2020年10月13日 22時06分 (共同通信)
世界保健機関(WHO)本部=5月、スイス・ジュネーブ(ロイター=共同)
【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は13日までに、世界の新型コロナウイルス感染者のうち、14%が医療従事者との推計を発表した。医師や看護師など医療従事者が人口に占める割合は世界平均で3%、高所得国でも8%のため、一般人よりも感染率が高いことが示された。
欧州諸国での調査によると、感染が急拡大した3月からの3カ月間では感染者に占める医療従事者の割合は15~25%に達したが、6月は10%、7~8月は5%強に低下。WHOは、マスクや防護服の供給不足解消や感染防止策の徹底が改善につながったと分析した。
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医療従事者の新型コロナウイルス感染は世界で9万人超=国際看護師協会
2020年5月7日(木)09時56分
国際看護師協会(ICN)は6日、全世界で少なくとも9万人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染したとの見方を示した。写真は4月、バンコクの病院で新型コロナウイルス感染者の治療にあたる看護師ら(2020年 ロイター/Athit Perawongmetha)
国際看護師協会(ICN)は6日、全世界で少なくとも9万人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染したとの見方を示した。ただ、医療現場で感染予防マスクなどの不足が続くなか、実際の医療従事者の感染はこの2倍に達している可能性があるという。
ICNによると、新型コロナ感染症で死亡した看護師は260人を上回った。1カ月前は100人としていた。
ICNのトップ、ハワード・カットン氏はロイターテレビの取材に対して、9万人という医療従事者の感染数は、30カ国の看護団体や政府データ、メディア報道に基づく推計で、全ての国の感染数が含まれているわけではないことから、実際はこれよりも多いとの見方を示した。
ICNは130の看護団体を代表し、2000万人以上の看護師が登録している。
全世界で350万人の新型コロナの感染が報告されていることを踏まえ、ICNが推計する看護師の感染率6%を基に計算すると、全世界で20万人以上の看護師が感染している可能性があると指摘している。
カットン氏は、各国政府は医療現場での感染データの収集や報告を体系的に行っておらず、医療従事者の感染問題を見て見ぬふりをしているようだと指摘。こうした状況は受け入れられず、今後より多くの犠牲者を出す恐れがあるとの見方を示した。
[ジュネーブ ロイター]
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NEWS◎ソフトバンクが社内や医療機関で抗体検査を実施
全国4万人規模の抗体検査、0.43%が陽性
2020/06/11
安藤 亮=日経メディカル
ソフトバンクグループは6月9日、同グループ社員や医療従事者など約4万4000人を対象に実施した、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査の結果を発表した(外部リンク:動画、発表資料)。全体の抗体陽性率は0.43%で、このうち医療従事者約5800人については、抗体陽性率は1.79%だった。
ソフトバンクグループは5月12日~6月8日にかけて、同グループや取引先関連の計465社の社員3万8216人と、全国の医療機関539施設の医療従事者5850人に対して、簡易検査キットによる抗体定性検査を実施した。ソフトバンク・取引先ではOrient Gene社、医療機関ではINNOVITA社の簡易検査キットを使用した。
計4万4066人を対象とした検査の結果、全体の0.43%に当たる191人が抗体検査陽性と判定された。このうち105人が医療従事者で、今回検査した4万4000人の中の医療従事者5850人のうち、1.79%だった。ソフトバンク・取引先の3万8216人については、陽性者は86人(0.23%)だった。
医療従事者の中で最も陽性率が高かった職種は、受付・事務など(陽性率2.0%)。次いで医師(1.9%)、看護師など(1.7%)と続き、歯科助手(0.9%)および歯科医師(0.7%)は比較的陽性率が低かった。会見で登壇した国立国際医療研究センター理事長特任補佐の大曲貴夫氏は「高リスクと思われる歯科関係者の陽性率が低かったのには驚かされた。歯科での感染対策や、診療した患者の特徴などを深掘りする必要がある」と指摘した。
ソフトバンク・取引先の中での陽性率は、店頭スタッフが0.04%、社内業務や営業、技術などのオフィス社員(早期に在宅勤務に移行)が0.17%、コールセンターでは0.41%だった。ただし、コールセンターの感染者29人のうち24人が、約600人が所属する一カ所のコールセンターにおける陽性者であったという。大曲氏は「クラスターから多くの人に感染が広がるという、新型コロナウイルスの感染の類型が見えている。店頭スタッフのように人と接触する職場は一見リスクが高そうに思えるが、陽性率を見る限り、マスクなどの感染対策や職場環境次第でリスクを下げられるようだ」と分析している。
PCR検査結果との関係性も検証
全体の抗体検査陽性者191人のうち、42人に対しては前後してPCR検査も行われており、13人がPCR検査でも陽性、残り29人は陰性だった。内訳として、42人中11人は先にPCR検査を受け陽性、その後抗体検査でも全員陽性となった。7人は以前にPCR検査を受けた際は陰性だったが、抗体検査では陽性だった。残り24人は先に抗体検査を受けて陽性と判定され、その後PCR検査を受けたところ、うち2人がPCR検査でも陽性、22人は陰性だった。なお、PCR検査が陽性で、抗体検査で陰性となった人はいなかった。
PCR検査が陰性でも、その後行った抗体検査で陽性が判明するケースがあることを踏まえ、大曲氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を疑う症状があるのに、PCR検査では陰性が出続けて対応に苦慮する患者は一定数いる。そうした患者の診断には抗体検査が役立つ可能性がある。第二波に向けて、症状のある患者を速やかに診断できるよう、すぐに検査できるような体制が重要だ」との見解を示した。
同じく登壇した国立国際医療研究センター臨床研究センター長の杉浦亙氏は「イムノクロマト法による簡易検査(定性検査)だけでなく、精密検査(定量検査)も行うことでより深い検証ができるのではないか。全ての検査には限界があるので、抗体検査に加え、PCR検査や抗原検査など、それぞれの長所を組み合わせて実施していくのが重要」と指摘した。