映画 マンディゴ

2020年10月16日 15時44分45秒 | 社会・文化・政治・経済
映画 マンディゴ

10月14日午前7時15~CSテレビで観た。「町山智浩撰」である。
解説
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。『ジャンゴ』のタランティーノに影響を与え、「ここまでの酷さは自分には描けない、真実を知りたければ『マンディンゴ』を見ろ」と言わしめた、その真実とは!?



ストーリー

奴隷制時代の米南部。マクスウェル家では黒人奴隷の中でも最高の血統「マンディンゴ」の男を欲していた。
女はすでに“所有”しており、男女で“繁殖”させれば高く売れるからだ。
ついに奴隷市場で“血統書”付きの男を買えた一家の息子。
“高価な所有物”として大事に思う気持ちは、いつしか友情的なものに変わっていく。
同じ頃、息子は結婚もし、かつ女奴隷に夜伽もさせ、そちらの方を愛した。ただれた関係は、破局へと突き進む。


『マンディンゴ』(Mandingo)は、1975年のアメリカ合衆国の映画。 日本公開は1975年10月18日公開。2時間 7分

概要
リチャード・フライシャー監督が奴隷牧場を運営する一家の栄光と没落を描いた大作映画。奴隷制度をめぐって南北戦争が起きる約20年前の話である。原作は、カイル・オンストット(英語版)の長篇小説『マンディンゴ(英語版)』。
続編にスティーヴ・カーヴァー監督の『ドラム』(Drum)'(1976年)がある。
現代の目で見ると、一見歴史大作に見せかけた一種のブラックスプロイテーション映画と言える。
日本公開時のコピーは「アメリカ史上最大のタブー<奴隷牧場>に初めて挑んだ一千万部の超ベストセラー鮮烈の映画化!」で監督が暗に批判しているのは『風と共に去りぬ (映画)』で米国のポスターもパロディになっていた。
世界的にヒットしたが、ロジャー・イーバートは「これは人種差別的なクズだ」と言い捨て、「ニューヨーク・タイムズ」のヴィセント・キャンビーも「最悪の映画」「下品の一言」と書いた。

ストーリー[編集]
ルイジアナ州にある、奴隷牧場を運営するファルコンハースト農園は綿花や農作物の収穫だけでなく、血統のよい奴隷を買い集め飼育していた。牧場主のマックスウェルとハモンド父子は黒人との間の子供を、自分の子でもあるのに売買するという計画的な「奴隷牧場」でもあった。
マクスウェルは「無毛犬にリウマチの毒を吸わせられる」と言うと「黒人の子どもに吸わせれば治る」と獣医にいわれ実行したり「14歳以上の黒人の処女はいない」と豪語するような人間だった。息子のハモンドは黒人娘ビッグ・パールを抱く。また、R(Runner逃亡者)の烙印があるシセロは反抗的で売られる。
老当主であるマクスウェルは息子ハモンドに運営を任せるが、ハモンドは白人の嫁を娶らなければならなかった。マクスウェルは自分の目が黒い間に孫が見たいというので、ハモンドはおじで大地主のウッドフォード少佐から5千ドルの借金の申入れがあったので少佐の娘ブランチと見合いをする。
マクスウェルは結婚を承諾するが、少佐の家にいた黒人娘エレンに一目惚れをしてしまう。
ハモンドはニューオリンズの奴隷市場で偶然にも売りに出されていた、黒人の中でもサラブレッドとされるマンディンゴの男性ミードを見かけ、未亡人のドイツ女性に4500ドルでせり勝つ。
ミードを黒人どうしの賭けの格闘のために自分と同じ食事をさせる。嫁になったブランチとの結婚初夜でいとこのブランチが処女でないことがわかったショックもあった。
マックスウェルはビッグ・パールとの子を期待するが、純血の証明書付きから兄妹と分かり、ハモンドに反対される。ハモンドはブランチに対する怒りを従順なミードを鍛え、1500ドルで買ったエレンを夜ごと激しく抱くことで発散させる。
その結果とうとうエレンは妊娠してしまう。反乱を起こしたシセロは試合に勝ったミードに「俺を殺すことは自分を殺すことだ」「俺は奴隷で死ななかった」という言葉を残して縛り首になる。結婚後一度も触れられなくて怒って酒に溺れた妻のブランチはエレンをムチで叩き、流産させる。
自分と同じお土産の宝石をエレンがしていることを見たブランチは初体験の相手は実兄チャールズだと告白。
マックスウェルはブランチの望むパーティの費用のためにナチェズで奴隷を売る。
留守の間に嫌がるミードを誘惑して腹いせの情事をしてしまう。
挙句の果てに妊娠、出産するものの赤ん坊の肌の色を見たマックスウェルが殺してしまう。
自分の子供でなかったことに気づき腹を立てたハモンドは、老いた黒人を殺すときに使用する毒をブランンチに飲ませる。
その後嫉妬に狂ったハモンドは、ミードを釜茹でにしようとし、ミードに「旦那を尊敬してきたが、しょせん白人だ」と言われる。
ハモンドはミードを釜に入れ突き刺す。柔和なアガメムノンが耐えられなくなってハモンドのライフルを奪い止めようとする。
その場面を見ていたマクスウェルに「黒い獣め」と罵られアガメムノンが撃ち抜く。アガメムノンが逃亡し、妻や父を失ったハモンドだけが取り残される。

マクスウェル:ジェームズ・メイソン
ブランチ:スーザン・ジョージ
ミード:ケン・ノートン
ハモンド:ペリー・キング
エレン:ブレンダ・サイクス(英語版)
ルクレツィア・ボルジア:リリアン・ヘイマン(英語版)
ヒヒ:アール・メイナード(英語版)
アガメムノーン:リチャード・ウォード(英語版)
ドク・レッドフィールド:ロイ・プール
ブラウンリー:ポール・ベネディクト

マンディンゴ〈第2〉墓とスープ

2020年10月16日 03時52分06秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
 
1975年公開の映画「マンディンゴ」について知人がfacebookに投稿しているのに触発されて、その原作の『マンディンゴ』(カイル・オンストット著、小野寺健訳、河出書房新社、全2巻。出版元品切れだが、amazonで入手可能)を書棚から引っ張り出したのだが、37年ぶりに最終ページまで読み返してしまった。

