織田無道さんが9日死去 がん闘病中 13日に通夜

2020年12月11日 12時43分22秒 | 社会・文化・政治・経済

12/11(金) 11:09配信

日刊スポーツ

霊能力者やタレントとして、90年代に多数のテレビ番組などで活躍した織田無道さんが、今月9日に亡くなっていたことが11日、分かった。68歳だった。ここ数年はがんで闘病中だった。13日に近親者のみで通夜を行う。

織田さんが住職を務めていた神奈川・円光寺は、日刊スポーツの取材に「既に一般人なので、コメントは差し控えさせていただきます」とした上で、織田さんが9日に亡くなったことを認め、「通夜は近親者のみで行います。コロナなので、(報道関係などの)皆さまにはご遠慮いただいております」と説明した。
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ガンで余命1年宣告…織田無道「地獄の苦しみを超えて見えたもの」
2020年05月27日
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全身25ヵ所にガンが転移しているという織田氏。現在は日に何度か外出できるほどに回復している
「今年の1月~4月は地獄でした。激しい目まいと強烈な吐き気で、起き上がることもできない。ずっと寝たきりです。2月には心臓が止まったこともあります。意識がフワッ~とし、気づいたら病院で人工呼吸器をつけていた。幸い一命をとりとめましたが、死を明確に意識しました」

こう語るのは、90年代に毎日のようにバラエティ番組に出演していた僧侶の織田無道氏(67)だ。

織田氏は現在、末期ガンと闘っている。大腸、直腸、肝臓、肺、胃など全身25ヵ所に転移。激しい痛みに悩まされることもあると言うが、往年の張りのある声と鋭い眼光は失っていない。怪僧・織田氏がガンとの壮絶な闘病を明かすーー。

「最初に異変に気づいたのは、2年前の3月です。右ヒザが痛むので、かかりつけの病院に行きました。血液まで取り診断しましたが『何ともない』とのこと。ただ、しばらくしても痛みは治りません。そこで6月に大学病院でレントゲンを撮りセカンドオピニオンを受けたら、医者が神妙な顔でこう話すんです。

『ガンが全身に広がっています。余命1年です』と。

ステージはⅣ……。頭が真っ白になりました。私は肉も女性も酒も好む坊主として、精力的に生きてきました。まさか自分がと……」

織田氏は、別のいくつかの病院でも診察を受ける。だが、結果は同じだった。

「どこの医者からも、言われることは一緒でした。『ストレートに言います。手術や抗ガン剤治療をしても手遅れです。持って1年半でしょう』と。レントゲン写真を見ると、肺などガン細胞で真っ白。医者もお手上げ状態だったんです」

医学による治癒を諦めた織田氏は、一時期、民間療法に頼った。漢方薬の調剤師、知人の僧侶、超能力者……。様々な“専門家”から意見を聞き、サプリメントやワクチンなど、あらゆる療法を試した。

「全部で3000万円ぐらいつぎ込んだかな。1本2万円の謎のドリンクを、毎日飲んだこともあります。服用した直後はなんとなく体調が良くなった気になりますが、大半はハッキリとした効用なんてありません。ほとんどが詐欺のようなものだった…と私は思っています。藁にもすがる思いのガン患者を、カネ儲けの手段にしている悪い人たちもいるんです。

私自身もいけなかった。いろいろな人のアドバイスを聞いて、自分を見失ってしまったんです。ある専門家は『肉を食ったほうがいい』と話し、別の人間は『肉などもっての他』と言う。周囲の意見に振り回されていました」

夢に親が現れ死を実感


夫人や子どもたちのサポートも織田氏にとっては心の支え。インタビュー中もガンを意識したびたびファイティングポーズをとった
ガン告知前は100kgほどあった体重は、70kg以下にまで落ちてしまう。体調は一進一退だったが、「ガンに負けてたまるか」という気力は徐々に失せていった。

「ある人の勧めで、身体にイイからと蕎麦ばかり食べていたんですが、するとどんどん体重が落ちてしまってね。そこで好物のメンチカツを食べたら、下痢になってしまった。専門家からは『ガンのせいだ』と言われましたが、冷静に考えると当然のことです。久しぶりに脂分の多いモノを食べ、身体がビックリしただけのことでしょう」

しだいに寝たきり生活となる。病床でも奇妙な夢を見るようになった。

「亡くなったオヤジやオフクロが、夢に出てくるようになったんです。死を実感するようになりました。『親が招いている。あぁ、オレもいよいよかな』と。同時にこうも思った。『このままガンに負けてしまうのか。悔しいなぁ。最後は僧侶として自分の生き様が正しかったのか、試してから死にたい』、と」

民間療法に効果ナシと悟った織田氏は、原点に帰る。漢方やサプリなど、周囲に勧められた療法を止めたのだ。治療法がないのであれば、後は生きるも死ぬも気持ち次第。とにかく前向きに物事をとらえようと、考え方を変えたという。

「不思議なモノですね。それまで『ガンにはかなわない』と後ろ向きだった気持ちが、自分の意志で戦おうと思うと、『絶対に勝ってやる』と積極的になっていったんです。私は格闘技をやっていた経験から感じるのですが、いくら技術や腕力があっても思考がマイナスだと絶対に勝てない。

以前実践していた滝行で精神を統一し、身体に良いと信じた温泉浴を再開すると、徐々に気力がみなぎってきました。これらの方法を人に勧めるつもりは毛頭ありません。ただ、とにかく過去に修行で続けてきたことが、私の気持ちを落ち着けるには一番いいんです。

気持ちを保つために、その人にとって一番いいことがあるはずで、それをやるのは、気持ちを前向きにするにはとても大事なことでしょう。『病は気から』とは、よく言ったモノです。気持ちが前向きになると、体調も少しずつ回復していきました」

織田氏は、新型コロナウイルスの影響で外出自粛傾向にある現状にも警鐘を鳴らす。

「私の気力が戻った要因の一つが外出です。毎日太陽の陽を浴び散歩をしています。寝たきりで家に引きこもっていた時期は、『ツラいツラい』と消極的なことしか考えられなかった。ずっと屋内にいると、気持ちがマイナスになりがちです。まだコロナへの警戒を解いてはいけませんが、少なくとも日に一度は外に出て新鮮な空気を吸うことは、生きるモチベーションを保つために大切だと思います」

「地獄から生還し、いまは恐いモノがない」と笑う織田氏。気力が戻り、目標が二つできたと話す。来年行われるフルマラソン大会に、10年ぶりに参加すること。そして大好きな焼肉を、腹一杯食うことだ。

 

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奈良の女子中学生行方不明“12月2日午後まではスマホ呼び出し音はなるも応答なし”

2020年12月11日 12時21分10秒 | 事件・事故

配信

12月1日に家を出たまま連絡が取れなくなっている奈良県奈良市の女子中学生について、警察は顔写真を公開し情報提供を呼び掛けています。  

警察によりますと奈良市に住む中学2年の馬場陽色さん(14)は12月1日、母親に「行ってきます」と言って、午前7時20分ごろに自宅を出たあと行方がわからなくなりました。  

馬場さんは普段、自宅から約500m離れたバス停から、バスに乗って登校していますが、12月1日はバスに乗車した記録がないということです。また、馬場さんが持っていたスマートフォンは12月2日の午後までは呼び出し音が鳴りましたが、応答はなく、12月3日の朝以降は電源が切れた状態になっているということです。

 (馬場さんの父親)  「本当にかわいかったし、とにかく今はまずは無事でいてほしい。」  警察は情報提供を呼び掛けています。 ※情報は【奈良西警察署】まで 電話(0742)49-0110

 


「逮捕は遺憾」死産の女性逮捕で

2020年12月11日 12時11分19秒 | 事件・事故


12/11(金) 12:00配信

東京で、自宅で死産した女性が死体遺棄の疑いで逮捕された事件について熊本市の慈恵病院の蓮田健院長が会見し、「逮捕は遺憾」とした。
この事件は今月6日東京都品川区のマンションで赤ちゃんを死産した女性が死体遺棄の疑いで逮捕されたもの。
女性は死産した16時間後に慈恵病院にメールで助けを求めていて、病院が警視庁に保護を求めたところ逮捕されたという。
慈恵病院の蓮田健院長は「このケースで逮捕は遺憾」としたうえで「孤立出産し、相談すれば逮捕されるという誤解を防ぎたい。妊婦には相談してほしいし、警察には配慮をお願いしたい」と訴えた。


社会で必要とされる「課題発見力」の磨き方とは

2020年12月11日 12時08分25秒 | 社会・文化・政治・経済

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キャリア・スキルアップ
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公開:2020年04月08日

あるべき姿、目指すべき姿と今の状況とのギャップは、「課題」と言い換えることができます。今回のテーマである「課題発見力」は、言葉としては余り馴染みがないかもしれませんが、仕事ができると言われるビジネスマンの多くが意識して、あるいは無意識的にあるべき姿と現状とのギャップを見つけ、そのギャップを埋めるためのアクションを常に考えています。
課題を見つける力は、普段の仕事において役立つことはもちろん、自身のキャリアアップを図る上でも「自分には何が足りず、何をすればよいのか」を明確にできる重要なスキルです。今回はそんな課題発見力について解説していきます。
そもそも課題発見力とは?

