サラバ!
先週から読み始め、本日読了しました『サラバ!』。
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サラバ! 上 |
西 加奈子 | |
小学館 |
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サラバ! 下 |
西 加奈子 | |
小学館 |
言わずと知れた第152回直木賞を受賞し、本屋大賞にもノミネートされている作品です。
そういや本屋大賞は明日発表ですね。
37歳の男、圷(あくつ)歩の自叙伝、と言って良いでしょう。
彼が生まれてから、圷家のやや特殊な環境下で自分自身を抑えて生きて行くことで平穏な日々を過ごすことができた幼少期。
イランやエジプトでの生活、両親の離婚、姉の宗教信仰など周囲に振りまわされつつも、それと比して自分はそうならないように受け身の姿勢で過ごしていく。
ある種そうすることでの成功体験が彼の人生の方向性を決めて行く。
しかし成長していくにつれ、何か歯車が合わなくなり、彼はそれまである程度順調だった生活が一変してしまう。
何が原因でそうなったのか。
破天荒な姉がある時大きく変わったのはなぜなのか。
そして歩が現状から抜け出すために行ったことは・・・。
感想としては概ね満足いくものでした。
また現在の私に少し影響を与えてくれたことは間違いないです。
ここで語られていることは、私が昨年受講していたリワークにおける「キャリア」というカリキュラムをより具現化して分かりやすくしたものでしょう。
人生の分岐点において道を決定するのは自分自身でなければならないこと。
そして決めたからにはそれに向かって進み続けること。
なので正直私にはここで描かれたことは一度は理解したことなので、大きな感動・教訓といったものはあまりありませんでした。
ただ描かれている歩の心はどこか私に似ていて、今休職している身には改めて以前学んだことを思い出すことを促してくれるものでした。
なので「キャリア」のような講習を受けておらず、自分のやることなすこと上手くいかないな、とストレスを抱えている人には大いに背中を押してくれる1冊になるのではないでしょうか。
先ほど歩の心が私に似ている、と言いましたが、共感できるのは決して私だけではないはず。
私が特別ではないからです。
そういう方には是非とも読むことをおススメします。
(全録)芥川賞・小野正嗣さん、直木賞・西 加奈子さんが会見
著者の強い思いを感じる1冊だったことは間違いないです。
私は明日も自分の「白いもの」を積み重ねて行くことでしょう。
今の自分が自分であること。