評論家・吉武 輝子14歳の時 進駐軍の兵士から集団強姦

2020年10月11日 21時41分27秒 | 社会・文化・政治・経済

大人になりたくなかったわたし (新・のびのび人生論) (日本語) 単行本 – 1994/8/1

 
 
 

 
 
 
 
 
 
 

大人になりたくなかったわたし (新・のびのび人生論)

生きるあかしを求めて 私の愛と性の真実  吉武輝子

終戦翌年の春、青山墓地で、アメリカ兵から集団暴行を受けました。
一四歳でした。母にだけは言ってはいけない。そう思いました。(吉武輝子)

進駐軍の兵士から集団強姦の体験をつづった手記を発表したのは、1970年、39歳の時。
「スキャンダルを売り物にしている」と男性側からはいわれのない電話や手紙が多数舞い込んだそうだ。
脅迫のような内容も。

「わたしは真の回復者でもなければ、生還者でもないかもしれない」

少女時代にレイプにあった著者。そこから挫折がはじまった。だが、挫折は人間を成長させる。女の子の生き方をするどく説く。
 

内容(「MARC」データベースより)

一回こっきりの人生に、挫折という名の調味料をいっぱいふりかけダイナミックに生きて下さい。少女時代に絶望感にとりつかれた著者から、君たちへの応援歌。挫折は人生の最大の贈り物。
 
吉武 輝子(よしたけ てるこ、1931年7月27日 - 2012年4月17日)は日本の作家・評論家。

慶応大卒業後、1954年東映に入社し、日本初の女性宣伝プロデューサーになった。
66年退社し、文筆、講演活動に。
女性の地位向上とともに、自身の体験を踏まえて「戦争への道を許さない女たちの連絡会」世話人を務め、平和問題に取り組んだ。77年の参院選全国区に無所属で立候補したが、落選した。 東日本大震災後、呼び掛け人の一人となって、文化人、学者ら幅広い分野で活躍する女性らとともにネットワーク「脱原発をめざす女たちの会」を立ち上げた。 著書は「女人 吉屋信子」「置き去り サハリン残留日本女性たちの六十年」など多数。

戦後史の語り部として、とりわけ女性の側から見た戦後史について、終生語り続けた吉武輝子。戦争や福祉をテーマにした著作を執筆する一方、自らの戦争体験をもとに平和運動や女性解放運動をけん引した。
昭和6年、兵庫県・芦屋市生まれ。
終戦後、女性の参政権が認められたことを機に「女性が自分のために生きる」ことを考え始めた。
慶応義塾大学に進学、その後、「社会の中で働きたい」と映画会社に応募。
女性の応募に驚く面接官を「女性は応募はダメと要項に書いていない」と説得し合格、その後、初の女性プロデューサーとなった。
30代でフリーとなり、女性解放運動の論客として活躍。自身が進駐軍の兵士に暴行を受けたことを明らかにし、戦争や人権について女性の視点から発言を続けた。作家としては、小説家・吉屋信子など信念を持って生きた女性の伝記や戦後、サハリンに置き去りにされた日本人女性のノンフィクションなどを執筆。

差別や抑圧のある世の中を変えようと活動を続けた吉武輝子、その胸の内が語られる。
あの人に会いたい
反戦、平和とか護憲とか女性解放というのは、駅伝。私は先輩からたすきを受けて走っていた。私が今、幸せなのは(若い人が)たすきを受け取ってくれていること。

著書 あしたのOG像 文理書院, 1967. 青春を生きる! 1968. 
三一新書 生きるあかしを求めて 私の愛と性の真実 実業之日本社, 1971. 
『結婚が変わる 自立する正と性』(1972年、大和書房)
 キミたち女のコ サニー出版 1973 サニーブックス 子どもたちへのおくりもの ひとりで生きるために 第三文明社, 1974 灯台ブックス おんなのことは天下国家のことなのだ 櫂書房 1977.6. Books おんな 結婚ってなあに ルック社, 1977.5. 闘うおんなはやさしいおんな 櫂書房, 1977.5. Books おんな やさしいエロス この指とまれ 住宅新報社, 1977.3. 愛すれど孤独 女にやさしい女こそ PHP研究所 1978.10 のち文春文庫  愛のうしろ姿 スタートとしての結婚を考える PHP研究所 1979.10. 『女が自分と向きあうとき 私のおんな白書』(1979年、海竜社)のち三笠書房知的生きかた文庫  女の子の伸ばし方 のびやかな子に育つため 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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コロナ禍で閉院…受診控えで追い込まれる中核病院 インフルとの同時流行の懸念も

2020年10月11日 21時27分38秒 | 医科・歯科・介護

10/11(日) 19:01配信
FNNプライムオンライン

新型コロナの影響で患者が激減し、経営危機に陥っていたクリニックや病院。
2020年6月の取材から3カ月以上が経過し、どうなったのか。
そこから見えてきたのは「閉院ドミノ」とも言える深刻な実態だった。

【画像】コロナ禍で閉院…閉院したクリニックの医師が語る

訪ねたのは福岡県飯塚市にある、ひじい小児科。

前回取材した際には、患者の数が例年の5割程度にまで落ち込んでいた。

院内で新型コロナに感染するかもしれないとの懸念から通院を避ける「受診控え」が顕著だった。

ーー現在の患者数は?

ひじい小児科クリニック・肘井孝之院長:
70%から多く見積もって80%。戻っては来てるけど例年通りということはないと思う。一定数の人はもう来なくなっている。やっぱりリスクの高い場所だという先入観があるんだろう

この小児科では発熱などがある場合は受付を分けるなどできる限りの感染対策を行っているが、いまだ根強い受診控えが続いている。
乳幼児健診の受診率も低く、院長は気をもんでいた。

ひじい小児科クリニック・肘井孝之院長:
本来、例えば飯塚市で、1歳半で来ないといけない人間が8月に100人いたとしたら50人くらいしか来ていない。健診ですら来ない。早い時期に色んな異常を見つけるのが健診の目的だが、それが達成できていないかもしれない

実は「過度」な受診控えが原因で既に深刻な影響が出ていた。

県内の開業医を対象にした緊急アンケートに切々と記されていたのは「重症化」した事例の数。

アンケート
・「腎不全が悪化し緊急搬送されました」
・「年末に気になっていて年が明けたら受診を考えていた方がコロナで受診できず6月に受診。進行乳がんの状態でした」
・「内服薬が切れ自己中止。来院せず自宅で死亡」

過度に受診を控えることによって持病が悪化したケースが次々に確認された。

福岡県保険医協会・大脇為常副会長:
大きな危惧を感じている。患者さんがコロナのせいで受診を手控えする。薬やワクチンができて、徐々にそのことが解消されていくが、その時に亡くなっていたということでは困る

さらに受診控えによる患者数の減少は医療機関の経営に致命的なダメージを与えていた。

実際に閉院したクリニックの医師が語る
9月4日、福岡市内にあるビルのワンフロアで搬出作業が行われていた。
高額な精密機器に注射器と記された棚。ここはクリニックだった。

閉院したクリニック・永田眞人医師:
エコーだけある。これも持って行くが精密機器なので自分で持って行こうかと

閉院したクリニック・永田眞人医師:
結局、毎月の赤字幅がどんどん増えた。残念ながら経営上「閉院」しますと

2009年に開院したこのクリニック。
外科や内科など患者の相談に幅広く応じ診察してきた。
だが、都心ゆえの高い賃料が負担となるなか、新型コロナの感染リスクを恐れた受診控えで収入が約3割まで激減。閉院を余儀なくされたのだ。

