「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

後生畏るべし 2005・02・27

2005-02-27 07:00:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、「論語」です。

 「子の曰わく、後生畏るべし。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。四十五十にして聞こゆること無くんば、

  斯れ亦た畏るるに足らざるのみ。」


  作家の中野孝次さんの現代語訳はこうです。


 「あとから生まれ育ってくる者たちを畏れるがいい。自分たちより年下だからといって、若い世代が自分たちに劣っているなどと

 どうして言えよう。自分たちより勝れた者が出現する可能性はつねにある。だが、四十、五十になって、世にその人ありと名が

 聞こえてこないような者なら、それは畏るるに足らない。」


  中野さんはその著「中野孝次の論語」の中でこう書いておられます。


 「四十というのは人生の正午だ、とわたしはかねて思っている。すでに世の中に出て二十年、どの分野で働くにしろ、二十年一つ

 のことに打込んでいればその分野での専門家である。またそうでなければならない。その段階までくれば、自分がこの世でどれだけ

 のことをしてきたか、自分には何ができるか、それに対し世間の評価はどうか、ということがほぼわかってくる。

 それから定年まで、自分にどれだけのことができるか、自分はどういう地位についているかも、ほぼ見当がつく。すなわち

 前と後との両方を見渡すことのできる年齢が四十歳だ。今迄を午前とすれば、これからは午後の時になるという意味で

 正午である。」
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