セルフマネジメントのひとつとしても考えられている課題発見力は、「未来を見据え、率先して理想と現実のギャップを見つける力、そしてそのギャップを埋めるための解決手段を探す力」を指します。
この課題発見力とよく混同されるのが「問題解決力」です。2つの大きな違いは、「既にトラブルが発生している状態か、発生していない状態か」です。つまり、
問題解決力:既に発生している何らかのトラブルを解決していく力
課題発見力:表面上はトラブルが発生していない中で、自分から課題を見つけ出していく力
と分類できます。
問題解決力と課題発見力の違いを知るため、簡単な例を出してご説明します。
例えば、ある営業職のアポイントメント取得ノルマが月間50件であったとします。問題解決力は、「毎月のノルマが50件に達していない事態にどう対応するべきか?」を考える能力です。一方の課題発見力は、「毎月のノルマは達成しているが、それをもっと増やすためには何ができるか?効率的にノルマを達成するには何を変えたら良いか?」を考える能力を指すという違いです。
セルフマネジメントのひとつとして問題解決力も身につけておきたいところですが、潜在的な課題を見出しそれに挑んでいく課題発見力は、競争力を求められるビジネスマンにとって必要不可欠となる能力です。高い課題発見力を身につけていれば、100を200に変えられるようなビジネスパーソンとなれます。そうすれば、思い描いた通りのキャリアプランを実現できる可能性は、自然と高まっていくでしょう。
課題発見力が問われる場面
どんな企業であっても、職場や業務には何らかの課題があるものです。しかし、日々の業務が回っている状態では、その「何らかの課題」が見えにくいことが多く、そのまま放置されてしまうことも少なくありません。その結果、課題が問題に発展してからようやく気づくこととなり、手遅れになる危険性も考えられるのです。
そのため、組織のマネジメントや現場での営業、経営ラインの意思決定など、あらゆる場面で誤った判断をしてしまわないためにも、企業に適切な課題発見力が備わった人材が必要と言えます。
例えば、新商品を開発した際「本当にユーザーが求めているものか」、「この商品に何か課題はないか」をあらかじめ精査し指摘できれば、実際に販売をしてから問題が発生することを防げるかもしれません。これは新商品開発に限らず、企業の方針や職場環境にも同じことが言えます。こうした場面でしっかりと課題を発見し、解決に向けて動いていければ、企業全体に好影響を及ぼせるでしょう。
課題発見力の3つの磨き方
課題発見力を身につけ、セルフマネジメント能力を高めていくための方法を知りたい方は多いはずです。そこでここでは、課題発見力の磨き方を3つご紹介していきます。
(1)現状に満足しない姿勢を身につける
一見仕事が順調に進んでいると、そこで満足してしまうこともあるでしょう。しかし、そこで満足せず、常に未来への次の一手を模索する姿勢こそが、課題発見力を磨くうえで大切です。自分自身や職場の現状をしっかり見つめ、今は問題にまで発展していないが「いずれ問題となりそうな部分」がないか、探っていく姿勢を常に意識しておきましょう。少しでも気になることがあれば、周りの方と話しをしてみるところから始めてみるのもいいかもしれません。
(2)ゼロベース思考を持つ
課題発見力の高い人は、常にゼロベース思考で物事を考える傾向にあります。ゼロベース思考とは、「常識・前提を疑う考え方」のことです。今までがそうだったからと機械的に業務をこなしていくのではなく、「これまでのやり方以外により効率のいい方法があるのではないか?」と、常に模索していく意識が課題発見力を育てていくのです。
例えば、「毎月の売上を今以上に増やしたい」という課題があったとしましょう。その場合に、「もし、今の顧客が全員契約を解除してしまった場合どうすればいいだろう」と、今あるアドバンテージをいったんゼロにして課題解決策を考えます。すると、「新規顧客に頼るだけでは売上を増やすのは難しい」「であれば、今まで断られた見込み顧客にもう一度アプローチしてはどうだろう」など、さまざまな対策を考え出すことができるのです。
このように、今ある前提を一度ゼロにすることで、現状を好転させる策を考え出すことが、課題発見力を高める方法の1つと言えます。
(3)「評論家タイプ」にはならない
何か問題が発生してから「自分は危ないと思っていた」と批評する評論家タイプは、職場でもたびたび見られます。しかし、企業で重宝されるのは、問題が発生した後で批評する人材ではなく、問題の因子となりそうな課題をあらかじめ指摘できる人材です。
何か課題が見つかった際、「この課題が後々大きな問題になるのではないか」とさまざまな可能性を考慮し、解決に向けた行動を取るようにすれば、課題発見力は磨かれていくでしょう。
まとめ
課題発見力は、現状に満足をせず、現状をより好転させるために何ができるか「未来への次の一手」を考える力です。商品開発や経営方針決定、職場環境改善などの様々な場面において必要とされる能力ですが、言われるがまま仕事をこなすだけでは磨かれることはありません。そのため、人によっては課題発見力を磨くために仕事との向き合い方・考え方を大きく変えなければいけない方もいるでしょう。
しかし、課題を見つけて解決してくれる従業員はどのような業種・職種であっても企業から重宝されるはずです。自身のキャリアアップのためにも、ぜひ課題発見力を磨くことをおすすめします。


課題発見力 常に「これでいいのか」と考えてみよう

2020年12月11日 11時43分06秒 | 社会・文化・政治・経済

2019.09.13 career-edu.nikkeihr

渡辺茂晃

何か問題が起こった後に、「ここが問題だと思っていたんだよね」とか「やっぱりそうなったか」などと、他人事のように話す人。こういう人は「評論家タイプ」と言われ(良い意味ではなく)、会社では典型的な仕事のできない人。こんな社員にならないためにも、課題発見力を磨きましょう!

社会人基礎力では、課題発見力を「現状を分析し、目的や課題を明らかにする力」と定義し、行動例を「目標に向かって、自ら"ここに問題があり、解決が必要だ"と提案する」としています。課題発見力は社会人基礎力の中でも、仕事に直結する働く上で欠かせない力です。しかも、課題を発見して「解決が必要だ」と指摘するところまで含まれ、その先には課題解決にまでつながるため、とてもレベルの高い能力とも言えるでしょう。

仕事は課題を発見することから始まる
なぜ仕事をする上で大事なのか、もう少し詳しく説明しましょう。仕事は課題を解決するのが基本。世の中のどんなビジネスも、より良い商品やサービスの提供を目的にしています。その目的を実現するために、その前に立ちはだかる多くの課題を見つけ、解決しなければなりません。

例えば、従来より優れた製品を開発するには、コストと時間がかかるとします。でも、どんなに優れた製品でも値段を上げれば売れなくなる可能性が高くなるという問題が出ます。そこで、より質の高いものを従来と差のないコストで作り、値段を上げないようにするにはどうすればいいのかを考えなければなりません。このような問題に隠れている課題を見つけ、解決するのが仕事なのです。

例では、質とコストと値段の問題ですが、他にも日常業務での作業効率向上や経費削減など、あらゆる場面に課題が隠れていると言えるでしょう。そのような見えない課題に気づくのが課題発見力です。問題が起きていることに気づくことなく、同じことを延々と繰り返していては自分のためだけでなく、会社のためにもならないでしょう。常に「今のままでいいのか」「どうすればより良くなるのか」を考えなければなりません。そうすることによって、新しい製品やサービスの開発に結びついたり、効率の良い仕事の進め方に通じたりするのです。

課題を見つけたら、解決法まで考える
単に課題を発見すればいいという訳ではありません。冒頭のマンガにあるように、課題を見つけた(本当かどうかは別として)なら、実際に事が進む前に指摘するのが当然のこと。つまり、発見しても周囲に知らせることなく、胸の内にしまっていては何にもならないのです。

