を埋める「心の酔い」が必要な人もいると。これは全ての人に当てはまりませんか?

そう思います。僕は自粛警察のように依存的な行動をしている人を警告して回ろうとなんて思っていません。

周りを見ても、依存している人こそが優れた仕事をしていることもある。人は少し無理をする時に、何か別の体に悪いことをしながら、苦しい一時を突破して文化や文明を作ってきたと思うのです。

全ての依存性物質がこの世からなくなればいいとは思っていません。

ただ、それによって自分らしさが破綻してしまったり、深刻な健康被害が出てしまったりする人は助けなければいけないし、少しでも害の少ない使い方を警鐘しなければいけない。それが医療職の役割なのだと思います。

もし、伊勢谷さんがいろんな問題があっても使わざるを得なかったとするならば支援が必要だと思うし、もしもそうだとすれば、薬物とは別に何らかの生きづらさを引き起こす問題があるのかもしれません。

でも、その一方で、単なる「愛好家」だったという可能性もあります。

行き過ぎた予防啓発は排除を生む

コロナ禍でいろんなことを考えているのですが、人類の歴史は感染症との戦いの歴史でもあり、薬物との戦いや共存の歴史でもあると思います。

薬物と感染症で共通していることが2点あります。

1点めは、行き過ぎた予防啓発は差別や偏見の温床となるということです。予防啓発が行き届けば行き届くほど、少数の当事者になってしまった人たちは、偏見の目に晒されるし、自己責任と責められ、謝罪する立場に追い込まれます。

コロナでも感染症の少ない地方に限って、感染した人たちは追い込まれましたね。

薬物規制が表向き成功している日本では、薬物をやる人は差別の対象になります。「ダメ。ゼッタイ。」と言う。乱用防止と回復支援は別だと言われますが、それは違います。

自殺対策も、「自殺予防基本法」ではなく「自殺対策基本法」となったのはなぜかと言えば、「自殺予防」というとご遺族が自責の念にとらわれて苦しくなるからです。予防に失敗した者とされる。だから、「予防」という言葉を廃して、あえて自殺対策と言っています。

だから予防啓発に関しては、当事者や周りの人たちが孤立しないような配慮をするべきだというのがまず1点です。

薬物も感染症も「敵対的な政策」ではなく「友好的な政策」を

もう1点は、敵対的な政策、つまり「撲滅」とか「せん滅」とか「駆除」とか「駆逐」とか、問題あるものがない世界を目指そうとする内容の政策はともすればことを複雑化するということです。

感染症も、天然痘を撲滅した時に人類と感染症との戦いは終わったと思ったのに、その後もHIVをはじめとするいろんな感染症が出てきて、今もコロナで我々は苦しんでいます。

ペニシリンが発見されて、その後も様々な抗生物質が出てきて、人類が感染症を克服したと思ったのに、今や耐性菌に苦しんでいます。

薬物もそうです。アヘンを禁止したら、モルヒネを使うようになり、モルヒネを禁止したらもっと濃厚なヘロインを使うようになった。脱法ハーブなどの危険ドラッグもそう。規制を厳しくしたら、どんどん中身がやばくなって、社会が危険にさらされる状況に陥った。

だから我々は感染症でも薬物でも、「敵対的な政策」よりも「友好的な政策」が必要なんです。感染症も薬物も「ある程度あるのは仕方ないよね」と受け入れる。これは半ば冗談で言うのですが、「ウィズコロナ」にならって、「ウィズドラッグ」という考え方があってもいいくらいです。

先日、BuzzFeedでも記事に書いていましたが、国連のキャンペーンである「国際薬物乱用・不正取引防止デー」を厚労省が「国際麻薬乱用撲滅デー」と言い換えているのはなぜでしょう。


厚生労働省
厚労省の作った薬物啓発ポスター。「ダメ。ゼッタイ。」と大きく書き、右下に国連のキャンペーン「国際薬物乱用・不正取引防止デー」を言い換えた「国際麻薬乱用撲滅デー」という言葉を使っている
国連のメッセージは元々、「Yes To Life, No To Drugs(人生にイエスと言い、薬物にはノーと言おう」だったにも関わらず、厚労省は前半をカットし、後半部分を抜き出して「ダメ。ゼッタイ。」としています。

