2019/12/04
「人麻呂の淡路·明石の羇旅歌にはもの悲しさのあるのはなぜか[柿本朝臣人麻呂が覊旅の歌八首]」
「全般に『一本に云う』が付きおりて理由·解釈謎は多けり[]」
「鹿持氏の原文にては謎なくも他の本では異説の多し[鹿持雅澄氏]」
「御津の崎波を恐カシコみ隠江コモリエの船寄せかねつ野島の崎に[#3.0249]」
「この歌の船寄せかねつのところには異説のありて謎を秘めおり[]」
「原文は次のようなり真の意味いかがなるかと考えてみよ[三津崎 浪し恐 隠江乃 舟二公宣 美奴嶋二 もとの漢字がない]」
「玉藻刈る敏馬ミヌメを過ぎて夏草の野島の崎に舟近づきぬ[#3.0250]」
「この歌の野島は今の沼島かな夏は草の茫茫たるか[]」
「淡路の野島の崎の浜風に妹が結べる紐吹き返す「[#3.0251]」
「荒布アラタヘの藤江の浦に鱸スズキ釣る海人とか見らむ旅行く吾を[#3.0252]」
「この歌も異説のありて『白栲の藤江の浦に漁する』の説[]」
「稲日野イナビノも行き過ぎかてに思へれば心恋しき加古の島見ゆ[#3.0253『一云、潮見』とある]」
「燭火トモシビの明石大門オホトに入らむ日や榜ぎ別れなむ家のあたり見ず[#3.0254]」
「天ざかる夷の長道ナガチゆ恋ひ来れば明石の門トより大和島見ゆ[#3.0255『一本云、家門当見由』とある]」
「飼飯ケヒの海の庭よくあらし苅薦の乱れ出づ見ゆ海人の釣船[#3.0256この歌も異説があるが『飼飯の海あわじ西海慶野海なり』]」
「武庫の海の船にはあらし漁イザリする海人の釣船波の上ヘゆ見ゆ[一本ニ云ク、]」