被害者9人が生きた人生とは…座間事件で死刑判決

2020年12月16日 03時40分10秒 | 事件・事故

12/15(火) 23:30配信

テレビ朝日系(ANN)

2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件で、白石隆浩被告(30)に15日、死刑判決が言い渡されました。多くの被害者は「死にたい」などと、SNSにつぶやいたことがきっかけで、白石被告と知り合いましたが、裁判では、9人について「殺害されることへの承諾はなかった」と認められました。

被害者9人の方が、どんな思いを抱いていたのか。裁判での証言などをもとに、一人ずつ紹介していきます。

神奈川県の女性(21)と精神科の病院で知り合った友人は「生きたいという意思も持っていた」と話しています。パソコンの資格を取るため、事件の2カ月前から勉強に取り組んでいました。
  
群馬県の女子高校生(15)は、中学では演劇部に所属し、友だちも多く、充実した毎日を送っていました。白石被告と直接会った後、「色々考えた結果、生きていこうと思います」とメッセージを送っていました。

神奈川県の男性(20)は、当時、休職中でしたが、間もなく復帰する予定でした。男性も白石被告に悩みを語った後、「俺、これからはちゃんと生きていきます」とメッセージを送っていました。
   
埼玉県の女性(19)は、真面目で頑張り屋さんな性格でした。殺害された日の1週間後にも美容院の予約を入れていました。事件後も友達とイベントに行く予定などを立てていました。

埼玉県の女性(26)は、当時は離れて暮らす6歳の長女がいました。出産後、精神的に不安定になっていましたが、訪問看護のサポートも受けながら、一人暮らしをしていました。
   
福島県の女子高校生(17)の将来の夢は保健室の先生で、悩みのある生徒を励ましたいと考えていました。白石被告と会った後も、友だちとLINEでやり取りをしていました。

埼玉県の女性(17)は、明るい性格で成績もよく、当時は学校を休んでいましたが、沖縄の修学旅行やディズニーランドに行く予定を楽しみにしていました。

神奈川県の女性(25)は、一時的に引きこもってはいたものの、コンビニでアルバイトを始めてから表情も明るくなっていったといいます。「将来は結婚して、子どもを育てたい」とお母さんに話していました。

東京都の女性(23)は、精神障害と診断されていましたが、生活保護を受けて一人暮らしを始め、お兄さんに支えられながら自立を目指していました。一度は白石被告と連絡を絶っていたといいます。

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あまり報道されない重傷事故の「その後」 被害者の母親と、足切断の男性が語った苦難

2020年12月16日 03時27分13秒 | 事件・事故

12/15(火) 19:15配信

Yahoo!ニュース 特集

全国で起こる交通事故。年間の死者数は3000から4000人で、ケガをする人は毎年約50万人にのぼる。事故で重傷を負った被害者が、その後どうなったかについてはほとんど報道されない。今回、娘が車にはねられた母親と、追突事故で足を切断した男性を取材。事故後の想像を絶する苦しみや、損害賠償をめぐる保険会社との裁判について聞いた。(取材・文:ノンフィクション作家・柳原三佳、撮影:加藤誠夫/Yahoo!ニュース 特集編集部)

娘を襲った突然の事故

山本恵子さん(撮影:編集部)

「交通事故のニュースは毎日のように流れています。でもまさか、自分の娘が事故に遭うとは思いませんでした。過酷な “その後”があることも、知りませんでした」

涙ながらにそう語るのは、首都圏在住の山本恵子さん(40代・仮名)だ。次女の真由さん(20・仮名)が事故に遭ってから4年が経過した。当時の記憶がときどきよみがえり、胸が締めつけられるという。


真由さんが救急車で運ばれた病院

事故は2016年11月5日の土曜日に起きた。当時高校1年生だった真由さんの初めての文化祭の日だった。

「『楽しんでくるね』と娘は嬉しそうに、朝、学校へと向かいました。夕方になって、そろそろ帰宅を知らせるLINEが入るころだなあと思っていたら、見知らぬ番号から携帯に着信があったんです」

普段は発信者不明の電話には出ない恵子さんだが、このときは胸騒ぎがして着信ボタンを押した。

「警察からの電話でした。『お嬢さんが車にはねられて危険な状態です。すぐに病院に向かってください』と。私は何が起こっているのかわからず、混乱したまま仕事先の夫に連絡し、急いで車で向かいました』

病院に着くと、救急外来の受付付近で次女と同じ学校の制服を着た女子生徒が震えていた。
「真由のお友達だよね。けがはない? 大丈夫?」

恵子さんが声をかけると、女子生徒はおびえたように答えた。
「学校の帰り道、真由さんは私の目の前を歩いていたんです。声を掛けようと思ったら突然大きな音がして、目の前からいなくなって……」

時速40キロでノーブレーキで衝突

事故現場。真由さんは左の駐車場から、右側に向かって道路を横断しようとしたところ、手前から前方に進行中の軽乗用車が衝突した

事故は見通しの良い一方通行の道で起こった。時速30キロ規制の道を40キロで走行してきた軽乗用車が、道路を横断中の真由さんにノーブレーキで衝突したのだ。


事故車両。フロントガラスはクモの巣状に割れ、真由さんの髪が張り付いていた(写真:山本恵子さん提供)

フロントガラスに頭を強く打ちつけた真由さんをボンネットに乗せた車は、そのまま約15メートル走行して急ブレーキをかけ、真由さんはその衝撃でさらに10メートル飛ばされた。

運転していたのは44歳の男性だった。警察の調べに「西日が眩しくてサンバイザーを下ろそうと下を向いたら、はねてしまった」と供述したという。


事故2日後の真由さん。左手首は骨折したため固定していた(撮影:山本恵子さん)

