金曜の憂うつ

電車に乗り込み、空いている座席を探す
この時のパッションは、獲物を狙う肉食動物のよう
鋭い眼光で前傾姿勢
（完全に変態だなオイ…）

瞬時に空席の匂いを嗅ぎつけ座席に向かう
しかし
そこには酔ったサラリーマンが広がっていて
1,5人分の席を占領していた
幸せいっぱいの顔をしている
明日は土曜日
戦うリーマンとしてネクタイを巻く必要はないからだろうか
パッションもその顔を見ると少し躊躇したが…
剥き出しの牙を突き立てるように！！！
優しくポンポンと肩をたたく
！！
勢いよく起き上がり、状況の把握をしようとするサラリーマン
「ここはどこだ？」と聞こえてきそうなぐらいに、キョロキョロする
と思ったら、小走りで電車を降りた！！
しかし
その目は、覚醒しているような感じは受けなかった
電車の扉が閉まり、窓越しに寝ぼけリーマンの顔が見える
まだキョロキョロとしていた
起こされた勢いで、降りてしまったのだろう…
呼び止めることはできなかった

電車が発進し、酔いどれリーマンの姿はすぐに見えなくなってしまった
残ったのは
心の中の申し訳なさと
ポッカリと空いた、隣の座席の空間だけだった