goo

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.1:「GOLD」「ホタルノヒカリ2」

私が勝手に「現代ドラマにおける黄金カルテット」と名付けている人気女優のうちの一人,天海祐希の新作が始まった。今回の,オリンピックの金メダリストを目指す3人の子供たちの母親という役どころは,「女王の教室」以来のスパルタ風味を漂わせるもので,新鮮味よりもキャラクターを活かした堅実路線という感じを強く打ち出しているように見える。
だが,主人公のキャラクターをしっかりと立たせるために,野島伸司の脚本と演出陣がクリアしなくてはならない課題は多そうだ。若者の成長と親への反撥というメインプロットは勿論のこと,まずは彼らが挑む「競技」をきちんと描くことが必須と思われるのだが,初回に出てきた競技絡みのシークエンスはどれも,お世辞にも丁寧に撮られたとは言い難いものばかりだった。TVドラマは,案外こういったところから破綻を来していくことが多いが,果たして修正は為されるだろうか。

加えて,天海の持ち味であるガテン系のユーモアを活かすような台詞も少なかった。唯一,長澤まさみ演じるスローな秘書と天海との絡みで,雰囲気が出かかったシークエンスがあったが,そこがコメディ・リリーフとなって,母子の確執が生み出すピリピリした雰囲気を和らげるところが,ドラマの肝になっていけば,面白いかもしれない。
天海の仕事上のパートナーと夫をそれぞれ演じる反町隆史と寺島進は,まるで一人の人物の,昼夜の面を別々に演じているような感じがあったが,台詞回しの巧拙には雲泥の差があった。カメラもマイクも冷酷だ。

冷酷と言えば,今回一番驚いたのは,賀来千香子の外見と使われ方だった。少し前,いや大分前のトレンディ・ドラマの主役が,こういう形でカムバックしてくるというのも,芸能界という特殊な世界の内実を象徴しているようで,思わず背中に冷たい物が触れたような気がした。
今後はエドはるみの役柄がどう絡んでくるのかによって,ドラマのテイストは結構変わりそうだが,天海の背筋がいつもながらにきりりと伸びるかどうか,フォローしていきたい。

上述した「現代ドラマにおける黄金カルテット」を追いかける女優群の一番手,綾瀬はるかも,ヒット作「ホタルノヒカリ」の続編で登板してきた。
設定は前作をそのまま引継ぎ,綾瀬は「ぶちょうーっ!」と藤木直人を追いかける「干物女」の役だが,「干物女」の対極にある生の綾瀬と役柄とのギャップを,物語としての面白さに繋げていけるかどうかは,水橋文美江の脚本にかかっている。

ぐうたらだけども,仕事はきっちり,という干物女が持つ二面性を,単なるビジネス教訓物から峻別して描くための仕掛けとして用意されたトリックスター向井理が,1回目を観る限りはどうにもミスキャストに見えて仕方なかったが,NHK「鉄の骨」と同時にOL役で起用された臼田あさ美が案外推進力になるかもしれないという感じはあった。
謎の女,木村多江をめぐるエピソードは,少し鼻についたものの,板谷由夏と安田顕のやり取りはドラマにテンポを与えていたし,藤木の軽さも悪くなかった。
草食系でも肉食系でも括れない主役二人の関係を,仕事を絡めて立体化できれば,今クールも最後まで付き合えそうな予感はある。頑張れ,素敵女子!

PS.ちなみに私的「現代ドラマにおける黄金のカルテット」の残りは,竹内結子と菅野美穂と上野樹里(「のだめ~」限定ですが)。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 映画「ハング... 2010年TVドラ... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。