できることなら、課題を発見するだけでなく、解決方法までを提案できるといいですね。もちろん、課題解決を提案できるようになるには、それなりに仕事の経験が必要になるので、新入社員には難しいかもしれません。たとえ素晴らしい解決法が思い浮かばなくても、どうすれば解決できるかを考えることが大切です。自分の解決案と先輩や上司の解決案を比較し、今後の課題解決に役立てられるようにしてください。

自分だけでなく、周囲にも目を配ってみよう
最後に、課題発見力を身に付け、鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか。まずは、現在取り組んでいることについて、「これでいいのか」と自問自答することから始めてください。現状に満足するのではなく、「この取り組み方でいいのか?」「目標はこれでいいのか?」と、常に現状を分析してみましょう。これはサークル・部活動やゼミ活動、アルバイトなど、個人活動でも団体活動でも構いません。

また、自分の周囲で他人や仲間が取り組んでいることも観察し、課題はないかどうかを探ってみましょう。何か課題が見つかったら、誰かに話してみてください。誰かに聞いてもらうことによって、その課題は重要なのか、的外れなのかを検証できます。見つけた課題が適切であれば、その後の解決策の模索へと発展します。この繰り返しによって、課題発見力が磨かれるのです。

今の学生生活はこれでいいのか、サークルに取り組む姿勢・運営方法は適切なのか、アルバイトの仕事の進め方は間違っていないのかなど、身の回りのことから課題はないか確認してみましょう。

プロフィール

渡辺茂晃
渡辺茂晃(株式会社日経HR)
1991年日経事業出版社入社、高齢者向け雑誌編集を経て、96年日本経済新聞社産業部、98年就職雑誌編集、2001年日経就職ガイド編集長、05年日経就職ナビ編集長、09年大学評価・学位授与機構「大学の「学習成果」を軸とした教育・評価・エビデンスの発信を可能とする体制についての研究」研究員、10年経済産業省「社会人基礎力育成グランプリ」運営、12年10月文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善」事業支援、14年桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科非常勤(~19年4月)、日本経済新聞人材教育事業局「日経カレッジカフェ」副編集長、15年中小企業庁「地域人材コーディネーター養成事業」主任研究員、16年経済産業省「健康経営優良法人認定制度」広報担当、内閣府「女性リーダー育成プログラム」主任研究員、18年4月から現職。著書『実況中継 これまでの面接VSこれからのコンピテンシー面接』『マンガで完全再現! 面接対策』『人気企業内定者に聞いた 面接の質問「でた順」50』など。

 


宗教の社会的役割

2020年12月11日 11時06分23秒 | 社会・文化・政治・経済

重大な社会の歴史的役割を深く考察しようとしたトインビーによれば、人生の根本的態度としての宗教的信仰は、それぞれの文明社会の「生気の源泉」あるいは「精神的な絆」とよぶことができるという。
また、ひとたび、ある文明社会が伝統的な精神的信仰を喪失する、と、必ず、新しい文明形態に取って代わられるときまで衰退に向かい続けるという。
なぜこう論じたのであろうか。
トインビーによれば、数千年来、それぞれの大宗教の伝統が膨大な信徒を引きつけることができた理由は、大宗教が、それぞれに人類のいくつかのおもな心理の類型に対応し、各類型の信徒が異なる文明形態のもとで体験した情感のニーズを満たすことができたからである。
また、政治、経済や文化を含む文明社会のあらゆる活動は、まさに宗教的信仰が示す生き方によって維持されてきたものである、とする。

歴史哲学研究者であるドーソンは意味深長に次のように指摘する。
いわゆる宗教とは、けっしてある抽象的なイデオロギーではなく、たんなる古めかしい精神的資源でもない。
それはおもに、ある歴史に連綿と続く文化的伝統であり、無意識に感化を受け文化的慣習なのである。
しかしながら、従来の研究者は、往々にして、政治的なもの、思想的なもの、理知的なもの、などのような「高次元の問題」に注意力を、集中させ、これらの問題が、悠久の歴史絵巻のなかではほんの一部分を占めるに過ぎないということを意識せずにいた。
実際、真に庶民や社会生活にとって最も大きな影響をおよぼすものは、やはり文化的慣習や宗教的伝統なのである。

 

宗教が世界で果たす重要な役割

ダリン・H・オークス長老
十二使徒定員会

churchofjesuschrist.org/

Oaks, Dallin H.
2016年6月9日,イギリスのオックスフォード大学で開催された宗教の自由に関するシンポジウムにおいて,オークス長老はこの説教を行いました。
宗教が日々の生活に影響を及ぼさなくなると,わたしたちのあらゆる自由が重大な危機にさらされます。

世界における宗教の重要性

わたしは生涯を通じて,宗教の自由というテーマに興味をひかれてきました。54年前,シカゴ大学の若い法学教授だったころにわたしが初めて出した本は,アメリカ合衆国における教会と国家の関係について自ら編集したものでした。

今日では,政治,紛争の解決,経済的発展,人道支援,そのほかの分野における宗教の重要性は当時よりもはるかに高まっており,もはや無視することはだれにもできません。世界の人口の84パーセントは特定の宗教を持っています。
しかし,世界中の77パーセントの人々は,宗教の自由に関して厳しい,または非常に厳しい制限のある国に住んでいます。
宗教を理解し,宗教と世界的な問題,および政府との関係を理解することは,わたしたちの住む世界をより良くしていくために不可欠です。

宗教の自由は,世界のほとんどの地域で理解されていませんし,理解されている地域であっても,宗教の自由は世俗主義と過激思想に脅かされています。とは言え,宗教が守ろうとしているのは神から与えられた生来の自由であり,この自由は全国民の福利を追及する政府と補完し合いながら実現するという理想を,わたしは擁護するものです。

したがって,政府は国民の宗教の自由を確保するべきです。有名な,国連の世界人権宣言第18条には次のように述べられています。「すべて人は,思想,良心および宗教の自由に対する権利を有する。この権利は,宗教または信念を変更する自由ならびに単独でまたは他の者と共同して,公的にまたは私的に,布教,行事,礼拝および儀式によって宗教または信念を表明する自由を含む。」

宗教の補完的な責任とは,その信者を通じて,宗教の自由を確保する国の法律を遵守し,その国の文化に敬意を払うことです。宗教の自由が確保されるのであれば,そのような対応は,感謝の対価であり,喜んで支払われます。

こうした一般的な原則をだれもが受け入れ,実践しているならば,宗教の自由に関するこのような話し合いは必要ないでしょう。しかし,周知のとおり,世界はこうした普遍的な原則をめぐる対立に悩まされています。例えば,現在,宗教を特別に擁護するという観点に異議申し立てをしている著名人がいます。そのような人が書いた本に,Freedom from Religion〔『宗教からの自由』〕やWhy Tolerate Religion?〔『宗教を寛大に取り扱うのはなぜか』〕などがあります。

ほかにも,宗教的な信条を公的な場で実践することを否定し,教会,シナゴーグ,モスクで教えるという宗教の自由を制限して,宗教とその信者を排斥しようとする人がいます。そのような試みは,もちろん,「世界人権宣言」のうたう「公的にまたは私的に」宗教や信念を表明する権利の保証に反しています。宗教の自由な実践は,信者が,一つの共同体として,例えば,教育,医療,文化の分野における活動の一環として行動する際にも適用されなければなりません。

宗教の社会的価値
宗教の信条と実践は非合理的で,政府や社会が目指す重要な目標に逆行するとして批判されることもあります。わたしは,もちろん,社会にとって宗教ほど価値あるものはないという立場を守り続けます。ある無神論者が最近出版した本で認めているように,「宗教を信じていない人でも,西洋文明の基本的価値観が宗教に根ざしていることは理解していますし,宗教が遵守されなくなるとともに,そうした価値観が衰退していくことに懸念を抱いています。」
そうした「基本的価値観」の一つが,人には本来,尊厳と価値があるという概念です。

時計回りに左上から—マザー・テレサ,マーティン・ルーサー・キング・ジュニア博士,アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーン,デズモンド・トゥトゥビショップ,ウィリアム・ウィルバーフォース。
これ以外に,宗教に社会的な価値があることを示す例を7つ紹介しましょう。

1.西洋文明における最も重要な道徳的進歩の多くは,宗教的な原則に動機づけられたものであり,説教壇から説く教えに促されて,公式な採択に至ってきました。大英帝国における奴隷貿易の廃止,アメリカ合衆国における奴隷解放宣言,過去半世紀にわたる公民権運動がそうです。こうした進歩は世俗的な倫理が原動力となってもたらされたのではなく,道徳的に何が正しいかを宗教の観点からはっきりと判断できる人々が中心となって推進したのです。

