2014/01/18
「(二年春正月ムツキの三日、侍従オモトヒト堅子チヒサワラハ・王臣等オホキミタチ、オミタチを召して、内裏オホウチの東ヒムカシの屋の垣下ミカキモトに侍サモラはしめ、玉箒タマバハキを賜ひて肆宴きこしめす。時に内相藤原朝臣勅ミコトノリを奉ウケタマハりて、宣ノリタマはく、諸王卿等オホキミタチ、マヘツキミタチ、随堪任意ココロノマニマ歌よみ詩フミ賦ツクれとのりたまへり。仍カレ詔旨ミコトノリのまにま、各オノモオノモ心緒オモヒを陳ノべて歌よみ詩フミ賦ツクれり。諸人ノ賦レル詩マタ作メル歌ヲ得ズ。)」
「初春の初子ハツネの今日の玉箒タマバハキ手に取るからに揺らく玉の緒(#20.4493)」
「初春の子の日に配る玉箒タマバハキ手に取るたびに揺らぐ玉の緒()」
「家持が詠んだ歌だが政務に奏上できず没になる歌(右の一首は、 右中弁大伴宿禰家持がよめる。但し大蔵オホクラノツカサの政マツリゴトに依りて、え奏マヲさざりき。)」
「水鳥の鴨の羽ハの色の青馬を今日見る人は限りなしといふ(#20.4494)」
「水鳥の鴨の羽色の青馬を今日見る人に寿あると()」
「この歌も家持事前につくる歌事情があって奏上はせず(右の一首は、七日の侍宴トヨノアカリの為に、 右中弁大伴宿禰家持、此の歌を預アラカジめよめり。但し仁王会オガミの事に依り、六日、内裏に諸王モロモロノオホキマ卿等マヘツキミタチを召して、酒を賜ひ肆宴きこしめし、禄モノ給へるに因りて奏さざりき)」
「打ち靡く春ともしるく鴬は植木の木間コマを鳴き渡らなむ(六日、内庭オホニワに仮に樹木キを植ゑて、林帷カキシロと作シて、肆宴きこしめす歌一首 #20.4495 右の一首は、 右中弁大伴宿禰家持。未奏)」
「かすみ打つ春となったら鴬よ植木の間を鳴き渡ってよ()」