10/29(木) 11:25配信
東スポWeb
“かぐや姫”は月に帰るどころか、ツキに見放されたままだった!? 大塚家具は28日、大塚久美子社長(52)が、12月1日付で辞任すると発表した。創業者の父・勝久氏(77)を追放したお家騒動を経て、再建の先頭に立っていた久美子社長だったが、親会社のヤマダ電機から事実上、三くだり半を突き付けられた格好だ。あの騒動以来、何一ついいことはなかった。
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お家騒動から約5年、ついに久美子社長に引導が渡される時が来た。
同社は昨年12月にヤマダ電機などを運営するヤマダホールディングスの傘下に入り経営再建を目指していたが、28日に発表した2021年4月期業績予想(単体)は、売上高が約304億円、純損益は約28億円の赤字の見込みだ。
同日の取締役会で、これまでの業績不振の責任を明確にするため、久美子社長と取締役から辞任の申し出があったという。社長職はヤマダホールディングス社長で、大塚家具会長の三嶋恒夫氏(61)が兼任する。
株式評論家の山本伸氏は、親会社の堪忍袋の緒が切れたのに加え、ビジネスモデルの限界をこう指摘する。
「業績が改善していれば久美子社長は居座ることができたが、大赤字ではどうしようもない。家具業界は『ニトリ』の独り勝ちで、『島忠』や『ジョイフル本田』のようにホームセンター路線は生き残っているが、久美子社長は家具にこだわり過ぎた。父親の会社(匠大塚)もそうだが、扱っている商品は高級路線、大衆路線が混在し、中途半端な商品で値段が高かったりして、時代の変化についていけなかったということ」
“かぐや(家具屋)姫”が家具にこだわり続けたことが、辞任の最大の理由だったようだ。今後、大塚家具はどうなるのか? 皮肉なことにこの日午後に久美子社長の辞任が伝わった後、好感されたのか、大塚家具の株価は終値でストップ高水準に当たる前日比50円高の201円をつけた。
「お家騒動、経営悪化で企業イメージを悪化させた久美子社長が辞任し、ヤマダ電機主導の経営となって、将来に期待が持てると考えた投資家の買いが入った」(株式市場関係者)
ただ、同社はキャッシュフローの額が負のため7月、上場廃止に係る猶予期間入りしたことが明らかになった。このまま赤字が続けば、22年春には上場廃止へ追い込まれる瀬戸際に立つ。
ヤマダ電機は人口減少下で家電市場の拡大は見込めないが、住宅分野は余地があるとして、11年に住宅メーカーの「エス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)」を皮切りに、注文住宅建築の「レオハウス」、今年9月には同じく注文住宅の「ヒノキヤグループ」へのTOB実施を発表するなどしている。大塚家具の子会社化もその路線の一環だ。
「ヒノキヤグループは業績が良く、ヤマダ電機が本気で住宅事業へ力を入れていることが分かる。もはや大塚家具にブランド力を感じている人は少なく、中・高級家具は中小企業の社長や富裕層向けのビジネスでしかない。ヤマダ電機は大塚家具をどう再建させるかだが、コロナ禍もあって、そう簡単ではない」(山本氏)
久美子社長は社長と取締役の座から去る。大塚家具を上向きにさせていれば、経営者としてその手腕も他社から買われただろうが、大見えを切った揚げ句に5期連続赤字の見通しとなり、事実上のクビでは立つ瀬がない。今後は当面、「大塚家具」の社名は維持される見込みだが、将来的にその保証もない。
骨肉の争いの末、父親を追い出した後に“かぐや姫”などと持ち上げられたものの結局、企業イメージを悪化させただけ。経営難は続き数々の企業の救済オファーに無理難題を突き付けた久美子社長。昔話同様、ハッピーエンドにはならなかったようだ。