閉院したクリニック・永田眞人医師:
10年間、いいスタッフに恵まれた。1人ではできないので(その方たちをやむなく解雇した)それは辛かった。今回、僕が決断するまでの2、3カ月前に入職した方もいた

苦渋の決断だった新型コロナによる閉院。
決してこのクリニックが特別な訳ではない。

閉院したクリニック・永田眞人医師:
いま医療は、利益は出てない、どこも。元々潤沢じゃない所に今回のコロナ禍で、皆さん大変でしょうし、北九州の友人で閉じた先生もいる

熱が出るインフルエンザ…同時流行を懸念
厳しい経営状況に直面しているのは地域医療の中核を担う病院も同じ。
大牟田市のこの病院では受診控えのため今も外来患者が少なく、損失の見通しは年間約1億円に上る。

米の山病院・崎山博司院長:
補助金に関しては手続きが非常に複雑で、支給決定まで時間がかかり、8千万円分申請しているが、まだ1円も下りていない

3月に設置したという「発熱外来」。必要に応じてPCR検査や抗原検査を行っているが、今後、懸念されるのはインフルエンザとの「同時流行」。
発熱した患者が殺到する可能性もあり、医師や看護師の負担の増加は免れない。

米の山病院・崎山博司院長:
みんながコロナかもしれないと想定しながら対応しないといけないから、すごく1人ひとりに対して手間がかかるのが危惧。体制が追い付かないと思う

さらに、その患者の対応に欠かせない防護具が実は十分でないという。

看護師:
このプラスチックエプロンですね。これが値上がりしたり、なかなか今までみたいにスムーズには入ってきていない状況。月に最低でも600枚程度は使います。(たくさんあるように見えて)すぐになくなります

このほか、11月からは医療用手袋が世界的な需要の高まりを受け、6倍に値上げされるという。

米の山病院・崎山博司院長:
足りないが、買おうにも買えない状況。感染対策をしっかりできるような状況じゃないと安心して職員が働けない。そういった病院だと患者さんも安心してかかれないと思うので

新型コロナウイルスとインフルエンザで懸念される医療機関の混乱。

最低限、安全対策を万全にできるよう支援などを急がなければ患者の受診控えに拍車がかかり、病院からますます足が遠のく事態になりかねない。

(テレビ西日本)

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「父親は殺人犯」女子高生の娘が生きた壮絶人生、「君たちを守るためにやった」に号泣した理由

2020年10月11日 21時27分38秒 | 事件・事故

10/11(日) 5:41配信

東洋経済オンライン

親が犯罪者になってしまったとき、その子どもの思いとはーー?(写真:筆者撮影)

 親が犯罪者になった子どもの立場の人に話を聞きたい、と思ってきました。被害者やその遺族の手前、表に出てきづらい存在ですが、被害者側の苦しみとはまた別のところで、加害者家族の苦しみも、確実に存在します。

47都道府県「幸福度」ランキング

取材申し込みフォームから連絡をくれたのは、20代の田嶋架純さん(仮名)。架純さんの父親は、彼女が高校生のときに殺人と覚せい剤使用により逮捕され、いまも刑務所で服役中です。メッセージからは彼女の迷いや苦しさが、輪郭をもって伝わってきました。

 待ち合わせたのは、7月の休日、都内のデパートのカフェでした。新型コロナの緊急事態宣言が出てからはオンラインの取材が続き、外出が久しぶりだったためか、目に入るものがどこか生々しく感じられます。蒸し暑いテラス席でコーヒーを飲み、ちょっと一息ついた頃、まっすぐな瞳をした架純さんが現れました。

■薬物中毒者の娘である自分も、人間ではないのか

 架純さんが5歳のとき、両親は離婚しました。父親は仕事柄、遠くへ行くことが多く、また「遊び人だった」こともあり、もともと家にはあまりいませんでした。

 架純さんたちが住んでいたのは、父方の祖父母の持ち家の1つでした。会社を起こして財を成した祖父と、名家の出身で手に職があった祖母。伯母やその夫も社会的地位の高い人物でした。父親はそんな親きょうだいに囲まれ、コンプレックスを感じて育ったのでしょうか。

 祖母は「優しいおばあちゃん」でしたが、後に聞いた話では、意外と豪胆な人物でもあったようです。父親が悪い相手から金を借りた際は、身一つで事務所に乗り込み、金をたたき返してきたこともあったとか。そんな祖母のすすめもあり、母親は離婚後も祖父の会社を手伝いつつ子育てをし、そのまま祖父母の持ち家で暮らしていました。

 父親は覚せい剤を使用して刑務所にいる。それを知ったのは、小学5年生のときでした。祖父母が同じ敷地内に家を新築してくれ、引っ越し作業をしていたところ、引き出しの奥から父親が書いた手紙が出てきたのです。この頃、父親に手紙を送っても宛先不明で戻ってきていたので、どうしているのかと気になり、つい中身を読んでしまったそう。

 それは架純さんにとって、「とんでもない」手紙でした。父親が犯罪者になっていたことへのショックと、母親に宛てた手紙を読んでしまったことへの罪悪感。誰にも話すことができず、むしろ「母親の前で不用意に父親の話題を出すのはやめよう」と思ったといいます。

普段は以前と変わらず、活発に過ごしていましたが、中学校の授業で「薬物乱用防止」のビデオを見たときは泣いてしまいました。「薬物中毒者は人間ではない、人間をやめたのだ」と言われ、「薬物中毒者の娘である私も、人間ではないのか」と感じてしまったのです。

 「人間やめますか?」という薬物防止のキャッチフレーズは、依存症患者を追い詰め、回復をより困難にするものであることが認識され、最近はあまり見かけなくなりましたが、実は依存症患者本人だけではなく、その子どもたちのことも、ひどく苦しめていたのです。

■娘には優しく、厳しかった父親への思い

 服役していた父親が「帰ってきた」のは、中2のときでした。この頃、祖父母は架純さん一家のすぐ「裏の家」に住んでおり、父親もそこで暮らすようになったのです。架純さんには、戸惑う気持ちと、うれしい気持ちが両方ありましたが、弟はただただうれしかったようで、毎日のように「裏の家」に行って父親と過ごしていたそう。

 母親は内心、複雑だったでしょう。以前、父親が一時帰宅した際、母がインターホン越しに「帰ってよ!」と怒鳴っていたことを、架純さんは覚えていました。一方的に離婚を告げた父親に対し、怒りがなかったはずはありません。しかし母親は、子どもたちの前ではいっさい父親の悪口を言わなかったといいます。

 「すごいな、と思います。私や弟が『お父さんに会いたいな』と言ったとき、『あんな男、父親だと思うのはやめなさい』とか、そういうことは一度も言われたことがないので。

 大人になってから『なんでそういうことを言わなかったの?』って聞いたら、『どんな人であっても、あなたたちにとって父親であることに変わりはないから。自分の親を嫌いになるのは悲しいし、つらいことかなと思ったから、ママはそういうことは言わなかった』って。

 そういうふうに育ててくれたことには、すごく感謝してます。自分の血縁って、ある意味1つのアイデンティティーじゃないですか。それを悪く言われるのは、少なからず自分の一部も否定されることになると思うから」

