パッション120%

さあさあさあ!!
今日も全開で・・・
パッショネイトにイカねーと♪♪

酔いどれの手

2011-04-05 00:53:33 | 日々を歩む
いい日和の正午頃
出勤のため、電車に揺られている
節電で、電車内の明かりはついていない
読書をする者にとっては、少々苛立ちを隠せない

何気なく顔を上げ、車内を見回す
どんどん人が吐き出され、どんどん新しい人が乗り込んでくる
乗り込んでくる人の中に、ふらつき気味の人がいた
何やら液体を床にこぼしながら…

隣りにドカッと勢いよく腰を下ろした
ワンカップを片手に持ったオジサンだ
天気のいい昼間からねぇ…

パッションは座席の左端、右隣にオジサンがいるかたちだ

ブツブツ言っている
ワンカップを床に置いて、ポケットをゴソゴソかきまわしている
オジサンの右隣の人に、意味もなくあやまっている
と思ったら、真っ直ぐに向き直り、見えない相手に何か言っている
パッションの左隣に立っている若い男性は
ブツブツとオジサンへの不満を論っている
ブツブツ言うぐらいなら、面と向かって言えばいいものを…


暴れるわけでもなく、殊更にうるさいわけでもない
なので、見て見ぬふりをしていたのだが…



「にいちゃん、ごめんね~」と言ってきた
(オジサンは酔っ払いである)
「ごめんね~」と、何回も繰り返す
とりあえず知らんぷり

「要するにだなぁ、好きか嫌いかってことなんだなぁ」言う事を変えてきた
「好きか嫌いか、はっきり言う事が大事なんだよ」とオジサン

「じゃあ、オレはオジサンのこと嫌いだね」
「そんなことをしているのは、いただけないからね」
口を突いて出た…
まぁ、本心だから仕方ない

「ベリーグッド、ベリーグッド」
と、オジサンはニカッと笑いながら言ってきた
「いんじゃない、いんじゃない」と意味もなく言う
(オジサンは酔っ払いである)

「ま~とにかくさぁ、お互い頑張ろうね」
と、旧知の仲みたいに言いいながら手を差し出してきた
特別断る理由も見当たらないので、その手を握り返す

ゴツゴツとしっかりした手
酷使されて皮膚がガチガチになった手
肉体労働者の手
苦労のにじみ出た手

握手をして間もなく、下車する駅に着いた
駅の改札に向かいながら、自分の手のひらを見つめる
オジサンの皮膚の感触がしっかりと残っている
いろいろあるんだよな

酔わなきゃやってらんないときもあるかもな…