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大江戸定年組・・・元気な3人組おじさんたちの物語

2022年10月05日 | 本と雑誌

 中高年男性の方にお勧めの小説がある。

 

 それは、「大江戸定年組」シリーズである。 

 初めに読んだのが、初秋の剣この本を読んで、「面白い!」と思った方ならば、続きも読みたくなるのではないだろうか。

 

 舞台は、タイトルにある通り江戸の町である。

 「定年」とあるように、主人公の 藤村新三郎は、町方同心を引退して仕事を息子に譲っている。

 「定年組」とあるのは、主人公に加えて、幼なじみがあと2人出てくる。三千五百石の大身旗本である夏樹権之助、そして商人の七福仁左衛門である。

 3人それぞれ家族がおり、子供もいて、定年はしたが、まだまだ元気である。

 さてこれからどう生きるかと思案し、江戸市中の厄介ごと解決を始めた。

 

 三人の願いは、いい景色の中で暮らすこと。手頃な隠れ家「初秋亭」を根城に、それぞれの特技を活かして江戸市中の厄介事解決に乗り出した。

 この3人のキャラクターも良い。

 主人公の藤村は、剣の達人である。

 旗本の夏樹は弓の達人である。

 商人の七福は、人当たりが良く商売がうまい。

 

 主人公たちと自分が同じ歳(55歳)であるというところが個人的に気に入っている。

 この年齢ならではの悩みや喜び、気分が実によくわかるのである。

 妻や息子との関わり方、

 体が衰えつつもそれに抗ってなんとか過ごすところとか、

 景色のいいところで穏やかに過ごしたいとか、

 でも、まだ気力も体力も時間もあるから何かしたい・・・などなど、この年齢ならではの気分がよくわかる。

 

 なんだかんだ言っても、これまでに鍛えた仕事のスキルを活かして、難事件を解決するところが面白い。

 3人の湿っぽくない、それでいてしっかり互いを思いやる友情もいい。

 

 作者は、風野真智雄氏。

 おそらくこの本を書いた頃に、55歳くらいだったのではないか。この年ならではの悲哀や楽しみがよくわかっているからである。

 

 今、シリーズの3冊目、起死の矢を読み終えそうである。

 まだまだシリーズの残りはある。

 お酒を飲みながら読む時間が至福の時である。

 

コメント
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