 ただやはり、架純さん自身も父親に対しては、複雑な気持ちがあるようです。話を聞いていると、父親を好きだと言いたい気持ちと、それを口にしてはいけない、するべきではないという気持ちが、彼女の中でせめぎ合っているのが感じられます。

昔一緒に住んでいた頃、どんな父親だった?  そう尋ねると、「優しい、怖かった」と口にし、いろんな思い出を話してくれました。

 料理が上手で、周りの子どもたちがうらやむようなかわいいキャラ弁を作ってくれたこと。小さかった架純さんが食べ物を残したり、片付けができなかったりすると、とても厳しくされこと。弟の出産のため母親が入院していたときは、架純さんの髪を結ってくれていたこと。

 「そういう日常的な、超どうでもいいことが、自分の中では『めっちゃ大事だったな』と思えるんです。かわいがってもらったと思うし、大好きだった」

■事情を察して電話をくれた幼なじみのお母さん

 事件が起きたのは7月、夏休みに入ったばかりの時期でした。高校で部活の練習を終えた架純さんは、先輩とおしゃべりをしており、「じゃあ帰ろうか」と戸を開けると、土砂降りの雨が降っていました。そこで母親に電話をかけ、車で迎えを頼んだのです。

 家に着くと母親はすぐ、祖父母が住む裏の家へ。よくあることで、ここまではいつもどおりでした。しかし、弟の様子がいつもと違います。聞くと、この日は父親が祖母の看病をするはずだったのに帰ってこなかったため、代わりに弟が裏の家にいたところ、警察から電話がかかってきたそう。「お父さんに話を聞いている」と告げられたようです。

 お父さんが、また何かした――。架純さんはこのとき察しました。

 「うち、普段はテレビをつけないんですけれど、たまについていることがあって。夕方6時過ぎ、キー局番組の合間の5分とかで、地方ニュースをやるんです。そこで『〇〇市の民家から、女性の遺体が発見された。一緒にいた男性に事情を聞いている』みたいなことが報道されて。なんか、2人で見入っちゃって。弟と何か話をしたと思うんですけれど。全然覚えていないけど」

 殺されてしまったのは、父親が入れ込んでいた、近くの飲食店の女性でした。

 その後、電話がかかってきたのか、かけたのかわかりませんが、弟が泣きながら父親に「いつ帰ってくるの?  今日約束してたじゃん、早く帰ってきてよ!」と言っていたことを、架純さんは覚えています。夜になると、おそらく新聞記者でしょうか、家のチャイムが鳴りましたが、「出てはいけない」と感じ、弟と2人でやり過ごしたそう。

 夜8時頃、架純さんの携帯に電話をくれたのは、幼なじみのお母さんでした。家族ぐるみで仲良くしており、架純さんの家の事情もよく知っている人です。

 

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わいせつ教員「復帰するな」に署名5万筆、性欲満たすために教員になる者も……〈週刊朝日〉

2020年10月11日 21時23分57秒 | 事件・事故

10/3(土) 13:53配信

AERA dot.

「教員のわいせつ行為が相次いでいる。免許を再交付しないで」と訴える保護者ら=9月28日(C)朝日新聞社

 児童へのわいせつ行為で懲戒免職を受けた教師に復帰の道を残すべきか。

 子どもを性暴力からも守るために活動する全国学校ハラスメント被害者連絡会が9月28日、「わいせつ教員に教員免許を再交付しないで」とする5万4千筆超の署名を文部科学省に提出した。

 現行の教員免許法ではわいせつで懲戒免職となっても、3年後には教員免許を再取得できる。同会の共同代表を務める郡司真子さんはこう言う。

「免許再交付までの制限期間を5年へ延長することを検討との報道も一部ありましたが、延長したところで意味はありません。再交付しないでという声に対し、文科省は『職業選択の自由』を盾にしています。加害者側の社会復帰も大事かもしれませんが、トラウマを植え付けられる被害者の感情はどうなるのか。被害者の基本的人権がないがしろにされていると憤りを覚えています」

 同じく共同代表の大竹宏美さんはこう話す。

「児童に対するわいせつはアルコールなどの依存症に似ているのかなと思っているので、対象が近くにあれば、それが引き金となります。アルコールなどと違うのは、被害を受ける相手がいるということ。わいせつ教員を子どもに近づけてはならないんです」

 この問題について、数々の裁判を傍聴してきた教育評論家の武田さち子さんはこう指摘する。

「裁判で『教師からわいせつ行為を受けた』と認定されること自体、ものすごく大変なんです。証拠集めも難しく、教師が否定すれば終わってしまうことも多々あります。その中で懲戒免職処分を受けるというのはよほどのこと。その教師を再雇用するというのは子どもにとって非常にリスクが大きい」

 武田さんは多くの教員たちに話を聞く過程で、“トンデモ教師”の存在を知ったという。

「子どもを性的な対象とし、そのために教員になった人は実際にいる、という話はあちこちで聞きます。あまりにも多く聞かれるので、場合によっては一つの学校に一人二人はそうした教師が必ずいるのではないかという印象を抱きます」

 同会は再交付制度の“廃止”に加え、養成課程から人権を学び、採用時には適性検査、その後も定期的に研修を受けることを望んでいる。

 萩生田光一文科相は9月29日の会見で、「私個人は、わいせつ教員は教壇には戻さないという方向を目指して法改正をしていきたい」と語り、文科省の担当者は「法制上可能な、最大限のところを検討している」と話した。

 郡司さんは言う。

「署名提出はあくまで第一歩を踏み出しただけ。きちんと法改正がなされるまで注視していきたい」(本誌・秦正理)

※週刊朝日オンライン

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『日本国紀』百田尚樹に決定的に欠落している認識

2020年10月11日 04時34分33秒 | 社会・文化・政治・経済

福嶋聡 ジュンク堂書店難波店店長

百田尚樹氏が『日本国紀』込めたメッセージは何か?

百田尚樹『日本国紀』は歴史書ではなく「物語」

百田尚樹の「通史」『日本国紀』(幻冬舎)では引用史料を一切示されず、歴史書の体をなしていないこと、そして叙述自体のいくつかの箇所がウィキペディアのコピーであることの批判が、ネット上で飛び交っている。

だが、前稿で書いたように百田自身が実証的な歴史書ではなく壮大な物語であると宣言している『日本国紀』が実際にベストセラー化している今、むしろ重要なのは百田がこの本にどんなメッセージを込めようとしているか、ではないだろうか?