そういう風に啓発した結果が、世間の薬物に対する厳しい態度につながっていると思うのです。

1980年代、90年代でもワイドショーでは芸能人の薬物問題を取り上げていましたが、あの頃捕まった人たちはその後も普通に大河ドラマに出て活躍しています。

この世の中を作ったのは、ここ20年の政策だと思います。その政策の掛け声で、国民もメディアもこの排除の感覚を内面化していきました。

犯罪化、スティグマ化で利益を得る人たち 本来の目的に帰れ

ーーバッシングや社会的な排除は、薬物の問題を抱えている人にとっては逆効果なのですよね。

逆効果ですし、戻る場所がなくなるということは回復を妨げます。逮捕された芸能人の回復を願うなら、今の報道の仕方、バッシングの仕方はマイナスでしかありません。

ーー松本先生たちが作った「薬物報道ガイドライン」は、「逮捕された著名人が薬物依存に陥った理由を憶測し、転落や堕落の結果薬物を使用したという取り上げ方をしないこと」「『がっかりした』『反省してほしい』といった街録・関係者談話などを使わないこと」など具体的な提言を行なっていますが、反する報道が繰り返されています。届いていないのでしょうか?

今回も、伊勢谷さんの近所の人たちにインタビュー撮りしていますよね。住んでいる場所が特定されかねないような報道をしています。

自殺報道もそうですが、大きなニュースだということなんでしょうね。メディアとして、国民の知る権利や好奇心に答えるという大義名分があると思っている。

ーー薬物の問題をなくしていくために、というよりは視聴率を稼ぐという姿勢が透けて見えます。

「視聴率依存症」ですよね。民放もスポンサーが減っていって、視聴率至上主義にますます傾いています。自分たちの死活問題なのだと思います。

捜査側の方も、僕らが「ダメ。ゼッタイ。」に反対することによってますますムキになっている印象もあります。

やはり犯罪化すること、スティグマ化を強めることによって既得権益を得ている人がいるのは事実だと思います。残念ながら。

なぜ薬物が法律で規制されているのかのそもそもの立脚点、「麻薬に関する単一条約」の前文を我々はもう1度確認する必要があると思います。刑罰やバッシングによる不利益が、薬物が与える不利益を超えることはあってはならないと思います。

ーーヨーロッパでは個人の使用は罰せずに、健康被害を軽減する「ハームリダクション」の方向に動いています。日本でもそれを考えるべきですか?

法律によって禁じたりバッシングしたりすると、問題を抱えている当事者や周辺の人たちを支援や治療から遠ざけてしまいます。それによって孤立が生じます。それが一番深刻な害だと思うのです。

ーーメディアに求めることは何ですか?

薬物報道ガイドラインをこの機会に見直してほしいです。薬物の報道をする時には真剣に悩んでいる人、薬物の問題で深刻に悩んでいるご本人やその周囲の方達がいるんだということ、その人たちもテレビを見ているんだということを忘れないでほしいと思います。

人は体に悪いことをしながら、なんとか頑張って生き延びていると話す松本さん

【松本俊彦(まつもと・としひこ)】国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部長、薬物依存症センター センター長

1993年、佐賀医科大学卒業。2004年に国立精神・神経センター(現国立精神・神経医療研究センター)精神保健研究所司法精神医学研究部室長に就任。以後、自殺予防総合対策センター副センター長などを経て、2015年より現職。日本アルコール・アディクション医学会理事、日本精神救急学会理事、日本社会精神医学会理事。

『薬物依存とアディクション精神医学』(金剛出版)、『自傷・自殺する子どもたち』(合同出版)『アルコールとうつ・自殺』(岩波書店)、『自分を傷つけずにはいられない』(講談社)、『よくわかるSMARPP——あなたにもできる薬物依存者支援』(金剛出版)、『薬物依存症』(ちくま新書)など著書多数。

 


石破派パーティーで二階氏発言一変「任務あるとすれば」

2020年09月18日 02時17分02秒 | 事件・事故

9/17(木) 20:40配信

朝日新聞デジタル

石破派のパーティーで講演する二階俊博幹事長=2020年9月17日午後、東京・紀尾井町、松山尚幹撮影

 自民党の石破茂元幹事長が率いる石破派(19人)が17日、東京都内のホテルで政治資金パーティーを開き、二階俊博幹事長が講演した。元々、石破氏は総裁選での連携を期待して講師を依頼していたが、結局二階氏は菅義偉首相を支援。二階氏は講演で石破氏を持ち上げつつも、発言のトーンはやや後退させた。