南北戦争の直前、アメリカ南部、アラバマ州のトムビッグビー河沿いにファルコンハースト・ファームという棉花の大農場があった。この農場の本来の事業は200人の黒人奴隷を使用しての棉花栽培であったが、老農場主ウォレン・マクスウェルは疲弊して収穫力の落ちた土壌に見切りをつけ、当時、輸入禁止によって価格が暴騰していた奴隷の飼育へと大きく舵を切っていた。次から次へと女奴隷たちに子を産ませ、その子供たちをまとめて家畜小屋で飼育し、成熟すると売り捌くという奴隷繁殖ビジネスに精を出していたのである。

女奴隷に子を産ませるのは男奴隷だけでなく、農場主父子の務めでもある。従って、誕生するのは純血の黒人だけでなく、2分の1混血、4分の1混血、8分の1混血などさまざまで、中には白人と見間違えるような白い肌の者もいるが、黒人の血が一滴でも混じっていると奴隷として扱われるのである。

この農場で展開される物語は、農場主一家と奴隷たちを巻き込んで残酷酸鼻な結末を迎えるのだが、『風と共に去りぬ』や『アンクル・トムの小屋』に描かれた世界などとは比較にならないほど過酷な奴隷制度の実態が白日の下に晒されていることに強い衝撃を受けた。

農場主と息子ハモンドの会話――「うん、じつはブラウンリーさん(奴隷商人)は3匹若いのをつれてきたのだ。15くらいの雄が2匹と、かわいい小さな黄色い雌だ」、「むこうのうまやにつないであるのを見ましたよ。で、お父さんはそれと例の2匹の雄とを交換したんでしょう?」、「朝になってもビッグ・パール(女奴隷の名)がよくならなかったら、あいつを騾馬にのせてベンソンの獣医のところまでやります」。

「美しい動物の鑑識家としての彼(ハモンド)にとってはビッグ・パールは自慢の種で、非の打ちどころのないこの黒人の美しい身体を白人たちに見せてほめ言葉をきくのは楽しみだったし、彼女がゆったりと歩くところを見せ、その力を誇らしげに見せびらかすのも好きなら、まるで特選の雌馬でもいじるように彼女のすべすべとはりきった脇腹を撫でるのにも快感をおぼえた。しかし、彼女を人間と思ったことは一度としてなかったのである」。「黒人女は必要なときに白人が使うただの物であって愛情の対象ではない、命令するものであった」。

農場主の言葉――「ハモンドはあの男(ミードという名の奴隷)を例の2人の大女(ミードの母のルーシーと、ミードの妹のビッグ・パール)とつるませる(番<つがい>にする)んだ」、「畜生(奴隷)同士ならどうつながって(交尾して)も変わりゃせん、いずれにしてもこわがらせ、監視していなけりゃいかんのだ」。

「3人の白人は家畜小屋へぶらぶら行ってみた。(奴隷を)一人一人つれてこさせては、裸にして検査する」。「マクスウェル父子にとっては、彼ら(奴隷たち)は家畜だった。高価な、人間としては扱えない、飼育し大きくしていずれ売りに出す家畜だった」のである。

この他、主人が逆さに吊るした男奴隷を仲間の奴隷に鞭で滅多打ちさせる場面、女主人が女奴隷を裸にして鞭を振るう場面、遠くに投げた棒きれを奴隷に犬のように拾ってこさせる場面などがリアルに描かれている。

映像で確認したい向きには、DVD「マンディンゴ」(1VC,Ltd.)がある。
 
 

 少女に性的暴行 石川・加賀市の中学校教員逮捕

2020年10月16日 03時52分06秒 | 事件・事故

10/15(木) 23:48配信

MRO北陸放送

石川県内の13歳未満の少女に性的暴行を加えたとして、加賀市の中学校に勤める34歳の教員の男が逮捕されました。

強制性交等の疑いで逮捕されたのは、加賀市内の中学校の教員で、小松市河田町に住む河合誠容疑者(34)です。河合容疑者は今月11日の午後、県内の宿泊施設で、県内に住む10代の少女に対し、13歳未満であることを知りながら性的暴行を加えた疑いがもたれています。

14日夕方、河合容疑者が勤務先の校長とともに警察に出頭し、犯行を申告したということです。

警察は河合容疑者と少女の関係性について、被害者保護の観点から明らかにしていません。調べに対し河合容疑者は「間違いありません」と容疑を認めていて、警察が余罪がないかなど調べています。

 


座間9人殺害公判 弁護人の質問に回答も…改めて承諾殺人否定

2020年10月16日 03時37分27秒 | 事件・事故

10/16(金) 0:39配信

産経新聞

神奈川県座間市のアパートで平成29年、15~26歳の男女9人が殺害された事件で、強盗殺人や強盗強制性交殺人などの罪に問われた無職、白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の第8回公判が15日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。白石被告はこれまでの公判で回答を拒否していた弁護人の質問に答える姿勢を見せたが、弁護人の主張する承諾殺人罪については、「(被害者たちに)『殺してください』という態度はなかった」と改めて否定した。

【写真】白石容疑者が連絡を取っていたツイッターの画面

 白石被告は公判の冒頭、弁護人から3人目の被害者となった介護職の男性=当時(20)=とのLINE(ライン)のやりとりについて質問されると沈黙。その後も生返事を続けたが、質問内容が男性の殺害前日に及ぶと次第に答えるようになり、「金額は関係なかったが、所持金は奪うつもりだった」と強盗目的で殺害したことを強調した。

 裁判員から「男性に失踪の偽装を指示した際に、疑問を持たれなかったのか」と問われると、「『なぜそんなことをしなきゃいけないんですか』とストレートに聞かれた」とした上で、「会社やバンドからすぐ飛んだら(逃げたら)、後を追われるのは嫌だよね」などと説得して納得させたと明かした。

 弁護人は閉廷前にも、最初に犠牲となった会社員の女性=当時(21)=について、「本当は部屋の中で女性から殺害を頼まれたのでは」と追加質問。白石被告は「この公判で(女性に関する)知らない証拠を見て、やはり気持ちの波が激しい人なんだなと思った。(弁護人は)殺害を依頼されたと思わざるを得ないと思う」と述べた。

 

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最終更新:

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神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、複数が閲覧できる会員制交流サイト(SNS)のツイッターで自殺願望がある女性と連絡を取った後、個別に交流ができる無料通信アプリのカカオトークやLINE(ライン)でやりとりを重ねていた疑いがあることが2日、捜査関係者らへの取材で分かった。

座間9人遺体 白石隆浩容疑者、無料通信アプリも駆使か LINEで個別やりとり
2017.11.2 18:53

神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、複数が閲覧できる会員制交流サイト(SNS)のツイッターで自殺願望がある女性と連絡を取った後、個別に交流ができる無料通信アプリのカカオトークやLINE(ライン)でやりとりを重ねていた疑いがあることが2日、捜査関係者らへの取材で分かった。