救急車で病院に搬送された真由さんは、すぐに精密検査を受けた。脳出血や脳挫傷は見られなかったものの、ひどいめまいで気分が悪く、その日の朝からの記憶はなくなっていた。首や腰の痛みも訴え、左手首は骨折していた。

事故から2日後、まだ歩くことはできなかったが、病院から頭部に異常がないことなどを理由に退院を促された。恵子さんは「こんな状態で……」と困惑しながらも、その2日後に退院した。

自宅でのさまざまな苦労

事故3日後の真由さん。両ひざは皮膚が断裂し、傷口が開いた状態(挫創)だった(撮影:山本恵子さん)

何とか車で帰宅したものの、自宅はバリアフリーではないため、さまざまな苦労があった。恵子さんが振り返る。

「部屋にも廊下にも手すりがないため、娘がトイレに行くときは家族の誰かが肩を貸して介助していました。両手をまともに動かせないので、食事も満足にとれません。全身を強打しているので、布団に入って寝るのも起き上がるのも、しんどそうでした」


交通事故自賠責保険の看板(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

さらに恵子さんが苦労したのは、運転手の男性が加入していた保険会社とのやりとりだった。真由さんの負担軽減のため、介護用ベッドをレンタルすることにしたのだが、保険会社に告げると、「事故との因果関係はあるんですか」と細かく聞かれたという。

11月末、真由さんの強い希望で高校に通うことを決めたときも同じだった。
「タクシーで通学する必要はあるのですか。まだ治らないんですか」と難色を示したという。

なぜ、保険会社はこのような対応をしたのか。公道を走るすべての車やバイクの所有者には、自賠責保険の加入が義務づけられている。相手にけが(傷害)をさせたときの支払い上限は120万円だ。しかし重傷事故の場合、入院費や治療費だけですぐに120万円を超えてしまうため、自賠責のオーバー分は運転者が任意でかけている対人自動車保険からの支払いとなる。そのため、保険会社の担当者が被害者側に、事故による支出かどうかを細かく聞き、ときに抑制することもあるのだ。

「そちらの過失割合は15%」と保険会社

事故からの4年間を振り返る、母・山本恵子さん(撮影:編集部)

年が明けると、保険会社から過失割合の説明があった。恵子さんが振り返る。

「担当者から『過失は運転手側が85%もつので、そちらは残りの15%をのんでほしい』という話でした。誰がどうやって決めたのですかと聞くと、過去の判例からと言われました。娘はスクールゾーンの道路を横断しようとしただけだし、運転手の男性も全面的に非を認めて謝罪もしてくれたのに、なぜ15%も責任があるのかと疑問を感じました」


東京地裁(写真:西村尚己/アフロ)

納得のいかない恵子さんに、民事裁判を勧めてきたのは保険会社のほうだったという。恵子さんは弁護士に相談したうえで、事故から2年半ほど経った2019年7月に損害賠償を求めて運転手を提訴した。

1年後、裁判は和解した。娘の20歳の誕生日までには区切りをつけたいという親としての思いが恵子さんにあったからだ。

「裁判官は娘の過失を5%まで下げてくれました。嬉しかったのですが、横断歩道ではない場所での事故は、運転手側に過失100%とはならないのですね……」

裁判にかかった弁護士費用や5%の過失相殺分については、すべて恵子さんの夫が自分の車にかけていた自動車保険の「弁護士費用特約」や「人身傷害補償保険」で補填されたという。

「これはとても助かりました。今回のことで、自動車保険は加害者になったときだけでなく、被害者になったとき、自分と家族の身を守るために必要なのだということを痛感しました」

和解したことを受け、運転手の保険会社に取材を申し込んだ。なぜ被害者の過失割合を当初15%と主張したのか、裁判で5%に下がって和解したことについて見解を尋ねたが、「個別の案件については答えられない」との回答だった。

事故で消えてしまった記憶

成人式の晴れ着に身を包んだ真由さん(撮影:山本恵子さん)

2020年11月、真由さんは成人式の振り袖に身を包み、写真の前撮りを行った。事故から4年が経ち、痛みは和らいだが、頬に残った傷は「醜状痕」に当たると判断され、自賠責の後遺障害7級12号に認定された。足の傷は今も気になり、ミニスカートをはくことができない。過去の記憶も一部失ったままだ。

真由さんは言う。
「小学生のころ、家族で行ったディズニーランドや修学旅行など、楽しかったはずの記憶は事故を境に消えたままです。体の傷もそうですが、家族と話していても楽しかった思い出を語り合えないことが、とてもつらいです」

交通事故でけがをした被害者に、自賠責保険が支払われた件数は、昨年度だけで100万6272件に上る。これは、日本の約120人に1人が、1年に1回、支払いを受けている計算になる。交通事故の死者数はこの数年、3000人台で推移していることを踏まえると、けがをする人の数は桁違いだ。決して他人事ではない。


水野敦重さん

また、けがをした人のうち約5%が、「将来にわたって回復困難」と判断され、自賠責の後遺障害等級認定(1~14級)を受けている。一瞬の事故を境に、その後の人生を大きく変えられてしまうのだ。

長野県在住の水野敦重さん(56)は、27年前の交通事故で左足を失い、後遺障害3級の認定を受けた。

「切断後は義足になりました。でも27年経った今も、ないはずの左足がひどく痛むことがあるんです。『幻肢痛(げんしつう)』と言われるものです。これが襲ってくると夜も眠れません」

バイクで走行中、車が追突

(図表作成:吉岡昌諒)

1993年3月5日午後10時ごろ、水野さん(当時29)は250ccのバイクで、神奈川県川崎市のガソリンスタンドに立ち寄った。

「給油を終え、誘導してくれた店員とともに道路左側の信号が赤になったことを確認し、右折しながら発進しました。道路に出てほぼ直進状態になったとき、突然、後ろから大きな衝撃を受けました」