2.アメリカ合衆国において,教育,医療,貧困者の支援など,数え切れないほど多くの価値ある慈善活動を行っている巨大な民間企業は,たいていの場合,宗教組織が母体となって宗教的な動機で始まり,維持されています。

3.西洋社会は,おもに全面的な法の拘束力によってまとめられているのではなく(この方法は非現実的でしょう),最も大切なことは,心の中に行動規範があるために強制ではなく自発的に規律に従う市民によってまとめられているということです。そのような自発的な自己規制の源は,多くの人の場合,善悪を判断する宗教的な信念と,まだ見ぬ至高者に対する責任感なのです。実際,西洋諸国では国の起源においても存続においても,宗教的価値観と現実の政治的な問題が非常に深くからみ合っているため,宗教が市民生活に影響を及ぼさなくなると,あらゆる自由が重大な危機にさらされます。

4.宗教組織は民間企業と協力して,個人と民間の組織を浸食する政府の力を見分け,抑制する仲介的な機関の役割を果たします。

5.宗教はそれを信じる多くの人に,周囲の人への奉仕を促し,総じて,地域社会や国々に大きな恵みをもたらします。

6.宗教は社会的なつながりを密にします。ラビのジョナサン・サックスはこう教えています。「〔宗教は〕地域社会を築くためのこの世で最も強力な手段です。……消費者時代の個人主義に対する最良の解毒剤です。社会は宗教がなくてもやっていけるという考えが間違っていることは,歴史を振り返れば一目瞭然です。」7

7.最後に,末日聖徒であり,企業の経営および革新の分野における「思想的指導者」と認められているクレートン・M・クリステンセン
8.は,「宗教は民主主義と繁栄の基盤である」と書いています。
9.経済の発展に寄与する宗教の役割について語れることは,まだまだあるでしょう。

わたしは,宗教上の教えや宗教に基づいた信者の行動は,自由で繁栄した社会にとって重要であり,引き続き法律によって特別に保護されるようにするべきだという立場を守り続けます

3.宗教の持つ補完的な責任
これまでわたしは宗教の信者や組織に対する政府の責任についてのみ語ってきました。これから,宗教とその信者が政府に対して負っている補完的な責任について話したいと思います。

政府の保護下にある人々に,法の遵守と,文化の尊重を求める権利が政府にあることは,明らかです。政府の重大な関心事は,国境の安全を確保することと,国民の健康と安全を守ることです。政府には,宗教を含むすべての組織が憎しみを教えることなく,人に対する暴力など,犯罪につながる行為を避けるよう主張する権利があります。テロを推進する組織に保護を与える必要など,どんな国にもありません。宗教の自由はこうした状況のいずれにおいても政府の力を妨げる障害とはなりません。

今日,宗教と政府の相互補完機能が,ヨーロッパで厳しい試練にさらされています。大半がイスラム教の宗教や文化を持つ難民ですが,異なる文化と宗教の国々へ大量に流入することで,明らかに深刻な,政治的,文化的,社会的,経済的,宗教的な問題が起きています。

シリアから国境を越えトルコへ渡る難民
宗教と宗教組織は,難民や難民を受け入れてきた国々を支援するために,短期および長期で,どのような貢献をすることができるでしょうか。確かに,専門家の中には,こうした問題に対する宗教の役割に懐疑的な人もいますし,宗教には破壊的な影響力があると考える人もいます。わたしは自分のよく知らない事実に基づく意見に反論するつもりはありません。末日聖徒イエス・キリスト教会の方針と経験を紹介するだけです。そうすることで,長期的にも,短期的にも,宗教が持つことのできる,また持つべき良い影響を明らかにすることができると思います。

末日聖徒,もしくはモルモンとして知られるわたしたちは,飢えた人に食物を与え,旅人をかくまうというキリストの教えを文字どおりに解釈しています(マタイ25:35参照)。また神から授かった近代の啓示で次のようにも命じられています。「貧しい者と乏しい者,病気の者と苦しんでいる者を,すべてのことにおいて思い起こしなさい。これらのことを行わない者は,わたしの弟子ではないからである。」(教義と聖約52:40)

わたしたちの教会にとって,貧しい人や困っている人を世話することは,任意で行う行為でも,二次的な事柄でもありません。わたしたちはそれを世界各地で行っています。例えば,2015年に教会は56か国において177の緊急時対応プロジェクトを実施しました。このほかにも,きれいな水の提供,予防接種,視力矯正など,7つの分野における支援で,何百ものプロジェクトを実施し,世界中の100万人以上に良い影響を与えました。30年以上にもわたるこうした取り組みは,年平均4,000万米ドルに上るほどの規模です。

わたしたちは宗教団体への反対の一つを避けるために,教会の人道支援活動と世界的規模の伝道活動を厳密に切り離しています。わたしたちは宗教にかかわりなく人道支援を行っています。権力や,食料そのほかの様々な計らいに影響されることなく,わたしたちの伝道活動を受け入れ,考慮してもらいたいからです。

教会にできること

国連や個々の国々にできること以外に,教会には何ができるでしょうか。この点についても,わたしたちの教会で行ってきたことを紹介しましょう。教会員の半分はアメリカ合衆国内,残りの半分は合衆国外に分散しており,援助に必要とされる人的資源としては多くありませんが,この教会には影響力を引き出す大きな利点が3つあります。

第1に,会員の間に根付いている奉仕の伝統のおかげで,献身的かつ経験豊かなボランティアの資源があります。数字に換算すると,2015年に教会のボランティアは,福祉,人道支援,そのほかの教会が主催するプロジェクトで,2,500万時間以上の労働を提供しています。
10この数字には,個人的に奉仕した会員の時間は含まれていません。

第2に,人道支援の大義に対する教会員の財政的な貢献によって,自力で資金を賄うことができます。わたしたちは,官僚機構や政府の資金援助から独立して運営を行う能力がありますが,最大限の影響力を発揮するために,ぜひ個々の行政機関や国連の機関と調整を図りつつ取り組んでいきたいとも思っています。そのような機関にはますます宗教組織の力に目を向けてほしいと願っています。

第3に,わたしたちには直ちに活動できる世界的規模の草の根組織があります。例えば,難民という世界的な問題について言えば,2016年3月,教会の大管長会と扶助協会,若い女性,初等協会の中央会長は全世界の会員にメッセージを送り,わたしたちの中にいる貧しい人と「旅人」を助けるというクリスチャンの原則を思い起こすよう伝えました(マタイ25:35参照)。この教会指導者たちは地元の地域社会で難民を助けるようすべての世代の女性に呼びかけました。
11この呼びかけにこたえたヨーロッパの会員の代表的な例を挙げましょう。2016年4月のある夕方,ドイツで200人を超えるモルモンの会員とその友人たちがボランティア活動を行い,ヘッセン州とラインラント=プファルツ州にある6か所の難民センターに住む子供たちのために1,061個の「歓迎袋」を作成しました。袋の中には新しい衣類,衛生用品,毛布,画材が入っていました。この活動を導いた女性の一人はこう述べています。「家を追われる〔難民の〕悲劇的な状況を変えることはできませんが,〔彼らの置かれた〕環境が変わるよう手助けをし,〔彼らの〕生活が変わるよう積極的に働きかけることはできます。」

教会が以前に行った世界的規模の人道支援活動について二つの例を紹介します。2015年,LDS慈善事業団は,イギリスを本拠地とするAMAR財団と全面的にタイアップして,ISIS(アイシス〔訳注:イラクとシリアで発生したイスラム過激組織で,イスラム国と呼ばれることもある〕)の残虐な攻撃の的にされたイラク北部の少数民族ヤジディーのための一次医療センターを建設しました。この一次医療センターには,研究室と応急手当室,薬局,超音波検査機器が完備しており,心身ともに傷ついた人々に安らぎをもたらしています。AMAR財団はヤジディーの中から医療専門家とボランティアを採用しており,彼らはヤジディーの文化に特有な方法でケアを行っています。

イングランドのロンドンにて,AMAR財団創設者のエマ・ニコルソン男爵夫人と,ジェフリー・R・ホランド長老。
2004年12月26日,東南アジアで壊滅的な被害をもたらした地震と,その結果として起こった津波により,14か国で23万人の人々が亡くなりました。LDS慈善事業団は,災害発生の翌日,現地に到着し,その後5年間にわたって積極的な支援活動を行いました。大きな被害を受けたバンダ・アチェ地域だけでも,教会の慈善事業団は定住用として900戸の家,24の村落水道システム,15の小学校,3つの医療センター,それからモスクとしても使える3つの公民館を建設しました。さらに,それらの地域社会に住む人々の礼拝を助けるために,聖なるコーランと祈祷用の敷物を支給しました。