 白石容疑者はツイッターで「首吊り士」など複数のアカウントを所持し、別人を装って使い分けていたとみられることが既に判明。警視庁高尾署捜査本部は、SNSなどのインターネットツールを駆使して女性を自宅に誘い出し、殺害を繰り返していたとみて、スマートフォンの解析などを進める。

 ツイッターでは「#」を付けた単語をハッシュタグと呼ぶ。これを付けて投稿すると、ほかの利用者がキーワードとして検索や閲覧がしやすくなる。捜査関係者によると、白石容疑者はこの機能を利用し、自殺志願の女性を物色するため「#自殺」で検索したり、投稿したりしていた可能性がある。

産経新聞
 
 

座間9人遺体 白石隆浩容疑者、無料通信アプリも駆使か LINEで個別やりとり

 神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件で、死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、複数が閲覧できる会員制交流サイト(SNS)のツイッターで自殺願望がある女性と連絡を取った後、個別に交流ができる無料通信アプリのカカオトークやLINE(ライン)でやりとりを重ねていた疑いがあることが2日、捜査関係者らへの取材で分かった。

 白石容疑者はツイッターで「首吊り士」など複数のアカウントを所持し、別人を装って使い分けていたとみられることが既に判明。警視庁高尾署捜査本部は、SNSなどのインターネットツールを駆使して女性を自宅に誘い出し、殺害を繰り返していたとみて、スマートフォンの解析などを進める。

 ツイッターでは「#」を付けた単語をハッシュタグと呼ぶ。これを付けて投稿すると、ほかの利用者がキーワードとして検索や閲覧がしやすくなる。捜査関係者によると、白石容疑者はこの機能を利用し、自殺志願の女性を物色するため「#自殺」で検索したり、投稿したりしていた可能性がある。

 


阪神、悪夢の逆転サヨナラ負け 守護神スアレス、今季初被弾が痛恨3ラン

2020年10月16日 03時28分22秒 | 野球

10/15(木) 21:09配信

デイリースポーツ

9回、中日・高橋にサヨナラ3ランを浴びる阪神・スアレス=ナゴヤドーム(撮影・飯室逸平)

 「中日5-3阪神」(15日、ナゴヤドーム)

 阪神が痛恨の逆転サヨナラ負けで中日戦3連敗を喫した。1点リードの九回、守護神のロベルト・スアレス投手が中日・高橋に逆転サヨナラ3ランを浴びた。移籍後初となるサヨナラ打を許し、今季登板43試合目で自身初黒星となった。スアレスが本塁打を浴びたのも今季初となる。

【写真】まさかの結末に阪神ベンチもぼう然

 13日の中日戦から2連敗中の阪神は、この試合の七回まで24イニング連続無得点と打線が沈黙。しかし八回に4番手・祖父江をつかまえた。1死満塁のチャンスをつくり、ボーアの一ゴロの間に1点を返した。そしてこの試合スタメンマスクの原口が詰まりながらも中前打を放ち、2者が生還。逆転に成功した。

 しかし九回に悪夢が待つ。八回をエドワーズ無失点で切り抜けた後、6番手で九回を任されたのは守護神・スアレス。先頭・大島を142キロスプリットで空振り三振に斬った。ただ、2番・京田には四球を与える。さらに続く遠藤には左前打を浴び1死一、二塁。ここで打席には4番・ビシエドを迎えた。

 その初球。鋭い当たりだったが二塁の正面を突き二直。ただ、二塁手・植田が飛び出していた二走・京田をアウトにしようと二塁送球した。それが悪送球となり2人の走者がそれぞれ進塁。2死二、三塁と一打サヨナラのピンチを招いた。阪神の失策数は両リーグワーストの70。またも勝負どころで守備がほころび、勝利を逃した。

 ここで5番・高橋。カウント1-1からの3球目だった。159キロ直球をはじき返された。打球はぐんぐん伸びて左翼スタンドへ。竜党の歓声だけがナゴヤドームに響いた。

 これで中日相手に同一カード3連敗。ナゴヤドームでは今季9敗目となった。これは12年以来、8年ぶりの屈辱だ。


阪神・藤川に中日側から異例のセレモニー 登板機会なく…ナゴヤDに「球児コール」

2020年10月16日 03時28分22秒 | 野球

デイリースポーツ

 「中日5-3阪神」(15日、ナゴヤドーム)   今季限りで現役引退を表明している藤川球児投手(40)に試合後、中日側から異例のセレモニーが用意された。


【写真】しのぎを削った相手…中日・荒木コーチから花束を受け取る

 サヨナラ勝利の余韻が残る中、ビジョンに「藤川球児投手 22年間お疲れさまでした」と表示され、荒木守備走塁コーチが花束を贈呈。笑顔で言葉を交わすと、そのまま花を持って球場を1周。右翼スタンドからは、異例の「球児コール」が起きた。思わぬ声援に、藤川は人さし指を口に当てて「シーッ」っと笑顔で応対した。

 サヨナラ負けで登板機会はなかったが、この日から1軍に再合流。かつて中日とは毎年のように、激しい優勝争いを繰り広げてきた。谷繁、荒木、井端、森野。藤川の通算対戦上位10人に、4選手も名前を連ねるのは中日だけだ。「鬼門」と呼ばれてきた敵地ドームで、強力打線を真っ向勝負で封じ込めた。

 ここまでの通算の対戦成績は、131試合の登板で8勝8敗、47セーブ。22ホールド、防御率2・26。47セーブはカード別で最多となる。最後はグラウンドに深々と一礼し、大歓声の中でベンチ裏に引き揚げた。

 藤川は今後も1軍に帯同予定。残り4週間で全国のファンに感謝の思いを示し、最後は火の玉ストレート復活で有終の美を飾る。

 

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ルポ 平成ネット犯罪

2020年10月16日 03時20分38秒 | 事件・事故

渋井 哲也 (著)

出会い系、自殺系、裏サイト、闇サイトを舞台にした売春、ドラッグ、自殺、いじめ……。リアル世界に飛び出したネット事件を歩き、バーチャル空間の功罪を探る。

内容(「BOOK」データベースより)

