子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 3ヤツらを解放せよ」:映画的な後退を見抜いた観客の確かな眼力

2010年08月27日 21時28分50秒 | 映画(新作レヴュー)
日本人の10人に一人が鑑賞し,実写の日本映画史上最大のヒット作となったシリーズ第2作「レインボーブリッジを封鎖せよ」から7年。国内では無敵を誇る東宝としても期待を込めて送り出したと思しき話題作だが,蓋を開けてみれば,興行収入では100億円の大台突破が確実な「トイ・ストーリー3」に遠く及ばないだけでなく,「借りぐらしのアリエッティ」にも届かない可能性が濃厚で,作品の興行的な格から見れば「惨敗」に近い . . . 本文を読む

映画「キャタピラー」:「脱がない」という事務所の約束を反故にして,寺島しのぶが掴んだ銀熊賞

2010年08月26日 21時39分09秒 | 映画(新作レヴュー)
ジャンルも作品の感触も指向する方向性も全く異なるが,女優に「相応しい作品」という観点だけから見れば,寺島しのぶにとっては,アンジェリーナ・ジョリーにとっての「ソルト」みたいな作品なのかもしれない。 寺島は,四肢を失いながらも妻に対する高圧的な態度を保ち,周囲から「軍神」と讃えられる夫に対して抱く,幾重にも折りたたまれた感情の襞を,ここまで鮮やかに演じきれるのは彼女だけだ,と観客を納得させるものを, . . . 本文を読む

映画「トイ・ストーリー3」:シリーズのクオリティーの高さを証明した見事な第3作

2010年08月22日 23時46分53秒 | 映画(新作レヴュー)
シネコンのチケット売り場で「トイ・ストーリー3を」と頼んだら,係の若い女性に「大人お一人様…だけですか?」と言われた。多分,私のような中高年が一人で「トイ・ストーリー3」を観に来る,というケースは極めて稀で,殆どが子供もしくは孫を連れて,というパターンのため,「子供○枚」と続く筈だと踏んで先手を打って言ってくれたのだろう。でも,「子供はかまってくれない」私は,一人だけで「トイ・ストーリー3」を観に . . . 本文を読む

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.6:「熱海の捜査官」

2010年08月20日 06時50分59秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
地方都市の女子高校生に起こる事件。地元警察に乗り込んで来る,あやしい「広域捜査官」。「時効警察」シリーズや映画「転々」でオダギリジョーと組んできた三木聡の新作が目指したのは,どこからどう見ても,デヴィッド・リンチが80年代に創り上げた,エポック・メイキングな連続TVドラマ「ツイン・ピークス」なのだった。 共通点は山ほどある。冒頭に記したように,事件の被害者がどちらも女子高校生であること。犯人に近 . . . 本文を読む

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO (8月14日)NO.2:ムーンラーダーズ,yanokamiなど

2010年08月18日 23時11分02秒 | Weblog
(承前) 山下達郎のステージが終わったのが17時45分。ここまで延びることもあるかと予想して,移動に便利な,ステージに向かって左側に位置していたのが功を奏し,早足で移動した結果「グリーン・オアシス」には開演7分前に到着。その時点ではまだ観客用のフィールドには殆ど人が集まっておらず,ステージから3mくらいの至近距離に場所を確保し,余裕を持ってムーンライダーズの登場を待つことが出来た。 ステージ上で . . . 本文を読む

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO (8月14日)NO.1:山下達郎など

2010年08月16日 23時02分25秒 | Weblog
2年前に,気力と体力と忍耐力を試される場という,正に北海道のキャンペーン・コピー(試される大地)を地で行く体験をした時には,もう二度と参加することはないだろうと思っていたライジングサン。でも今年は,ムーンライダーズにyanokami,そして相対性理論という当方のツボをくすぐるラインナップ。これに29年振りの夏フェス登場という山下達郎と来れば,蛮勇を奮うしかないと決心し,妹夫婦2組と一緒に再度の参戦 . . . 本文を読む

映画「ザ・ロード」:子育ての理想的なモデル,という捉え方も可能

2010年08月12日 23時46分43秒 | 映画(新作レヴュー)
もの凄く地味な終末SF映画だ。ほとんどのシーンはモノクロームと言っても良い色調で撮られ,文字通り「ロード・ムービー」の途中で起こる幾つかのエピソードには起承転結がない。主演の二人の親子(ヴィーゴ・モーテンセンと)と回想シーンのみに登場する妻=母役のシャーリーズ・セロン以外の出演者は皆,一つか二つのシークエンスしか出番がなく,物語のクライマックスを盛り上げるための伏線といったものも存在しない。 にも . . . 本文を読む

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.5:「夏の恋は虹色に輝く」

2010年08月09日 23時30分40秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
全般的な退潮傾向が続くTVの連続ドラマにあって,比較的安定した数字を残してきたジャニーズ組。その親分格とも言える木村拓哉が満を持して月9に臨んだ「月の恋人」だったが,8回平均の視聴率で,11回に亘ってコンスタントな数字を残した内野聖陽「臨場」に完敗を喫した。「臨場」が人気シリーズの続編とはいえ,渋い配役と受け狙いを排した地味な展開にも拘わらず,17%を超える視聴率を叩き出した背景には,明らかにドラ . . . 本文を読む

映画「ソルト」:アンジー,はまり役を得て眩いばかりの輝きを見せるの巻

2010年08月06日 00時00分01秒 | 映画(新作レヴュー)
アンジェリーナ・ジョリーが,ひたすら美しく,格好良い。特段彼女のフォロワーという訳ではないので,過去の主演作を全てチェックしてはいないのだが,これまで観てきた中では,彼女の魅力が発揮されているという点でこれが最高だ。 当初レオナルド・ディカプリオが主役に予定されていたところ,彼が同じような内容の作品に出演することになったため,結果的に役がアンジーに回ってきたことから,彼女に合わせて脚本もリライトさ . . . 本文を読む

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.4:「ジョーカー 許されざる捜査官」「うぬぼれ刑事」

2010年08月01日 20時55分14秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
恋愛ものがすっかり往時のエネルギーを失ってしまった現代のTVドラマ界にあって「病院もの」「弁護士もの」とならんで鉄板ジャンル御三家(私が勝手に名付けただけだが)を形成する「警察もの」は,今期も大手を振ってゴールデン・タイムを闊歩している。 そのうちの1本が,いつの間にやらするすると,当代きっての売れっ子となってしまった堺雅人が,とうとう1枚看板を務めるに至った現代版「必殺仕置人」(実は私は本物を観 . . . 本文を読む