二階氏は講演で、石破氏の総裁選での演説を紹介し、「政治家の原点を我々に思いださせてくれた」と称賛。「新しい時代を担っていく重要な任務が石破先生に課せられているとすれば、お集まりの皆さんが力強くご支援をくださるようお願いします」と語った。

 石破氏が二階氏に講師を依頼したのは6月で、二階氏は依頼があった日の記者会見で石破氏を「期待の星の一人だ」と持ちあげていた。

朝日新聞社

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「『産後うつ』は『甘え』です」は危険な嘘 産婦人科医「心に余裕をもって育てられるようサポートを」

2020年09月18日 02時08分03秒 | 医科・歯科・介護

9/17(木) 18:03配信

BuzzFeed Japan

Twitterより

「『産後うつ』は『甘え』です」。国政選挙に政党の公認を受けて立候補した経験のある人物が、そんな間違った内容のツイートをして、批判を浴びている。産後うつは産婦の10人に一人が苦しむ珍しくない病気で、適切な治療や支援が必要だ。「怒鳴りつけて躾け」は根拠がないどころか、病状を悪化させる恐れもある。産婦人科医の宋美玄さんは、「産後うつに限らず、心身が参っている親を叱って追い詰めるのは、子どものためにもなりません。心に余裕をもって育児できるようにサポートすることが必要です」と呼びかけている。【BuzzFeed Japan Medical/岩永直子】

産後うつとは? 産後のサポート不足も要因に

厚生労働省「健やか親子21」最終評価参考資料集

厚生労働省の母子保健計画「健やか親子21」の資料によると、産後うつ疑いは産婦の10%程度に見られる。日本産婦人科医会の「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」でも産後10~15%程度が発症するとされている。

厚労省によると妊産婦のうつでは、心身やホルモンバランスの変化や慣れない育児から「自分は母親失格だ」と自分を責める気持ちが起こり、睡眠も取れなくなり、食欲まで落ちる場合がある。

自分を責める気持ちが強くなると「母親失格の自分など、この世にいても仕方ない」などという自殺したいという気持ちが強まることさえある。

「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル」が世界中の研究を調べてまとめた産後うつの特徴はこうだ。

精神疾患を病んだ経験や、妊娠中のうつ症状や不安、社会的なサポートの不足で発症しやすくなる
産後数か月以内に発症し、産後4週以内が特に多い。
イギリスの妊産婦死亡の調査で死因のトップが自殺であり、自殺の原因にうつ病の占める割合が多い
日本でも妊産婦死亡に占める自殺の割合は多い
母子心中や赤ちゃん殺しの背景には産後うつ病が関連する事例がある
産後うつ病は、母子関係や長期的な子どもの情緒とその発達にも影響する
母親のうつ病は父親のうつ病にも関連し、周産期における父親のうつ病発症も増加する

つまり、妊娠中の不安や母親へのサポート不足が産後うつの原因で、悪化すれば母親の自殺や親子心中、虐待の原因にもなる。子どもの発達や父親のうつ発症にも影響する。

厚生労働省はこうした深刻な問題につながる産後うつ病を早目に発見し、支援や治療に結びつけようと、保健師が生後4ヶ月までの乳児がいる全家庭を訪問する事業「こんにちは赤ちゃん」を行なっている。

国が税金をかけて支援に乗り出すれっきとした病気なのだ。

産婦人科医・宋美玄さん「精神論や根性でよくなるはずがありません」

だが、「産後うつ」はまだ理解が十分行き届いておらず、前出のツイートのように「母親の怠慢だ」と誤った認識を広げる人までいる。

これについて、BuzzFeed Japan Medicalは産婦人科医の宋美玄さんにお話を伺った。

ーー産後うつは甘えだという心ないつぶやきが話題となっています。産婦人科医として、この言葉をどう考えますか?