平成の30年間で日常生活に欠かせないものになったインターネットだが、アンダーグラウンドな世界も広がっている。出会い系サイトやSNSによる売買春、ネットストーカー、仲間を募った集団自殺。
裏サイトの誹謗中傷やいじめ、闇サイトの違法・脱法ドラッグ売買。しかし孤独の沼に沈む人にとって、そこはライフラインでもある。
誰が読むともしれない日記をつづり、自殺志願者が語り合う。顔が見えないからこそ、本音をさらけ出せる居場所になる。新しいメディアと個人のかかわりを取材するジャーナリストが、その背景と変化を追う。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

渋井/哲也
1969年栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。元長野日報記者。
主にネット事件、自殺問題、若者の生き方、サブカルチャー等を取材。98年から、ウェブと生きづらさをテーマに取材を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
 
 
JKビジネスから見える風俗から始まり、ネットで関係性を含めた結果の殺人事件。大人から子供へ使用が広まる。子供たちの関係性がスマホツールで歪な形で現れるようになった。大人の間でもそれは同じ。
平成のうちに起こった、ネットが介在する犯罪と自殺。その中で、ネットが生きる場所と感じた人々の気持ちはわかる様に思えます。ですが、あくまでもツール。それを忘れてはいけないと読後感じます。
 
 
目次の後に挿入された「平成ネット事件史関連年表」が、この本を読み解くナビになります。平成のネット犯罪は一筋縄ではいかないからです。被害者側にとっては二次被害以外の何ものでもないでしょうが、本書が少しでも犯罪の防止に役立つことを願ってやみません。序章は立川拘置所で座間事件の被告と面会することから始まり、そして最終章でも再び面会します。
出会いのための匿名コミュニケーションのルーツが、ペンパル、文通友達であるというのは懐かしい思いがしました。コミュニケーションツールの普及が物理的な障壁はもとより、心理的な障壁も低くするようです。
ネット上で知り合った匿名の他者と実際に会うことの抵抗感をも弱めるのです。本書では、社会が目を背ける児童や青少年側の「動機」について、ネット・コミュニケーションを通して可視化します。どの学校でも起こり得るネットいじめについても言及します。どうすれば未然に防ぐことができるのか、事は簡単ではありません。
手がかりになりそうなのは「SNSにはSNSを」です。始まったばかりのライン相談に期待が集まるのは当然の結果と言えるでしょう。学校の先生や教育関係者には、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 
 
詐欺関係の本かなぁ…と手に取り購入
いやいや、作者は「生きにくさの研究者」でした。
Jkビジネス、監禁王子、京都メル友殺人事件、佐世保小6事件、ネットいじめ、座間事件、加藤智大等々、これだけで一冊書ける事案をポンポン列挙するので、けっきょく何が書きたいのか作者の意図がわからずじまい。

文章力、構成力、そもそも企画が悪いのか、ぐだぐだな内容です。
 
 
 
なりすましや荒らしに対して、「本物は自分であることを証明するためには、予告を
実行するしかない。そうしないと居場所がない」...こう、秋葉原無差別殺傷事件の語り
にあります。ネット上のやりとりの怖さと危うさを端的に表わしてくれていると思います。
 終盤が、"ネットいじめ"と"自殺"になっているからかもしれません...
 なんともやりきれなさが残る読後感です。
 
 
 
日本が切り開いた携帯技術から、出会い系サイト、ネット殺人、監禁事件、リベンジポルノ等に派生していったそうです。
ネットいじめとそれにたいするリテラシーのない学校側の対応から事件が拡大する傾向があったそうです。
自殺系サイトで最後の一歩を踏み出す人や、それを支援する人、それを利用して自分の欲求を満たす人などが交差したそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

白石被告に「殺してほしかった」 19歳女性が明かすその後の性被害 加害者は「無理やりやった証拠がない」と不起訴に

2020年10月16日 03時10分09秒 | 事件・事故

渋井 哲也 2020/01/21 文春オンライン

「裁判で結果が出ても苦しみは消えないかも知れません。でも希望が少しでもあるから勝つために頑張ろうって思います」

 こう話すのは、埼玉県在住の直美さん(仮名、19)。2年前、2018年1月に起きた性犯罪の被害者だ。容疑者は5月に逮捕されたが、検察は不起訴にした。「次の被害者を出して欲しくない」との思いから、刑事では実現できなかったものの、民事での裁判を検討中だ。実は、3年前にも被害にあい、それによって希死念慮が強まった経験がある。そのため、当時は、座間市で男女9人を殺害した白石隆浩被告とTwitterでつながり、DMでやりとりしていた。

筆者の取材を受ける直美さん ©渋井哲也

「タバコ買ってあげるから、コンビニ案内して」

 事件があったのは2018年1月29日午前2時半ごろ。直美さんは、友人の家で遊んだ帰宅途中だった。自転車に乗っていると、自動車を運転している男(50代)から声をかけられた。


「道に迷った。八潮市に行きたい。教えてもらう代わりに、タバコ買ってあげるから、コンビニ案内して」

 説明するが、わからないというので、自転車を降りて、車に乗り、途中のセブンイレブンまで行くことになった。

「(相手の男は)酒臭かったです。店では、氷結を買っていました。嫌な予感はしたんですが、どうせ家で飲むものだと思って、特に警戒はしませんでした」

 自転車を置いてきたところまで送って行く、というので、直美さんは再び、車に乗った。しかし、方向が違った。

「左ですよ」

 そう言うと、男の態度が急に悪くなった。「帰さないぞ」とも言われた。信号待ちをしているときに、車外に出ようとすると、ドアにロックをかけられた。腕をもたれていたので、スマホの操作もできずにいた。

 このとき、思い出したことがある。2017年の夏にも夜中、散歩をしていたときに、声をかけられた男に車内に連れ込まれ、レイプされたことがあった。相手は特定されたが、逮捕されていないという。

〈首吊りの道具と薬を用意してあります〉

2017年11月1日、送検される白石隆浩被告 ©文藝春秋

 この事件をきっかけに、希死念慮が強まり、自殺を考えた。そのため、Twitterで「首吊り士」というアカウントを利用していた白石被告とつながり、DMのやりとりをしている。『ルポ 平成ネット犯罪』(ちくま新書)でも取り上げたが、DMのやりとりの一部は次の通りだ。

白石 〈ご連絡ありがとうございます。神奈川に住んでおります〉
直美 〈関東一緒ですね〉
白石 〈自殺をお考えですか?〉
直美 〈はい〉
白石 〈一緒に死にますか?〉
直美 〈何歳ですか?〉
白石 〈22歳です。首吊りの道具と薬を用意してあります〉
直美 〈殺してもらえないですよね 首絞めて〉
白石 〈本気で言ってるんですか?〉
直美 〈首吊り2週間くらい前に失敗してなんかもー首吊りのやり方が失敗するとしか思えなくて〉
 その後、カカオトークにやりとりが移行するが、白石被告のタイミングで通話ができなかったためもあり、連絡が途絶えた。