これは,宗教の自由を擁護するだけでなく求める文化において,宗教にどれほどの価値があるかを示す例の一部にすぎません。わたしたちは宗教の自由こそ第一の自由だと考えているのです。


75歳以上医療費 2割に引き上げ 年収200万円以上対象で合意

2020年12月11日 10時40分53秒 | 医科・歯科・介護

2020年12月10日 19時07分 NHK

医療

75歳以上の医療費の窓口負担を2割に引き上げる方針をめぐり、田村厚生労働大臣と自民・公明両党の政務調査会長らが会談し、年収200万円以上を対象とし、引き上げの時期を2022年10月から翌2023年3月までの年度後半とすることで合意しました。


75歳以上の医療費の窓口負担を2割に引き上げる対象の範囲をめぐり、菅総理大臣と公明党の山口代表が9日夜、会談し、双方の主張のほぼ中間にあたる年収200万円以上を対象とすることで合意しました。

これを受けて、10日午後、田村厚生労働大臣、自民党の下村政務調査会長、公明党の竹内政務調査会長らが国会内で会談し、最終的な合意に向けた協議を行いました。

その結果、菅総理大臣と山口氏の会談を踏まえ、引き上げの対象を年収200万円以上とし、2022年度からとしていた引き上げの時期については、2022年10月から、翌2023年3月までの年度後半とすることで合意しました。

厚生労働省の試算では、引き上げの対象者は、およそ370万人となり、これらの人については、急激な負担の増加を抑えるため、引き上げの開始から3年間は、1か月あたりの自己負担の増加額を、3000円までとする措置をとることになりました。

また、児童手当をめぐっても、待機児童の解消に向けた財源を確保するため、2022年10月からは、夫婦のうち所得が高い人の年収が1200万円以上の場合、「特例給付」の対象から外すことで合意しました。
200万円以上なら約370万人が対象 
2割負担を求める所得について、厚生労働省は、年収で▼240万円以上、▼220万円以上、▼200万円以上、▼170万円以上、▼155万円以上の5つの案を示していました。

菅総理大臣は、若い世代の将来の負担軽減を図りたいとして、年収170万円以上を対象としたい考えでした。

これは、所得税の課税対象となる水準にあたり、現役世代並みの所得がある人を除く75歳以上の31%にあたるおよそ520万人が対象となります。

現役世代の負担を年間で1220億円、軽減できるとされています。

しかし、公明党は、負担を求める範囲が広すぎるとして、最も対象を絞ることができる年収240万円以上を提案しました。

この案は、介護保険の自己負担が2割となる対象者の割合と同じ程度の水準で、対象は、全体の13%にあたるおよそ200万人となります。

そして、昨夜菅総理大臣と山口代表が合意したのが、双方の主張のほぼ中間にあたる、年収200万円以上を対象とする案です。

平均的な収入で算定した単身者の年金額を上回る水準で、およそ370万人が対象となり、実現すれば、現役世代の負担軽減は、年間880億円と見込まれています。
なぜいま議論?
75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度は、患者の窓口負担を除いて、財源の4割が会社員らが加入する健康保険組合からの支援金で賄われています。

しかし、高齢化が進み、医療費が増加しているのに伴って健康保険組合の財政を圧迫していて、現役世代の負担軽減を求める声が上がっています。

このため、政府は、世代間の公平性を図りながら制度を維持していくため、いわゆる「団塊の世代」が75歳になり始める2022年度までに、年齢ではなく、所得などに応じて負担を求める考え方に見直す方針を示していました。

菅総理大臣も、先月24日に開かれた政府の全世代型社会保障検討会議の会合で、引き上げの対象とする所得の線引きなどについて、与党とも十分に調整するなどして、年内に結論を出すよう関係閣僚に指示していました。
菅首相「高齢者と若者が支え合っていくこと大事」
75歳以上の医療費の窓口負担を2割に引き上げる方針をめぐり、菅総理大臣は、記者団に対し、公明党の山口代表と合意したことについて「将来を考えた時、高齢者と若者が支え合っていくことが大事だということで意見が一致した」と述べました。

75歳以上の医療費の窓口負担を2割に引き上げる方針をめぐり、9日夜、菅総理大臣と公明党の山口代表が会談し、年収200万円以上を対象とすることで合意しました。

菅総理大臣は、視察先の岩手県宮古市で、記者団に対し「昨夜、山口氏と会談した。後期高齢者の2割負担について年収200万円をめどに大枠で合意し、きょう、自民・公明両党の政務調査会長厚生労働大臣で、詳細について、詰めの作業を行うことにしている」と述べました。

その上で「再来年には、団塊の世代が後期高齢者になる。社会保障とわが国の将来を考えた時に、高齢者と若者が互いに支え合っていくことが、極めて大事だということで意見が一致した」と述べました。
加藤官房長官「施行時期など政府・与党間で調整を行っていく」
加藤官房長官は、午前の記者会見で、「少子高齢化が急速に進む中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、すべての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいくことは、私たちの責任だ。少しでも多くの方に支える側として活躍し、能力に応じた負担をいただくことが必要だ」と述べました。

そのうえで、加藤官房長官は、「きのうの菅総理大臣と公明党の山口代表との意見交換などを踏まえながら、施行時期や激変緩和措置の具体的な内容について、政府・与党間で調整を行っていくことにしている」と述べました。
自民 佐藤総務会長「これを機に両党のやりとり もっと緊密に」
自民党の佐藤総務会長は、記者会見で「菅総理大臣もかなり妥協したが公明党の言うことを全部を聞くわけではないという意思表示でもあったと思う」と指摘しました。

そのうえで、調整が難航したことについて「公明党も新たな執行部になってから時間がたっておらず、菅内閣も発足からまだ数か月でその辺が少しあったのではないか。これを機に両党のやりとりは事前にもっと緊密にやってもらえるのではないか」と述べました。
自民 下村政務調査会長「両党の連携に問題があるわけではない」
自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「お互いに相当歩み寄った中での政治的な判断であり、合意できてほっとしている。負担が増えることは申し訳ないが、世界に誇る国民皆保険制度を維持し、若い人に負担を回さないため、このような判断をせざるを得なかった」と述べました。

そのうえで、合意までに調整が難航したことについては「菅総理大臣が年収170万円以上を対象としたいと考えていたため、公明党とは最初から考えに相当な開きがあり、なかなか妥協点を見いだせない中での議論だった。両党の連携に問題があるわけではない」と述べました。
公明 竹内政務調査会長「ギリギリのラインで合意」
公明党の竹内政務調査会長は、記者会見で「今回の窓口負担の引き上げは、生活に大きな影響を及ぼすおそれがあり、急激な負担の増加を抑える『配慮措置』が盛り込めて大変よかった。生活への影響を少しでも抑えたいという配慮だ」と述べました。

そのうえで、合意までに調整が難航したことについては「まさに政治判断で、菅総理大臣に歩み寄ってもらい、ギリギリのラインで合意できたことはよかった。自民・公明両党で話し合いをして、選択肢を見つけようとした結果であり、今後の両党の関係には何ら問題ない」と述べました。
共産 志位委員長「血も涙もない冷酷な政治」
共産党の志位委員長は、記者会見で「断固として反対する。高齢者は、今の1割負担でも受診を控えている深刻な実態があり、コロナの問題でさらに拍車がかかっている。社会全体で、高齢者の命と健康を守るために取り組んでいるさなかに、『受診控え』に追い打ちをかけるような対策を決めるのは、血も涙もない冷酷な政治だ」と述べました。


日本警察 腐敗の構造

2020年12月11日 10時27分38秒 | 事件・事故

日本警察 腐敗の構造 (ちくま文庫)

小林 道雄 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

モミケシ、でっち上げ、捜査の不手際、裏金作りなど次から次へと明るみに出る警察不祥事の数々。ここに来て、一挙に腐敗が進行したのか?それとも、これまでの病巣がたまたま摘出されているだけなのか?現役・退職警察官への取材活動をもとに、日本警察の抱える問題と絶望的な状況を指摘しつづける著者が、腐敗の深層へと斬り込んだ名著。
 
 
 
冤罪――。多くの冤罪は、杜撰な見込み捜査、代用監獄での苛酷な取調べが元凶だ。人にありがちな誤謬ではなく、捜査当局のメンツ意識や責任逃れ、時には功名心の結果だ。実際にあった、女子短大生強姦殺人事件の“思い込み自白”のプロセスを明らかにし、冤罪という“罠”を浮き彫りにする力作ノンフィクション。(『夢遊裁判-なぜ「自白」したのか』改題)
 

