2020年、9年ぶり死刑執行せず 死刑囚2人減り110人に

2020年12月28日 19時45分20秒 | 事件・事故

12/28(月) 18:06配信

毎日新聞

法務省=本橋和夫撮影

 2020年は1年を通じて死刑が執行されず、11年以来9年ぶりの「未執行年」となった。刑事収容施設法は12月29日から1月3日は死刑を執行しないと定めているため、28日で確定した。法務省によると、同日現在の死刑囚は110人。

 死刑執行は3年4カ月の停止状態を経て1993年に再開されて以降、民主党政権下で執行に慎重な法相や在任期間の短い法相が続いた11年を除いて毎年続いてきた。12~19年は、延べ9人の法相が計46人の執行を命令。最も多かったのは18年で、松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚らオウム真理教元幹部13人を含む15人の死刑が執行された。

 20年は、政府が1月に閣議決定した東京高検検事長の定年延長に端を発し、通常国会で混乱を招いた森雅子前法相が執行を命令せず、9月に3度目の就任となった上川陽子法相の下でも執行がなかった。

 法務省によると、28日現在の死刑囚は、再審開始決定を受けて釈放中の袴田巌元被告(84)=特別抗告審で最高裁が高裁に審理を差し戻し=を含めて110人となり、19年末と比べて2人減った。20年は新たに2人の死刑が確定する一方、4人が獄死した。

 16年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害された事件で殺人罪などに問われた植松聖死刑囚(30)は、3月の死刑判決後、弁護人の控訴を自ら取り下げた。14年に前橋市で起きた高齢者3人殺傷事件では、最高裁が9月、被告側の上告を棄却し、土屋和也死刑囚(32)の死刑が確定した。

 また、神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件で、今月15日に死刑判決を受けた白石隆浩被告(30)も21日付で控訴を取り下げ、21年1月5日午前0時に死刑が確定する。【村上尊一】

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新型コロナ、医療崩壊の“元凶” 感染症専門病院がほぼゼロ 患者受け入れ実績が全病院の18% 識者「力があっても受け入れない病院がある」

2020年12月28日 19時35分09秒 | 医科・歯科・介護

12/28(月) 16:56配信

夕刊フジ
 新型コロナウイルスの感染拡大が続き、「医療崩壊」が叫ばれている。患者を受け入れている医療機関や現場の医療関係者が日々消耗する一方で、全医療機関の約8割、集中治療室(ICU)のある医療機関の4つに1つがコロナ患者を受け入れていないというデータもある。病床数世界一とされ、欧米より感染規模がはるかに小さい日本で、「医療緊急事態」となるのは、どこに問題があるのか。

 政府は25日、病床が逼迫している地域で、重症者を受け入れる1病床につき1500万円、それ以外の患者は1床450万円をそれぞれ補助すると明らかにした。

 ただ、即効性があるかどうかは不透明だ。田村憲久厚生労働相は記者会見で、「病床や医療人材の確保を進めるが、限りがある。感染者をいかに増やさないかが重要だ」と強調する。

 「スタッフも体力の限界にきているが、最後の砦(とりで)として使命感を持ち、気力でやっている。だが、先行きが見えないと気ももたない」

 重症者を受け入れている近畿大学病院(大阪府大阪狭山市)の東田有智院長はこう明かす。

 同院は24日時点で重症者病床12床のうち10床が埋まっている。医師3人と看護師35人程度が対応するが、増床や要員補充は容易ではないという。

 東田院長は、「医師や看護師の体力や慣れがないと重症者対応は難しく、感染対策や病室の隔離なども必要だ。人工呼吸器やECMO(エクモ=人工心肺装置)などの医療機器を動かせる人間もたくさんはいない。1人でも欠ければ対応できなくなる」という。

 コロナ患者を受け入れている医療機関はいずれも似たような状況とみられ、病床使用率は大阪府や兵庫県で70%超、埼玉県、東京都、愛知県でも50%以上に達している。

 日本医師会や日本看護協会、日本病院会などの9団体は、コロナ感染拡大に伴い、通常の医療を提供できない恐れがあると警告する「医療緊急事態宣言」を発表。記者会見などで、たびたび国民や政府に危機的な状況だと訴えている。

 ただ気になるのは、病床数も多く、欧米よりも重症者や死者数が少ない日本で、なぜこのような事態に陥っているのかという点だ。

 医療リスクマネジメントに詳しい総合内科専門医の真野俊樹氏は、「日本の医療は、がんセンターなど生活習慣病に重点を置いてきたため、感染症専門の病院はないに等しい。特に地方では病気別に役割分担しているため、1カ所でも院内感染でクラスター(感染者集団)が出れば、通常医療の継続が難しい状態になる」と解説する。

 医療機関によって新型コロナ患者への対応にも違いがあるようだ。

 厚生労働省によると、23日現在で新型コロナに対応する病院や病棟を有する重点医療機関数は全国に951、診断で確定するまで新型コロナ疑いの患者を受け入れ、専用個室や救急医療などを提供する協力医療機関数は871ある。

 一方、同省の地域医療構想に関するワーキンググループの10月時点の資料によると、全医療機関のうち新型コロナ患者の受け入れ実績があるのは全医療機関の18%。受け入れ可能医療機関も23%にとどまっている。

 もちろん規模や設備の問題で受け入れられない医療機関も少なくないのだろう。だが、ICU等を有する医療機関についても、人工呼吸器やエクモを使用した新型コロナ患者を受け入れているのは28%、人工呼吸器やエクモ使用以外の患者受け入れが47%、そして受け入れ実績なしが25%にのぼっているのだ。

 ■森田洋之氏「力があっても受け入れない病院がある」

 前出の真野氏は、「一部の病院に集中しているのは事実だ。海外は公営の医療機関が多いが、日本では民間が多いことに起因しているのではないか」と指摘する。

 医療ジャーナリストで医師の森田洋之氏は、「中小の病院のように資源不足で受け入れが厳しい病院もあるほか、行政と調整をしている例もあるので一概にはいえないが、力があっても受け入れない病院があるのは間違いない」と語る。

 新型コロナ患者を受け入れている別の病院の幹部は、「新型インフルエンザの流行時と異なり、今回の新型コロナは診療をしない病院がある」と嘆息を漏らす。

 「民間病院も『経営』があるので、責められる問題でもない」(病院関係者)との声もあるが、どう対応すべきか。

 前出の森田氏は、「感染症は流行時期が限られるため『ビジネス』にはなりにくく、平時から病床などを確保しておくのは難しい。本来は第1波以降の約半年で対処しておくべき問題だが、いまからでも他の病床を感染症病床に臨機応変に転床できる態勢の整備が必要だ。政府は補助金で支援し、業界団体も医療機関への要請を進め、自粛は最終手段に残すべきだ」と強調した。

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速報】死因は「新型コロナ」と判明 羽田雄一郎参院議員(53)死去 現職の国会議員では初

2020年12月28日 19時33分03秒 | 事件・事故

12/28(月) 18:15配信

NBS長野放送

2020年8月撮影 

きのう27日、亡くなった立憲民主党の羽田雄一郎参院議員の死因が新型コロナウイルスの感染によるものであることがわかりました。立憲民主党の福山幹事長が記者会見で明らかにしました。現職の国会議員が新型コロナウイルス感染症で亡くなったのは初めてです。

党関係者によりますと、羽田議員は今月24日に発熱し、27日、PCR検査を受ける予定でした。しかし、体調が急変し、27日午後、搬送先の都内の病院で亡くなったということです。

羽田議員は、父の羽田孜首相の秘書を経て、1999年に初当選し現在5期目。2012年に民主党政権で国土交通大臣を務め、今年9月に国民民主党から立憲民主党に合流しました。

上田市の後援会事務所では、関係者が献花台の写真に手を合わせていました。

後援会「千曲会」・若林邦彦会長:
「19日に千曲会の正副会長会議で会ったのが最後。とても元気でした。あまり突然で体中から血が抜けるようです。本当に残念」

立憲民主党県連代表の篠原孝衆院議員は、将来、党の代表になるべき議員だったと無念さをにじませました。

県連代表・篠原孝衆院議員:
「(最後に会った23日は)元気がないとか感じませんでした。いつも通り、淡々と元気でした。だからびっくり仰天、痛恨の極みです。信じられません。誰からも好かれる、誰からも嫌われない。羽田孜元首相から引き継がれています。だから野党系にとっては大打撃です」

羽田議員に一任していた衆院3区の候補者や、参院補選は「全く未定」ということです。

去年夏の参院選で、羽田さんの選対本部長を務めた杉尾秀哉参院議員は…。

杉尾秀哉参院議員:
「二人三脚で選挙をして、師匠みたいな存在。恩人でもあるし同志でもある。“強い野党をつくる”っていうその遺志は受け継いで、発展させなければいけない」

県選挙管理委員会によりますと、羽田議員の死去に伴う参議院長野県区の補欠選挙は、来年4月8日公示、25日投票の見通しです。

長野放送

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最終更新:12/28(月) 18:49
NBS長野放送

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菅首相、政権危機で急浮上する「4月政変説」

2020年12月28日 10時42分55秒 | 社会・文化・政治・経済

12/28(月) 4:51配信

東洋経済オンライン

12月23日、首相官邸に入る菅義偉首相(写真:時事)

