「メタモルフォーゼの縁側」
未読の人気コミックの映画化だが,老若芸達者の共演が実に楽しい。ゲイに対する知識をほとんど持たないように見える老婦人(宮本信子)が,表紙の美しさに惹かれて買い求めたボーイズ・ラヴのコミックを読み進め,巻末で主人公二人がキスをするコマを観て「あら!」と声を上げるシーンが作品のトーンを定める。続きが読みたくて再び訪れた書店のアルバイト店員うらら(芦田愛菜)と徐々に距離を縮めて . . . 本文を読む
「ストーリー・オブ・フィルム 111の映画旅行」
スティーヴン・ジェイ・スナイダーが総編集にあたった「死ぬまでに観たい映画1001本」は,まだ観ていない,知らなかった映画のチェックにとても重宝している。私が持っている2004年版で気になっていた,エリア・カザンの妻(当時)が監督したという「WANDA」がとうとう日本公開されることになった今年,スナイダーの慧眼に匹敵する批評眼の持ち主マーク・カズンズ . . . 本文を読む
前半終了間際に左からのクロスを受けようとして侵入した興梠が上島に倒された場面で,主審は笛を吹かなかった。VARに問い合わせる素振りも見せなかった。結果的にはそれが全てだった。
5人で組む最終ラインを固めて,前線のプレスで札幌の攻撃を自由にさせない柏は,支配率やシュート数,パス数で圧倒されたように見えながら,その実ボールを持たせて,天皇杯から中2日というスケジュールを考慮した戦い方を選択した。終わ . . . 本文を読む
「ノルウェー人の女性」と言われて真っ先に思い出すのは,国連でSDGsの基礎となる報告書をまとめ,WHO事務局長も歴任したブルントラント首相。皆が皆,彼女のような傑出した人物であるとは限らないまでも,ヨアキム・トリアーの新作「わたしは最悪。」の主人公ユリアのように,自分の感情や思考の指し示すところへ自由に羽ばたいていく,というイメージは根強くある。何せ,元々は囚人に対する刑罰から始まったという説もあ . . . 本文を読む