「(男に)ついて行ったことは後悔しています」

 話を戻そう。直美さんは、気がついたら、工場地帯の中にある倉庫まで連れてこられていた。暗くて、電灯もない。

「お酒を二口だけ飲まされました。その後、何回もキスされました。嫌がっていたのに、無理やり頭を近づけてきて、舌を口に入れられたんです」

 ただ、緑の橋と、駐車禁止のマークだけは覚えていたため、後の現場検証で証言することができた。この場所に駐車した車の中で、避妊もなしで、レイプされたのだ。犯行後、男は急に何もしゃべらなくなった。

「男は、早く帰れ、的な態度になったんです。でも、前回の事件のときに、後悔もしていたので、車のナンバーを見なきゃと思ったんです。車種はわからないですが、黒い車で、『春日部』の白いナンバーでした。車から降りて、自転車まで走りました」

車を下されたのが午前3時ごろ。このとき、男は「誰にもしゃべったらダメだよ」と言った。しかし、直美さんは、すぐに110番通報をした。そして、ナンバーを告げた。

「最初に電話に出たのが男性警察官で、すごく厳しい口調でした。『言ってくれないと、わからないから』と。でも、すぐには思い出せなくて」

 半日は警察署にいた。そこで話しやすい人が担当になり、後から女性警察官に代わってくれたという。産婦人科にも行き、服から指紋も採取した。コンビニの防犯カメラも確認できた。

「私は、すぐに真に受けるし、周囲から、人を信用しすぎると言われていますが、自分ではわからないんです。ただ、(男に)ついて行ったことは後悔しています。自分が悪いと思ったりしています」

「無理やりやった証拠がない」ため男は不起訴に

 事件後、過去の性被害とあいまって、フラッシュバックが起き、衝動的な自殺願望がわきあがった。神社で首を吊ろうとして、意識不明となり、朝、散歩している人に通報されたこともあったという。

「リスカが激しいときもありました。記憶があるときは、苦しいです。過呼吸もありました。相手の顔はうっすら覚えています。毎日のように、犯人の顔が頭に浮かびました。自殺未遂も何度もしましたが、記憶にあるだけでも、数えきれません。何時間も泣いているときだってあります。解離して、いつの間にか、どこか知らない場所まで来てることもありました」

 トラウマ反応として、直美さんは、過呼吸や解離、再体験などを繰り返している。タバコの匂いでも思い出す。また、先日、派遣のバイトで暗い倉庫のような場所での仕事があったが、そこでも不安が高まった。

「事件後はずっと思い出して、フラッシュバックになっていました。事件から約4ヶ月後の5月、男は逮捕されました。草加市内に住む56歳でした。警察からは『起訴されると思う』と言われていました。再犯と聞いていたのですが、不起訴になったのです。理由は『無理やりやった証拠がない』というのです。この2年間、ずっと引きずっています」

激しい抵抗がなければ改正後の刑法でも起訴は難しい

 2017年6月、刑法が改正され、翌7月に施行された。これによって、「強姦罪」が「強制性交等罪」となった。性器挿入だけでなく、肛門性交や口腔性交も対象になった。しかし、今回のように、明らかな激しい抵抗をしてない場合は、難しい。というのも、「暴行又は脅迫を用いて」という文言は残されたままだ。直美さんは、けがをするほどの抵抗はしてない。被害を受けている中で、2017年の性被害を思い出したからだ。

「前回の事件を思い出して、フラッシュバックして過呼吸になる手前で苦しいのを我慢して、ずっと泣いていたんです。このままだと殺されると思って、抵抗できませんでした。ずっと嫌だ、嫌だとは言っていたんですが」

 また、年齢が18歳になる前だったために、県青少年健全育成条例による「淫行」による起訴はできないものかと筆者は思ったが、直美さんには、特に説明はなかったという。


 もうすぐ誕生日を迎えて20歳になる。そのタイミングで民事訴訟を考えている。法テラスに連絡をすると、弁護士を紹介してもらったが、性被害に強いかどうかはわからない。そのため、筆者を経由し、性被害の相談にのっているNGOの紹介で、性被害に強い弁護士とつながった。

 裁判への思いについて、直美さんはこう語る。

「裁判をして得たいものは、たとえ負けても勝っても犯人に、被害者である私が苦しんでいること、辛い状況でいることを知って欲しいのです。そして、可能であれば謝罪の手紙がほしい。それじゃないと納得できないし、自分でもずっとひきずってしまいます。裁判が終わっても苦しみは消えないかも知れませんが、希望が少しでもあるから勝つために頑張ろうと思っています。犯人が負けたら、思い出して再犯しなくなるかもしれません」

「殺して欲しいっていう気持ちは前と変わっていません」

 気になるのは、座間事件への思いだ。事件後の取材では、「(被告のところへ)行っていればよかった」と話していた。改めて、このタイミングで聞いてみた。

「また、出てきて欲しいなって思います。まだ会って殺して欲しいっていう気持ちは前と変わっていません。亡くなった人も苦しんでいたのだと思います。だから『承諾殺人でいいんじゃない?』って思います。似たような人がいるのなら殺して欲しいです」

 性被害に遭い、「殺される恐怖」を味わった直美さんだが、タイミング次第では、「殺されたい」「死にたい」という気持ちは変わってない。


「10人目になりたかった」座間9人殺害事件公判で振り返る、「死にたい」若者たち 白石隆浩被告は筆者に「本当に死にたい人はいませんでした」

2020年10月16日 02時53分33秒 | 事件・事故

渋井 哲也 2020/10/07  文春オンライン

 2017年10月に発覚した神奈川県座間市での男女9人殺害事件。本格的な審理が10月5日、東京地裁立川支部で始まった。精神鑑定を担当した精神科医の証人尋問が行われた。裁判では、お金と性欲のために行った殺人か、自殺願望者の希望にそった承諾殺人なのかが最大の争点だ。ただ、この日の鑑定医の証言は、事件そのものよりも、筆者が自殺の取材をしてきた過去を振り返るような内容だった。

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「死にたい」とはどういうことなのか

「本当に死にたい人はいませんでした」

白石隆浩被告(29)は取り調べでも、筆者との面会でも同じことを言っていた。そのことを問いただすと、「学校に行きたくないとか、彼氏にふられたとか……」と答えた。白石被告にとってみれば、“そんなこと”に見えたに違いない。しかし、被害者にとってみれば、少なくともその時は、“死ぬほどの苦痛”だったのではないだろうか。