もちろん甘えではありません。産後うつで自殺する人もいますし、不眠や抑うつ状態になる人もいます。軽いものから重いものまで色々な病態があります。一番大変なのはもちろん自殺や自殺企図(自殺を図ろうとすること)でしょう。

甘えや、地球上に存在しないという考え方は明らかに間違っています。うつ状態やマタニティーブルーという状態ではなく、明らかに治療やケアが必要な病気です。

ーー怒鳴りつけて躾ける、というのはどうですか?

めちゃくちゃですよね。かえって症状は悪化しますよ。基本的に、産後うつ病は真面目な人がなりやすく、もともとの性格的な素因も影響します。

また、産後に育児が思うように行かなかったり、孤立していたり、早産や子どもに病気があるなど育てにくい要因があったり、パートナーのサポートがなかったりという環境要因も影響します。

真面目にやっても思うようにいかない状況に置かれた時になりやすいものです。

逆に、産後のサポートがしっかりしていて、子どももよく寝て、母乳も順調に出て、よく眠れるという人はなりにくい。

つまり、もともとすごく頑張っていっぱいいっぱいになっている人がなるので、精神論や根性、躾けるという考えでうまくいくはずはありません。

何よりも今回のツイートがおかしいのは、親を叱ることは子供のためにはならないからです。親を助けるのは、子供への支援なんです。親に「失格だ」とか「甘えだ」というのは、親を追い詰めていくだけで、子どものためには全くならない。

心に余裕を持って育児ができるようにすることを考えなければいけません。「産後うつ」という診断が付いているかどうかは別として、「甘えだ」と悪化させるようなことを言って赤ちゃんに不利益があったら、あなたは責任が取れるのかと問いたいです。

「それは甘えじゃないか」と思ってしまう人もゼロではありませんが、そのジャッジを本人を全く知らない他人がなぜする必要があるのでしょうか?

なぜ母親を責める言説が出回るのか?

ーージャッジして責めることが状況を改善しないですよね。

基本的に、お母さんのパーソナリティや精神状態をよそからジャッジするのではなく、その親のもとにいる子どもがどうしたらハッピーに育てられていくかを考えなければいけないわけです。「甘え」と責めることに何も利益もありません。

最近、男性育休などの必要性がようやく叫ばれてきましたね。そういう時は、揺り戻しで「最近の女性は甘えている」という言説が絶対出るものなんですね。

ーーこういう言説を支持する層も頭に浮かびます。

数年前に少子化対策で国会議員にヒアリングを受けた時に、若手議員も「男性育休はどうでしょう」と提案したら、「男が育児とかは悪いけど勘弁しててほしい」と言いましたからね。

しばらく後に小泉進次郎氏が育休を取ったら、その議員は前から支持していたように言ったのには驚きました。若手でも考えは変わらないです。

やはり、仕事で活躍することはパイの奪い合いと思っている人は多い。「女性活躍」と打ち出しながらも、自分が活躍するために、女性に育児の責任を負わせておきたい人はまだまだたくさんいます。

そういう層には受ける言説だと思います。母親に全責任を負わせ、産後うつという病態があることも全て幻想であることにしておいて、自己責任の問題にする。育児に女性を縛り付けておく。

ただ、このツイートぐらいおかしな言説になると逆効果でしょうね。これに賛同することは、ミソジニー(女性嫌悪)で前時代的な偏った人であることを明らかにするようなものです。

本来はどういう支援をすべきなのか?

ーー産後うつの傾向がみられたら、精神科などで治療するものなのでしょうか?

基本的には、精神科か心療内科と一緒に診ます。最悪は自殺企図なので、それを専門的に診てくれる診療科の力が必要です。ただ、精神科のドクターでも産後に明るくない人もいるので、理解と専門性がある人に繋ぐようにしますね。

あとは、服薬も必要なことはあるのですが、休息させたり、子どもと二人だけの時間を減らしたり、子どもから離れた時間を作る。

睡眠がちゃんと取れているかどうかを聞き取り、母乳育児がうまくいっていなければ、必要に応じた支援をしていく。

薬で気分がよくなることもあるのですが、環境が激変して、タスクが増えていることが問題なので、投薬だけでは回復は難しいです。

自殺企図のリスクがある時は一人にしない。あとは、個別の事情に応じた対応が必要です。赤ちゃんの病気などが心配な時はソーシャルワーカーや小児科などの出番になってくるし、個別の事情を掘り下げていく必要があります。