 百田の書きたかったのが、後半4割強を使った明治維新以降の近現代史観であることは間違いない。

そこには、百田の思想が、前面に出てきている。「一説によると」と、諸説から自分の考えに合うものをピックアップするのではなく、自説を高らかに表明している。それは、天皇への敬慕と天皇制の強い支持、「大東亜戦争」肯定論、反共、反新聞である。

日本が満州の開拓に本格的に乗り出したのも、欧米のブロック経済の煽りを受けたせいだった。後に「大東亜共栄圏」を構想するが、その目的もアジアに「円ブロック」を築こうというものだったのだ。(p352、引用は第4刷。以下同様)

日本政府の無為無策では南満州鉄道や入植者を守れないと判断した関東軍は、昭和六(一九三一)年九月、奉天(現在の瀋陽)郊外の柳条湖で、南満州鉄道の線路を爆破し、これを中国軍の仕業であるとして、満州の治安を守るという名目で軍事行動を起こした。(p358)
第二次上海事変は中華民国の各地に飛び火し、やがて全国的な戦闘となった。ただ、日本が戦闘を行なったのは、そもそもは自国民に対する暴挙への対抗のためであって、中華民国を侵略する意図はなかった。(p367)
 日本の中国「進出」は、あくまで西洋列強の経済封鎖への対抗策であり、アジア侵略の意図は無かったと言い切っている。韓国併合も然り。

日本が清と戦った一番大きな理由は、朝鮮を独立させるためだったのだ。朝鮮が清の属国である限り、近代化は難しかったからである。(p307―308)
日本は欧米諸国のような収奪型の植民地政策を行なうつもりはなく、朝鮮半島は東南アジアのように資源が豊富ではなかっただけに、併合によるメリットがなかったのだ。統監の伊藤博文自身が併合には反対の立場を取っていた。(p326)
繰り返すが、韓国併合は武力を用いて行なわれたものでもなければ、大韓帝国政府の意向を無視して強引に行なわれたものでもない。(p327)
 そして、言う。

日本は国際連盟規約に、「人種差別をしない」という文章を入れることを提起する。これ以前に、国際会議の席上で、人種差別撤廃をはっきりと主張した国はない。これは人類の歴史上、画期的なことであった。(P340)
 「大東亜戦争」は、アジアを蔑視し植民地化した西洋列強からアジアを解放する「正義の戦争」であり、残念ながら日本は負けてしまったが、戦中に西洋を追い出した奮戦が、アジア人に自信を与え、脱植民地ー独立へと導いたと言うのである。

インドのネルー首相は十六歳の時、〔日露戦争での〕日本の勝利を聞き、「自分たちだって決意と努力しだいではやれない筈がないと思うようになった。そのことが今日に至るまで私の一生をインド独立に捧げさせることになったのだ」と語っているし、ビルマ(現在のミャンマー)の初代首相のバー・モウは「日本の勝利は我々に新しい誇りを与えてくれた。歴史的に見れば、日本の勝利は、アジアの目覚めの出発点と呼べるものであった」と語っている。(P 321、〔〕内引用者)
東南アジアの諸国民は、欧米列強による長い植民地支配によって「アジア人は白人に絶対に勝てない」と思い込んでいた。その認識を覆したのが、日本人だった。無敵の強者と思われていた白人をアジアから駆逐する日本軍を見て、彼らは自信と勇気を得たのだ。(p445)

拡大『日本国紀』(幻冬舎)
 強く、優秀で、善良な日本が、アジアのリーダーに相応しい、と言わんばかりである。そこには、韓国や中国をはじめとするアジア諸国へのおぞましいばかりの優越意識が、あからさまに感じられる。百田が描く日本古代~近世の「物語」に込められたサブリミナル効果が、読者に優越意識を伝染させる。
 なればこそ百田は、東京裁判による断罪、日本国憲法、先の戦争を日本の侵略戦争と見なす戦後知識人たちを徹底的に批判する。「日本ほど素晴らしい歴史を持っている国はありません」という百田のテーゼが、戦後日本に関しては当てはまらないからである。

 なぜ、そうなったか?

「共産主義」を過大評価?

 百田は、GHQの占領政策、その中での「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」=「戦争についての罪悪感を、日本人の心に植え付けるための宣伝計画」が諸悪の根源だと糾弾する。

これは日本人の精神を粉々にし、二度とアメリカに戦いを挑んでこないようにするためのものであった。東京裁判もその一つである。そして、この施策は結果的に日本人の精神を見事に破壊した。(p421)
共産主義者に影響されたGHQの占領政策は、その後の壮大な「歴史戦」の端緒となった。(p432)
 それは、半世紀後の「河野談話」「村山談話」まで続く、という。

敗れた日本が取り戻せなかったものがある。それは「愛国心」と「誇り」だ。これらは戦後、GHQに木端微塵にされ、占領軍が去った後は、彼らの洗脳を受け傀儡となったマスメディアや学者たちによって踏みつぶされ続けた。(p444)
 GHQが、日本が「二度とアメリカに戦いを挑んでこないようにするため」に施した洗脳(WGIP)を引き継いだのが、戦時中追放されていた学者、知識人、そしてマスメディアだというわけだ。

戦後を「素晴らしい歴史」の例外にした元凶である彼らを、百田は「共産主義者」と一括りにする。「共産主義者に影響されたGHQ」というのは、いやはや大胆な形容である。これらの箇所には、百田の強烈な反共意識が表れているといえるだろう。

 余談だが、百田は、日本史上のさまざまな事件の原因を、ほとんどその主要人物の感情・思惑に帰している。

もし清盛が継母の言葉に耳を貸さず、また義経の母の情にほだされなければ、歴史が変わっていた可能性は大である。……その裏に、男と女のドラマ、人間の情愛、欲望と怒りが大きく関係していることもまたたしかだ。歴史の転換点でそうした人間の情念が顔を出した時、流れが大きく変わるというのが面白い。(P87)
大乱のきっかけは、息子を将軍にしたいという母の我儘な思いだった。歴史というものは、しばしばそんな人間的な感情から大きく動くが、応仁の乱もまたその一つであった。(P130)
この事件〔本能寺の変〕に関しては、多くの作家が様々な説を述べているが、私は明智光秀が個人的な恨みから起こした単純なもので、用意周到に練られたものではなかったと思っている。なぜなら、その後の行動がきわめてお粗末だからだ。(P142、〔〕内引用者)
もし茶々が敢えて不義の子を産み、その子が豊臣家を継いだなら、ある意味、復讐を果たしたといえなくもない。真相は永遠に謎だが、戦国の世にはこうした男女の生々しいドラマもまた渦巻いていた。残された証言によれば、秀頼は秀吉に似ず、背の高い偉丈夫であったという。(P161−162)
 日本の歴史を動かしたのは、個々の人間の情愛、欲望、我儘、恨み、復讐というわけだ。作家らしい考えといえばそれまでだが、その奥に、経済構造の矛盾が歴史を動かすという、百田が忌み嫌う共産主義の唯物史観の絶対的な否定が潜んでいると読むのは、穿ち過ぎだろうか?

国労(国鉄労働組合)などでは、共産主義者たちが、共産主義に反対する人々を、逆に共産主義者だと名指しして解雇し、実権を握った。こうして共産主義的な思想は日本社会のいたるところに深く根を下ろしていくことになる。(P436)
占領軍が去った昭和三〇年(一九五五)頃から、新聞は反米路線に舵を切る。これは公職追放後にマスメディアおよび教育界や言論界に大量に入ってきた共産主義者や社会主義者たちの影響だった。(P457)
 確かに、戦後すぐの日本共産党は革命への意気高く、全国の労働運動にも深く入り込んでいたことは現在とは大きく違う。当時は武装闘争路線をとっていたし、その一部がやがて連合赤軍などの「過激派」に流れていったことも事実だ。だが、「共産主義的な思想は日本社会のいたるところに深く根を下ろしていく」「マスメディアおよび教育界や言論界に大量に入ってきた共産主義者や社会主義者たち」という百田の見立ては・・・


百田尚樹さんの「日本国紀」批判で出版中止 作家が幻冬舎を批判

2020年10月11日 04時27分39秒 | 社会・文化・政治・経済

毎日新聞2019年5月16日 07時00分(最終更新 5月23日 13時09分)