 コロナ禍に苦闘し続けた2020年が終わり、「すべてはコロナ次第」(首相経験者)となりそうな2021年の政局。その最大の焦点は衆院解散・総選挙の時期となりそうだ。

 菅義偉首相の選択肢は極めて限られるが、コロナ対応に迷走し、年末にかけての内閣支持率は急落。「菅首相が予算成立後に解散、4月25日投開票を模索し始めている」(自民幹部)との臆測も広がっている。

 政府は、次期通常国会を2021年1月18日に召集し、冒頭で第3次補正予算を成立させたうえで、新年度予算の年度内成立を目指す方針だ。このため、一時取り沙汰されていた年明け解散説は消滅し、菅首相による解散・総選挙の選択肢は「予算成立後」「通常国会会期末」「東京五輪後」の3つに絞られた格好だ。

■浮上する「菅降ろし」の動き

 菅首相はもともと、9月の政権発足時から「実績を積み重ねたうえで国民の信を問う」と考え、首相就任前に「9月の臨時国会冒頭解散ー10月25日衆院選投開票」の選択肢を消した。そのうえで、公約に掲げた携帯電話値下げとデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用という「3大スガ案件」の実現に邁進。それと並行してコロナ感染拡大阻止に「政治資源のほとんどを投入」(官邸筋)してきた。

 携帯料金値下げなどの公約は、担当閣僚が「菅さんのスピード感に追いまくられている」(平井卓也デジタル担当相)と嘆くほど実現に向けて作業は順調に進んでいるように見える。しかし、政権最大の課題である「コロナ感染防止と経済の両立」は11月以降の感染急拡大で崩壊し、肝いり政策だったGoToトラベルも12月14日に全国一旦停止決断に追い込まれた。

 このコロナ対策の迷走に、就任時歴代3位とされる平均70%前後だった内閣高支持率は急落。年末には支持と不支持が40%前後で拮抗する状況となった。わずか3カ月余りで支持率がこれほど大幅に急落した例は過去にもあまりない。

 年末には自民党内でも「菅政権がこのままじり貧状態になれば、選挙の顔にはならない」(閣僚経験者)との声が広がり、9月の自民党総裁選をにらんでの「菅降ろし」のうごめきも始まった。GoTo停止にもかかわらず、年明け以降もコロナ感染拡大の歯止めがかからなければ、「肝心の経済活性化も絵空事」(財務省幹部)となり、政権批判が加速しかねない。


活動してないのに報酬3億円 「幽霊消防団員」、その実態は?

2020年12月28日 10時29分09秒 | 事件・事故

12/27(日) 20:40配信

毎日新聞

「消防団員の処遇等に関する検討会」の初会合=東京都千代田区の総務省で12月24日、高橋祐貴撮影

 消防活動をしていないのに報酬や手当を受ける「幽霊消防団員」が各地で広がっている。消防団員は非常勤特別職の地方公務員。その活動実績は地方交付税の算定根拠になっている。団員の成り手不足が深刻化する中、活動需要があると装って予算を確保する苦肉の策とみられ、政府は実態調査に乗り出した。

 毎日新聞は全国の「幽霊団員」の存在を把握しようと、人口10万人以上の264都市を対象に2018、19年度の活動についてアンケート調査した。11月末から12月20日まで実施し、251市から回答を得た(回答率95%)。

 その結果、18、19年度の2年間にわたり活動履歴が残っていない団員が116自治体に計4776人おり、報酬の支払総額は計3億1427万円にのぼった。特に愛知県豊田市(1171人)、横浜市(890人)、山形市(236人)で多かった。中には子どもの見守りや祭りの警備など手当の支給対象外の活動をした団員も含まれるとみられるが、大半の消防団に活動の実態を把握できない「幽霊団員」がいることが分かった。アンケートでは、活動履歴のない団員は18年度に7799人、19年度には8967人いた。

 幽霊団員化を防止する動きも出ており、福島県郡山市は10月、独自の調査によって1年以上活動がない「幽霊団員」が168人いることを確認。全員に退団を勧告することを決めた。

 消防団員は1990年に100万人を割り込み、現在は約82万人。各地の自治体は団員確保を迫られており、「幽霊団員」を抱える理由について「団員の充足率を満たしていることにしないと自治体に注意されてしまう」との声も聞かれた。

 団員の処遇は給料にあたる「報酬」と、消火活動や訓練などに出動した際の「手当」がある。消防庁の資料によると、年間報酬の平均額(地方交付税算入額)は3万6500円、出動手当の平均額は1回当たり7000円。地方税収を原資とする自治体が多いが、兵庫県尼崎市や愛知県一宮市など地方交付税で全額を賄う自治体もある。

 毎日新聞は18年にも道府県庁所在地の45市を対象に15~16年度の活動状況について同様のアンケート調査を実施、活動実績のない団員が34市で計1548人おり、約7900万円が支払われていたことが判明した。今回は調査の対象を拡大して実施した。【高橋祐貴】

 ◇「見えない予算を生み出す幽霊を一掃すべき」

 今回の調査で判明した「幽霊団員」を利用した不正受給の可能性がある総額は約3億円。106兆円規模の年間予算を組む国家財政に照らすと小さな額だ。だが、税金が原資である以上、一円たりともごまかしは許されない。国からの地方交付税は地方が真に必要とする費用を項目ごとに積み上げる基準財政需要額を基に算定する。「幽霊団員」を理由に国の予算を得る行為は税金のだまし取りと言え、明らかに脱法行為である。

 「幽霊消防団」の存在は関係当局の間では古くから知られていた。長年にわたって放置してきた背景には、消防団が自民党の大きな票田という政治的な理由があり、閣僚経験者は「この問題だけは聖域。国会でも扱えなかった」と明かす。

 近年は集中豪雨などの災害が多発化。それでも危機的な財政状況の下、消防署などの「公助」(常備消防)にかける予算は大きく増やせない。「共助」の担い手である消防団が果たす役割は今後さらに大きくなっていく。政府は団員の減少を深刻に捉えており、団員確保に全力を挙げる構えだ。だが、処遇改善や負担軽減策だけでは問題は解決しない。ブラックボックスのような消防団に流れるお金の流れを透明化することなしに、共助の担い手は集まらないだろう。

 消防団の歴史は古い。江戸時代、八代将軍吉宗が江戸南町奉行の大岡越前守に命じ、町火消し「いろは四十八組」を設置させたことが始まりだ。越前守が持たせた「纏(まとい)」は今も団員の士気を高揚させる消防のシンボル。伝統ある消防団を「不正の温床」としないためにも、見えない予算を生み出す幽霊を一掃すべきだ。【三沢耕平】

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「自分」を仕事にする生き方

2020年12月28日 10時01分54秒 | 社会・文化・政治・経済
「自分」を仕事にする生き方 (幻冬舎単行本) by [はあちゅう]
 
 
何もやらないうちから不安になるなんて無意味!言い訳だらけの人生から脱出しよう。
ネット界のスターが実践する自分を武器にする極意。

「自分」とは、人生で築きあげた最大の財産であり、武器。そんな「自分」を無駄なく有効活用して、楽しく生きていくための方法をとことん具体的に現実的に伝授します。
たとえば、
◎自分が幸せになれない仕事は手放していい。
◎仕事を選ぶ時「世間体」は捨てる。
◎才能がなければ行動を速くする。
◎楽しそうなことにはどんどん飛び込む。
◎お金を目標にしなくなってからが本番。
◎自分が生きやすい世界をつくるための仕事をしよう!……などなど。
不安なのはみんな同じ。あとは、一歩踏み出せるかどうかです。
 

はあちゅう

1986年生まれ。幼少期を香港、シンガポールで過ごす。慶應義塾大学法学部在学中に友人と企画した期間限定ブログが書籍化されたことをきっかけに、媒体を横断した発信を開始。
ブロガー・作家。
慶應義塾大学法学部卒。電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。2018年7月に事実婚を発表。発表後「事実婚」がグーグルトレンド1位になり、女性誌、テレビなどで「事実婚」の特集が組まれるなど、話題に。

2019年9月に第一子を出産。育児をしながら、仕事を諦めない子育てママを応援する発信活動を続ける。家族の生活を赤裸々に綴ったブログはアメーバブログランキング一位、1日400万PV超を記録。

『仮想人生』『「自分」を仕事にする生き方』『恋が生まれるご飯のために』(すべて幻冬舎)、『旦那観察日記』(スクウェア・エニックス)、『半径5メートルの野望』『通りすがりのあなた』(ともに講談社)など著書多数。最新刊は『子供がずっと欲しかった』(幻冬舎)

ツイッターフォロワー24.4万人、
インスタグラムフォロワー12.3万人
(2020年6月現在)
 
 
 
 

「こんな最期、あまりにひどい」 コロナ院内感染の夫、旭川厚生病院が電話で「急変」 面会かなわず2時間後死亡、遺骨で対面

2020年12月28日 09時58分31秒 | 医科・歯科・介護

12/27(日) 12:59配信

北海道新聞

夫の告別式で弔辞として読まれた手紙。女性は何度も文面を読み返した

 【旭川】「こんな最期はあまりにひどい」。道北に住む女性は、長年連れ添った70代の夫の最期に立ち会えず、遺体とも対面できなかった。新型コロナウイルスのせいだ。夫は国内最大のクラスター(感染者集団)が発生している旭川厚生病院に入院して感染し、生きて病院を出ることはかなわなかった。数週間ぶりに火葬場で会えた夫は白い骨になっていた。

