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映画「ビーチ・バム」:おじさんはポリティカル・コレクトネスなんぞで窒息しない

今は亡きシンガー・ソング・ライターのウォーレン・ジヴォンは,シニカルな作風で知られながらも終生西海岸から離れることはなく「陽光溢れる空の下,部屋のカーテンを降ろして暗い曲を書く」と言われたが,「ビーチ・バム」の主人公ムーンドッグ(マシュー・マコナヘイ)はひたすら明るい空とバカ騒ぎを背景にして,愛と孤独と絶望を詩にする。 ハーモニー・コリンの7年振りになるという新作は,吟遊詩人によるピカレスクものと . . . 本文を読む
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TVドラマ「おちょやん」:「浪花千栄子」という選択なのか,杉咲花の演技力の問題なのか

NHK朝ドラ「おちょやん」が終わった。途中は「いつまでこんな暗いトーンが続くのか」と思った時期もあったが,千代(杉咲花)がラジオドラマに出演するようになってからの最終盤は,生瀬勝久と塚地武雅のサポートもあって,若干盛り返して大団円を迎えた。視聴率が一度も20%に届かない,千代の父親役トータス松本が「朝ドラ史上最悪の父だ」と話題になるなど,どちらかというとネガティヴなネタに事欠かなかったという印象の . . . 本文を読む
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映画「グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告」:こんな終活で良いのかデ・ニーロ?

このところ,出演作の数だけは多いものの,「アイリッシュマン」等いくつかの作品を除いて脇役での出演がほとんどだったロバート・デ・ニーロが一枚看板で出ると聞いただけで心は弾む。加えてロッテントマトで85%がフレッシュという評価。しかもクレジットにはあの「ディア・ハンター」以来の共演となるクリストファー・ウォーケンの名前もある。近頃のハリウッド製のコメディは,劇場スルーで配信やパッケージに直行するケース . . . 本文を読む
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映画「約束の宇宙」:母はジェンダーという重力を振り切って宇宙へ飛び出す

メアリ・ロビネット・コワルがヒューゴー賞やネビュラ賞といったSF各賞を総なめにした小説「宇宙へ」も,本作「約束の宇宙」と同様に「宇宙」という単語に「そら」というルビを振っていた。女性パイロットがそれまでの「宇宙飛行士=男性」という社会通念に伍して宇宙へ出ていく,というプロットが共通している両作だが,最も大きな違いは,あり得たかもしれない別の歴史を舞台にした「宇宙へ」が持つSFテイストを,「約束の宇 . . . 本文を読む
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映画「AVA/エヴァ」:B級プログラム・ピクチャーの系譜を継ぐ佳作

劇場窓口で「エヴァを1枚」と言ったら,すかさず「洋画の方で宜しいでしょうか?」と返された。「シン・エヴァンゲリオン」の上映時間が迫っていたための確認だったのだろう。どう見ても「エヴァンゲリオン」を,さらっと「エヴァ」と略すような人種とは見えなかったのだろうが,お姉さんの見立ては正確だった。庵野秀明渾身の最終作と評判も高く,記録破りの大ヒットを記録している同作を観る予定はまったくない老年の好みは,ジ . . . 本文を読む
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