百田尚樹さんの「日本国紀」=2018年12月17日午後8時31分、手塚耕一郎撮影
 作家・百田尚樹さんの著書「日本国紀」(幻冬舎)を批判する投稿をツイッターでしたことで、「幻冬舎から刊行予定だった文庫本を出せなくなった」と作家の津原泰水(やすみ)さん(54)が訴えている。
既に幻冬舎から単行本で発売されている津原さんの小説が今春、同社から文庫化される予定だった。が、作業が大詰めとなった今年1月、同社の担当編集者から「(日本国紀の)販売のモチベーションを下げている者の著作に営業部は協力できない」と伝えられたと主張する。
幻冬舎側は毎日新聞の取材に、「文庫化を一方的に中止した事実はない」と否定する一方、日本国紀への批判をやめるよう津原さんに働きかけたことは認めた。【大村健一/統合デジタル取材センター】

 幻冬舎から文庫化が予定されていたのは小説「ヒッキーヒッキーシェイク」で、2016年の織田作之助賞の最終候補にも残った作品だった。
毎日新聞の取材に応じた津原さんは、「あとはゲラ(校正刷り)をチェックして返すだけというような状況だった今年の正月早々に、急転直下で出版が取りやめになった」と話した。


世界よ、これが日本の「保守」だ。ニュースで振り返る2019年「保守界隈」の残念さ加減

2020年10月11日 04時11分09秒 | 社会・文化・政治・経済

2019.12.27

ハーバー・ビジネス・オンライン  

GEISTE

自らの権力を誇るかのように、桜を見る会で我が世の春を謳歌していた頃の安倍総理

「保守」界隈の2019年ドタバタ記録を振り返る
   早いもので今年ももうあとわずか。2018年の今頃はTwitterで『日本国紀』に関連するツイートを連発、その秀逸な「楽しみ方」を提案するという記事を執筆していた、本サイトの連載陣、GEISTE氏。 
◆話題沸騰の書、百田尚樹著『日本国紀』を100倍楽しみ、有意義に活用する方法|HBOL

◆「歴史的事実は誰が書いても一緒」にはならない、たった一つの確かな理由~百田尚樹氏『日本国紀』|HBOL   

2019年はスケジュールの都合などで今月上旬に『「桜を見る会」関連文書にまつわる、問題と矛盾と逃げだらけの政府答弁。安倍総理に突き刺さる「9年前のブーメラン」』の一本に留まった彼に、今年気になったニュースを「10大ニュース」的に振り返ってもらった。  

「保守論客の瓦解」の皮切りは昨年末から始まっていた!?
  ◆1.アンチではなく「知」が追い込んだ安倍寄り作家の新著騒動(適名収・日刊ゲンダイDIGITAL・1月12日)  
 昨年11月に公刊された百田尚樹著『日本国紀』(幻冬舎刊)、発売直後からSNS上ではいろいろな意味で盛り上がり、年末から年始にかけて基本的な事実関係に関する無数の間違いはおろか、WikipediaやYahoo!知恵袋等からのコピペ要約箇所までが次々に発見されるに至る。
そんな『日本国紀』の問題点を端的に捉えた適名収氏の記事をまずは挙げたい。「アンチではなく知が追い込んだ」という見出しも秀逸。 

 5月に再び『日本国紀』関連炎上!

 ◆2.『日本国紀』監修者・久野潤氏の反論に応える①(呉座勇一・アゴラ・1月10日)  『日本国紀』をめぐる騒動は、著者の百田氏も編集者の有本香氏も批判や指摘に対してまともに応じる気配が一向にないこともあって、1月以降、代理戦争の様相を呈することになる。

アカデミックな歴史学の作法やルールを重視する立場から、『日本国紀』監修者で大阪観光大講師の久野潤氏、元経産官僚で日本史関係の著作を持つ徳島文理大教授の八幡和郎氏、そして『逆説の日本史』などの著作で知られる作家の井沢元彦氏といった右派論壇人を撫で斬りにした呉座勇一氏の一連の記事は痛快かつきわめて説得的だ。

 ◆3.杉田水脈議員を京都地裁に提訴 阪大教授らが名誉毀損で(毎日新聞・2月12日)   政府見解とは異なる立場を取る一部の研究者が、科研費という公費を用いて「捏造」や「反日活動」を行っている、などと杉田水脈議員が騒ぎ立てたのは昨年2月26日の衆院予算委分科会でのこと。それから約1年を経て、杉田議員の一連の科研費騒動によって名誉が毀損されたとして、大阪大学の牟田和恵教授らがついに提訴に踏み切った。当該訴訟は現在、第3回口頭弁論(12月13日開催)まで進んでいる。  

◆4.安倍首相、ノーベル賞へのトランプ氏推薦報道に「推薦者と被推薦者は50年明らかにされない」コメント避ける(濵田理央氏・ハフィントンポスト・2月18日) 
  2月18日の衆院予算委集中審議での玉木雄一郎議員と安倍晋三首相との質疑レポート。安倍首相がトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したことの是非は措こう。
また同賞は守秘義務があるので首相が国会で明言を避けたことも一応理解できる。だがそもそも安倍首相がトランプ大統領に5枚に及ぶ推薦状を送ったこと自体が守秘義務違反ではないか。
自国民を代表する国会議員には情報を明かさず、他方で米国大統領のご機嫌取りのためにはルールを無視する。
現政権の規範意識の低さを象徴するニュースだった。 

 ◆5.東大教授が解説!「令和」から浮かび上がる大伴旅人のメッセージ(品田悦一・現代ビジネス・4月20日)  
 4月1日の「令和」改元に際して書かれたものの中で、私の知る限りもっとも刺激的な文章がこちら。
新元号の出典となった『万葉集』「梅花歌三十二首」の序文のフレーズは、その部分だけ読むとうるわしくなごやかな初春の景観の描写に過ぎないのだけれども、そこで踏まえられている中国古典を参照することで、当該序文には万葉歌人大伴旅人の腐敗政治への嫌悪が込められているとの解釈が導出されるのだという。

何とも皮肉が効いた名文である。 

 ◆6.百田尚樹さんの「日本国紀」批判で出版中止 作家が幻冬舎を批判(大村健一・毎日新聞・5月16日)  

 
5月に入り『日本国紀』問題は新たなフェーズへ移行する。同書のコピペ問題を批判していた作家の津原泰水氏が、自作の文庫化を版元の幻冬舎によって急遽中止されていたことが明らかとなったのだ。

その後、見城徹社長がTwitter上で津原氏の著作の実売部数を侮辱的な形で公表したことが更なる批判を呼び、ついには謝罪とアカウント更新停止(のち削除)にまで追い込まれることになる。
バイトテロならぬ社長テロとも揶揄されたこの一件、結局『日本国紀』という一冊の本のために企業の評判を大きく落とす結果に終わったようだ。 
 ◆7.「建造物侵入罪」濫用で狭められる報道の自由(藤倉善郎・ハーバービジネスオンライン・8月16日)   
ジャーナリスト・藤倉善郞氏による報道の自由をめぐる記事。

