2010年度 133冊目 『鑑真』
記録のみ
『鑑真』
東野治之
東野治之 著
著者紹介
東野治之(とうの・はるゆき)1946年西宮市に生まれる。1971年、大阪市立大学大学院修士課程修了。専攻は日本古代史・文化財史料学。現在、奈良大学教授。
著書に『木簡が語る日本の古代』 『正倉院』 『遣唐使』(以上、岩波新書)、『遣唐使と正倉院』 『書の古代史』 『日本古代金石文の研究』 『日本古代史料学』(以上、岩波書店)、『遣唐使船 東アジアのなかで』 『貨幣の日本史』(以上、朝日新聞社)ほか。
岩波書店
岩波新書 新赤版1218
2009年11月
198ページ 本体 756円
苦労話の有名な鑑真、少し関心も生じ岩波新書で読むことにした。
知らないエピソードが満載。
戒律そのものは日本には結局 浸透、広まることは無かったが、鑑真のもたらしたものは大きい。
memo
具足戒
男性 250
女性348
遮(しゃ)、難という審査基準あり
三蔵
経、律、論
恵美の辻
平城京右京五条二坊 (現在の薬師寺北 のちの唐招提寺西)
もたらしたもの
食料、日常品
教典、典籍
王義之の書
『天竺・朱和などの雑体の書』
(インドを初めとする中国以外の民俗の文字)
仏像
密教系の尊像
(佛教の密教化進行)
金質泥像
仏具、調度
ここの部分興味あり
記述省略
香料、薬物
東野治之さんの『鑑真』は読みやすく、わかりやすい。
興味のある内容が多く、押さえておきたい一冊だったと喜んでいる。
著者の『正倉院』と『遣唐使と正倉院』は是非読んでみたい。
今回も記録メモにて失礼申し上げます☆
岩波株式会社より
生を賭し、海を越え目指したものは何か?
2009年11月、唐招提寺・金堂の保存修理事業が終了し、ふたたびその雄渾な姿をあらわしたというニュースは、記憶に新しいところです。じつは、新しく生まれ変わった金堂の屋根にのっている鴟尾(しび)には、本書の著者・東野治之氏による、次のような銘文が刻まれています。
以往古鴟尾裂損金堂解体修理之間拠旧
規造替之願大和上過海之鴻図与此鴟尾
不朽 平成十五年歳次癸未四月八日
(往古の鴟尾、裂損せるを以て、金堂解体修理の間、旧規に拠りて之を造替す。願わくは、大和上過海の鴻図、此の鴟尾とともに不朽ならんことを。)
ここでいう「大和上」、つまり唐招提寺を創建した鑑真について、ご存じの方は多いことでしょう。時は奈良時代、渡海も容易でない時代に、五度も失敗を重ね、ついには失明しながら、不屈の意志で来日を果たした鑑真―しかし彼は、なぜそこまでして、日本をめざしたのでしょうか? 苦心談の有名さに比して、その目的や成し遂げた成果は、これまであまり語られてこなかったように思われます。
本書は、鑑真が中国でどのような学問を修めていたか、何を実現するために日本へ来たのか、また結果として日本の仏教に何をもたらしたかということを見きわめ、日本の仏教受容の大きな流れの中に鑑真の存在を位置づけるという、画期的な試みです。当時の日本仏教は、正式に僧になるために不可欠な「授戒」さえも満足におこなえないような状況にありました。そのなかで文字通り死力を尽くし、日本の仏教を救おうとした壮大な企図を知ってこそ、鑑真の本当の偉大さも見えてくるのでは、という著者の問いかけに、きっと共感していただけることと思います。