乗用車に追突され、激しく路面に叩きつけられた水野さんは、バイクとともに26メートル滑走して停止した。ふと目をやると、左足のつま先がまったく逆の方向を向いていた。


左足は義足に。ドイツ製で、「事故当時より、義足の性能はかなりよくなっているが、それでも普通に歩くのに比べて、3倍ぐらいのエネルギーが必要」と水野さん

「左大腿部の開放骨折」と診断された水野さんは緊急手術を受けたが、術後の経過は思わしくなく、事故から25日後、大腿部からの切断を余儀なくされた。

「切断後の痛みは、言葉で言い表せないほどつらいものでした。それだけではありません。足をなくし、この先どうやって生きていけばよいのか。不安に押しつぶされそうでした」

切断された左足はまもなく火葬され、骨つぼに収められた。自分の身体の一部が先に墓の中に入るというのは不思議な感覚だった。

車を運転していたのは25歳の男子大学生で、事故から5日後に両親とともに集中治療室まで見舞いに来た。その2日後、今度は大学生が加入している保険会社の担当者が病院を訪れた。まだベッドの上で輸血の管につながれ、起き上がることのできない水野さんに、「急に飛び出したバイクのほうに、少なくとも65%の過失がある」と告げたという。

「何を根拠にそんなでたらめが言えるのか、怒りに震えました。そもそも警察の事情聴取も行われていない段階で、一方的に過失割合を突きつけてくる保険会社のやり方には心底疑問を感じました」


水野さんが事故状況を説明した警察署

警察に早く事情を話したかったが、入院中の8カ月間は何の連絡もなかった。不安になった水野さんは退院後、慣れない義足をつけて警察署に行き、相手の車が信号無視をしてバイクに追突したこと、スタンド店員が目撃していたことなどを説明した。

事故で仕事を失い、生活は厳しかったが、理不尽な過失割合を受け入れて示談するわけにはいかなかった。

「警察の捜査結果が出れば、事実が明らかになるはず……」。水野さんはそう信じて、保険会社から振り込まれるひと月10万円の仮払金で毎日を過ごしながら、警察に期待を寄せた。

でたらめな調書に愕然

水野さんのバイク。青い丸印がマフラーステー。追突の衝撃で跳ね上がっている(写真:水野さん提供)

しかし、事故から2年半たってようやく検察に書類送致されたものの、相手の運転手は不起訴になった。

納得できなかった水野さんは、警察が作成した実況見分調書等の一部を検察庁で初めて閲覧して愕然とした。調書にはバイクが飛び出したかのように書かれ、スタンド店員の証言も取られていない。さらに現場見取り図には、相手の運転手が赤信号を無視した交差点すら記載されていなかった。

「これでは相手が起訴されないのも当然でした。いっきに気力が失せてしまいました」

しかしその後、あることに気づいた。警察が撮っていた2枚のバイク写真を拡大すると、右側のマフラーが大きく上に曲がっているのがわかった。

「相手の車が真後ろからバイクに追突したことを裏づける痕跡でした。これに気づいたとき、徹底的に闘う決心をしました」

裁判では完全勝訴

(撮影:加藤誠夫)

事故から7年後、水野さんは車の運転手に損害賠償を求める民事裁判を起こした。裁判で運転手は「青信号だった」と主張したが、裁判官は水野さん側の主張を認め、「被告は赤信号無視、時速35キロ以上の速度超過で追突した」と述べた。そして、車の運転手に100%の過失があったという判決を下した。

運転手は控訴したもののすぐにそれを取り下げ、2003年7月に水野さんの勝訴が確定した。

事故から判決までの10年間について、水野さんはこう語った。

「もし、事故の衝撃で私に記憶がなく、目撃者もいなければ、この事故は加害者の説明どおり『バイクの飛び出し』と認定されたでしょう。理不尽な過失割合を覆すことはできなかったはずです」

自ら証拠を集めることも重要

※写真はイメージです(アフロ)

前出の真由さんのケースのように自らの非を認める加害者がいる一方、事故の原因を正直に話さない加害者も存在する。しかし、警察の捜査で真実が明らかになるとは限らない。水野さんのケースのように、加害者の供述を重視し、事故処理が進んでしまうことがある。被害者であっても、警察の調書類は加害者の起訴・不起訴が決まるまで閲覧できないため、結果的にそれに気づくのに数年かかることもある。


青野渉弁護士

長年にわたって交通事故被害者の支援を続け、裁判にも多数関わっている青野渉弁護士は、万一被害者になったら、警察だけに頼らず、自らも客観的な証拠を押さえることが大切だという。

「被害者が受け取る賠償金は過失割合によって大きな影響を受けます。特に重度後遺障害の場合、10%違うだけで、1000万円以上の差が出ます。できるだけ早く信頼できる弁護士に相談し、事故の痕跡が消える前に、独自に現場や事故車の写真等も押さえておくことが大切です。警察には自分の記憶している事故状況を、しっかり伝えてください。最近は性能のいいドライブレコーダーも普及しているので、自分のものはもちろん、加害車側の映像や防犯カメラなども調べてもらうよう要望しましょう」

決めるのは保険会社ではなく裁判所

(写真:西村尚己/アフロ)

重傷事故の被害者は将来にわたって、車椅子、義足、介護用ベッド、痰吸引器、酸素飽和度測定器などが必要になることがある。それらを想定したうえで、必要な備品の価格と耐用年数を証拠化し、「今後何年間にわたり、何回の買い替えが必要なので賠償してほしい」と具体的に主張することも大切だ。