とくに自民党・菅原一秀事務所の対応は醜悪の一言。経緯をまとめるとこうだ。

藤倉氏らが同事務所へ赴く→事務所職員に奥のソファーで待つよう指示される→座っていたところなぜか警官が来る→職員から帰って欲しい旨を伝えられたため退去→建造物侵入罪で同事務所から刑事告訴。当日の様子は動画でも公開されているが全く理解しがたい。
その後、経産大臣に就任した菅原議員の会見から締め出しを食らうなど藤倉氏らへは嫌がらせに等しい対応が続くが、地元有権者に金品を贈っていたとの週刊文春の報道により菅原議員はあえなく大臣職を追われることになる。  
  ◆8.前夜祭「会費5000円」で安倍首相反論 官邸幹部も「唐揚げ増やすなどやり方ある」(毎日新聞・11月15日)   
11月8日の参議院予算委員会での共産党の田村智子議員の質疑から火が付いた「桜を見る会」問題は、政府側の不誠実極まりない答弁のために未解明部分だらけだが、関連ニュースの中で思わず吹き出してしまったのが毎日新聞のこの記事。安倍首相主催の前夜祭の会費が安過ぎるのではないかとの指摘に対して官邸幹部が答えたのがあろうことか「唐揚げ増量」。

会場であるホテルニューオータニの格式の高さと、唐揚げ増量というケチ臭さとのミスマッチ感がじつに味わい深い。

 


無知に浅知恵、はてはデマまで。日本学術会議会員任命拒否問題が露呈させた与党自民党政治家の低劣ぶり

2020年10月11日 04時06分46秒 | 社会・文化・政治・経済

10/7(水) 8:34配信

HARBOR BUSINESS Online


国会どころか自民党内議論も軽視する安倍~菅政権

写真/時事通信社

 日本学術会議の推薦した次期会員のうち6名の任命を菅義偉総理大臣が特段の理由も示さずに拒否したことは、まずもって根拠法たる日本学術会議法ならびに当該法に関する過去の政府の国会答弁と法解釈に反したものである可能性が高く、行政の一貫性や法の支配の観点からもきわめて重大な問題をはらんでいることは、すでに複数の法律家や識者が指摘している通りです。

 こうした手続き上のずさんさや遵法意識の低さ、また政府が負うべき説明責任の軽視は、先の安倍政権以来のもので、菅政権もそれを正しく継承しているのでしょうが、どう考えても国家社会に混乱をもたらす単なる迷惑行為でしかありません。国民に対するハラスメントは即刻やめていただきたいものです。

 そもそも政府が日本学術会議の人事に介入したいのであれば、事前にそれを可能とする法改正を行っておけば(少なくとも手続き上は)問題なかったわけで、衆参両院で与党が安定多数以上を占めている現状なら恐らくそれは造作もないことだったはずなのですが、これも安倍政権以来の伝統で、菅政権もまた国会のみならず党内議論すらも軽視しているのでしょう。自民党議員の皆さまにおかれましては、今後も単なる採決要員としてのお仕事に邁進されることと存じ、衷心よりご同情申し上げます。

 とはいえその自民党所属議員が今般の学術会議会員任命拒否問題をめぐって、ただの採決要員であることに飽き足らなかったのか、途轍もない無知と低レベルぶりを晒しているのもまた事実です。

低レベルの浅知恵をここぞとばかりに披露する自民党議員たち
 たとえば、自民党の長尾たかし衆院議員は10月3日に更新したブログにおいて、3年前に学術会議が出した「軍事的安全保障研究に関する声明」を取り上げながら、「日本学術会議は中国人民解放軍傘下の大学留学生受け入れをどう認識しているのか」、「機微技術は海外にダダ漏れ」であり「矛盾していませんか?」などと述べています。

 まず大前提として、日本学術会議はあくまで日本の科学アカデミーのひとつとして政府への諮問に応じたり、提言や声明を出したりするだけの特段の権限を持たない組織に過ぎず、当然ながら留学生の受け入れに直接関与することはありません。過去に外国人留学生に関連する提言や報告等を出している程度です。もし仮に長尾議員の言うように日本の「機微技術」を中国からの留学生が「ダダ漏れ」させているという確かな証拠を掴んでいるのであれば、権限のない学術会議にではなく、大学の所管官庁である文部科学省及び菅政権の責任をまず問うべきでしょうし、技術の輸出入を規制する外為法違反の可能性もありますので、早急に告訴されることをお薦めします。なお、文部科学省の現行ルールにおいて、「現役軍人又は軍属の資格の者」は国費留学生の受け入れ対象外となっているなど、他国の軍事研究との直接の関わりを防止する一定の仕組みはすでに存在しています。とりあえずよく調べもせず学術会議の話に一丁噛みしてやろうという浅知恵が透けて見える、低レベルの印象操作と言わざるをえません。

 また、こちらは今回の問題が起きる前に書かれたものですが、甘利明衆院議員はHP上のコラムの中で、以下のように述べています。

“日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の「外国人研究者ヘッドハンティングプラン」である「千人計画」には積極的に協力しています。他国の研究者を高額な年俸(報道によれば生活費と併せ年収8,000万円!)で招聘し、研究者の経験知識を含めた研究成果を全て吐き出させるプランでその外国人研究者の本国のラボまでそっくり再現させているようです。そして研究者には千人計画への参加を厳秘にする事を条件付けています。中国はかつての、研究の「軍民共同」から現在の「軍民融合」へと関係を深化させています。つまり民間学者の研究は人民解放軍の軍事研究と一体であると云う宣言です。軍事研究には与しないという学術会議の方針は一国二制度なんでしょうか。”〈出典:甘利明officialWeb「国会レポート410号」〉

 どこから突っ込んでいいやら途方に暮れてしまいますが、まず中国の「千人計画」なるものは、基本的には海外で活躍する学術及びビジネスの領域における高度人材の中国への呼び戻し政策で、対象はあくまで自国民です(参考:中津純子『中国の高度人材呼び戻し政策』)。
 日本人を含めた外国人研究者を招聘する場合にもこの制度が使われるようですが、「参加を厳秘にする」といった性格のものではないことは、この千人計画の制度を通じて中国の大学に移籍した理工系研究者の複数が同計画での招聘であることを公言していることからも明らかですし、専門知を有する人材を国外から集め、自国の研究力を高めるというのはどこの国でもやっていることです。
 第一、この千人計画が軍事研究と関連していたとして、それがただの会議体でしかない日本学術会議といったい何の関係があるというのでしょう。あたかも何か裏ではおそろしい陰謀が巡らされているかのような、それでいて一切が曖昧模糊として具体性のない甘利議員の語り口はなかなか堂に入ったものかと思いますので、国会議員などよりも怪談の語り部に転職いただいた方が、世のため人のためになるのではないでしょうか。

陰謀論まがいの脅威論を流布する議員こそ安全保障上の問題
 長尾議員も甘利議員もいわゆる中国脅威論を述べておられるのでしょうし、筆者もまた中国政府に対しては充分警戒すべきであるとは思いますが、現役の与党議員が外交問題ともなりかねないこうした不正確で粗雑な言説を振りまくことこそ、むしろ安全保障上の障害ではないでしょうか。

 また両議員による日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」に対する理解もいささか短絡的なものと言わざるをえません。
 この声明は軍事研究を一律で禁止するような性格のものではなく、「軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設け」、また「学協会等において、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定」した上で行うよう求めていることからもわかるように、しかるべき手続きを踏んだ上でならば軍事研究を行うことを明白に許容しています。
 現在、ネット上では日本学術会議といえば軍事研究禁止をうたう団体といった評価が先行しているようですが、当該声明自体はかなり玉虫色のものであって「軍事研究禁止」という単純な主張のみをここから読み取るのは困難でしょう。