2017年11月1日、送検される白石隆浩被告 ©文藝春秋

 ただ、「本当に死にたい」とはいったいどういうことなのか。裁判員は、精神医学的、または心理学的な知識があるという前提にはない。裁判員裁判のため、精神医学的な基礎知識が必要だったのか。

 最初の尋問では、なぜ、死にたいという気持ちが表出されるのかということから始まった。弁護側の質問に鑑定医はこう答えた。

「苦痛や悩みがあるとき、人は解決しようとします。しかし、解決ができない場合は、苦痛や悩みを耐えられません。そんなときに不安定な心境になり、もう耐えられないと思うようになります。そのときに、自殺を思いつくことがあります。希死念慮の他にも、逃げるしかないと思ったり、ひきこもったり、行方不明になったり、アルコールや薬物に走ったりします。自暴自棄にもなり、自傷行為をすることもあります」

 しかし、自殺願望と、自殺を決心して行動に至ることはまた別に考えなければならないとも言っていた。そして、計画性がなくても、衝動的に人は自殺する。周囲がその自殺願望に気が付かないとすると、SOSを発信していないか、発信していても、受け止められない場合もある。

結果として自殺してしまった人も

 筆者は、1998年に生きづらさに関連した取材を始めた。きっかけは、援助交際をしている高校生たち、家出をしている少年たち、摂食障害の女性たちとの出会いだった。彼ら彼女らを取材していると、共通して多かったのは、希死念慮、つまり「死にたい」という感情だった。また、「消えたい」との言葉を使う人も出始めていた。当時は、自傷行為をする人たちや、自殺未遂をしていた人のネット・コミュニティが出来つつあった。オフ会をよく開いたり、参加したものだ。

 私の取材で、自殺願望が強い時期ではなく、自殺を決心してないだろうが、結果として自殺をしてしまったという人がいた。動機としては、そのとき、嫌なことがあり、長い眠りにつきたいと思い、処方量以上の薬を飲んで、そのまま亡くなってしまった。通常、その量では死なないはずとみんなが思う量だった。自殺願望も、決心も強いわけではなかった。むしろ、寝ることで逃げたかった。いわゆる「寝逃げ」をしたかったのではないかと思っている。

周囲が自殺願望に気づかないこともある

 また、鑑定医は「亡くなってしまった人はあまり経験がないが、(自殺を)試みましたという人が一定数いる」と言っていた。そういえば、現場の精神科医に話を聞くと、「それほど患者が自殺をしてない」という話をよく聞く。この裁判でもそんな話を聞くとは思わなかった。

どのくらいの人数を指してそう言っているのかわからないが、筆者は20年以上、自殺に関連する取材をしているが、数十人が自殺している。亡くなってすぐ友人から知らされ、葬儀に出席したこともある。また、数年後に、家族が故人の日記を整理していたら、筆者の連絡先が書いてあり、電話をしてきたということもあった。まれに、本当は亡くなっていないが、ネット上でのやりとりが疲れたために、自殺したことにした、と話した男性もいた。

「周囲が自殺願望をわからないこともありますか?」と弁護側は聞いた。鑑定医は「あります」と回答した。筆者の取材する人の中に、家族や友人、恋人が、自分の気持ちを知らないし、伝えたくないと言っている人も多い。そのため、亡くなった後に、遺族から「どうして教えてくれなかったのか?」と迫られたこともあった。

自殺直前の言動をそのまま受け取ることはできない

 ある女性が尋ねてきたことがある。恋人と2人で旅行をした翌日、相手の男性が自殺した。女性は「きっと何か原因があったが、私に言えなかったんだ」と思い、会社関係、相手の家族、友人関係から話を聞いたが、誰一人、自殺の理由を知らなかった。ネットやパソコンに痕跡もない。そのため「理由のない自殺ってあるんですか?」と聞かれた。周囲にサインを出さない場合もある。

「死を決めることと、死への決心が強いかどうかは整理する必要がある。方法を思いついたり、死んだ後のことを考えたり、死後の世界を考えたり、様々なことを考えています。死について計画をしたからといって、今すぐ死のうとするかは別。ふいに電車に飛び込む人もいます。一方、うつ病の治りかけがリスクが高かったりします。医療者の立場とすると、『やっぱり生きて行こう』『自殺するつもりはない』と言って退院したけれども、その後、事故になることはあり得ます」(鑑定医)

 自殺直前の言動は、必ずしも、本人の気持ちを表出しない。「生きていこうと思います」という言葉が出たとしても、前向きになったとは限らない。2003年から05年にかけてネット心中が連鎖したが、その取材の一環で、当時19歳の男性と会った。彼は虐待を受けたことで自殺を考えるようになった。取材をしていると、前向きになってきたような印象だった。精神科にも亡くなるまで通院していた。しかし、数週間後、自殺系サイトで知り合った30歳の女性と一緒に亡くなった。

「レイプされて殺されるということを知っているのか」

 座間の事件の被害者の中には、何度も自殺未遂をしている人がいる。ネット心中やTwitterで自殺相手を募集する人たちの取材をすると、不思議な話ではない。この事件は、白石被告がなぜ短期間で9人も殺害したのかに注目が集まっている。ただし、一方で、若者たちが自殺願望をつぶやく心理についても考えなければならない。特に、今年の8月は、女性の自殺者が40%ほど増加している。若年層ほど、自殺者が多くなっている。

 座間事件後、筆者は、Twitterで「死にたい」とつぶやく人たちに取材した。すると、「10人目になりたかった」という女性が複数いた。そのことを面会で白石被告に伝えたところ、「驚きです。その人たちはレイプされて殺されるということを知っていて言っているのか」と、声を荒らげた。取材した人の中には、むしろ、性被害にあえば、死に向かう衝動に勢いがつくと話していた人もいた。事件の裁判を傍聴して、改めて、そうした人たちの声に耳を傾ける必要があると感じた。

承諾殺人か通常の殺人か――。2017年10月までに神奈川県座間市内のアパートで男女9人を殺害した、白石隆浩被告(29)の公判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれている。検察側は殺害されることを承諾していないと、通常の殺人を主張している。一方で、弁護側は承諾殺人を主張する。

裁判が行われている東京地裁立川支部 ©渋井哲也

9人とも、自殺を考えて、自ら白石被告に会いに行っている。一方では、殺害前には、生きようとしていると思わせる内容のLINEを友人に送っていたりする。これには自殺者の心理が関わっているが、法廷で鑑定医が「自殺をしようとする人が、直前に『生きようとした』と言ったとしても、自殺を試みることはある」と証言するように、裁判員の判断は容易ではない。