個人の体験を一般化するな

ーー今回、「私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました」と書いているように、育児の問題は、個人の成功体験を一般化して押し付けるアドバイスが多いことに気づきます。

それの最たるものが、橋本聖子議員が産後1週間での復帰でしょう。「あなたはすごいですね」と思いますし、「それはあなたの自由」だとは思います。

逆に歌手の浜崎あゆみさんは、早めに復帰したら「もっと休め」と言われましたね。

ーー浜崎さんはこれが全ての女性に当てはまることと誤解されないようにすぐにコメントを出しましたね。

《女性が産後すぐに動けるという事の証明では決してありません。肉体的にも精神的にも難しい産褥期を身をもって実感している今、誰よりも側で支えてくれる家族と友人達に感謝の気持ちと共に、日本中の妊婦さん達、お母さん達が休まる時間を十分に持てますようにと心から願っています。(浜崎あゆみさんInstagramより)》

どれぐらいで復帰すべきか、しないかその人の置かれている状況もわからない人間が言うのはお節介です。フィギュアスケーターの荒川静香さんが産後すぐにリンクに復帰すると「すごい」と言われるのに、人によっては言われ方が違う。

休めというのも違うし、休み過ぎるというのも違う。もちろん産後、最低限の期間、体を休めることは大事ですが、人の育児に口を出すなと言いたいですね。

あなたが疲れなかったとしても、他の人はそうでないかもしれないのは当たり前のことです。

他の事柄だったら、「私はこれで東大に受かった」という方法があるとして、他の人がそれで受からないのはおかしいとは言いませんよね。

でも、育児だと「私はできた」と全国100万人のお母さんに個人の体験を元にアドバイスしてしまう。残念なことです。もっと家族や身近な人に評価される機会があれば変わるかもしれません

出産や育児や妊娠は、すごくパワーを取られるのですね。「すごいね」と言ってもらいたくなる人が多い。今回のツイートをした人も「3ヶ月で復帰してあなたはすごいね」と言われたいのかもしれません。承認欲求の裏返しなのかもしれませんね。

でもそれはあなた個人の問題です。人に押し付けることではありません。

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菅首相が掲げる「不妊治療の保険適用」 専門家が見る課題は?

2020年09月18日 01時57分19秒 | 医科・歯科・介護

9/17(木) 17:10配信

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菅首相は所見表明演説で2年を目途に不妊治療の保険適用実現を明言

菅義偉首相が掲げた不妊治療の保険適用制度。実現に向け好意的な解釈が広がる一方で、現場からは慎重な声も出ている。保険適用が実現した際のメリット、デメリットは何なのか。4月に不妊治療の延期を求める声明を出した日本生殖医学会の委員でもある、杉山産婦人科の杉山力一理事長に聞いた。

 新首相となった菅氏は8日の所見表明演説会で、不妊治療への保険適用を実現する方針を示した。日本の少子化対策について触れた菅首相は、その一環として不妊治療への保険適用の考えを表明。その後、実現には早くて2年程度かかるという見方を示したうえで、実現までの間は、助成制度の拡充などで治療を支援したいという考えを示した。

 体外受精や顕微授精に代表される不妊治療は、さまざまな理由で自然妊娠できなかったカップルにとって、最後の砦とされる治療法だ。しかし、現在の制度では、1回数十万円など高額な費用がかかり、子どもを望む人にとって金銭的、精神的にも大きな負担となっている。数百万円を投じても妊娠できなかったケースもあり、晩婚化で高齢出産が進む日本では、少子化にもつながる大きな課題の1つとなっている。

保険が適用されることで逆に技術力の低下を招く可能性を危惧
 今回発表された保険適用の方針について、杉山理事長は「首相とも話していますが、保険適用となると今の日本の制度では混合治療ができない。逆に技術力の低下を招く可能性があります」と指摘する。

 不妊治療ではこれまで、自費だからこそ最先端の治療法を含む様々な選択肢の中から患者が治療法を選択することができた。それが保険適用となれば制度的に複数の選択肢から患者が適切な治療法を選択する混合治療が受けられなくなり、高額な治療費を払ってでも子どもが欲しい世帯が、高度な治療を受けられなくなる可能性があるという。現場の医師にとっては高度な治療を施す機会が減り、また高額な医療機器を導入することもなくなり、ひいては不妊治療の技術力低下にもつながるというわけだ。