 しかし、今回の問題に関して最大級の低劣さを晒したのは長島昭久衆院議員に他なりません。

最大級の低劣さを晒した長島昭久衆院議員
“日本学術会議問題は、政府から明快な説明責任が果たされるべきであることは勿論、首相直轄の内閣府組織として年間10億円の税金が投じられる日本学術会議の実態や、そのOBが所属する日本学士院へ年間6億円も支出されその2/3を財源に終身年金が給付されていること等も国民が知る良い機会にして貰いたい。”〈出典:長島昭久衆院議員のTwitter〉

 長島議員は日本学術会議OBがそのまま日本学士院の会員へスライドし、終身年金を受給できるかのように語っていますが、事実無根です。日本学術会議と日本学士院とは目的も機能も、また会員となる要件も全く異なります。前者は政府の所管する諮問機関で会員は任期制であり、後者は「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関」(日本学士院法第1条)、つまり功労の多大な科学者の栄典・顕彰を目的とした機関です(会員は終身制)。人間国宝や文化功労者、あるいは叙勲・褒章などと同趣のものと考えてよいでしょうが、ただ学士院の場合、会員が寄稿する紀要の発行や資料の収蔵管理などを行う学術研究機関としての機能も持っています。
 日本学士院の公式ウェブサイトを見れば即座にわかるのですが、現在の150名の定員はノーベル賞受賞者をはじめ各分野の権威中の権威といえる科学者で占められていて、法令に基づいて会員1人あたり250万円の年金が支給されています。この数字をどう見るかは人によってさまざまでしょうが、日本の学術への長年にわたる、そして圧倒的なまでの功績に報いるべく支払われる額としては、実にささやかなものだと筆者は思わざるを得ません。科学者として、その人生の大部分を費やして人類の知の領土を大きく拡げてくれた方々を皆で支え、その功績を讃えることを躊躇うほど、人間として落ちぶれたくはないものです。
 この長島議員のツイートを受けてなのか、「この人たち(日本学術会議会員のこと)6年働いたら、そのあと学士院という所に行って年間250万円年金貰えるんですよ、死ぬまで。皆さんの税金から。そういうルールになってる」と発言したテレビ解説者がいたそうですが、上記の通り金額以外は徹頭徹尾デマです。後日別の番組内で訂正したそうですが……。

さらに低劣発言を重ねる長島議員
 長島昭久議員は更に次のようなツイートをしています。

“日本学術会議問題は、今週にも行われる衆院内閣委員会での政府説明で決着がつくと思うが、結局、官邸としては、過去の慣例を踏襲せず、政府の一機関に属する公務員として相応しいか否かで任命の判断をした迄で、政府に認められないと学問の自由が侵害されるとの批判は、自由とは真逆の発想ではないか。”〈出典:長島昭久衆院議員のTwitter〉

 看過しがたいのは、「政府に認められないと学問の自由が侵害されるとの批判は、自由とは真逆の発想ではないか」という発言です。どうやら長島議員は日本国憲法第23条「学問の自由は、これを保障する。」の「保障」は、政府ではなく国民が自助でやるべきことと認識されているようです。
 言うまでもないことですが、第99条に規定されている通り、日本国憲法の名宛人は日本政府にほかなりません。したがって学問の自由を保障する義務を負うのは国民ではなく日本政府です。こんな中等教育レベルのことも理解していない人間が与党議員として議員歳費を貰い続けていることと、人類の歴史に偉大な足跡を残した150名の日本の科学者に終身年金を支給することのどちらが国家国民のためになるのかは明白ではないでしょうか。

杉田水脈の科研費騒動レベルのことをする政権中枢
 かつて自民党の杉田水脈衆院議員が科研費をめぐって起こした騒動と同様の事態が、今度は末端の議員ではなく、あろうことか政権中枢によって惹き起こされたのが、今回の日本学術会議会員任命拒否問題だったと言えるかも知れません。
 その際にも述べたことですが、国民の税金が投入されているからこそ学問の自由が政府によって充分に保障される必要があります。たとえば、タバコ会社の資金提供でタバコの人体への害に関する研究が自由にできるでしょうか。あるいはゲイツ財団から研究助成を受けてビル・ゲイツの絶対に知られたくない過去(仮にそんなものがあるとして)を赤裸々に暴き出すような伝記研究ができるでしょうか。
 「税金が投入されているのだから、時の政権の意向に従え」という発想は学問の自由を根本から毀損し、ひいては亡国への道であることを先の敗戦から学び、その反省のもとに設立されたのがまさに日本学術会議でした。同会議が発足した昭和24年1月22日付の声明「日本学術会議の発足にあたって科学者としての決意表明」は以下のように始まります。

”われわれは、ここに人文科学および自然科学のあらゆる分野にわたる全国の科学者のうちから選ばれた会員をもって組織する日本学術会議の成立を公表することができるのをよろこぶ。そしてこの機会に、われわれは、これまでわが国の科学者がとりきたった態度について強く反省し、今後は、科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に、わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。”

 このとき科学者たちの胸中にあった「反省」と「確信」を、カビ臭い理想主義だと一笑に付すか、あるいは自分たちの歴史の一部として改めて引き受けていくか、いまその岐路に立たされているように思えてなりません。

〈文・GEISTE)Twitter ID:@j_geiste

【GEISTE】
Twitter ID:@j_geiste

ハーバー・ビジネス・オンライン

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自民・石破氏 学術会議、任命拒否の理由説明を 野党は「きれいごと多い」

2020年10月11日 04時01分59秒 | 社会・文化・政治・経済

10/10(土) 23:49配信

産経新聞

自民党の石破茂元幹事長

 自民党の石破茂元幹事長は10日夜のインターネット番組で、菅義偉(すが・よしひで)首相が日本学術会議が推薦した新会員候補6人の任命を見送った問題について、任命しなかった具体的な理由を明らかにすべきだとの考えを示した。「(任命)拒否権までは否定しない。なぜこの人はだめなのかが分からないと、次の人の任命のしようがない」と述べた。

 石破氏は、立憲民主党など支持率が低迷している野党に関し、「きれいごとが多い。こんな時こそ街頭で演説しなさいよ。『民主党(政権)のなれの果てじゃないか』と怒鳴られてもいい。私は(野党時代は)罵倒されながらも、とにかく街頭に出た」と語った。

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「開かずの踏切」で遮断機くぐり電車にはねられ死亡

2020年10月11日 03時55分49秒 | 事件・事故

10/7(水) 7:43配信

川崎市の「開かずの踏切」で、遮断機が下りた後に横断しようとした高齢の男性が電車にはねられ、死亡しました。

 JR東日本などによりますと、6日午後3時すぎ、川崎市中原区のJR南武線向河原駅前踏切で70代の男性が電車にはねられ、病院に運ばれましたが死亡しました。警察によりますと、目撃証言や電車の車載カメラから男性は自転車を押しながら遮断機の下りた踏切に入っていったということです。

電車は遮断機が下りてから35秒後に踏切に差し掛かっていました。川崎市によりますと、向河原駅前踏切は、ピーク時に1時間あたり遮断機が下りている時間が合わせて40分以上に及ぶ、開かずの踏切でした。市は去年6月、踏切から約370メートル離れた場所にアンダーパスを利用した迂回(うかい)路を整備していました。

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JR横浜線踏切で女性ひかれ死亡 一時見合わせ、6千人影響

2020年10月11日 03時55分49秒 | 事件・事故

10/5(月) 15:43配信

カナロコ by 神奈川新聞

踏切(イメージ)