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「殺されてもいいから終わりにしたい」と書く一方で

 現在は、殺害された被害者9人のうち、3人の被害者について審理されている。被害者はプライバシー保護のためすべてアルファベットで呼ばれる。傍聴席には、被害者の家族が傍聴するために衝立が設けられていた。そんな中に、白石被告が気怠そうに被告席に座っている。

9月30日、初公判に出廷した白石隆浩被告[画・山下正人氏] ©時事通信社
9月30日、初公判に出廷した白石隆浩被告[画・山下正人氏] ©時事通信社
 最初に殺害されたのはAさん(女性、当時21)。弁護側によると、Aさんが自殺を考えるようになるにはいくつかの理由がある。中学時代にいじめにあったり、恋愛での悩みがあったりした。高校1年のときには、1ヶ月ほど家出をしている。帰宅後、精神科に通院すると「適応障害」と診断されたという。その後、自ら通院を止めたが、市販薬で過量服薬し、入退院を繰り返す。入院中にリストカットしたり、自殺未遂を試みたりしたが、看護師に止められた。

 一方、高校時代にスマホを購入。TwitterやLINEをするようになった。と同時に、自殺系サイトを閲覧する。そこで知り合った女性と、海で自殺を図ったこともある。しかし、自分だけが生き残った。弁護側は、この時のことが「心に突き刺さっていた」とする。そして、2017年8月、死のうとして1年が経ち、希死念慮が強まった。「記念日反応」があったのだろうか、自殺をめぐるネット・コミュニケーションの結果、白石被告と出会うことになった。

 白石被告と出会った後にも、Aさんは日記に「殺されてもいいから終わりにしたい」と書いている。殺害される前日にも他の人と「殺されたい」とのメッセージのやりとりをしていた。そのため、弁護側は「承諾していた」と主張する。

 一方、検察側は、殺害される当日、白石被告から「携帯電話を海に捨ててくるように」と指示されたものの、海には捨てず、駅のトイレ内に放置したことのほか、白石被告が「自殺を止めるように」と言うと、前向きな変化があったこと、Aさんは白石被告との新しい生活を考えていたことから、承諾も同意もないと主張している。

「いろいろ考えた結果、生きて行こうと思います」

 また、Bさん(女性、当時16)は、学校生活での悩みがあった。弁護側によると、課題の提出が苦手だった。そのため、中学時代から、学校と母親から注意を受けて、叱責をされていた。そのため、学校へいくのを嫌がるようになり、早退や欠席が多くなっていた。

 中学2年生の頃、「部活ノート」を提出することになるが、やはりなかなか書けず、出せないでいた。学校へ行けないという思いが強くなり、出したとしても、先生から「本心を書いてない」と言われるようになる。そんな中で、学校に行くふりをして、家の中で身を隠していたことがあった。Bさんがいた付近には、犬のリードがあったため、自殺をしようとしたのではないかと母親は考えた。Bさんにとっては、提出物が出せない悩みは、死にたいと思うほどのことだったようだ。このことで、学校側は特別支援の対象にした。

 2017年4月、高校に入学したが、入学前の課題提出がまた難関になった。母親に強く指摘されると、家出をしたこともある。1学期の成績は「赤点」だったが、その原因も、提出物を出せていないことだったという。このことで、夏休みは補習をすることになるが、夏休みが明けようとする時期になって、再び提出物が問題になった。そんなときに、Bさんは自殺系サイトを閲覧した。さらに、Twitterに「関東で一緒に死にませんか?」と投稿した。


 その投稿がきっかけで白石被告とつながる。白石被告が「首吊りですか? 飛び降りですか?」と送ると、Bさんは「首吊り」と返事をしている。また、日程に関しても、Bさんは自ら提示をした。そんなことから弁護側は「承諾があった」と主張する。

9人が殺害された座間市内のアパート ©渋井哲也
9人が殺害された座間市内のアパート ©渋井哲也
 一方、検察側によると、Bさんは殺害される当日、「いろいろ考えた結果、生きて行こうと思います」とLINEをしている。白石被告は「しばらく家にいたほうがいい」と言い、居場所がわからないように、携帯電話を海に捨ててくるように伝えた。Bさんは、海には捨てず、海近くの駅のトイレに放置した。言いなりになっていないことを含めれば、承諾も同意もしてないと、述べた。

「オレ、これからは生きていきます」

 Cさん(当時20)は男性だ。弁護側によると、小学校高学年のときに「高機能自閉症」と診断された。人の気持ちを汲み取るのが苦手で、対人関係に悩みがあった。そんなこともあり、高校卒業後は、知的障害者の支援施設で働くようになった。しかし、体力的にも、精神的にもきつい仕事であり、利用者から暴力を受けることもあったようだ。

 恋人との別れも経験した。事件の2ヶ月前の2017年6月、2年間付き合っていた彼女から別れを告げられた。翌日、その女性にあてた遺書を書き、睡眠薬を過量服薬した。結果、救急車で運ばれることとなり、強制入院する。仕事は7月末まで休むことになったが、退院してすぐに、その女性を駅で見かけたことで、電車に飛び込もうとしたことがあった。

 一方で、音楽活動もしていた。本格的に取り組むようになったものの、バンドリーダーは厳しい存在だった。叱責されることで、精神的に不安定な状態が増した。事件数日前の8月27日、バンドが遠方でライブをすることになった。車の運転はCさん。往復で12時間かかったが、リーダーはCさんに動画の編集をお願いする。すると、リーダーの登場場面が少なかったのか、「余計な編集をするな」と言われ、再編集をする。

 8月前半、Cさんは、すでに知り合っていたAさんと、白石被告に「自殺の手伝い」をお願いするため、3人で会っていたが、このときは希死念慮が弱まった。しかし、再編集となった翌日の8月28日、再び、白石被告と連絡を取る。そのときには「Aさんにやった方法で殺してください」とメッセージを送っている。白石被告がAさんを殺害していたことを知ってのやりとりだ。メモアプリで遺書を書いていたことで、弁護側は「承諾していた」と説明する。

©渋井哲也
©渋井哲也
 一方、検察側は、白石被告と会った後、Cさんは「オレ、これからは生きていきます」などとLINEをしている。やはり、白石被告に携帯電話は海に捨ててくるように言われたものの、海に行く途中の駅のコインロッカーに預けている。「しばらく家にいれば」と言われて、Cさんは白石被告宅にいることになるが、それは殺害の承諾でも同意でもない、と断言する。