内容(「BOOK」データベースより)

冤罪―。多くの冤罪は、杜撰な見込み捜査、代用監獄での苛酷な取調べが元凶だ。人にありがちな誤謬ではなく、捜査当局の面子意識や責任逃れ、時には功名心の結果だ。実際にあった、女子短大生強姦殺人事件の“思い込み自白”のプロセスを明らかにし、冤罪という“罠”を浮き彫りにする力作ノンフィクション。 
 

ノンフィクション作家。 1934年(昭和9年)東京生まれ。 雑誌記者から廣済堂「時代」編集長、出版部長をへてフリー。 警察、司法、冤罪、少年問題などを主に手がける。

著書に、「日本警察崩壊」(講談社)、「退化する子どもたち」(現代人文社)、「日本警察腐敗の構造」(筑摩書房)、「冤罪のつくり方」(講談社)、「日本警察の現在」(岩波書店)、「若いやつは失礼」(岩波書店)など。

報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの

2020年12月11日 10時22分39秒 | 事件・事故

報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの

 寺澤 有 (著)

圧倒的なリアリティーで警察とマスコミの腐敗を描き出し、「JAPAN CUTS」(ニューヨーク日本映画祭)で観客投票第2位に輝くなど、2009年の邦画界の話題をさらった『ポチの告白』(高橋玄監督)。その原案協力者であり、スーパーバイザーも務めた著者が、警察やマスコミ、司法の関係者にインタビューし、腐敗の根深さを検証する。詳細な脚注や映画からのカットも満載。

出版社からのコメント

警察やマスコミを信用している人にこそ読んでもらいたい本です。実例がたくさん出てきますので、見方が絶対に変わります。

著者について

寺澤 有(てらさわ ゆう)
1967年2月9日、東京生まれ。大学在学中の1989年からジャーナリストとして、警察や検察、裁判所、弁護士会、会計検査院、防衛省、記者クラブ、大企業などの聖域となりがちな組織の腐敗を追及しはじめる。
過去2回、平沢勝栄・衆議院議員(元警察庁キャリア)と消費者金融大手・武富士から名誉毀損で提訴されるが(損害賠償請求金額は、前者が1780万円、後者が2億円)、どちらも勝利。
2009年公開の映画『ポチの告白』(高橋玄監督)では、原案協力者とスーパーバイザーを務め、特別出演(裁判所職員役)も果たした。
同年2月、自著『報道されない警察とマスコミの腐敗 映画『ポチの告白』が暴いたもの』を、自分で設立した版元「インシデンツ」から発売し、出版事業へ進出する。インシデンツが2冊目に発売した『福田君を殺して何になる―光市母子殺害事件の陥穽(かんせい)―』(増田美智子著)はベストセラーに。
2014年、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」から「100人の報道のヒーロー」として日本人で唯一表彰された。
著書(編著、共著も含む)に、『警察庁出入り禁止』(風雅書房)、『PL法があなたを守る 欠陥商品のトラブル解決法』(同)、『PL法事始』(三一書房)、『警察がインターネットを制圧する日』(メディアワークス)、『おまわりさんは税金ドロボウ』(同)、『交通取り締まりのタブー! 』(宝島社)、『全国警察力ランキング』(同)、『本当にワルイのは警察~国家権力の知られざる裏の顔~』(同)などがある。
 
 
テーマは良いが、途中で退屈になる。インタビュアーが下手。警察の裏金作りをメディアが報じないのは、メディアが警察の飼い犬だからと主張したいのだろうが、「公務員が組織的に裏金作りをしている」って、別に記事にしなくてもみんな知っていることだから。
警察に限らず、公務員に不利益な記事を書いて全国の公務員を敵に回したら新聞売れなくなるからね。

この本より、北海道警察の稲葉事件を描いた本の方が興味深い。
 
 
警察もマスコミも普段知ることのできない事がしれて面白いかったです。
 
 
本書の一方の柱が警察の腐敗ならば、もう一方の柱はマスメディアの腐敗である。フリージャーナリストの山岡俊介氏は報道すべきことを報道しないマスメディアの体たらくを激しく糾弾する。記者自身、東急不動産(販売代理:東急リバブル)から不利益事実(隣地建て替えなど)を説明されずにマンションを購入したトラブルを抱えていたが、マスメディアは報道に及び腰であった。
この中で自前のWebサイトで東急不動産トラブルを報道したのが山岡氏であった(山岡俊介「東急不動産側が、マンション購入者に「不利益事実」を伝えなかった呆れた言い分」ストレイ・ドッグ2005年2月21日)。記者が市民記者として自ら記事を発信する道を選択した動機も既存のマスメディアに失望した面が大きい。それ故に山岡氏の怒りは大いに共感できる。
本書の批判対象となった警察とマスメディアには共通の問題が存在する。警察は犯罪を取り締まる組織であるが、警察自身の犯罪は誰が取り締まるのかという問題を抱えている。報道機関には権力を監視するという使命があるが、第四権力とも称される報道機関自身を誰が監視するのかという問題を抱える。一見すると共通点が少なそうな警察とマスメディアの腐敗に迫る本書は、ユニークなテーマ設定で日本社会の問題点をえぐった一冊である。

警察腐敗―警視庁警察官の告発

2020年12月11日 10時15分41秒 | 事件・事故

警察腐敗―警視庁警察官の告発 (講談社プラスアルファ新書)

黒木 昭雄 (著)

内容(「BOOK」データベースより)

23年間の実体験が語らせる堕落と腐敗の構造!!事件もみ消しのカラクリから、キャリア絶対のシステム、警察官へのマインドコントロールまで、内部を知りつくした著者の裸の証言。

著者について

1957年、東京都に生まれる。親の代から警察官で、1976年、警視庁採用。警察学校を卒業後、23年間、警視庁に勤め、1999年、荏原警察署巡査部長を最後に退職。以後、ジャーナリストとして活躍している。著書には『警官は実弾を込め、撃鉄を起こした』『警官は狙いを定め、引き金を弾いた』(以上、草輝出版)がある。
 
 
よくあるゴミみたいな新書の一冊。暴露でも著者が言うような告発でもなく、ただの愚痴。最悪なのは自分が上司に暴行をして云々の章で、全く何一つ警察の内情でも腐敗でもない。言っちゃ悪いけど、所詮巡査部長までだった人だから、外からもわかるようなことしか書けてない。領収書捏造して作った裏金が、どう使われてるかはわからない、って笑ってしまったよ。何も得るものなし。
 
 
全国26万人の警察職員に対し、キャリアはたったの500人・・・スーパーエリートである。
ノンキャリアの著者がかつて勤務した本富士警察署(文京区)が、
警視庁のランクでNo.1だったのは、東大キャンパス(本郷)を管轄しているからである。
本富士警察署署長の椅子が、国 I に同期で一番の成績で合格した東大法卒エリートの指定席であったことなどと併せ、
キャリアのプライドが奈辺にあるのかが、如実に垣間見えるエピソード満載である。

キャリアの栄耀栄華のために敷かれたノンキャリア支配の構造は、退職後も恐怖を覚えさせるまでに醜悪である。
警察腐敗のポイントは、ノンキャリアの人権が保障されていない点にある。
ノンキャリアを監視する監察と公安・・・行政権力を行使するノンキャリアの人権が蹂躙される結果、抑圧は移譲され、
ノンキャリアによる市民の人権蹂躙へと至る訳である。市民は、ノンキャリア同様、キャリアのドレイなのである。

かつて、日米安保条約に異を唱えて外務省を辞した浅井基文氏に対して、皇太子妃雅子の実父、小和田恒は、
「辞めたあと外務省に弓を引くような事をしたら、外務省は省をあげて君を潰しにかかるから」と脅しつけたらしいが、
ドイツの森番ワイツゼッカー家を思い出す・・・ドイツが脱原発にシフトできたのは、原発を強硬に推進してきた電力会社に対し、
エリート中のエリートであるワイツゼッカー家が、反原発を謳ったからである。
大統領リヒャルトの兄であり、第二次大戦中、原爆開発に携わった物理学者カールは、戦後、民衆の側に立って反核運動を率先し、
カールの息子エルンスト・ウルリッヒは、自然保護運動を押し進めてきたのだが、これぞエリートの仕事である。
松橋忠光氏の如く、ノーブレス・オブリージュを体現したキャリアが、かつては我が国にもいたものだが・・・