 2年前に胃がんが見つかった夫は、腹水がたまるなどの症状があったため、11月中旬に入院した。5日後、病院から予期せぬ連絡が入り、言葉を失った。「新型コロナの感染が確認されたので隔離します」。夫はその日、病院が発表した院内感染患者19人のうちの1人だった。その後、担当医から「容体は安定した」と知らせがあり、妻は「そのうち戻ってくる」と思っていた。

 数週間がたった日の朝、医師から急変を知らせる電話があった。感染防止で面会できないまま2時間後、夫が息を引き取ったことを再び電話で伝えられた。「最期に夫に会いたい」と頼んだが、断られ、4時間後に火葬場に運ぶとの説明を受けた。

 慌ててひつぎに入れる品を探した。半世紀以上、高校球児を指導した夫のため、野球のボールを選んだ。火葬でウイルスは死滅したと言われ、夫の骨を長男夫婦と拾った。疲れ切って「何かを考える体力も気力もなかった」と振り返る。

 告別式には、野球の教え子や関係者が100人以上集まった。腎臓病のため欠席した高校野球部の元部長から手紙が届き、弔辞として読まれた。文面は、夫の熱心な野球指導を振り返り「私も長くお待たせせずにいくと思います。酒でも飲みながら野球談議を聞かせて」と、締めくくられていた。

 「夫がこんなに慕われていた」と心は少し休まったものの、長年の伴侶を失った喪失感はぬぐえず、「生きる目標を見失った」と話す。「だれを恨むわけではないが、どうしてこうなったのか」と、涙を拭う日が続く。

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「無情な死」…10人が同時に人工呼吸管理  コロナ重症病棟の今

2020年12月28日 09時54分27秒 | 医科・歯科・介護

12/28(月) 5:55配信

神戸新聞NEXT

透明の納体袋に遺体を納める看護師ら=25日夜、神戸市中央区港島南町2、同市立医療センター中央市民病院

 その夜、1人の高齢女性が命を落とした。兵庫県内で新型コロナウイルス重症患者を受け入れる最大の機関、神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)。11月9日に運用を始めたプレハブの臨時病棟で、医師や看護師らが昼夜を分かたず、見えないウイルスに立ち向かう。だが救えない人も出ている。当直医は、高齢になるほど救命率が下がることを日々痛感し、「このウイルスは無情だ」と語った。

「透明の納体袋」市が準備 突然の感染死「故人を見たい」

 病棟内で記者1人の取材が許可され、中央司令室に当たるスタッフルームに入った。取材できたのはクリスマスの25日、午前8時すぎから翌26日午前9時すぎまでの25時間。兵庫の1日当たり新規感染者が232人と、初めて200人を超えた日だった。前日のPCR検査や2週間の行動歴調査が課せられ、立ち入りはグリーン(清潔)ゾーンのみに制限された。

 臨時病棟は2棟に分かれ、人工呼吸器などを前提とした重症者用のA病棟は個室14床を備える。中等症用のB病棟は4人部屋を中心に22床がある。25日は昼にA病棟が満床となり、過去に例がない10人が同時に人工呼吸管理となった。

 午後8時ごろ、人工呼吸器につながれていた高齢女性が、ひっそりと人生の幕を閉じた。しかし、記者は新たな患者の受け入れ準備でざわつく病棟に気をとられて気付けなかった。

 カメラには、午後11時前にその病室に職員が集まり、ビニールのようなものを扱う写真が偶然収められていた。排せつ介助などをしているのかと思っていたが、それは、遺体を透明の納体袋に納める作業だったと後に知った。

 衝撃を受けた。昼間、職員がこの女性の髪の毛を洗い、ドライヤーで丁寧に乾かしていた様子を覚えていたからだ。人工呼吸が長くなり、本人はベッドで眠り続けていたが、治療だけでなく「人として」のケアも受けていた。「気持ち良くなってもらいたい」。そのときの看護師の声も耳に残っていた。

 感染防止のため霊安室に移せず、女性は病室に残された。しかし数時間後、新たな救急搬送などに備え、ベッドを空けるよう方針が変更される。翌日葬儀会社が迎えに来るまでB病棟に安置すると決まった。先ほどまで、そこにあった命。ぽかんと空いた病室を、看護師が消毒する姿が悲しかった。(霍見真一郎)

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医療事故で1歳児死亡 気管チューブ外れたまま酸素注入

2020年12月28日 04時21分55秒 | 社会・文化・政治・経済

12/28(月) 6:00配信

朝日新聞デジタル

男児が着けていた気管カニューレ(左)。細いチューブの先を気管内に入れる。右は加湿のためのキャップ

 名古屋市南区の社会医療法人宏潤会・大同病院(野々垣浩二病院長)で今月、医療事故が起き、入院中の1歳男児が死亡していたことがわかった。酸素を取り入れるため首に装着していた気管チューブが外れ、適切な救命措置がとられなかったとみられる。病院は調査を始めたが、遺族は第三者による原因究明を求めている。

【写真】1歳男児が死亡した大同病院=2020年12月21日午後2時30分、名古屋市南区、嶋田圭一郎撮影

 死亡診断書によると、男児は17日午前9時55分に急性心不全で死亡した。首に開けた穴から気管に通す呼吸用チューブ(カニューレ)が外れ、呼吸困難になったとしている。

 遺族が26日に受けた病院側の説明によると、男児に異変があったのは午前7時40分ごろ。男児の血中の酸素状態や心拍を測る機器が警報音を発した。当時、名古屋市の児童相談所から派遣されて男児をみていたヘルパーや、看護師は病室にいなかった。

 その後、戻ったヘルパーが男児の異変に気付いて看護師を呼び、医師も駆け付け、5人で救命措置にあたった。緊急用の気管チューブに2回交換したが、チューブが気管内に入っていない状態で酸素を注入し、酸素が入ってはならない胸部に注入し続けていたという。男児は約2時間後に死亡した。

 当初の気管チューブは体内で外れたとみられるが、看護師らは外見で固定されていると判断していた。病院側は「どの段階で外れたかは分からない」とした。

 遺族によると、男児は昨年11月、未熟児で生まれ、今年5月、気管切開の手術を受けた。気管チューブを着けて家庭で生活し、動物園などへの外出も元気に楽しんでいた。大同病院の主治医と看護師が約2週間ごとに家庭を訪れ、男児を診察していた。成長は良好で、来月下旬には首の切開部をふさぐ手術を受け、チューブ無しでの生活を始めることが決まっていた。

 大同病院は、看護する家族の心身の疲労を減らすため、病院が一定期間子どもを預かる「レスパイト入院」を導入している。男児は14~18日の予定で預けられていた。

 男児の父親は「気管チューブは子どもの命綱。様子がおかしい時は、最優先に装着状況を確認するべきだ。病院の管理態勢はずさんすぎる。家庭でみていたら絶対にこんなことにはならず、命を救えた」と不信感を募らせる。

 大同病院の朝生和光事務局長は、朝日新聞の取材に「現時点でお話しできることはない。ご遺族には真摯(しんし)に対応する」と話した。(嶋田圭一郎)

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美空ひばり聖地消滅のピンチ! 不肖の長男の8億円借金苦で売りに出されたひばり御殿【年間ベスト10】

2020年12月28日 04時21分55秒 | 社会・文化・政治・経済

12/27(日) 8:00配信

デイリー新潮

加藤和也氏

 2021年は、故・美空ひばりの芸能活動開始から75周年に当たる。そんな節目を前に浮上した、彼女の記念館をめぐる問題が今年10位のアクセスを集めた。「週刊新潮」では、御殿の危機に現れた“救世主”について詳報している(以下は20年1月12日配信当時のもの)

【写真】借金苦で消滅の危機!「美空ひばり御殿」

 ***

 テクノロジーを駆使してよみがえった美空ひばりが新曲を披露する。紅白歌合戦が頼りにするのは今も彼女なのだ。ところが、そんな盛り上がりをよそに、ひばりの「聖地」が売りに出されていた。売主は、長男の加藤和也氏(48)だ。

 東京は目黒区青葉台。お洒落な男女が行き交う代官山からほど近い一角に、「東京目黒 美空ひばり記念館」がある。「ひばり御殿」と呼ばれた彼女の居宅をそのまま使ったメモリアル施設だ。

 記念館は予約制になっており、来館者はプライベートな“ひばりワールド”を満喫できるようになっている。リビングには彼女が愛用していたグランドピアノやソファーなどが残され、仏間には、ファンからの手紙が山のように置いてある。聞けば、ひばりが現役の頃からの付き人2人と、料理係の女性が今もお給料をもらいながら、暮らしているという。まるで、30年前から時間が止まったままのような場所なのだ。そんな「ひばり記念館」が、土地ごと売りに出されているとの噂が業界で立ったのは、ここ数カ月のこと。

 記念館の関係者が言う。

「売却に向けて動いていたのはひばりプロダクションの加藤和也社長です。希望価格は14億円で、なぜか急いでいるとのことでした」

 知られているように、加藤氏はひばりの実弟(加藤哲也)の長男で、7歳でひばりと養子縁組。弱冠17歳の時に「ひばりプロダクション」の社長に就任している。1989年にひばりが亡くなると、10億3千万円余りを相続。まだ10代でありながら、一生お金に困ることはないと思われていたのだったが……。

年利15%の高利で
 加藤氏が相続したひばりの遺産は、大きく分けてひばりプロダクションと不動産がある。ひばりプロダクションは、テレビやCMから入ってくる著作権、カラオケの歌唱印税、またメモリアルコンサートで得られる収入、ファンクラブ(約2200人)の会費などがある。信用調査機関によると、年商は1億数千万円。加藤氏の年収はかつて数千万円にのぼったと見られる。

