「電車内での痴漢で、おもしろいのは、<もっと、もっと>と耳でささやく女がいることだ」
同僚の新川昭はうそぶく。
「本当かよ」堀田尚吉は身を乗り出し、興味を示すのだ、
「女は実際に、あそこを、触ってみないと、分かったかったよ」電車内での、常習痴漢男である新川昭はあらぬことか強弁するである。
新川昭が、痴漢目的で二つの電車路線の利用していたのだ。
荻窪→新宿→四谷
荻窪→新宿→赤坂
つまり、新川昭は、電車内の痴漢目的のために二つの定期券を所持していた。
彼が勤務するビルは、東京・千代田区平河町にあった。
勤務先は、赤坂プリンスホテルに近く、新川昭は電車内で痴漢行為の末にナンパした女たちを巧妙にもをホテルや屋外のプールに誘っていた。
そのプールでは、有名なタレントたちが水着姿で泳いだり、くつろいでいたのをは堀田尚吉は目撃する。
モラルバックボーンが、元来の堀田尚吉の精神的支柱になるのずであった。
だが、常習痴漢男である新川昭の存在は、皮肉にも尚吉に負の連鎖もらすことに・・・
「モラル・バックボーン」――直訳すると「道徳性の背骨」である。小学校の頃に培われた道徳性が生き方の指針となり、