みつとみ俊郎のダイアリー

音楽家みつとみ俊郎の日記です。伊豆高原の自宅で、脳出血で半身麻痺の妻の介護をしながら暮らしています。

ヤマネコウサギのリハビリ目標

2012-01-13 22:08:18 | Weblog
というのを、発症1週間目ぐらいに私が(勝手に)作り二人でそれぞれ同じものを持ちながら「必ず達成する目標値」として設定した。

第一関門=一人でトイレに行けるようになる!

発症してからしばらく身動き一つできなかった身体ではトイレに行くことなどおよびもつかなかったのだが、お小水をためた袋を下げたままのリハビリというのはいくら何でもミジメなので(でも、この袋を下げたままのリハビリの人は実際にはたくさんいることが後からわかった)無理矢理おむつにしてもらったりといろいろな変遷をへてやっと「車椅子でのトイレ」というところまでこぎつけた。
そして、今の段階はこれが「杖でのトイレ」という状態に変わり、この第一関門はおそらくほとんど突破できたのではと私は思っている。

次の
第二関門=車椅子なしで移動できるようになる!

これはまだ「半分達成半分未達成」という感じだろう。
というのも、病院の中での杖での移動は療法士、看護士や家族(つまり私だが)がいる時に限定されている。
一人で勝手に杖で歩き回って良い、という段階にはまだ来ていない(なので「車椅子よサラバ!」とはまだ言えないのだ)。
毎日一緒に病院の廊下で歩行訓練をやっているのだが、本人もまだ「自分一人だけで歩く自信はない」ようだ(別に誰かいなくてもころぶわけではないと思うのだがやはり何か不安なのだろう)。
一緒に恵子の右側を歩きながら「かかとから!ゆっくりと!遠くを見て!」という呪文を唱え続けている(私には彼女の右側にいることが療法士さんから義務づけられている)。
その3つにまず集中することが今の彼女には最も大事なことだからだ。
かかとから足を降ろすという動作が「歩く」という動作には最も大事なことだという意識は、以前私の中にはまったくなかったのだが、彼女の歩行訓練をするようになって、確かに人間の二足歩行というのは「かかとから先に降ろさなければ上手に歩けない」ということがよく理解できたように思える。
つま先から降りていては本当に「変な歩き方」になってしまうし、第一ものすごく疲れる。
なので、この第二関門も訓練中ゆえ「半ば達成、半ば未達成」という感じだ。

第三関門=右手で箸が持てるようになる!

では、第三関門はどうかというと、これも最初のステップに少し足をかけたところぐらいかナ?というところ。
右手で箸は持てても指や手の筋肉に「力」そのものがないので長い間同じ格好を持続することはできない(今日なんか盛んに「しびれる、しびれる」と言っていた)。
なので、持ちやすい食べ物をつかんで食べることには成功しても、ちょっとつかみにくいものになると途端に箸の運びがおぼつかなくなってしまう(右手で箸を持つ格好は大分サマになってきているのだが)。
というところで、これもまだ中途半端。

第四関門=杖なしで歩けるようになる!

これは、第二関門を突破した後に当然来るべきもの。
ここのハードルをどれだけのスピードで越えられるのかが今後の私の一番の関心事だ。

そして、最後の
第五関門=右手で絵が描けるようになる!

確かに彼女は今も右手で絵を描いていることは描いているのだが、まだほとんど「絵の練習」に近いような絵しか描けていない(クレパスという道具では細かいタッチもニュアンスも表現することはできない)。
今描いている全ての絵は、クレパスという本当に軽い力だけで色や形が作れる道具だからできる絵であって(けっこうマンガチックな絵だと思う)、本来彼女が使っていた筆を持つだけの力はまだ彼女の右手にはないので、彼女にしてみればこれはまだ「絵のお遊び」ぐらいなはず。
ということは、これもまだ中途半端。
つまり、この時点で本当にクリアしたのは第一関門だけで、他の関門は「現在進行中」で鋭意突破しつつあるといったところなのだ。
でも、これらの課題が「北国の春」のように「全ての花がある日突然一斉に咲き誇る」といった状態でクリアされればと願ってはいるのだが…多分、実際にはそれは無理で(あり得ない話ではないのだが)、カメのような遅々とした歩み、薄皮を一枚一枚はいでいくようなトレーニングの日々が続いていき、そして、いつの間にかこれらの関門を全てクリアしていた、というストーリーの方が現実に一番近いのではないだろうか。

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