愛媛の誤認逮捕 尊厳を傷つける捜査だ

2020年12月11日 10時11分18秒 | 事件・事故

2019年08月13日 | 社会・経済

東京新聞社説 2019年8月12日

 愛媛県警が七月に窃盗の疑いで女子大生を誤認逮捕した。犯人と決めつけ「就職」を持ち出して、自白を迫った。尊厳を傷つける人権侵害である。自白を強要・誘導する取り調べから脱却すべきだ。

 事件は今年一月九日。タクシー内から現金約五万四千円などが盗まれた。同県警はドライブレコーダーに写っていた犯人と顔が似ているなどとして、女子大生を七月八日に窃盗の疑いで逮捕した。だが、勾留請求が認められずに、同月十日に釈放されている。

 そもそも女子大生はタクシーには乗車していなかった。代理人弁護士が今月一日に女性の手記を公表した。その中では取り調べで捜査員が就職への影響を示唆し、自白を迫ったことが綴(つづ)られている。「就職も決まってるなら大ごとにしたくないよね」「君が認めたら終わる話」「認めないと終わらないよ」などと…。

 女子大生は一貫して容疑を否認して、「本当の犯人を捕まえてください」と訴えた。でも「犯人なら目の前にいるけど」と決め付けた態度だった。タクシーに乗車していないことも「記憶ないの? 二重人格?」「罪と向き合え」などと一蹴するありさまだ。

 問題なのは取り調べの在り方と裏付け捜査の不十分さだ。強く否認しているのに「刑事全員が私の話に耳を傾けなかった」ことは深刻だ。自白があれば簡単に事件処理ができると考えたのなら甘すぎる。「就職」という大学生が最も敏感な言葉を使って自白を迫るやり方は卑劣に感じる。不利益方向への誘導にあたろう。

 五月から警察の呼び出しにも素直に応じてきた。逃亡の恐れもない。そもそも逮捕は必要だったのか。手錠をかけられたショックはいかばかりか。

 再捜査で別の女性が浮上し、容疑を認めた。県警本部長は「大変申し訳ないことをした」と謝罪した。愛媛県知事も「重大な人権侵害だ。人生すら狂わせかねないことだ」と批判した。女子大生は「もし勾留されたら、耐えきれずにやってないことを認めてしまうかもしれない」という。

 自白の強要はそれほど恐ろしい。不適切な取り調べをチェックできるのが録音・録画(可視化)だが、警察の場合だと裁判員裁判の対象事件のみだ。全事件のたった3%。不十分である。ボイスレコーダーを置くだけでも効果はある。全事件を対象にすべきだし、任意段階も可視化しないと、安易な捜査を招いてしまう。

 


冤罪を生む刑事司法の病理に迫る/呼吸器事件の一連の報道が冊子に

2020年12月11日 10時03分51秒 | 事件・事故

中日新聞/ウォッチ・番犬記事№5

2020年1月29日

なぜ、冤罪事件が見逃されたのか。中日新聞の【24人の裁判官】シリーズから、記事を抜粋しました。
【24人の裁判官】(1)有罪視 もはや “職業病”/鑑定書の矛盾見逃す/検察と違う筋書きを

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法廷に潜む「冤罪を生み出すメカニズム」。

その最たるものとして「自白編重」に警笛を鳴らすのは元裁判官たちだ。

刑事裁判で三十以上もの無罪判決を出し、すべて確定させた実績のある木谷秋元裁判官(80)は「検察官の作文で、迫真性とか言ってはいけない」と一、二審とも供述調書の信用性に「迫真性」を挙げている点を問題視する。
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(2018年9月2日 角雄記記者)
【24人の裁判官】(2) “受け身”の審理、ミス招く/誤りが争点にならず/検察寄りの職権主義

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木谷さんは「裁判官がどこまで真剣に検討したか疑問だ」と話し、「職権主義は本来は被告人をカバーする方向でなされるべきだが、裁判所は往々にして検事をカバーする職権主義を用いる」と嘆く。

矛盾した判決文のために、二十代前半からの十二年を刑務所で過ごすことになった西山さんを思うと、鑑定書を見比べれば分かる程度の“事実誤認”を気付かなかった」では済ますことはできない。「事実」に誤りがないか、を精査する基本がおざなりになっているのなら、三審制の意味はない。裁判官には形式論よりも、真実を見抜く基本的な姿勢に立ち返ってもらいたい。

(2018年9月9日 角雄記記者)

【 24人の裁判官】(3) 最高裁に冤罪生む土壌/否認主張 排斥ありき/反省や判決研究怠る

必死で「殺していません」と無実を訴える西山美香さん(38)に、ほとんど耳を貸さない裁判官。呼吸器事件の裁判記録を読むと、そんな法廷の様子が浮かび上がる。
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ある弁護士が、司法修習生時代に指導役の裁判官が法廷の舞台裏で言い放った「忘れられないひと言」を私に打ち明けた。

「裁判官が『弁護士からまた変な主張が来たよー。さあどうやって排斥(=退けること)しようかな』と言っているのを聞いて、びっくりした」

実は、この裁判官は呼吸器事件の一審の審理に関わっていた。“暴言”は判決が出た年とも重なる。どの事件についての発言なのかわからないが、「要は、弁護士の否認主張は排斥が前提で、耳を貸すつもりが全くない。これが裁判官の本音なのかと。今でも強く記憶に残っている」と、まだ若かった弁護士をがくぜんとさせた。

最初に判決を下す地裁の裁判長に「変な人」が常に数人いるということなのか。そうとも言えない事例が最高裁にもある。
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(2018年9月16日 角雄記記者)
【24人の裁判官】(4) 専門家の分析 ないがしろ/矛盾暴く供述心理学/根拠のない自白信用

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「やりました、と自白すると裁判長でも、それだけで犯人と思ってしまう。大切なのは自白が細部にわたって真実であるかどうか見極めることなのに、裁判官でもそのことを忘れがちなのです」

足利事件(1990年)で2009年のDNA再鑑定により、無実が証明された菅家利和さんの弁護人の佐藤博史弁護士(69)は、そう実感する。細部は矛盾だらけの菅家さんの自白を裁判官は虚偽だと見抜けなかった。
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(2018年9月23日  成田嵩憲記者)
【24人の裁判官】(5)心の叫び響かぬ “鈍感”判事/“紙切れ”同然の扱い/居場所なくなる恐れ

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供述調書の一言一句を「迫真性に富む」などと強調し、その一方で、何年にもわたって家族に無実を訴え続けてきた手紙が裁判所に、まるで意味のない、“紙切れ”同然の扱いを受けるのは、おかしくないか。


「心からの真実の叫びに無感覚になってしまう方がおかしい。真実を追求するべき法律家が無感覚になっている時点で、法律家になっている意味がない」。そう言い切ったのは、足利事件(1990年)で〇九年のDNA再鑑定により、無実が証明された菅家利和さんの弁護人だった佐藤博史弁護士(69)だった。
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2018年9月30日 泰融記者)

【25人目の裁判官】シリーズでは、24人の裁判官が見逃した司法解剖鑑定書の誤りに、大阪高裁の25人目の裁判官は、なぜ、気づいたのかということに焦点を充てて報道しています。
【25人目の裁判官】(1)自由を奪った十七年前の棄却/審理の遅れ まず謝罪/熱心に資料を読み込む

真実は一つであり、裁判官によって判決が左右されるようなことがあってはならない。誰もがそう思うだろう。だが、悲しいかな、裁判官によって天と地の差が生じるのではないか。それが冤罪の場合には特に。
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「裁判長も相当な時間をかけて読み込み『これは無罪。救わないといけない』と考えたのではないか」。三者協議を重ねるごとに、その印象が強くなったという。
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(2018年11月4日 泰融記者)
【25人目の裁判官】 (2)“冤罪”へのわな との再会/DNA再鑑定を拒む/法廷でもうその自白

「決定は足利事件の経験が生かされてのこと。直接お会いして感じた後藤さんの人柄からも、それが分かる。今回は良い判断されたと思う」

足利事件で無実の罪を着せられた菅家利和さんの弁護人だった佐藤博史弁護士(69)は昨年十二月二十日、大阪高裁(後藤真理子裁判長=現東京高裁部総括判事)が西山美香さん(38)に再審開始の道を開いたと聞き、そう直感した。
・・・・・・・・・・・

(2018年11月11日 泰融記者)

【25人目の裁判官】(3)「鑑定」の危険 論文で唱える/再審開始に「人柄」/自白の見極め困難

・・・・・・・・・
任意の段階で菅家さんが認めたという「自白」が真実だとの思い込みを解くのは、どの裁判官にとっても簡単なことではなかった。それは、呼吸器事件の西山美香さん(38)が、逮捕前の「自白」を理由に、二十四人の裁判官に繰り返し「有罪」を突き付けられたのと、同じことでもある。