青野弁護士は、保険会社との交渉についてこう語る。

「真由さんや水野さんのケースを見てもわかる通り、保険会社はまず否定的な回答をしてくることがあります。でも、その回答は『(とりあえず、今は)払えません』という意味で、最終結論ではありません。保険会社から『補償の対象外です』と言われると、『そういうものなのか……』と思って領収書などの大切な資料を捨ててしまう被害者もいます。しかし、保険会社が否定しても、裁判所が賠償の対象として認めてくれることは珍しくありません。何が賠償の対象かを決めるのは最終的には『裁判所』であって、『保険会社』ではないのです。そのことをぜひ覚えておいてください」

29歳で事故に遭った水野さんは、今年56歳になった。ふと気づけば、人生の半分を中途障害者として生きてきたことになる。義足の耐用年数は3年から5年。これまでに作り替えた義足は6本にのぼる。

「死亡事故の悲しみと比較することはできませんが、交通事故で重傷を負った被害者の多くが、その瞬間から予期せず始まるつらい現実に苦しみ、その後の人生を障害とともに生きていることも知っていただきたいと思います」

柳原三佳(やなぎはら・みか)
1963年京都市生まれ。バイク誌の編集記者を経てフリーに。交通事故や司法問題等を取材し各誌に執筆。『週刊朝日』で連載した告発ルポは自賠責の査定制度改正につながった。著書に『これでいいのか自動車保険』(朝日新聞社)、『示談交渉人裏ファイル』(角川書店)、歴史小説『開成を作った男、佐野鼎』(講談社)、『私は虐待していない 検証・揺さぶられっ子症候群』(講談社)など。ジャーナリスト・ノンフィクション作家 柳原三佳オフィシャルサイト (mika-y.com)


首相の夜会食、問題視せず 加藤官房長官「注意払っている」

2020年12月16日 03時24分36秒 | 事件・事故

12/15(火) 21:29配信

共同通信

記者会見する加藤官房長官=15日午後、首相官邸

 加藤勝信官房長官は15日の記者会見で、新型コロナが拡大する中、夜の会食を続ける菅義偉首相の対応が適切かどうか聞かれ、問題視しない考えを示した。「首相は必要な注意を払っている。会食目的と感染防止対策のバランスの中で個別に判断することが重要だ」と述べた。

 首相は年末年始の「Go To トラベル」停止を決めた14日夜、経営者ら約15人と会食。その後、自民党の二階俊博幹事長ら5人以上が集まったステーキ店に。

 加藤氏は、5人以上の飲食について「感染リスクが高まる」と注意を促している政府対応との整合性を問われ、「5人以上と一律に決めるものではない」と釈明した。

 

 

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最終更新:

母娘餓死 付近住民「生活に困っている様子なかった」 大阪

2020年12月16日 03時18分58秒 | 事件・事故

12/15(火) 23:04配信

産経新聞

大阪府警

 大阪市港区のマンション一室で今月11日、女性2人の遺体が見つかり、司法解剖の結果、いずれも餓死したとみられることが15日、大阪府警港署への取材で分かった。1人は、住人で職業不詳の女性(42)と判明。もう1人は60代の母親とみられ、同署は身元の特定を進めるとともに2人が死亡した経緯などを調べている。

 同署によると、この部屋は母娘の2人暮らしだったとみられる。職業不詳の女性の死因は低栄養症による心機能不全、もう1人の死因は飢餓による低栄養症で体重は約30キロだった。いずれも死後数カ月程度が経過していた。

 マンションの管理会社から「部屋の郵便物がたまっている」と親族に連絡があり、同署員らが駆け付けたところ、2人が室内の床に倒れていた。冷蔵庫に食べ物は入っていなかったという。

 亡くなったとみられる2人の生前の様子を知る近隣住民からは、戸惑いの声が聞かれた。

 近くに住む女性(73)は「あいさつをするくらいの関係だったが、生活に困っている様子は見受けられなかった」と振り返る。

 この女性によると、2人は少なくとも十数年前からこのマンションで暮らしていたが、近隣住民と関わりを持つことはほとんどなかった。最後に見かけたのは今夏で、食料品を持って笑顔で帰宅していたという。

 近くの60代男性は「数カ月前、2人でテレビ番組を見て盛り上がっている声も聞いた」と話した。

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東大生で「メディアに出るのは底辺の扱い」 中野信子がかつての母校語る

2020年12月16日 02時48分42秒 | 社会・文化・政治・経済

2020.10.11 11:30週刊朝日#林真理子
 
『サイコパス』や『毒親』など多数のベストセラーを刊行する美貌の脳科学者、中野信子さん。作家・林真理子さんとの対談では、出身校である東大トークを中心に、大盛り上がりでした。

*  *  *
中野:私、つい最近になって、林さんの『野心のすすめ』を読んだんですよ。すごくいい本ですね。

林:ありがとうございます。でも、あれを書いたのは7年前で、ああやって「頑張るんだ。人間、努力しなきゃダメだ」と言ってもいい最後の時代だったんですよね。あれから時代が変わって、今は「野心なんて疲れるだけ。生きてるだけで素晴らしいんです」という、やすらぎと癒やしの時代になっていると思うんです。

中野:確かに今、論争をあおったりとか、優劣をつけるのはダメ、みたいな感じがありますよね。

林:それなのに、テレビを見ると「東大王」とか高学歴芸人ナントカというのばっかりやって、学歴がブランド化されていて、すごく矛盾してると思う。

中野:時代が変わってきましたね。われわれのころは東大生って“珍獣”だったんですよね。いま東大の子ってほんとにカワイイ子が増えたし、ミスコンに出られるレベルの子がいるんですよね。在学中からメディアを意識して、東大を卒業したあとの出口戦略になり得ているというのはすごいなと思います。われわれのころは法学部だったら官僚になるか、そうでなければ政治家か弁護士で、落ちこぼれが民間に行くみたいな感覚がありました。理系は約8割が大学院に行くようでしたし。