 5日午後2時15分ごろ、横浜市緑区白山1丁目のJR横浜線鴨居-中山間の踏切(遮断機・警報器付き)で、女性が桜木町発八王子行き下り普通電車にひかれた。

 神奈川県警緑署によると、女性はその場で死亡が確認された。署が女性の身元の確認を進めている。

 JR東日本横浜支社によると、横浜線は上下線で計18本が運休し、計3本が最大で約1時間5分遅れ、計約6千人に影響した。

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JR東戸塚駅で人身事故 横須賀線が一時見合わせ

2020年10月11日 03時53分08秒 | 事件・事故

10/10(土) 1:03配信

カナロコ by 神奈川新聞

(写真:神奈川新聞社)

 9日午後11時15分ごろ、横浜市戸塚区品濃町のJR横須賀線東戸塚駅で、東京都千代田区に住む大学2年の男子学生(19)が成田空港発大船行き特急成田エクスプレスにひかれ、死亡した。

 神奈川県警戸塚署が事故原因を調べている。

 JR東日本横浜支社によると、上下線計7本が最大約71分遅れ、約3500人に影響した。

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ホームから女性飛び込み重傷 常磐線柏駅 乗客2500人に影響

2020年10月11日 03時51分41秒 | 事件・事故

10/10(土) 16:21配信

茨城新聞クロスアイ

10日午前0時23分ごろ、JR常磐線柏駅で女性がホームから飛び降り、東京メトロ代々木上原発我孫子行下り各駅停車にはねられ重傷。千葉県警柏署で女性の身元などを調べている。JR東京支社によると、影響で常磐線の上下各駅停車と上り快速列車計9本に最大49分の遅れが生じ、乗客約2500人の足が乱れた。

茨城新聞社

 

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<新型コロナ>62人感染クラスター発生…さいたまの劇団 検温、消毒、換気、マスクするも…91人で稽古

2020年10月11日 03時48分48秒 | 事件・事故

10/10(土) 20:41配信

埼玉新聞

さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

 埼玉県さいたま市は10日、浦和区常盤9丁目の劇団「ミュージカル座」の稽古場で、2日間の稽古に参加した劇団員ら男女計62人が新型コロナウイルスに感染し、クラスター(感染者集団)が発生したと発表した。病院の検査情報や劇団からの聞き取りの結果で判明した。感染者は埼玉のほかに、東京都、千葉、神奈川の1都3県に上る。

【速報】新型コロナ最多の100人感染 浦和の劇団で62人感染クラスター発生 県西のクラスターも広がる

 市保健所によると、男性出演者が都内の劇団の稽古場で、陽性者と接触したことが分かり、都内の保健所が検査を実施して、6日に陽性と判明した。男性は4日午後1時~同6時、6日午後1時~同7時に行われた稽古に参加。2日間の稽古で出演者やスタッフら計91人が参加しており、劇団が全員に対して自主的にPCR検査を受けるように要請。7日以降、稽古を休止している。

 劇団への聞き取りなどによると、稽古に参加したのは20代が最多で56人。感染者の住所地はさいたま市10人を含む県内14人、都内28人など計62人。21人が陰性、8人は結果待ち。劇団員は14人で、多くはオーディションを受けた出演者らだという。

 劇団は聞き取りに対して、稽古前の検温、消毒、1時間ごとの換気、マスク着用など感染防止対策を実施していたという。市保健所は「業界のガイドラインに基づいて実施したとみている」としている。清水勇人市長は同日の記者会見で、「感染防止対策はかなり行っていたと認識しているが、要因をしっかり把握して、(業界に)対策で追加的な要請が必要であれば、実施していきたい」と述べた。

 同劇団は20日から、彩の国さいたま芸術劇場で、「ひめゆり」を上演する予定だったが、中止を決めた。ホームページに「この度は、ご心配をお掛けいたしますこと、大変申し訳ございません」とコメントしている。

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鳴かず飛ばずだった「オンライン診療」 新型コロナ感染拡大でにわかに注目

2020年10月11日 03時33分09秒 | 医科・歯科・介護


2020.3.30 19:27
 

【経済インサイド】

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、オンライン診療に注目が集まっている。診療所や病院に出向くことに躊躇(ちゅうちょ)する人も多いなか、これなら感染のリスクを避けながら、診察が受けられる。政府の規制緩和で普及が期待されていたものの、医療現場からの慎重姿勢もあって期待外れに終わっていた。にわかに注目された要因は、皮肉にも普及を妨げてきた「対面診療」をしないというオンライン診療の仕組みだった。

 オンライン診療をめぐっては、平成9年に「離島・僻(へき)地」などに限って認められていたが、27年に通知で僻地など限定ではないとの見解が示され、事実上、全面解禁となった。30年度の診療報酬改定では、「オンライン診療料」(月1回700円)などが創設され、保険適用が始まった。4月の診療報酬改定でオンライン診療の対象疾患が拡大され、環境は整いつつある。

 ただ、医療関係者の理解はこれからだ。2月1、2の両日、日本医師会が開いたシンポジウムでは、今村聡副会長が「オンライン診療はあくまで対面診療を補完するツールで、対面診療と同等のものとは言えない」と述べている。安易な拡大路線には、懐疑的な意見もある。オンライン診療の保険適用を申請している医療機関は、昨年春時点で全体のわずか1%にとどまっていた。

こうした状況とは別に、患者と医師が対面しないというデメリットを逆手にとった取り組みが注目されている。

 東京大医学部附属病院(東京都文京区)は4月1日、メドレーのオンライン診療システム「CLINICS(クリニクス)」を使ったセカンドオピニオン外来を始める。

 まず、通院中の医療機関からの紹介状を東大病院に郵送。クリニクスのアプリをカメラ・マイク付きパソコン、またはスマートフォンにダウンロードし、アカウント登録する。あとは診察予約をするだけ。循環器内科など東大病院の18診療科の専門医によるセカンドオピニオンが、オンラインで受けられる。診察料などはクレジットカードで引き落としとなる。

 セカンドオピニオンは、すでに受けた診断や治療方針について、納得を得るために、別の医師から見解を聞くこと。オンラインのセカンドオピニオンは、遠隔地の人にとっても専門医の意見が聞ける。

 さらに、新型コロナの感染拡大で、医療機関への一極集中に伴う2次感染のリスクを避ける目的でも、オンライン診療が役に立つ。

 AGREE(アグリー、茨城県つくば市)は、医師と24時間相談できるアプリ「LEBER(リーバー)」を開発した。通常は有料だが、4月10日まではコロナウイルスに関する相談に限り無料で利用できる。

アプリをダウンロード後、スマホの画面を通して、チャットボット形式で問診を受ける。2月12~29日に新型コロナ関連で279件の医療相談を受け、約66%の利用者が「相談をして不安が減った」という。

 経済産業省は3月31日まで、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策の一環として、無料の健康相談窓口を設置。メドピア(東京都中央区)子会社のMediplat(メディプラット、同区)と無料通話アプリのLINE(ライン)子会社のラインヘルスケア(東京都新宿区)を窓口に採用した。

 対面診療を補完するツールとして、医療関係者からの信頼を得てきたオンライン診療。現場の医師不足の問題もある。今後は、医療サービスの行き届かない地域に質の良い医療をどう届けるかという視点からも、可能性を探ってもらいたい。(経済本部 松村信仁)