 一方、不動産では最も大きなものが、現在のひばり記念館の土地建物だ。敷地面積が563平方メートルと、「御殿」と呼ばれただけあるが、不動産の登記簿謄本からは、意外な過去が見える。パチンコ機メーカーなどから、億単位の資金を借りてきたことが記されているのだ。

 そうした経緯の中でも、問題なのは、2017年の4月に借りた金だ。不動産金融で知られる「アサックス」が極度額6億1千万円の「根抵当権」を付けている。これは極度額の範囲なら何度でも借り入れと返済ができるという契約だ。さらに、同年6月には極度額を7億1千万円に引き上げ、9月にはさらに8億円までアップしている。また、加藤氏は、同時期に世田谷区にある自宅マンションも、その借金の「共同担保」に入れている。02年に購入した2億円の物件だ。

 この登記簿を見た不動産関係者は、

「アサックスは、主に銀行からもはや借りられない人が使う会社で、金利が年6~8%かかります。単純計算ですが、利息だけで年4千万~6千万円を払わなくてはなりません。銀行の事業ローンが2%台ですから、いかに高いか分るでしょう。しかも、アサックスの場合、返済できなければ、すぐに不動産が競売にかけられてしまう」

 そんな金融機関に頼っていることからして驚きだが、資金繰りの苦しさをいよいよ露呈させたのが19年の11月。加藤氏は渋谷区の不動産金融業者からも2千万円を借り入れていた。金利はなんと年15%。かつては、「¥マネーの虎」(日本テレビ系)に出資者として出演し、「ビジネスとは――」とご高説を垂れ、カネにものを言わせる側に立っていた加藤氏に何があったのだろうか。

「加藤さんの会社の資金繰りが悪化したのは、10年以上前からのことなんです」

 とは加藤氏の知人である。

「最初の躓きは、08年のことでした。加藤さんは京都の嵐山にあった『美空ひばり記念館』の施設を買い取って、『京都嵐山ひばり座』としてリニューアルオープンさせたのです。高級ホテルのような豪華な造りで、ひばりさんが映画に出演した時の衣装や台本などが陳列されていました。これにつぎ込んだお金が約13億円です」

 この年、加藤氏はパチンコ機メーカーの「京楽産業」から10億円を借りている。同社の関係者によると、パチンコ台にひばりの画像を使わせる契約を交わし、〈美空ひばり不死鳥伝説〉などの著作権収入から返済してゆく契約だったという。ところが、肝心のひばり座は赤字を垂れ流し、13年に閉館に追い込まれてしまう。

「『ひばり座』を維持できなかったのは、ファンの“聖地”が無くなるという意味でも大きな痛手でした。その代わりの意味もあって、加藤さんは、翌年、東京・目黒のひばり邸に『美空ひばり記念館』をオープンさせたのです。しかし、巨額の負債は残ったままでした」(同)

 このマイナスを挽回する意味もあったのか、ひばりプロダクションは17年に、AKB48や五木ひろし、さだまさし、天童よしみといった豪華ゲストを呼んで開かれた「美空ひばり生誕80周年特別企画in東京ドーム」を主催。また記念CDも大々的に発売する。

「ですが、ひばりファンも高齢化でコンサートに足を運ぶ客は少なくなっています。豪華ゲストで集客しようとしたものの、かかった費用がさらに重くのしかかっていたのです」(同)

 加藤氏が高利の不動産担保金融に手を出すのは、この後のこと。しかし、利払いに耐え切れなくなり、夏ごろから記念館の売り先を探し始めていた。

(2)へつづく

2020年12月27日 掲載

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布袋 英国から帰国に批判も「判断間違いなかった」「色々な考えや意見があるが…」

2020年12月28日 04時16分46秒 | 社会・文化・政治・経済

12/27(日) 21:59配信

デイリースポーツ

布袋寅泰

 ギタリストの布袋寅泰が27日、自身のインスタグラムを更新。感染力が強いとされる新型コロナウイルス感染症の変異種が流行中の英国・ロンドンから24日に帰国した理由を長文で説明した。

【写真】帰国した布袋、呼気バルブ付き高性能マスクで険しい表情

 日本政府は24日から英国、南アフリカに滞在歴がある外国人の新規入国を拒否。28日からは全ての国・地域からの外国人に関し、新規入国を対年1月末まで一時停止する。

 ロンドン在住の布袋は来年1月30日、31日の2日間にわたり、日本武道館で40周年記念公演を開催する。30日はBOOWY、COMPLEX時代の曲を中心に、31日はソロになってからの長いキャリアを振り返る内容が予定されている。

 クリスマスイブに帰国し、24日のインスタで呼気バルブ2つがついた高性能マスクを着用した自撮り写真とともに「無事に帰国しました。PCR検査結果も陰性でした」と報告。しかし、コメント欄には、この時期の帰国を批判する厳しいコメントも散見されていた。

 布袋は27日、インスタを更新し、「予定を早め規定に準じた形で単身帰国し、今後の推移を見て対応するという判断に、間違いはなかったと思っています」と投稿。ロンドンでは外出もせず、自粛生活を送っていたこと、2週間の自己隔離終了後、念のために再検査を行うことなどを説明。「『イギリス』というキーワードが毎日ニュースで繰り返される中、いろいろな考えや意見があるのは最もなことだし、受け止めるべきは受け止めます」とした上で、「自分の言葉を飲み込んで終わるのは悲しく、苦しいので」自身の思いを書き綴ったことを明かした。

【以下、布袋のコメント全文】

予期せぬ感染の急展開により当初予定していた航空便がキャンセルされ、発表されているコンサートがアーチスト本人の不在を理由にキャンセルとなる万が一の事態を避けるため、予定を早め規定に準じた形で単身帰国し、今後の推移を見て対応するという判断に、間違いはなかったと思っています。

今年のロンドンでの生活は、出来る限りの徹底した感染予防対策をとり、外出も人との接触もせず、黙々と家に篭り過ごしてきました。それは9月に発表した2021年1月の武道館公演の実現に望みを託す、コンサートスタッフ関係者を含むチームのリーダーとしての責任であるからです。日本では現在キャパシティーの半分、または5千人を上限とした形で開催されているコンサートも、今後の感染拡大の推移によって、政府から新たな規制が発表されるかもしれません。その時は、我々はその判断に従うのみです。

2020年はすべてのライブ活動を発表もできぬままキャンセルしました。先の見えない状況に迷い戸惑いながらも、少しでも多くの皆さんに音楽でエールを送りたいという想いはすべてのアーチストの共通の願いです。「イギリス」というキーワードが毎日ニュースで繰り返される中、いろいろな考えや意見があるのは最もなことだし、受け止めるべきは受け止めます。本当に誰もにとって苦難だらけの2020年の終わりに、自分の言葉を飲み込んで終わるのは悲しく、苦しいので、一言お伝えしました。2週間の自己隔離期間が終わったら、念のために再検査も行うつもりです。1月のライブの実現を願っているのは僕だけではないことを信じたいと思います。

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羽田雄一郎参院議員が死去 53歳、PCR検査前に急変

2020年12月28日 04時14分15秒 | 社会・文化・政治・経済

12/27(日) 20:25配信

朝日新聞デジタル

当選確実が伝えられ、杉尾秀哉参院議員(右)と握手を交わす羽田雄一郎氏(中央)=長野市内

 立憲民主党の羽田雄一郎参院幹事長が27日、東京都内で死去した。53歳だった。長野選挙区選出で当選5回。民主党政権で国土交通相を務めた。父は故・羽田孜元首相。

複数の立憲関係者によると、羽田氏は数日前から風邪の症状を訴えていて、27日に新型コロナウイルスのPCR検査を受ける予定だったが、病院に到着する前に容体が急変したという。 立憲の福山哲郎幹事長は27日夜、自身のツイッターに「羽田雄一郎参議院議員ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご病気によるご逝去と伺いました。あまりに突然のことで、悲しみで言葉もありません」と投稿した。

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GoToトラベル、全国で停止 判断遅れ、病床逼迫に懸念の声

2020年12月28日 03時57分32秒 | 社会・文化・政治・経済

12/28(月) 0:00配信

共同通信

政府は28日、観光支援事業「Go To トラベル」を全国で一時停止した。人の往来を抑制し、新型コロナウイルス感染拡大に歯止めをかけたい考えだ。ただ停止判断が遅いとして、年末年始の医療機関の病床逼迫を懸念する声が出ている。地域経済への打撃は大きく、民間研究所は3千億円超の経済損失と推計。停止は来年1月11日までの予定で、年明けに再開の可否を判断する。

28日は新型コロナ変異種の新たな国内侵入を阻止するため、全ての国・地域を対象に外国人の新規入国も一時停止。「Go To イベント」の代金割引も停止され、「イート」のプレミアム付き食事券を販売停止する県がある。

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追跡!あなたを狙う“闇バイト”

2020年12月28日 03時54分16秒 | 事件・事故
2020年11月26日(木) NHK
追跡!あなたを狙う“闇バイト”
 
全国で相次ぐ「持続化給付金」の不正受給や、詐欺、強盗・・・。今“手軽に稼げる”ことをうたう“闇バイト”に「つい手を出す」若者が急増している。取材班は若者たちや、闇バイトを斡旋する人物を追跡。すると、SNSを通じて簡単に“仕事”が紹介される“スピード感”が、コロナ禍で困窮する若者をひきつけていく実態が見えてきた。「金に困る若者は狙い目」と語り、若者たちを取り込んでいく“ネット犯罪の最前線”は、何を投げかけているのか?