林:テレビに出て自分たちの能力の高さを見せつけようなんて、みんな思わなかったわけですね。

中野:メディアに出て何かするなんて、どちらかといえば底辺の扱いでした。そういう東大生の変化がある一方で、広く世間では、いま林さんがおっしゃったように「『ただ生きてるだけで価値がある』と言ってほしい」という欲求が異様なほど高まっている。これは、そう言わなければならないほど、人々が格差を感じてることの裏返しかなと思うんです。

林:ああ、なるほど。

中野:日々格差を感じてつぶれそうな気持ちを皆、抱えている。「上級国民」なんていう言葉がどこからともなく出てきて、多用されましたよね。池袋の暴走事故がきっかけでしたか。

林:元エリート官僚が運転していた車が暴走して、母子が死んで何人もが重軽傷を負った事故ですね。

中野:ええ。「特別扱いされている人たちと自分たちは違うんだ。自分たちの存在価値はあるのか」ということを毎日自問自答している人も少なくないのではと思います。

林:そういう人たちがテレビを見てるわけですね。

中野:「俺も勉強を頑張ったらああなれるのか」とか、逆に“珍獣”たちの失敗を見て溜飲を下げるとか。

林:でも、テレビをそうやって見てる人は「頑張って東大に行こう」なんて思ってなくて、「あの人たちとは頭の構造が違うんだ」と思ってるんじゃないですかね。

中野:生まれつきの要素は否定できませんが、生まれた後の要素もけっこう大きいんですけどね。後の要素には親の経済力なども確かに効いてきますが、本質は経済力そのものより、養育者の教養ではないかという議論があります。子の教育に関わる人の知的水準によって、子どもの成績が変わることも十分にあり得ます。また、後天的な要素は自分でも調整できる部分がありますから、そこはあきらめずに野心を持つべきだと私は思います。

林:中野さん、このところ立て続けに本を出してらっしゃいますけど、『空気を読む脳』(講談社+α新書)という本を読んだら、「子どもをほめなさいと言うけれども、実験するとけっこうそうでもないことがわかった」とおっしゃってますね。

中野:そうなんです。「能力をほめるのと、努力をほめるのとでは結果が違うよ」ということですね。能力をほめると、今ある能力以上のことに挑戦しなくなってしまったり、未知の問題に直面したときにそれを回避する性格になってしまったりということがわかっているんです。

現代社会の闇にメスを入れ、脳科学の視点からわかりやすく解説することに定評のある中野信子さん。作家・林真理子さんとの対談では、「毒親」から「マッチングアプリ」についてまで、人の心理を分析。林さんもおおいに関心を示しました。

*  *  *
林:最近『毒親』(ポプラ新書)という本もお書きになっていて、読んだら私も思い当たるフシがなきにしもあらずでした。私は毒親ではないつもりだったんですけど。

中野:私、たまたま今日は友達がデザインした「田園に死す」と書いた服を着てきてますけど、寺山修司さんのカルト的な映画で……。

林:ATG(日本アート・シアター・ギルド)の映画ですよね。

中野:はい。母との葛藤が描かれている作品で、20年前に戻って少年に「君はお母さんを殺して、外に出ないといけない」と諭している場面があるんですよね。私は、人間はなんで親子の問題で何千年も悩んできたのかとずっと考えていましたが、その解決をつけたいという思いで『毒親』という本を書いたんです。

林:『毒親』の中でもおっしゃっていますけど、中野さんは親子が最後は許し合って抱き合って、というのが嫌いだったんですね。「親子の情」とか「師弟の恩」とか「連帯意識」とか言うだけで知能のスイッチが切れて、その言葉に酔う人たちがいっぱいいて、「なぜこんなにすぐ酔えるのだろう」って。「私たち親子じゃないの」とか「私たち友達じゃないの。だからそこを何とか」とか……。

中野:そう言われたときに、「いや、それは何の理由にもなりません」などと拒否すると、この人、性格的におかしいだとか人間としていかがなものかなどと思われるんですよね。でも私からみれば、親子や友達であることがなぜ、思考のスイッチを切ることに直結するのかが不思議でした。思考のスイッチを切る「情」と、「理性」を保ち続けることのバランスを、うまくとれなくなるのがイヤだなと思ったんです。

:なるほど。

中野:理性の部分を切って「子どもとの絆のほうが優先でしょう?」と持っていこうとすることを、私は「毒親性」というんじゃないかと思ってるんですよね。

林:でも私、それでその場がすむなら、すべてオッケーですよ(笑)。例えば文化人のボランティアの団体があって、以前、地方でコンサートをやったんです。みなさんノーギャラで出てくださるんですが、ある歌手の方が歌に合わせて「さあ皆さん、手を上げてください!♪」ってやると、地元の方たちもみんな楽しそうに立ち上がって手を上げて揺れるんです。でも、その場にいた私の友人は椅子に座ったまま「こういうことをやるから日本人はバカだって言われるんだ。ばかばかしい!」と言うわけ。

中野:私は「ばかばかしい」とは言わないで、さっとトイレに行くタイプです(笑)。

林:私だってやるのイヤだけど、この場が収まるならやっておこうと思うんですよ(笑)。

中野:柔軟性が高いんですね。それに従わない人が一定の割合で出てくるのも、人間のおもしろいところなんですよね。私は海に行くのが好きなんですけど、海の中って小さい魚ほど群れてるんです。そのほうが大きい魚が来たときに食べられないんですね。人間の祖先は海から陸に進出したと考えられていますが、人間の時代になってもまだ「群れ」の本能を持っているのがおもしろいなと思って、いつも群れの様子を見てるんです。

林:昔、平林たい子さんが「とかくメダカは群れたがる」と言ったけど、故郷で同級生たちと群れて、同級生と結婚して、地元の会社に勤めて、3、4人子どもを持つというのが、今いちばん安全な生き方かもしれない。