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(2018年11月18日 泰融記者)
【25人目の裁判官】 (4)「自白」のうそ 生きた戒め/過信が生んだ強引さ/県警「都合の可能性」

呼吸器事件には、足利事件との共通点がいくつかある。当初の鑑定の誤り、家族に無実を訴える手紙、そして「逮捕前の自白」だ。

「菅家さんの場合は、ただ自白しただけでなく、裁判になっても認めていた。無実の人でも認めてしまう現実を後藤さんは足利事件から学んだはず。その経験が今回の再審決定に生きたのでしょう」

菅家利和さんの弁護人だった佐藤博史弁護士(69)は、呼吸器事件の再審開始を決定した大阪高裁の後藤真理子裁判長(現東京高裁部総括判事)に、自白に対する大転換があったとみる。
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(2018年11月25日 泰融記者)
【25人目】の裁判官シリーズの次に、中日新聞の取材班は、【冤罪の解き方】シリーズを展開している。6本の記事を書いていたのは、泰融記者。
(1)「説明可能な『うその自白』」では、刑事のでっちあげでも、確定した判決を再審請求で崩すのは容易ではないが、大阪高裁はどのように切り開いたのかを検証報道している。
(2)「鑑定もミス、権威を疑え」では、鑑定を妄信する危険性に言及し、24人の裁判官が司法解剖鑑定書の誤りを見逃したことや、検察側の鑑定を精査しない危うさを指摘している。
(3)「危うい『犯人』決めつけ鑑定」では、警察情報に流され、無実の人を冤罪のシナリオに意図的に誘導するものと警鐘している。

(4)「始めの一歩、死因に戻れ」では、冤罪に至ったのは、どのボタンの掛け違いかを検証し、誤った鑑定書が独り歩きした経緯を報道している。
(5)「再審決定文『イチロー級』」では、高裁の再審決定文の組み立て方に、司法関係者から賛辞が相次いでいることと、この決定文を出した裁判官を野球選手イチローの信念と同じものとして例えている専門家の話を紹介している。
(6)「暴かれた“筋書き”の破綻」では、大阪高裁の裁判官らが、弁護団でさえ気づいていなかった矛盾に気づき、検察のシナリオに齟齬が出たことを報道している。

【検察の思考回路】(1)「目をつぶって墨守」が正義/社会復帰は果たしたが/起訴後 フリーズ状態

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検察内部の問題を自著「検事失格」で赤裸々につづった元検事の市川寛弁護士(53)は「『検察庁の起訴に間違いない』というのを信じているのが前提ですよ。なかなか『起訴そのものが悪かった』という結論は出さない」と言う。「再審はなおさらで、確定判決は絶対に崩してはいけない、目をつぶって墨守するしかない、それが正義なんだ、と考える。ほかの再審請求事件での対応を見ても、それ以外の理由では説明がつかない」と解説する。
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(2019年6月9日 角雄記記者)

元厚労省事務次官の村木厚子さん(中日新聞から)
【検察の思考回路】(2) 勝敗にこだわる体育会系/非常に閉鎖的な社会/立証の困難さを競う

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検察に「正義」への期待はあっても、それは「負けない」ことではない。呼吸器事件で、この後に及んでの有罪主張に村木さんは言う。


「負けて『だめなことはだめ』って分かってもらわないとしょうがない。負けることで、彼らも勉強になるんですよ。私の時だって、負けなければ、あの事件から何にも学ぼうとしなかったでしょうから」

(2019年6月16日 角雄記記者)
【検察の思考回路】(3) 不都合な“真実”は隠す/証拠を見せずに優位に/決めてを履した開示

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証拠を見せないことで優位を保つというおかしな手法が、驚いたことに司法界ではまかり通ってきた。呼吸器事件の弁護団長で元裁判官の井戸謙一弁護士(65)は言う。

「司法修習の時も(教官役の)検事はそう言ってました。時間をかけて膨大な資料を集めているのはその通り。それに対し弁護士の接見なんて、当時はアクリル板越しに二十分程度。圧倒的な情報格差があり、検事の話に『そうだろうな』と受け止めてしまう空気はありましたね」
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(2019年6月23日 角雄記記者)
【検察の思考回路】(4)人権より組織の忠誠/立証を弁護側に迫る/事なかれ主義の判断

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再審に向け、大津地裁で六月十二日に開かれた裁判官、検察官、弁護人の二度目の三者協議に同席した西山美香さん(39)も、怒号の主と似た気持ちにさせられただろう。協議後の会見でこう言った。

「何を考えているのか、よく分からなかった。はっきりとものを言えないあの検察官に、もう一回被告人と呼ばれるのは、腹正しいです」
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郵便不正事件の冤罪被害者で、元厚生労働省事務次官の村木厚子さん(63)は「検察に限らず、組織を変えるには大変なエネルギーが要る。それにチャレンジする勇気が持てない時には、『自分一人が組織を裏切れない』と思い、どこかで『これは必要悪だ』と自分を納得させてしまうのでしょう」と分析する。

(2019年6月30日 角雄記記者)
2019年10月に、検察が有罪立証を断念し、西山さんの無罪が確実となりました。
中日新聞の編集委員の泰融氏は、連載「西山美香さんの手紙」の冊子の最後に、こう書いています。一部を抜粋しました。
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登山に例えると、法曹界の井戸さん、医療界の小出君、そしてジャーナリズムの私たちが組むキャラバンとは、全く別のルートから、裁判長と二人の陪席によるキャラバンが「再審」という山頂に向かい、偶然にも同じタイミングで頂上で巡り合った、そんな出来事でした。このような明白な冤罪に対する、検察という国家権力による、組織挙げての抵抗、その主張を安易に認めてしまう裁判官たちの存在は、山頂までの踏破を阻む、とんでもない“悪天候”のようなものだと言うこともできるでしょう。

奇跡のような偶然が重なったおかげで、私たちは今もこの調査報道を続けられています。しかし、忘れてならないのは、私たちは2004年、警察の発表のままに西山さんを犯人扱いした「加害者」でもあることです。
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(2019年12月12日 秦融 編集委員)


免田栄さん死去 冤罪生む土壌変わったか

2020年12月11日 09時59分20秒 | 事件・事故

社説

毎日新聞2020年12月10日 東京朝刊

死刑囚として初めて再審で無罪となった免田栄さんが死去した。95歳だった。司法も誤ることを身をもって示し、釈放後は冤罪(えんざい)の防止と死刑廃止を訴え続けた。

 1948年に熊本県で起きた強盗殺人事件で、23歳の時に逮捕された。取り調べでは、板張りの床に正座させられ、肩を踏みつけられて、自白を迫られたという。

 耐えきれず虚偽の「自白」をしたことが決め手になり、死刑が確定した。最高裁まで争ったが、無実の訴えは聞き入れられなかった。

 6回目の再審請求が認められ、83年に無罪が確定した。アリバイがあったと認定され、強引でずさんな捜査が明らかになった。

 免田さんは34年半にわたって身柄を拘束され、刑執行の恐怖におびえる日々を送った。社会に出た後も中傷は続いた。そのむごさを忘れてはならない。

 再審請求の記録や獄中でやり取りした手紙などを、免田さんは熊本大に寄贈している。冤罪を戒める資料として活用してほしい。

 免田さんのほか、80年代には財田川事件、松山事件、島田事件と死刑囚の再審無罪が相次いだ。

 しかし、その後も冤罪は無くならない。昨年は熊本県で男性が刺殺された松橋(まつばせ)事件、今年も滋賀県の病院で入院患者が死亡した事件で、再審無罪判決が出た。

 いずれも「自白」が重要な証拠とされて有罪となっていた。自白偏重の捜査の弊害が、またも浮き彫りになっている。

 重大事件では昨年から、取り調べの録音・録画が義務化された。ただ、自白しないと身柄拘束が続く「人質司法」への批判は根強い。録音・録画の拡大や弁護人の立ち会いを議論する必要がある。

 冤罪を生んだ原因の検証も不十分だ。警察や検察が問題点を調べて公表したのは、足利事件など一部にとどまる。裁判所は誤判の究明に否定的だ。海外のように検証機関の創設を検討すべきだろう。

 再審制度の改善も欠かせない。検察側は証拠の開示に消極的で、裁判官の判断次第になっている。開示を促す制度が必要だ。

 無実の人を罰すれば、真犯人を取り逃がし、事件の真相解明を妨げることにもなる。冤罪を生まない仕組みを絶えず考えていかなければならない。