生きたいという思いと、死にたいという思いが交錯

 いずれも、ある時点では、殺してほしいという気持ちが見え隠れする。ただし、どこかの時点で「生きようとする」メッセージを送ったり、その思いを反映するような行動をとったりしている。そもそも、自殺をしたい、という気持ちと、殺されたいという思いはどこまで一致するのか。仮に一致するとしても、殺されることを同意していたのか。仮に、同意していたとしても、その条件として何が必要なのか。そんなことを裁判員が判断しなければならない。取材をしていると、自殺を企図する直前まで、生きたいという思いと、死にたいという思いが交錯するように感じている。裁判は、自殺の心理だけでなく、裁判員の死生観や倫理観を大いに反映することになるだろう。

 ただ、白石被告本人は、承諾殺人ではないと言うつもりであるという。

「私以外の男性との付き合いがあるような雰囲気だった。2度目のホテルで性交渉を持ちかけたが断られたこと、そして、自分のこれまでの過去の経験上、短期的にお金をひっぱることはできるが、長期的には難しいと思っていたことです」

 被害者の一人、Aさん(女性、当時21)殺害について、裁判員から「迷っていたのに最終的に殺害をしたきっかけは?」という質問を受けた白石隆浩被告(29)は、淡々とこう答えた。

白石被告の素と思われる部分が出た

 神奈川県座間市内のアパートで男女9人を殺害した白石被告の裁判が、東京地裁立川支部で開かれている。最初に殺害されたAさんに関して、白石被告は弁護側からの質問を拒否。弁護側が質問した内容を、検察側や裁判官が繰り返すという異例の展開になった。


 また、これまでの証言と矛盾すると弁護側が指摘した場面もあったが、「答えるつもりはない」とつっぱねた。しかし、法廷では、白石被告の素と思われる部分が出たような気がした。

 白石被告は被告人質問の初日から、弁護側の質問に答えていない。2日目となった10月8日、ようやく弁護側の質問に答えるつもりがない理由をこう話した。

「裁判が長引くと、親族に迷惑がかかる。そのため、(承諾殺人ではないという)検察側の起訴事実を認めてると、最初から弁護人には言っていた。弁護人も『わかりました』と言っていました。ずっと私の希望に合わせますと言っていた。

 しかし、公判前整理手続きに入ってからは『争う』と言ってきた。話が違うので、受け入れられません。解任したいと思ったのですが、裁判所に受け入れられませんでした。仕方がないですが、(承諾殺人ではないという)今の主張は変わっていません。結局、今の国選(弁護人)で裁判に臨むことになりましたが、方針が合わず、根に持っています。以上です」

被告と弁護人の主張が違ったまま進行

白石被告の裁判が行われている東京地裁立川支部 ©渋井哲也

 白石被告は、裁判前から弁護人と方針が合っていなかった。公判が開かれる前の報道でも、弁護人の方針とは違っていることが報道されていた。

 私が拘置所にいる白石被告と面会したとき「裁判はどんなスタンスなのか?」と聞いたことがあった。すると、白石被告は、「基本的には(起訴事実を)認める方法。私本人は争わないつもりです。最初の弁護士は『黙秘して』と。その弁護士はお断りした」とも言っていた。弁護人を一度は解任していたためだろうか、裁判所が解任を認めなかった。だからこそ、白石被告と弁護人の主張が違ったまま、裁判が進行することになった。

 

 

 


「人を食べるときの注意事項」…座間9人殺害・白石被告が犯行前に見た“猟奇サイト”

2020年10月16日 02時51分58秒 | 事件・事故

「週刊文春」編集部 2020/10/10
source : 週刊文春 2020年10月15日号

「起訴状の通り、間違いありません」

 証言台でボサボサの黒髪を背中に垂らし、堂々と声を張った男。17年8月から10月にかけて、神奈川県座間市のアパートで男女9人を殺害したとして強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(29)に対する裁判員裁判の初公判が9月30日、東京地裁立川支部で開かれた。

初公判が開かれた東京地裁立川支部101号法廷 ©共同通信社
初公判が開かれた東京地裁立川支部101号法廷 ©共同通信社
「しわしわの作業着と後頭部に張りついた髪は、寝起きで出廷したかのようでした。罪状認否を終えた後は目を伏せ、時折伸びをしていた。『被害者は殺されることに同意していた』という弁護人の主張が退けられれば死刑はほぼ避けられない状況ですが、裁判の進行には既に関心がなさそうでした」(社会部記者)


 取り調べに対しては「カネと性欲目的で9人を殺害した」と自白していた白石。法廷で説明されるその行為はおぞましいものだった。

 風俗スカウトマン時代の経験から「自殺願望のある女性は言いなりになりやすい」と考えた白石は、ツイッターで「首吊り士」と名乗り、自殺願望を持つ女性に接触を始めたという。金づるにならなそうなら首を絞めて失神させ、女性8人については姦淫。その後、首を吊って殺害し、証拠隠滅のために遺体をバラバラに解体していった。

 解体のために白石はノコギリやミキサー、鍋を購入している。内臓などは一般ごみとして廃棄し、大きな部位は鍋で煮て、頭部と一緒に自宅のクーラーボックスに保存。発覚しないよう後日、捨てに行く予定だったようだ。だが、このボックスから被害者の頭部が発見され、逮捕につながった。

白石被告が拘置所で行っている“面会ビジネス”

 また、一連の犯行に先立ってはユーチューブで「殺し方」などと検索。牛の解体動画や「人を食べるときの注意事項」といった猟奇的なサイトをあさっていた形跡もあった。一方で、日本で死刑を適用する際の判断基準である「永山基準」や、事件が発覚しないよう被害者の捜索を防ぐ方法なども検索していたことも判明。これら証拠の説明を裁判員らは厳しい表情で聞いていたという。

 閉廷まで気怠そうな表情だった白石。生きることに関心を失ったのだろうか。

「カネには興味があるようです。警察署や拘置所に面会に行くと、事件について答える条件として現金を要求してくる。一部メディアが差し入れをしたことに味を占め、今では悪びれもせず、一度に差し入れできる上限の3万円や食料などを求めてきます。外の食事が恋しいんだとか。9人もの命を奪っておきながら、拘置所でやっていることは反省ではなく“面会ビジネス”です」(司法記者)

「死刑の覚悟はできている」と漏らしている白石。絞首台を前にした時、「首吊り士」は何を思うのか。