 とはいえ、菅首相が実現まで2年程度の猶予を設けたことで「法制度の整備からいろいろと検討していくことには歓迎です。不妊治療は患者さんによってケースが大きく異なる。総理は体外治療にも保険を適用するとは言ってませんし、さまざまな選択肢を残しつつ、多くの人が適切な治療を受けられるようになれば」と要望を口にする。

 ひっ迫する医療費の負担についても課題はある。「保険は自分たちで納めているもの。それを子どもができない家庭のためだけに使うことには抵抗もあるでしょう。保険料に手をつけるのではなく、コロナ対策の10兆円のように、他の予算から捻出することはできないのか」。35歳以降から妊娠成功率が下がるとの試算もあるが、適用の条件に付いては「やはり現行の43歳までというのは医学的に根拠がある年齢。そこは変えずに、730万円という世帯年収には制限をかけないというのが現実的なところだと思います」と話す。

新型コロナで出生数は過去最低を更新、少子化対策への効果は未知数
 では、菅首相が目標に掲げる少子化対策にはどの程度の効果があるのか。杉山理事長は「現在全国で不妊治療をしている患者さんが約10万人。目先の数字で2~3万人程度は(新生児が)増えるでしょうが、そこが限界だと思います。少なくとも10万人以上増えることはない。我々には専門外ですが、やはり子どもを作らないという選択肢自体が増えてきている以上、保育や教育など、不妊治療以外の面での補助を充実させていく方がいいのではないでしょうか」と私見を語る。

 日本生殖医学会では4月、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不妊治療の延期を求める声明を発表。「どのクリニックも例年より2~3割受診が少ない。今年も出生数は過去最少を割るでしょう」と杉山理事長。一定の時間が経過することで妊娠を待っていた人が再び子を求める、いわゆる“揺り戻し”についても「震災のときのような一時的なものではなく、コロナという目に見える不安がある以上、それが解決しない限り今後どんどん人口が減っていくことは考えられます」とし、「果たして少子化対策にどのくらいの効果があるのか」と懐疑的な目を向ける。

 学会内でも「同じ金額を投じるなら、保険適用でなく補助金を増やした方が絶対にいいというのが大半の意見」だといい、「保険適用よりも最先端の医療が自由に受けられるようにした方がいい」と改めて政府へ要望した杉山理事長。新政権が掲げる柱の一つも、実現に向けては多くの課題をはらんでいる。

佐藤佑輔

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ペイペイなどの被害 SMS認証も突破 所有者不明携帯電話悪用か

2020年09月18日 01時54分02秒 | 事件・事故

9/17(木) 17:50配信

産経新聞

SMS認証を突破し不正出金させた手口のイメージ

 NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」やペイペイなどスマートフォン決済事業者を利用した不正な預金引き出しが見つかった問題で、一部でSMS(ショートメッセージサービス)を使った本人確認が突破され、被害が発生していることが17日、分かった。

ドコモ口座以外でも被害が確認された背景の一つとみられ、本人確認が十分でない携帯電話が使われた可能性がある。金融庁もSMS認証だけでは被害が抑止できないと判断、同日までに決済事業者に本人確認を強化するよう注意を呼びかけた。

一連の問題をめぐっては、ドコモ口座を開設する際、メールだけで口座が開設できるなど本人確認が不十分で、なりすましが容易だったことが一因とされた。ただ、その後、件数は少ないもののペイペイやメルペイなどドコモ以外のスマホ決済事業者でも同種事案が相次いで確認された。多くのケースで共通するのがSMSを使って本人確認をしていた点だという。

 SMS認証はパスワードが書かれたショートメールを携帯電話に送り、入力を求める本人確認手段。関係者によると具体的な手口は不明だが、何らかの形で入手した、本人確認が不十分な携帯電話を用いたようだ。

まず、不正に入手した銀行口座情報を基に口座の持ち主になりすまし、本人確認が不十分な携帯電話を用いて決済事業者の口座を開設。銀行口座にあった預金の送金先として、使用した可能性があるという。

 携帯電話が犯罪に使われることを抑止するため、平成18年4月に施行された「携帯電話不正利用防止法」で、携帯電話事業者は契約時に本人確認を行うことが義務付けられている。

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