出演者

  • 高橋暁子さん (ITジャーナリスト)
  • NHK記者
  • 武田真一 (キャスター)

19歳 コロナ禍で仕事失い…“受け子”に

私たちはまず、犯罪と知りながら闇バイトに手を出し、逮捕された若者に話を聞くことにしました。

闇バイトをして逮捕された少年
「“高単価バイト担当になります”“おいくつで、どちらにお住まいでしょうか?”って。」

19歳の少年です。4月、新型コロナウイルスの影響で建設現場の仕事を失いました。大好きなバイクを買った際に借りた、15万円の返済のめどが突如、立たなくなりました。友人から闇バイトの存在を聞き、SNSで探したといいます。

少年
「『闇バイトをやってみたら?』『もうやるしかないんちゃう、お金返されへんのやったら』って。“闇バイト”で調べて、特に何も怖いなとは思わず、わりと軽い気持ちで。面接とかなしで身分証を出して、やるかやらないかだけ言えば、あした、あさってからなので、むしろいいんじゃないかなって。」

紹介されたのは、高齢者からキャッシュカードをだまし取る“受け子”の闇バイトでした。報酬は30万円。十分に借金を返済できる額です。最初は疑ったものの、説明を聞くうちに引き受けることにしたといいます。

少年
「(相手は)『全然大丈夫です、簡単です』って、『絶対捕まらない、リスクほぼゼロです』『捕まった人はいません』みたいな感じで連絡来るので。とにかく今、お金がないと追い込まれている状況だったんで、わかってても、みたいな。リスクは背負いたくないですけど、もうやるしかないかな、みたいな感じで。」

言われるがままに銀行員になりすまし、指定された家を目指した少年。ところが、玄関口でだまそうとした相手に詐欺だと見抜かれ、自首するよう説得されました。その日のうちに少年は逮捕されました。

少年
「相手もうすうす気付いている感じで、『交番行こうや』って感じで言われて、もう無理かなってなったんで。そのとき冷静に判断をしていたら、大丈夫だったのかもしれないですけど、冷静な判断ができていないんで簡単に信じ込んで…。そのまま捕まった感じですね。」

“給付金不正受給” 大学生に忍び寄る誘い

今、SNSを通じて大学生が違法に金を稼ぐ犯罪に手を出し、逮捕される事件が相次いでいます。
9月に都内で起きた強盗傷害事件。大学生らが消防機器の点検を装って住宅に押し入り、現金などを奪おうとしました。供述によると、きっかけはSNSでの募集でした。
さらに、新型コロナの感染拡大を受けて広がる、持続化給付金の不正受給。全国各地で大学生の逮捕が相次いでいます。

取材からは、SNSを使ったことば巧みな勧誘が、学生に及んでいる実態が見えてきました。
不正受給に手を染めようとした、沖縄の大学生の男性です。突然、見ず知らずの相手からメッセージが届きました。

“学生でも最大で100万円もらえます。”

相手はそれと引き換えに、高額の手数料を要求してきました。当初、男性は警戒したといいます。

給付金不正受給に誘われた大学生
「ちょっと怪しいのかなと思いましたし、やっぱり学生という身なので、これで通るのか、お金がもらえるのか疑問に思いました。」

男性は勧誘を無視していましたが、1か月後、再びSNSで申請書の記入例とメッセージが送られてきました。男性は、やり取りを重ねるうちに、犯罪なのではという疑念が薄れていったといいます。

大学生
「質問しても『みんながやってるから大丈夫』とか、『税理士がついているので心配しなくていい』という形で。生活、引っ越しとかいろいろあったので、そのタイミングが重なって、やっぱりお金が必要だなと思って、そこで給付金をもらおうかなという形で。」

男性は相手を信用し、申告書にうその収入や職業などを書いて、申請に必要な手続きを済ませました。しかし、その後みずからの行為が犯罪に当たる可能性があると気付き、受給の一歩手前で、申請を取り下げることにしたのです。

大学生
「対面も何もしていないので、このLINE上だけでことが進んで、結果的に詐欺になってしまうという形だったので。誰でも被害にあう確率はあると思う。」

「メッセージが消える」あるツールが犯罪に…

さらに、若者たちが犯罪に関わる敷居を下げる、“あるツール”の存在も浮かび上がってきました。岡山県内の少年院。闇バイトの経験がある少年たちが「使用した」と口々に語ったのはあるアプリの名でした。

19歳の少年
「犯罪は全部『テレグラム』だった。」

17歳の少年
「警察も『テレグラム』の存在は知っているけど、お手上げって感じでした。」

19歳の少年
「こっちが送ったメッセージが消えるっていう仕組みがあって。」

ロシアで開発された通信アプリ「テレグラム」。プライバシーが守られる安全なコミュニケーションツールとして開発され、世界で4億人が使用しているといいます。

その機密性の高さから、香港の民主化運動では、デモに参加する若者たちの連絡手段として使われました。特殊詐欺に関わって逮捕された19歳のこの少年は、犯罪手口のやり取りに「テレグラム」を使っていました。
少年の元には「テレグラム」を通じて、詐欺や強盗に入る住所など、具体的な指示が伝えられていました。

このアプリには時間を設定しておけば、それまでのやり取りが自動で消去される機能がついています。消えたメッセージは復元できず、サーバーにも痕跡が残りません。
この少年は「テレグラム」でのやり取りは、警察に追跡されるおそれがほとんどないため、リスクを感じずに犯罪に加担したといいます。

19歳の少年
「電話もできますし、普通に文章も送れる、みたいな。LINEと大差ないっちゃないですけど、“身内”は全員、電話もテレグラムで電話。メッセージ送ってくるのも、全部テレグラムで送ってくるみたいな形でした。無理なんです、警察は。だから全部かたい意味で、テレグラムで連絡を取り合おうってしてました。」

“スピード”“手軽さ”巧妙な手口とは?

実際、若者たちを闇バイトにどう引き込んでいくのか。その手口をさらに取材することにしました。

「高収入とか」

ツイッターで闇バイトと検索すると、募集は分刻みで投稿されていました。目を引く高級車や高級腕時計。札束の写真。中には、思わぬキーワードも。

「『鬼滅の刃』がついに上映開始ですね。」

ハッシュタグには「鬼滅の刃」など、闇バイトとは無関係なことば。はやりの検索ワードをあえて載せることで、より多くの若者を闇バイトに導くねらいがあるとみられます。
「仕事に興味がある」とメッセージを送り、闇バイトをあっせんする人物にコンタクトを取ることにしました。

林雄大記者(NHK名古屋)
「返信がすぐきましたね。『あしたからの勤務可能でございます。内容は“受け出し”になります。』、“テレグラム”を相手が指定してきました。」

私たちは、仕事の内容を聞き出すことにしました。

記者
「さっきツイッターで連絡した者なんですけれど。」

(電話)闇バイトの指示役
「よろしくお願いします。さっそくなんですけど、こういったお仕事のご経験とかってありますか?」

記者
「いや、こういうの初めてで。」

指示役
「全然、初めてでも特に問題ないんで。」

未経験だと知ると、相手は具体的な内容を話し始めました。

指示役
「簡単に言いますと、スーツ着て銀行員を装っていただくんです。簡単に、ピンポン押して、お客様が出てきて、2分くらいで終わっちゃう作業なんですけど、こちらのほうで『キャッシュカードの確認に行く』ってお話してるんですね。お客さんっていくのは、信じているんで。本当に銀行員だって信じているんで、そういう人は残高とか暗証番号を全部言うんですね。そのままコンビニに行って(お金を)おろしてもらう。」

終始丁寧な口調。まるで、普通のアルバイト説明のような語り口で、話し続けます。

指示役
「週に何回とか、どれくらい希望してますかね?」

記者
「どれくらいやれるんですか?」

指示役
「基本的には平日は週5、毎日埋まってますし、土曜日もやってるんですよ。今、場所とか決まって、あした10時に着けますかね?」

最初に連絡を取ってから、わずか4時間余り。翌日の仕事が伝えられました。それでも不安だと告げてみると…。

指示役
「全然大丈夫です。何回も何回も教えますので、覚えるまでは。じゃあ、今すぐテレグラムで送るので、よろしくお願いします。」

電話を切って10分後。

記者
「やりとりの台本が送られてきました。」

送られてきたのは詐欺の受け子のマニュアルでした。誰でも簡単にできるよう玄関先でのやり取りが分かりやすく書かれています。このスピード感と手軽さが若者の警戒心を解いているとみられます。

「抜け出せない」増殖する“組織”

さらに私たちは、若者を犯罪へといざなう人物たちの実態に迫ろうとしました。

記者
「実は私、NHKの記者をしていまして、それで直接、話を聞けないかなと。」

(電話)
「ちょっと無理ですね。」

記者
「これまで(テレグラム)でやりとりをしていた、メッセージの内容が消されてしまいました。」

複数の相手に交渉を続けると、「T」と名乗る36歳の男が「テレグラム」でのやり取りを条件に、取材に応じました。

記者
「何でSNSで募集するんですか?」

指示役『T』
「1番、手っとり早いからじゃないですか。簡単だし、全国的にもできるし、身バレする心配も無いじゃないですか。労働者をとりあえず、今、集めているという段階ですかね。現場に出る人間というのは、数いればいるだけ、いいことはいいので。」

