光媒の花
2015-03-27 | 本
時間がたっぷりあるおかげで即日読了しました。
道尾秀介『光媒の花』
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光媒の花 (集英社文庫) |
道尾 秀介 | |
集英社 |
連作短編集で6つの話がどこかで繋がる作品。
連作短編はそれぞれの話の繋がり具合が肝で、これが密接過ぎたらしつこさが残り、離れすぎると連作の意味をなさなくなる。
その点で本作はとても具合がいい。
6章はそれぞれ「隠れ鬼」「虫送り」「冬の蝶」「春の蝶」「風媒花」「遠い光」。
本作は「花」と「虫(特に蝶)」をキーに各ストーリーが展開されます。
人生には光もあれば翳もある。
いつしか人は光を見出せず翳ばかりを見つめてしまう。
そんな時昔見ていたであろう光を思い出すといい。
今目の前で起こることは全てが翳なのか。
光を感じることがあるのではないか。
そんなことを短編ストーリーにのせて教えてもらいました。
「冬の蝶」のストーリーが個人的には如何ともしがたい無念さをはらんでいましたが、次への希望も作者は最後に遺してくれたので少し救われたのかな。
道尾作品の中でも印象の強い一冊になりました。