遊びと利他

2025年01月23日 13時05分29秒 | 社会・文化・政治・経済


北村 匡平 (著)

【「コスパ」と「管理」から自由になるために】
「コスパ」「タイパ」という言葉が流行し、職場や教育現場、公共施設や都市でも管理化が進む昨今。
そうした流れは子供たちが遊ぶ「公園」にも押し寄せている。
安全性を理由に撤去される遊具が増え、年齢や利用回数の制限も定着しはじめている。
効率化・管理化は、子供たちの自由な発想や創造性を損なう。そのような状況に抗うには、どうすればよいのか。
そのヒントは「利他」と「場所作り」にあった。東京科学大学の「利他プロジェクト」において、全国の公園と遊具のフィールドワークをしてきた著者が、他者への想像力を養う社会の在り方を考える。

【目次】
序 章 21世紀の遊び場
第一章 利他論――なぜ利他が議論されているのか
第二章 公園論――安全な遊び場
第三章 遊びを工学する――第二さみどり幼稚園
第四章 遊びを創り出す――羽根木プレーパーク
第五章 森で遊びを生み出す――森と畑のようちえん いろは
第六章 遊学論――空間を組み替える
第七章 学びと娯楽の環境
終 章 利他的な場を創る


【著者略歴】
北村匡平 (きたむら きょうへい)
映画研究者/批評家。
東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授。
1982年山口県生まれ。
東京大学大学院学際情報学府修士課程修了、同大学博士課程単位取得満期退学。
日本学術振興会特別研究員(DC1)を経て、現職。専門は映像文化論、メディア論、表象文化論、社会学。
単著に『椎名林檎論――乱調の音楽』(文藝春秋)、『24フレームの映画学――映像表現を解体する』(晃洋書房)、『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩選書)など多数。

  • 児童遊園の成り立ちや、『遊び』に対する考え方の変遷を知りたくて購入した。目的はほぼ果たせたが、欲を言えば、添付されている画像がもっと鮮明なカラー写真ならば更に良かった。
    3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
     
  • 効率化・管理化の進む世の中に対して「ちょっと待った!」という一冊です。
    種々、連想しました。
    具体的には、岩瀬直樹さんが公立小学校の担任時に子どもたちに伝えていたという《学びのコントローラーを子ども自身がもつ、自分で操作する》とか、村上靖彦さん言うところの《妄想デート》とか、角幡唯介さんの『狩りの思考法』に出てくる、未来を計画的に見通してはいけないという《ナルホイヤの思想》とか、郡司ペギオ幸夫さんの『やってくる』に書かれている《リアリティに欠かせないものとは具体的な要素ではなく、いつこの空間に参与するかわからない空間外部の潜在性なのです》とか、東浩紀さんの郵便的誤配とか中島岳志さんの利他論とか近内悠太さんの贈与論とか土井善晴さんの料理論とか、それからデヴィッド・グレーバーのブルシット・ジョブとか、その他もろもろ、私が好んで読んでいる書き手たちが伝えたがっていることを同時多発的に連想しました。
    それらに共通することは、本の帯に書かれている《「コスパ」と「管理」》に対する危機意識でしょう。「コスパ」と「管理」はつまらない人生を引き寄せます。
    この危機を回避するためには、すなわち「コスパ」と「管理」から自由になるためには、どうすればいいのか。
    つまらない人生を回避するためにはどうすればいいのか。答えは『遊びと利他』の中に。ぜひ読んでみてください。
     
     
    特に2000年代になって、公園での禁止事項が増え、注意書きや年齢制限のシーリルをあちこちに見かけるようになった。
    公園の空間の使い方、遊具の配置など、遊びの場としての魅力が乏しく、窮屈な空間になっている。
     
    「大人は入らないできださい」と張り紙があり、親は遊びの場から排除され、周りで見守るしかなくなった。
     

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