「T」によると、所属しているのは半グレや暴力団をトップとする、ピラミッド構造の組織。みずからは若者などの実行役を取りまとめる、指示役だといいます。実行役が奪った現金は、指示役を経由してトップに流れ、みずからの月収は手取りで200万円だといいます。

記者
「逮捕された人って、どれくらいいるんですか?」

指示役『T』
「現場に出る子たちが捕まるというのは、頻繁に情報として上がってきますけど、我々(指示役)の立ち位置で捕まったというのは、聞いたことないですね。」

記者
「若い人たちというのは、使い捨てみたいになっているという一面がある?」

指示役『T』
「『使い捨てみたいな感じ』というか、ぶっちゃけ正直、最初から『使い捨て』ですよ。」

一度、組織にとらわれると、若者たちが抜け出すのは困難であることも分かってきました。少年院で取材した19歳の少年。闇バイトでミスしたことがきっかけで、組織から抜け出せなくなった仲間を、目の当たりにしていました。

19歳の少年
「けじめつけないとあかん。『お前はこれ(失敗を)やったから100万払えよ』って。でも100万払う能力がないってなったら、『俺がこれ(失敗の)面倒見てやるから』、例えば“かけ子”やったり、詐欺のリクルーターやったり、っていうのをやらされるパターン。もうずっと抜け出されへん。」

冒頭で紹介した、コロナ禍で仕事を失い、闇バイトに手を出して逮捕された少年です。実は1度だけ、指示役に闇バイトを辞めたいと告げたことがありました。しかし、みずから運転免許証の写真を渡していたことで、かなわなかったといいます。

闇バイトで逮捕された少年
「やめたいんですけどって言ったら、『いや、もう無理やから』みたいな。身分証も持ってるから、勝手に連絡切るようなことしたら、『家まで行くで』って、脅しって感じで逃げられない。『1件だけ成功したら、やめていいから』って言われて、最悪でも絶対1回はやることになる。確実に、絶対捕まる。どれだけお金に困っていても、それだけには手を出さないでほしい。」

さらに、組織を抜け出せない若者たちが、次々と新たな若者を引き込んでいく実態も見えてきました。指示役「T」は、「若者を集めてきた者が、昇給する仕組みがある」と明かしました。

記者
「応募する人を集めてきたら出世できる?」

指示役『T』
「集めただけではダメなんですけど、実際、集めた方たちが定期的に出てくれて、ちゃんと仕事もしっかりこなすというのをある程度の期間やれば、昇給のほうはどんどんしていく形にはなっています。」

「T」によると、抜け出せなくなった若者は、捕まるリスクの少ない指示役に回ることを目指すといいます。新たな若者たちが勧誘され、組織はおのずと増殖を続けているといいます。

指示役『T』
「完璧に1個の三角形じゃなくて、三角形が2個も3個もあるような感じですかね。請負業者みたいな形ですかね。」

記者
「今、コロナで若い人たちがお金に困っていたりしますけど。」

指示役『T』
「結構、狙い目ではあります。基本的に、お金に困っている子が多いんで。」

私たちは、「T」の行為を改めて問いただしました。

記者
「受け子とか出し子とか、10代とかもいると思うが、その点は?」

指示役『T』
「どう思っているかというと、正直、特に何も思っていないです。」

記者
「だましたお金じゃないですか?」

指示役『T』
「正直、最初は罪悪感がありますよ。ただ、こういう仕事していると、マヒしてきますよね。」

記者
「やめるつもりはない?」

指示役『T』
「表でまじめにやってる人と、裏でずっと生きている人の違いなんじゃないですか。自分でいうのもあれですけど、たぶん感情壊れているはずなんで、誰かをおとしめるという面に関しては、特に罪悪感とか持っていないので。」

通話を終えたその瞬間、テレグラムのやり取りはすべて消えました。
SNSに広がる闇バイトに簡単に引き込まれる若者たち。それは社会に何を投げかけているのでしょうか。

手を出さない 身を守るために

武田:罪悪感もない、使い捨てとまで言い切る指示役のことばに、憤りを感じます。ほかにも若者たちを闇バイトに誘う、巧みな手口があるそうですね。

林雄大記者(NHK名古屋):そうなんです。私が感じたのは、とにかく徹底的に若者の警戒心を解こうとしてくるというところです。
例えば私が詐欺の指示役にコンタクトをとった際に、「犬が苦手だ」と伝えてみたんですが、相手はすぐに「犬がいる家には派遣しない」と答えました。終始、こちらが何を不安に思っているのかを探りながら、警戒心を解こうとしているように感じました。さらにこちらの境遇も周到に探ってきます。彼らはさまざまな犯罪を用意していて、「なぜ困っているのか?」とか、「いくら欲しいのか?」など、さまざまなことを探ってきて、場合によっては“たたき”と呼ばれるような、強盗のような仕事を勧められるようなこともありました。

武田:なぜ若者が引き込まれてしまうのか。ITジャーナリストの高橋さんが考えるキーワード、まずは「困ったときにすぐそばにいる」。そして若者は「顔が見えなくても信用」してしまう。こんなことがあるそうです。

さらに今、コロナで家にいる時間が長くなったことで、「SNSを見る時間が増えた」という人が3割に上っていることも影響しているということなんですが、どういうことなんでしょうか?


ゲスト高橋暁子さん (ITジャーナリスト)

高橋さん:若者は、ふだん使いなれているSNSで、どんなことも検索してしまうんです。また、スマホでお小遣い稼ぎをすることも当たり前ですので、このような、もうけ話に乗ることも抵抗がないのかなと思います。また若者世代は、ネットのみでの、会ったことのないお友達が多い世代なんです。ネットでやり取りをしたときに、親切だったり丁寧だったりすると、それだけで相手のことを信用してしまう傾向にあります。またこのような投稿を多数見ることによって、「エコーチェンバー現象化」して、それによってこのようなことが、当たり前だとか大丈夫と思い込んでしまう傾向にあると思います。

武田:「エコーチェンバー」というのは、自分たちだけの世界で完結してしまうというふうなことですね?

高橋さん:そうです。このようなものが当たり前、そういうものばかりが耳に入って、それが当たり前と感じてしまう傾向のことです。また、情報をSNSのみでとる若者が非常に多く、ニュースサイトなどを見ません。このようなことで逮捕されるというようなことが耳に入っていないので、警戒しない傾向にあることも拍車をかけているかと思います。

武田:そして、「考える間もない」とありますが、高橋さんも実際に経験されたそうですね?

高橋さん:このようなものに応募してみたんですけれども、返事がすぐに返ってきました。若者の好む「スピード感」でもあるんですが、これは同時に考えさせないことによって警戒させない、また人に相談させない。すぐに犯罪に加担させてしまうということにつなげているのだと思います。

武田:組織を抜け出せないようにするということもありました。これ極めて悪質だと思いましたけれども、どんな実態があるんでしょうか。

林記者:私がコンタクトをとった相手は一様に、まず運転免許証などの証明書と自分の顔を一緒に並べたものを撮影して、写真を提出するように求めてきました。闇バイトを拒んだ場合にはおどされて、その写真がネット上にばらまかれるケースもあるようです。丁寧な勧誘で引き込まれていくうちに、いつの間にか相手に弱みを握られて身動きが取れない状態になっているんです。

武田:さらにコロナ禍の影響で、こうした闇バイトに引き込まれる若者が、今後増えていくおそれがあるというんです。
中京大学の大内裕和教授によりますと、コロナ禍で親の失業などによって、学費を学生自身が急きょ支払うことになってしまったという相談が続いているそうです。学生にとって、短期間に数十万円の学費をアルバイトで賄うことは不可能に近い。このことが、闇バイトに結びつく一つの要因になっているという見方もあります。
この闇バイトが若者たちを引き込んでいる実態を見てきましたが、どうすれば防ぐことができるんでしょうか?

高橋さん:このような災害時は、不安感につけ込むような募集が非常に増える傾向にあります。弱っているときには手を出したくなるんですけれども、手を出しても収入は得られないですし、逮捕されて終わってしまいます。このようなときに、もし心が引かれても、必ず周囲の信頼できる大人に相談したり、また信頼できるニュースサイトや検索サービスなどでしっかり検索をして、このような闇バイトに手を出したらどうなるのかということをしっかり調べた上で、引っ掛からない対策をしっかりしていただけたらと思っています。

武田:もし、そのニュースサイトなどを検索すれば…。

高橋さん:事件になった、逮捕されたという情報が得られると思います。

武田:なんとか、その一歩手前で踏みとどまる。

高橋さん:踏みとどまってしっかり情報を得て、相談してその先に行かないということが大事ですね。

林記者:指示役への取材からは、詐欺で銀行員などのふりをさせるために、見た目にも普通の若者を引き込もうとしていることが感じられました。
闇バイトを巡っては、きのう(25日)もガス点検を装って川崎市の住宅に押し入ったとして、25歳の男が逮捕されるなど、若者が手を染めるケースがあとを絶ちません。そして、闇バイトに引き込まれる若者が増えれば増えるほど、さらに多くの高齢者などが、詐欺や強盗などの被害に遭うことになります。闇バイトへの入り口は、私たちのすぐそばにあります。しかしこれは犯罪ですので絶対に手を出してはいけません。

