変化し続ける・それは、あらゆるものと関係を結ぶ・それは永遠に続く
西洋が考える永遠とは、変化しない不滅なもの。
これに対し宮島は、変化し続けることで成り立つ東洋的な永遠というもののあり方を示した。
宮島 達男(みやじま たつお、1957年1月16日 - )は、東京都江戸川区出身、日本の現代美術家
美術家を志望したのは佐伯祐三、青木繁の自然体で自由な生き方に憧れたことが発端で、東京都立小岩高等学校を経て1984年(昭和59年)に東京藝術大学美術学部油画科を卒業(学士)、1986年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修了(修士)。
大学在学中には油絵を学んでいたが、油絵では自分の言いたいことを表現できないもどかしさがあると感じ、現在においても作品制作のテーマとなっている「それは変化し続ける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」の3つのコンセプトを形にする手段を模索していたところ、偶然LEDと出会う。
1987年(昭和62年)には初めてLEDの作品を発表し、1990年(平成2年)にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招きによりニューヨークに転居。同年、ドイツ文化省芸術家留学基金留学生としてベルリンに転居し、翌1991年(平成3年)まで居住。
1992年(平成4年)の帰国後は茨城県守谷市に転居、以降は1993年(平成5年)にカルティエ現代美術財団アーティスト・イン・レジデンスプログラムによりパリに滞在した。
2006年(平成18年)に東北芸術工科大学副学長に就任。
2014年(平成26年)に京都造形芸術大学副学長も兼任。2016年両校を退職。現在は両校の客員教授。
宮島は「それは変化し続ける」「それはあらゆるものと関係を結ぶ」「それは永遠に続く」というコンセプトに基づき、1980年代半ばからLEDを用いて1から9までの数字が変化するデジタルカウンターを使ったインスタレーションや立体作品を中心に制作を行っています。
0(ゼロ)は表示されずLEDは暗転しますが、これは死を意味し、生と死が繰り返されることが表現されています。
時間という普遍的な概念を扱いつつも仏教的思想やテクノロジーという要素を融合させ、国際的評価を得ています。一方で、広島や長崎の悲劇を主題にしたプロジェクトも手掛け、2017年からは、東日本大震災犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承を願い、最終的に3,000個のLEDカウンターを東北地方に恒久設置することを目指す「時の海―東北」を継続的に制作するなど、社会的な参加型プロジェクトにも力を入れています。
宮島は1988年第43回ベネチア・ビエンナーレの若手作家部門「アペルト88」で《Sea of Time》(1988年)を展示し国際的な注目を集め、その後、香川県直島の「家プロジェクト」で《Sea of Time ’98》(1998年)を発表しましたが、「時の海―東北」はこれを発展させたものです。
本展では、この「時の海―東北」で現在までに制作されたデジタルカウンターをすべて集めた最新作が、一般参加者がカウンターの速度を設定する様子などが収められた記録映像とともに公開されます。また、理論上30万年以上の時を刻むことができる《30万年の時計》(1987年)と、一元論・二元論という名がつけられた《Monism/Dualism》(1989年)という、宮島の海外デビュー前後の作品も展示されます。
宮島達男アーカイブ
アーカイブ展示のセクションでは、主要な展覧会歴、カタログ、展示風景写真、展覧会評などの資料を展示し、アーティストが世界でどのように評価されてきたかを解き明かします。 会場には年表を掲示していますが、カタログバージョンを特別にPDFで公開します。
年表PDFはこちらよりダウンロードできます。(PDF/376KB)