中野:そう思います。

林:東京に行って、それもエリートとして東京に行くならともかく、地元の大学と偏差値が変わらないような東京の大学に行って、聞いたこともない会社に勤めて、狭いところに住んで、何が楽しいんだろうと思うかもしれない。

中野:土着のコミュニティーの中でやっていけるんだったら、安全で合理的でとても適応的な生き方だと思うんです。これは何の他意もなく、そう思います。そういう生き方と、社会通念としてこれからいいとされる生き方が合致するかというと、意外とそうでもないということはあるかもしれません。また、現行の社会通念が正しいかというと、これも目まぐるしい変遷があって、争って一番を目指す生き方がよしとされる時代と、みんな横並びで一緒に手をつないでゴールするのがよしとされる時代とが交互に来ている感じで。
林:今は「手をつないで」のほうがよしとされていますよね。

中野:だと思います。

林:そういえば、モデルの人って、モデルの人としかつき合わないんですって。ふつうのレベルの人が一人いると気をつかって面倒くさいから、同じレベルの人のほうがわかり合えて楽しいって。

中野:ああ、そうかもしれない。よく聞く話として、本人たちはぜんぜん差別してるつもりはないんだけれども、前提となる知識に差があるから近づかないというのはありますよね。

林:このあいだ宮台真司さんがおもしろいことを書いていらして、「今、こんなに格差があるのにそれがわかりづらくなっている。昔は服装や雰囲気でどの程度のレベルの人かすぐわかったのに、今はみんな同じような格好をしてスタバでコーヒーを飲んでいる。格差がわからないように仕向けられている」って。

中野:メルカリでブランドものもお安く手に入ってしまいますしね。本来重要なのは、ものだったら味とか、人だったら話してて楽しいとか、居心地がいいとか、そういうことであるはずなのに、出身校や勤めている会社とか肩書とかでみんな態度を変えるし、価値を見ますね。

林:今、大手出版社の編集者も、結婚相手を見つけようとしてけっこうマッチングアプリをやってるんです。「出会いのチャンスを広げたい」って。マッチングアプリって出身校とかいろいろ書き込むわけでしょう。ブランドで見られることにあまり抵抗がない人が増えてるのかなと思う。私だったら知らない人に自分をさらしたくないけど。

中野:マッチングアプリってすごく流行ってるみたいで、大手商社の男の子なんかもやっているんですよね。お金にも出会いにも不自由しそうもない人たちが、出会いのプロセスを省きたいんですね。出会いにかけるコミュニケーションのコストを無駄なものだと判断していて、楽しんではいないんだなというのがよくわかりますね。

林:合コンでお金使って、はずれたときのコストを考えると、もっと手軽にやろうと思うんですね。

中野:そのプロセスをマッチングアプリでショートカットしたいんだなと思います。

 

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力:一木俊雄)

中野信子(なかの・のぶこ)/1975年生まれ。東京大学工学部応用化学科卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年までフランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。
現在、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授として教鞭を執るほか、脳科学、認知科学の最先端の研究業績を一般向けにわかりやすく紹介することで定評がある。著書多数。近著に『空気を読む脳』(講談社+α新書)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『パンデミックの文明論』(文春新書、共著)などがある。

>>【脳科学者・中野信子が説く「毒親」の正体 理性を失わせる「親子の絆」がイヤだなと】へ続く

※週刊朝日  2020年10月16日号より抜粋

 


コロナで症状出る人と出ない人の違いは? 帯津医師、免疫力に注目 連載「ナイス・エイジングのすすめ」

2020年12月16日 02時23分04秒 | 医科・歯科・介護

帯津良一2020.6.1 07:00週刊朝日#帯津良一#病気
 
西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「自然免疫」。

*  *  *
【ポイント】
(1)自然免疫が見直されるようになってきた
(2)中医学はずっと自然免疫に注目してきた
(3)自分の生き方を見直して自然免疫を高めよう

 コロナ騒動が起きてから、免疫力への関心が高まっています。免疫とは「疫病」から「免」れるということですから、注目されるのは当然といえます。コロナに同じように感染しても、症状が出る人と出ない人がいます。その違いは免疫力にあるのではないかというのが、気になるところではないでしょうか。

 免疫に関する研究は近年、急速に進んでいて、いろいろなことがわかってきています。その一つは、「自然免疫」と「獲得免疫」の役割についてです。

 これまでにも書いてきましたが、自然免疫は生まれつき備わっている仕組みです。細菌、ウイルスといった外敵が体内に入ってくると、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などが、それらに対抗して活躍します。マクロファージは「大食い」という意味を持っていて、外敵を丸呑みします。

 もう一つの免疫の仕組みである獲得免疫は、外敵との戦いによって身につけていく能力で、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞などが担当します。

 西洋医学ではこの獲得免疫が注目されてきました。特定の病原体に対して、画期的な戦い方をするからです。天然痘をはじめとする各種ワクチンは、人工的に獲得免疫をもたらす方法です。それによって救われた命は計り知れません。

 ただ、近年は自然免疫が見直されるようになってきています。マクロファージにしても、樹状細胞にしても、外敵に見境なく飛びかかるのではなく、精巧な病原体センサーを何種類も備え、相手の正体を正確に把握しているのです。


(3)自分の生き方を見直して自然免疫を高めよう

 コロナ騒動が起きてから、免疫力への関心が高まっています。免疫とは「疫病」から「免」れるということですから、注目されるのは当然といえます。コロナに同じように感染しても、症状が出る人と出ない人がいます。その違いは免疫力にあるのではないかというのが、気になるところではないでしょうか。