武田:とにかく、何か心引かれたら、一歩手前で踏みとどまってください。


“パパ活”の闇 コロナ禍で追い詰められる女性たち

2020年12月28日 03時51分38秒 | 事件・事故
2020年12月1日(火) NHK
“パパ活”の闇 コロナ禍で追い詰められる女性たち

コロナ禍で、経済的に困窮する女性たちが深刻な危機に陥っている。なかでも心配されるのが、いわゆる“パパ活”に足を踏み入れる女性たち。男性と一緒に食事などをすることで、金を提供してもらうものだが、トラブルの温床といわれ、“個人売春”につながるケースも少なくない。番組では、家族の暮らしを守るためパパ活という選択をせざるを得ない女性たちや、パパ活を斡旋し毎月100万円以上稼ぐ人物などに密着。“パパ活”の実態に迫るとともに、コロナ禍で追い詰められる女性たちの苦悩を伝える。

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生活苦など 女性の悩みを相談できる窓口https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0020/topic002.html

※放送から1週間は「見逃し配信」がご覧になれます。こちらから ⇒https://www.nhk.jp/p/gendai/ts/WV5PLY8R43/

出演者

  • 石井光太さん (作家)
  • 白波瀬佐和子さん (東京大学大学院 教授 / 内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」座長)
  • 武田真一 (キャスター)

追い込まれる女性たち…“コロナ不況”の陰で

ホテルなどに女性を派遣し、性的なサービスを提供する風俗店で、半年ほど前から働くけいこさん(仮名・20代後半)。以前は、派遣の仕事をしていましたが、コロナの影響で契約を切られてしまいました。資格や特別なスキルもなかったため、再就職先は見つからず、コンビニのアルバイトをしながら、やむをえず風俗で働くことにしました。

けいこさん
「在宅ワークがだんだん増えてきて、在宅だと、派遣だったりアルバイトは要らないから、切られてしまって、次、何の仕事したらいいのか分かんなくなって、(コンビニの)アルバイトなんで、収入が本当に少なくて、時給も最低賃金でだいぶ厳しいので。」

長引くコロナ禍で、非正規の労働者は解雇されるなどして減少。そのうちおよそ7割が女性です。

けいこさんのように収入を補おうと、風俗業界に足を踏み入れる女性も少なくありません。しかし、その風俗業界も今、不況に見舞われています。この店も、コロナの発生以降客足は遠のき、売り上げは去年(2019年)の5分の1に落ち込んでいるといいます。

風俗店経営(47)
「かなりお客さんは少ない。緊急事態宣言中は、感染を避けていたということかな。今はお客さんが、お金がないのかな。店の経営状態は非常に厳しい。」

出勤しても、客が来なければ報酬はゼロ。最近は、1日8時間待機しても客が全く来ない日も珍しくないといいます。

けいこさん
「本当に、これで働かなかったら生きていけないし、収入源がなくなるのも本当に、今後、まだまだ続くと思うと、ちょっと怖い。」

風俗などで稼げず、苦境に立たされた女性たちが、わらにもすがる思いで駆け込む場所があります。夜の仕事で働く女性たちの、転職を支援する会社です。

昼間の仕事で少しでも稼げる職はないか。問い合わせの数が、去年の1.5倍に上っているといいます。

風俗と派遣キャバクラ勤務(31)
「コロナをきっかけに、ドンと来客数が減って。コロナもいつ終わるか分からないので、先が読めない、仕事を変えないとなって。」

風俗店勤務(27)
「家賃払えない、奨学金払えない。」

転職支援会社 日詰宣仁社長
「貯金切り崩しながら生活する、みたいな?」

キャバクラ勤務(24)
「本当にそうです。もう、そろそろヤバくって。」

しかし、この会社でも紹介できる求人が、去年よりおよそ3割減少しています。

日詰宣仁社長
「夜の店も働く枠がない。昼間仕事に行こうにも、スキルがある程度ある人とか、経験がある人から採用されていくので、むちゃくちゃ厳しい。」

<行き場を失った女性たちの声>

風俗店で働く29歳(他の風俗店へ出稼ぎに)
「出稼ぎは4月9日から16日までの1週間。茨城県、これは神奈川県。風俗イコール稼げる、っていうのはもうない。

風俗店で働く29歳
「今は、唯一収入あるのは、この家にあるものを売る。きのうはハンガーが売れました。これで2,000円ちょっと。」

風俗とパチンコ店で働く25歳(コロナで収入は月10万)
「晩ごはんです。いつもこんな感じです。」
「カラオケ店でしか働いてなかったんで、(風俗と)無縁なところにいたんで、母が亡くなった時に今後どうするか、(風俗に)行くしかないなと思って。」

風俗とパチンコ店で働く25歳
「(手話の)レッスン代も払えなくなってしまうし、あんなこともこんなこともあって、コロナで、もういい加減にしてくれって気持ちでいっぱい。一から全てやり直したいです。風俗で働いていることもそうですし、普通の人生歩みたいです。普通に就職できて、普通に働ける。当たり前ができるような人間になりたいですね。」

“パパ活”の闇 女性が危険にさらされる

困窮する女性たちの間で、ひそかに広がっていると見られるのが「パパ活」です。SNSや専用の掲示板、アプリなどを通じて男性と知り合い、一緒に食事などをすることで、お金を受け取ります。

文教大学の池辺正典さんは、SNSを調べ、「パパ活」といった援助交際につながる隠語などの動向を分析してきました。

「『ホ別』、これはどういう意味なんですか?」

文教大学 池辺正則准教授
「援助交際を募集するときに、『ホテル代を別にして、おいくら頂きたいです』とか。」

すると緊急事態宣言後、援助交際関連の投稿数が右肩上がりに増えていることが、分かってきました。

池辺正則准教授
「援助交際募集する側も、募集される側も、買う側、売る側もなんですけど、特に4月から9月に至るまでは、すごく増えていってしまっている。」

事情があってパパ活をしているという女性が、取材に応じてくれました。2人の未就学児を育てる30代の専業主婦、まりこさん(仮名・30代)です。パパ活を始めたのは、やはり経済的な理由でした。自営業の夫の収入がコロナの影響で激減。夫はストレスから暴言が多くなり、生活費も十分にもらえなくなったといいます。

まりこさん
「『主婦で何も収入がないのに、偉そうなこと言うな』とか、『俺は外で頑張っているのに、何もしないでずるい』とか言われます。主人に言っても(生活費を)もらえないので、家族の食費とおむつとか、自分の貯金から出しています。収入の激減と、主人からの暴言が増えたことで、もう本当に、精神的に壊れる寸前。なるべく暴言を吐かれないように、すごく毎日、気を遣って生きている。」

子どもが幼稚園や保育園に行っている間、これまで10人以上の男性と食事を繰り返してきました。次第に体の関係を求められるように。抵抗感はあったものの、数万円の援助を得られることから、断り切れなくなったといいます。

まりこさん
「これから子どもにどんどんお金かかってくるので、お茶だけでお金を頂くだけよりも、もっと欲しい。お金が欲しい。」

そうした中で、性暴力の被害にも遭ったそうです。

まりこさん
「やっぱり、ひょう変する人は、ひょう変しました。行為のときに、電気がすごいついてる状態で動画と写真を撮られそうになったり、無理やりに行為を強要してこられたり、避妊を協力してくれなかったり、血が出てきたときもありました。すごく痛くて怖かったんですけど、怖いっていうのも言えなくて、逃げるに逃げられなかった。何でこんなことしなきゃいけないんだろうと、悲しくもなりましたね。」

誰も守ってくれない、危険と隣り合わせの「パパ活」。でも、やめることはできないといいます。夫との離婚も考えますが、結婚を機に仕事を辞めてしまい、子どもや生活のことを考えると踏み出せずにいるのです。

まりこさん
「私一人で子育てして、この先ずっとやっていく自信が、まだちょっとないので、今は続けないと。それしか方法が分からないですね。高級なブランド品が欲しいとか、海外旅行に行きたいとか、そういうんじゃなくて、普通にお金の心配しないで暮らしたいだけなんです。」

コロナ禍で広がる「パパ活」。背後に、それをあっせんするビジネスを行う人物がいました。この男性は、専用の交際倶楽部に女性をあっせんし、その紹介料で収入を得ています。これまでに1,500人以上の女性にパパ活のノウハウを伝え、ビジネスにつなげてきました。

男性(34歳)
「“パパ活アプリ”に登録をして、プロフィールの書き方が分からない方とか、あとは男性の交渉ですかね。『お金下さい』なんて、はっきり言うと男性も引いてしまうので、男性が納得してお手当てを渡すトークのやり方とか。がっつり活動する方ですと、愛人クラブみたいのが存在してまして、そこの紹介と面接の対策などもやってますね。」

コロナの発生以降、毎月の売り上げはおよそ100万円。ことし(2020年)はすでに1,000万円以上稼いでいます。

男性
「問い合わせの数は本当に増えていまして、紹介の報酬に関しても過去最高。正直、ここまでいくとは思っていなかったんで。」

一方で、女性たちが危険にさらされることが多いという「パパ活」。男性はどう考えているのでしょうか。

「(パパ活は)トラブルの温床になっているのでは?」

男性
「ただ、嫌ならやめればいいっていう話なので。こういうことをしなくても、女性が生活できる世の中になるのが一番ですけど、僕一人の力でそれを変えることは難しいので。今、“パパ活”なんていう、ちょっとライトな言葉になっていますけど、一昔前だったら、“援助交際”とか、“愛人”なんていう言葉で。そういう言葉がなくならないし、なくなることはもう、僕は無理なんじゃないかと思ってて、そこの後ろめたさはないですね。」

コロナ不況の中、追い詰められる女性たち。その背景と支援の手だてを掘り下げます。

追いつめられる女性 どう支えるか

武田:厳しい状況に追い詰められている皆さん、このように、たくさん相談できる窓口はあります。現在抱えている悩みや困難など、どんなささいなことでも、まずは相談してください。

※関連記事
生活苦など 女性の悩みを相談できる窓口https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0020/topic002.html

内閣府、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会で、座長を務めていらっしゃった白波瀬さん。昼間の仕事のスキルも経験もない、アルバイトをしても賃金が安い。風俗に行くしかないけれども、それも稼げない。本当に胸が潰れるような声でしたけれども、どう受け止められましたか?

