7/9
「玉くしげいつしか明けむ布勢の海の浦を行きつつ玉藻拾ヒリはむ(2/5 #18.4038 )」
「玉くしげ開けるようにと布勢の海の浦を歩いて玉藻拾ろおう()」
「音のみに聞きて目に見ぬ布勢の浦を見ずは上ノボらじ年は経ぬとも(3/5 #18.4039)」
「噂だけ聞いてまだ見ぬ布勢の浦を見ずに帰らぬ年変わっても()」
「布勢の浦を行きてし見てば百敷の大宮人に語り継ぎてむ(3/5 #18.4040)」
「布勢の浦に行って見たなら百敷の宮廷人に語り継ごうか()」
「梅の花咲き散る園に我ゆかむ君が使を偏カタ待ちがてら(4/5 #18.4041)」
「梅の花咲き散る園に行きたいなああなたの使をもう待ちかねて()」
「藤波の咲きゆく見れば霍公鳥ホトトギス鳴くべき時に近づきにけり(5/5 #18.4042 右の五首は、田邊史福麿。)」
「藤波が咲くのを見れば霍公鳥ホトトギス鳴くによいとき近づいてきた()」
7/9
「棚になる葡萄食べおり遠乗りに誘われたるもわれは行かない()」
「ダリア蟻語呂合わせかな二つからなにが出でると寺山はいう()」
「欺かれいたのはあるいはわれなのか驟雨の野茨折りに行かんと()」
「かって野で不倫を怖れずあった日も燃える想いの冷えるを感ず()」
「寺山のダリアは蟻とセットもの花弁に蟻を飼えるがごとく()」
「撃ち落とす鳥には妬みを感じない小さき命飛ぶことなきに()」