 免疫に関する研究は近年、急速に進んでいて、いろいろなことがわかってきています。その一つは、「自然免疫」と「獲得免疫」の役割についてです。

 これまでにも書いてきましたが、自然免疫は生まれつき備わっている仕組みです。細菌、ウイルスといった外敵が体内に入ってくると、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などが、それらに対抗して活躍します。マクロファージは「大食い」という意味を持っていて、外敵を丸呑みします。

 もう一つの免疫の仕組みである獲得免疫は、外敵との戦いによって身につけていく能力で、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、B細胞などが担当します。

 西洋医学ではこの獲得免疫が注目されてきました。特定の病原体に対して、画期的な戦い方をするからです。天然痘をはじめとする各種ワクチンは、人工的に獲得免疫をもたらす方法です。それによって救われた命は計り知れません。

 ただ、近年は自然免疫が見直されるようになってきています。マクロファージにしても、樹状細胞にしても、外敵に見境なく飛びかかるのではなく、精巧な病原体センサーを何種類も備え、相手の正体を正確に把握しているのです。

そのうえで、その病原体の断片をヘルパーT細胞などに提示します。そこで獲得免疫が動き出すのです。つまり自然免疫は獲得免疫にとって、欠かすことのできない役割を担っているのです。

 私たちが「免疫力を高めよう」といったときは自然免疫のこと。もともと持っている免疫の力を高めよう、ということなのです。しかも、それが獲得免疫も含めた全体の免疫力を高めることにつながるのです。

 私はコロナに感染して症状が出る人と、出ない人の違いはこのへんにあるのではないかと思っています。

 中医学の世界では免疫という考え方がありません。病原体(病邪)に対抗するのは「気」の働きです。気は中医学の中心的な概念ですが、日本人にはわかりにくいかもしれません。気の力が低下した状態を「気虚」と呼んで、それを改善させるのが「補気」です。漢方薬でいえば、四君子湯、六君子湯、補中益気湯などがその役割をします。

 中医学は4千年の歴史を通して自然免疫に注目してきました。補気とはつまり、自然免疫を高めることなのです。

 免疫学の大家、故・安保徹さんは「自然の摂理に反した生き方をしていれば、免疫力が落ちてしまう」とおっしゃっていました。コロナに負けないためには、まずは自分の生き方を見直し、自然免疫を高めることが大切なのかもしれません。

※週刊朝日  2020年6月5日号

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著

 

 


菅首相に二階派が激怒「もう次はないぞ!」自民党内で根回しせず、GoTo中止 〈週刊朝日〉

2020年12月16日 02時23分04秒 | 社会・文化・政治・経済

12/15(火) 14:43配信

AERA dot.

Go To中止で自民党内の株が下った菅首相(C)朝日新聞社

「なんで急に中止なんだ。どうなっているんだ!」

 こう声を荒げたのは、二階派の幹部だ。菅義偉首相は12月14日、官房長官時代から推進してきた新型コロナの経済対策「GoToトラベル」の一時停止を突如、表明した。新型コロナウイルスの感染拡大が急増。専門家の意見を尊重した結果の判断だという。

【アンケート結果】テレビを見ていて信用できないと思う人1位は?

「菅首相は、12、13日まではまったくGoToトラベルを止める意思はなかった。菅首相は頑固なところがあり、自分が旗振り役の政策を突然、止めるなんて考えは持っていなかった。だが、毎日新聞の世論調査で、支持40%、不支持49%と不支持が上回った。支持が17%も前月から急落し、昨日発表されたNHKの世論調査でも支持が42.2ポイントと、前月から14ポイントも激減。不支持が36ポイントで前月から17ポイントも急増し、決断せざるを得なかった」

 自民党幹部は、GoToトラベル一時停止の内幕を語る。

「菅首相は、コロナ急増でもさほど世論調査の数字は変わらないとみていた。それがNHKでも急落し、毎日新聞に至っては、不支持が支持を9%も上回った。コロナ対策については、毎日新聞では評価しないが、3倍以上も評価するより多かった。GoToトラベルの中止を求める数字も高かった。まだ就任して3か月の菅首相は安倍前首相の時に、ここまで乱高下したことはなかった。『大変厳しい世論調査になっているな』『手を打たねば』といい、すぐに決断。頑固さを突き通せなかった。ただ、決断があまりに急だったので、各方面への十分な根回しができなかった。それが党の不満につながっている」

  党内への根回しの不十分さが、冒頭に記述した二階派幹部の不満を招いたというのだ。二階俊博幹事長はGoToトラベルで恩恵が多い、旅行業界の業界団体、全国旅行業協会の会長を務めている。菅首相ともに、GoToトラベルの旗振り役だった。

「GoToトラベルがどれだけ旅行業界に寄与していたのが、菅首相はわかっているのか。救われた旅行業界、ホテル、お土産店、交通関連の会社などがどれだけあるのか知っているのか。それも一番の稼ぎ時、年末年始には全国で停止。どれだけ多くの人が頭を抱えているのかわかっているのか。中止なら、業界への金銭的支援策とセットでやるべきだ。なんのバックアップも発表せずに、中止だなんて、二階幹事長の顔に泥を塗るようなものだ。『誰のおかげで総理になれたんだ』『もう次はないぞ』と派閥から強硬意見も飛び出した」(前出の二階派幹部)

一方、菅首相と“すきま風”もささやかれる、麻生派の衆院議員は冷ややかに党内の状況をこう話す。

「自衛隊まで出動してコロナは災害になっている。そんなときにGoToトラベルで税金投入して、旅行してくれというのもおかしなこと。菅首相が二階幹事長の意向を気にしすぎて、ズルズルと先延ばしした結果、コロナ感染拡大、医療体制ひっ迫でしょう。おまけに菅首相は、記者会見も十分に開かず、説明も不十分だから、支持率激減は当然のことですよ。この状態があと1、2か月続けば、来年秋の自民党総裁選、衆院解散の期限まで菅首相は持たない。コロナ退陣となりかねない。『ポスト菅は誰か』などと模索する動きもあります。『やはり安倍さんがよかった』との声が聞かれますね」

 菅首相誕生の最大の功労者、二階派だけでなく、支援した麻生派からも厳しい声が相次ぐ。コロナ禍で解散総選挙は極めて難しい情勢で四面楚歌に陥りつつある、菅首相。難局を切り抜けられるのか?