ゲスト白波瀬佐和子さん(東京大学大学院 教授 / 内閣府「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」座長)

白波瀬さん:大変厳しい状況だということが確認されたと思います。ただ、今回のコロナ禍で最も重要なポイントは、今まであった構造的な問題が表面化したということだと思うんですね。就業者数、われわれの研究会ではやっておりますけれども、就業者数、男女で見て区別しても、女性の減り方というのが非常に大きい。ただ、そこの背景にはコロナ禍で直撃を受けた産業というのが、飲食業もそうですし、対人サービスというところに女性が集中していて、特に不安定な働き方が多い、非正規の人たちが多かったということです。

日本の労働市場というのは、男女間でものすごく分断されているというのはずっと言われているんですけれど、結局、60年代以降の男女間の格差という構造を今まで温存してきた、そのおつりが、弱い人たちに出ているという、われわれの世代の責任だとも感じています。

武田:性風俗産業についても取材してきた石井さん。新型コロナが、より弱い立場の女性たちをここまで追い詰めているという状況。どうご覧になりましたか?

ゲスト石井光太さん(作家)

石井さん:今、風俗の世界では、非常に個人売春が増えていると言われているんですね。やはり経済的な問題を抱えてしまっている人たちが、夜の街に働きに出ようと思っても、今、例えばキャバクラだとかスナックだとか、そういったような店がほとんど営業ができていないんですね。だからこそ彼女たちは直接風俗の世界に入っていってしまう。本当にその夜の街というのが、底が抜けたような形になってしまって、ダイレクトに「個人売春」というところに流れていってしまっているというのが、現状だと思っています。

武田:白波瀬さん。VTRの中で夫の暴言にさらされて、「パパ活」に行かざるを得なくなったという女性の声がありましたけれども、そういった経済的事情だけじゃなくて、家庭の中の問題も、女性を追い込んでいるという現状があるんですね。

白波瀬さん:家庭の男女間の関係というのが、いろんな根っこにあるということも言われているんです。国連のグテーレス事務総長も、今回のコロナ禍は、「女性と女の子の問題として集中的に対応すべき」ということもあったと思います。つまりここでは自己決定できない、弱い立場の女性の姿というのが見られたかなと感じます。

武田:離婚できない、苦しいけれども離婚できない。つまり生き方を自分で何も決められないということなんですね。

白波瀬さん:逃れることができない、選択肢があまりないという状況だと思いますね。

武田:「パパ活」ということばがありますけれども、一見ソフトなことばですが、そのことばの裏に、実は大きなリスクが潜んでいるということも見えてきましたね。

石井さん:「パパ活」ということばは一番初めこそ、デートしてお金をもらうというようなビジネスだったんですけれども、数年前からは完全に売春、特に一番リスクの高いというふうに言われている、個人売春を指すことばになってきてしまっています。そういった怖い売春を昔、「援助交際」と言ったように、やわらかい「パパ活」ということばでカモフラージュしていくというのが現状です。この個人売春の何が怖いかというと、やはりお店に守ってもらえないがゆえに、恐喝をされたりあるいは病気になってしまったり、あるいは本当にポルノとして利用されてしまったり、そういったことはたくさんあります。そういったことが今、現状風俗の世界で広がっているということを、認識しなければならないと思っています。

武田:パパ活をする男性の側も自覚しているかどうかは別にして、女性の弱みにつけ込んでいるということになりますね。

白波瀬さん:これはやはり加害者であると。男性が、加害者になっているという事実は否めないと思いますね。

武田:長引くコロナ禍で、大人の女性だけでなく未成年の少女たちへの影響も深刻になっています。特に家庭内で問題を抱えている少女たちは行き場を失い、性的な被害などのリスクが高まっていることが分かってきました。

SNSで悩みを…少女たちに迫るリスク

10代から20代の、若い女性の支援を行っているNPOです。この日は、親との関係がうまくいかず、1人暮らしをしている未成年の少女が相談にやってきました。コロナ禍で仕事が見つからず、とはいえ、実家にも帰れない苦しい状況だといいます。

少女(18歳・ひとり暮らし)
「8月の最初らへんは、マジで廃人生活してた。」

そだちの樹 吉川彩香さん
「どう乗り切った?」

少女
「とりあえず、レトルトのみそ汁を飲みまくってた。一回ちょっと、ホームレスもありかな、って血迷った。」

NPOでは未成年の少女たちが今、大きな危険にさらされていると感じています。家族との関係がうまくいっていない少女たちが、コロナの影響で孤立。悩みをネットに書き込む子も少なくありません。そうした書き込みが、性的被害のリスクを高めていると懸念しているのです。

そだちの樹 吉川彩香さん
「今までよりも『さみしい』とか『人に会いたい』とか、SNSでこぼしたり、コメントしたり、パパ活する側の男性たちも、SNSでそういう発言が増えていると分かっている。女の子たちは、人のぬくもりを求めることが多いのかな、と。『さみしい』とか、それを埋めるためにトラブルに巻き込まれちゃう。」

NPOでは、コロナ以降若者がよく利用する掲示板やSNSを、こまめにチェックするようにしています。深刻だと思われる書き込みに対しては返信し、専門の相談機関も紹介しています。しかし、少女たちの書き込みは目につくだけでも膨大で、対応が追いつきません。

そだちの樹 吉川彩香さん
「『死にたい』とか『消えたい』とか、『つらい』っていうつぶやきもあるし。『死にたい』で検索すると、回答受付中だけで3,043件。今までの解決済みも入れると33万件。適切な場所に相談できるように、誘導できる人たちがSNSにどんどん入っていったらいいんじゃないか。」

コロナ禍で行き場を失った少女たち。今、何が求められているのでしょうか。

追いつめられる女性 どう支えるか

武田:このNPOでは繁華街の夜回りをして、行き場のない少女たちの悩みを聞く取り組みをしてきました。しかし、コロナで少女たちが街に出てこなくなって、SNS上で不特定多数の人に悩みを投稿するようになっている。そのことを危惧していました。石井さん、苦境が少女たちにも及んでいる。本当に何とかしないといけないですね。

石井さん:そうですね。10代の売春の多くは、虐待から逃げるというような形で起きてしまいます。ただ多くの女性というのは、18~19歳ぐらいまで何とか家にとどまって、例えば寮がついている仕事に就いたり、あるいは「性産業」ではない夜の仕事に就いたりすることによって、家庭から逃げ出すということをしているんです。しかし今回、コロナによって家庭の環境が非常に悪くなることによって、もう13~4歳、5歳で逃げてしまう。そうすると仕事はないので、個人売春をするしかなくなってしまっている、という構図があります。今、私たちが考えなければならないのは、コロナによって少女たちがそういった状況に陥っているんだということを、しっかりと認識した上で、早めに家庭にどうやって介入するのか。学校として、どうやってそれを防いでいくのか。そう考える必要があると思っています。

武田:白波瀬さんは政府の研究会の座長もお務めになりましたけれども、こういった危機的な状況にある女性たちに、どんな支援を今やるべきだとお考えでしょうか?

白波瀬さん:今もありましたように、コロナ禍というのは「密室化」がどんどん進むということですので、家庭内のDVとか性暴力、これについて重点的に介入を含めて対策を進める。あと「エッセンシャルワーカー」と言われる、介護士、保育士というような人たちの待遇をよくして、心ない否定的な見解、差別的な見解についてはやらないというリテラシーを高めるということと、やはり最後は母子家庭。日本は貧困率が非常に高いので、母子家庭に対して、集中的に子育てとの問題が同時進行しますから、そこは集中的に提供するというのが重要だと考えております。

武田:まさに国のリーダーシップが必要だと?

白波瀬さん:そう考えています。

武田:石井さん、コロナ禍で女性の危機が、改めて浮かび上がってきたわけですけれども、そもそもこれは、女性が男性に比べて社会的な、不利な状況がもともとあったわけですよね?そこをどう変えていくかということが、突きつけられていると思ったんですが、いかがですか?

石井さん:「パパ活」ということばから分かるように、これはもう女性が男性に利用されてるわけです。その利用されているということはどういうことかと言えば、本当に男性優位の社会があるということなんですね。男性優位の社会があるにも関わらず、やはりわれわれというのは、そのこぼれ落ちた女性が売春をした。「それって自己責任じゃないの?」とか「自業自得だよね」と言ってしまう。でもこれは、不当に男性優位の社会というものを、正当化することでしかないと思うんです。われわれが考えなければいけないのは、そういうことばでごまかすことではなくて、きちんとその問題の根源を見つめて、どうやれば私たちは平等に生きられるのか、ということを考える。そこでしか、スタートラインに立つことはできないんじゃないかなと思っています。

※関連記事
生活苦など 女性の悩みを相談できる窓口
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0020/topic002.html