(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事

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首相が高級ステーキ“忘年会” 「大人数」「タイミング」で批判が...

2020年12月16日 02時11分34秒 | 社会・文化・政治・経済

12/15(火) 19:42配信

菅首相の行動が、物議を醸している。

14日、「GoToトラベル」の全国一斉停止を発表した直後に行った夜の会食。

野党からは、批判の声が上がっている。

東京・銀座にある高級ステーキ店。

14日午後9時前に姿を見せたのが、菅首相。

およそ45分間滞在した会食のメンバーは、二階幹事長ら、自民党幹部だけではなかった。

出席者は、福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長、俳優の杉良太郎さん、さらに、政治評論家に別室にいたというタレントのみのもんたさんら8人ほど。

メンバーの1人は、この会食は、忘年会だったと話している。

杉良太郎氏「きょうは、みんなで野球の話とか、そんな話をしただけ。忘年会」

王貞治氏「仕事とかなんかは関係なく、秋田の話とかそういうのをしていました」

みのもんた氏「二階さんも野球やってましたからね、野球の話で終始していました。(首相はマスク外さないよう呼びかけていたが?)さあ、僕よく見ていなかったから、そこまで見ていないからわからない」

関係者によると、出席者は料理を食べる時だけマスクを外し、それ以外はマスクを着けていたというが...。

二階幹事長「マスク取らなきゃ食事できないから。まぁみんな十分注意しているでしょう」

師走の銀座で行われたこの忘年会が、今、波紋を呼んでいる。

会食をめぐって、これまで政府は国民に対し、重ねて注意を呼びかけてきた。

西村経済再生相「会食でのクラスターのうち、5人以上の会食が8割ということも、頭に置いていただいて」

8人ほどが参加した今回の会食。

小池知事が訴えている、5つの「小」のうちの「小人数での食事」とは言いがたい人数。

さらに気になるのが、出席したメンバーの年齢。

そのほとんどが、重症化リスクが高いとされる65歳以上の高齢者ばかりだった。

菅首相「ぜひ、国民の皆さんは、年末年始静かにお過ごしいただいて、コロナ感染をなんとしても食い止める、そうしたことにご協力いただきたい」

14日、GoToトラベルの全国一斉停止を発表し、国民に協力を呼びかけた、わずか1時間半後の会食。

街からも、さまざまな声が上がっている。

20代「国民には制限かけるのに、自分は行っちゃうんだって」
50代「ちょっとないですよね、やっぱり」
20代「言っていることとやっていることが全然...。笑うしかないですね」
30代「コロナ禍の中、任命されてなった菅さんの気持ちもわかるんですよ。菅さんがいろんな人と話をしたいっていうのもわかりますし」

急転直下のGoToトラベル一斉停止は、各方面に不安と混乱をもたらしている。

都内を中心に観光バスを運行する「はとバス」は、予約数が2019年の1割ほどに落ち込むなど大苦戦。

今回のGoTo停止による、さらなるダメージに肩を落としている。

はとバス広報担当・本田寛奈さん「GoToトラベルがあるから予約した、旅行に行こうと思ったお客様が非常に多い。そういった方からのキャンセルが入るのではないかと懸念はあります」

現在、都の要請を受け、時短営業をしているイタリアンレストラン。

2021年1月11日までの時短営業延長の要請を受け入れる方針。

Ambar GINZA・糸井壮志オーナー「10時以降飲めないっていうことなので、大きく売り上げが落ちました。(協力金)100万円ということで、その補償していただければ、なんとか経営は続けていけます」

自分たちが都の要請に応じる中での銀座会食には、複雑な思いを抱いていた。

Ambar GINZA・糸井オーナー「できるだけ少人数で会食をと言われてる中で、大人数で会食されたってことは、国民の疑念を抱きますし、今は、そういうことすべきではない。ただ、わたしたち飲食店側としては、そういった会食のお客様に来ていただきたい気持ちはあるので難しい」

小池都知事「(きのう菅首相が夜の会食を5人以上で行ったが?)ふふふ、まぁ。いやいやどうでしょうかね」

出席していた自民党の二階幹事長と林幹事長代理は、マスク会食などの感染対策はとっていたのか問われ、こう答えた。

林幹事長代理「食事中は、マスク取りますよ。ちゃんと食事中は」
二階幹事長「マスク取らなきゃ食事できないから。まぁみんな十分注意しているでしょう」

しかし、野党からは批判の声が上がっている。

立憲民主党・福山幹事長「感染拡大が広がっている中ですから、多少自粛をした方がよかったかなと思います」

与党・公明党の山口代表は、言葉を選びながら、こう答えた。

公明党・山口代表「総理の日程は公表されることになっているので、国民に対する一定のメッセージ性というものもあると思いますから、よく配慮しながら、今後検討していただきたいと思います」

医療崩壊の危機を懸念する医師は、今回のGoToトラベルの全国一斉停止表明のタイミングがギリギリだったと話す。

さいたま医療センター・讃井將満医師は、政府が14日に発表したコロナに対応する医療機関や医師、看護師への支援額を倍増することについては、一定の評価をしている。

しかし、菅首相の14日夜の会食については苦言を呈した。

さいたま医療センター・讃井医師「結果として、それが患者さんの総数を増やして、実際に本当であれば亡くならなくていい方が、もうすでに亡くなっている、そういうことを真剣に考えていただかないと。本当に残念としか言いようがない」

 

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