イザベル・ユッペール扮する建設会社社長の息子で,会社を継ぐ立場にありながら,その意思も能力もない息子が,会社が起こした事故の後始末のため被害者が住む住宅を訪れるシーンがある。その玄関先に呼び出した被害者の家族らしい男と息子が話し合う様子をロング・ショットで捉えたこのシーン,二人が交わしている会話は観客にはまったく聞こえない。会話が長引き,時間が経つ内に,徐々にただ事ではない雰囲気が高まってきて,つ . . . 本文を読む
主演のイライザを演じるサリー・ホーキンスは,私にとっては一連のマイク・リー監督作品や絶賛された「ブルージャスミン」よりも,地味に楽しい「パディントン」シリーズのお母さん役の印象が強い。その彼女が冒頭から全裸で自慰を行う。これはR15+指定も仕方ないのかと思っていたら,アマゾンからやって来た,現地では「神」と崇められていた水棲生物と愛を交わし,いわんやその性器の状態を同僚(オクタヴィア・スペンサー) . . . 本文を読む
劇的勝利。スポーツ報道では普通に使われる言葉だが,そんな常套句がここまでフィットする瞬間というのは,そうざらにはないだろうなと思った。「なまら,ありがとう!最高!」と叫んだチャナティップの北海道弁は,今日詰めかけた1万3千人を超えるサポーターのほぼ全員が味わったであろう一週間前の清水戦の苦渋を吹き飛ばし,その胸に芽生えていたおぼろげな懐疑を感激の涙に変えたことは間違いない。ジェイと二人で挙げた今日 . . . 本文を読む
伝説のテレビ・シリーズ「ウルトラQ」第17話のタイトルは「1/8計画」だった。人口問題を乗り切るために人間を1/8にしてしまおう,という計画に巻き込まれた女性新聞記者の救出劇を描いたエピソードだったように記憶している。子供向けのテレビ番組用とは思えない発想が,よくもまあ企画会議を通ったものだと感心するが,かつて今村昌平について小津との関係性を論じていたほどの日本映画通である本作の監督アレクサンダー . . . 本文を読む
フライヤーの上部に「『96時間』シリーズ 主演リーアム・ニーソン」とぶち抜かれた上に,タイトルが「ザ・シークレットマン」とくれば,政府の暗部と身体を張って闘うスーパー・エージェントのアクションを想起した人は多かろう。私もその一人だった。しかし本作のニーソンは家族を守るため,飛び交う銃弾をかいくぐって,相手の脳天に空手チョップを見舞う代わりに,ワシントン・ポストの記者に政府の陰謀を囁く。地味といえば . . . 本文を読む
16年振りの残留を果たし,再びJ1の晴れ舞台で闘えることとなった札幌。しかしその2018年シーズン・ホーム初戦は,初めて見る芝への水まきに驚くと同時に,ビッグクラブへの飛躍を期して大物監督ミハイロ・ペトロヴィッチを招聘したことの意味を実感する重い試合となった。
守ってカウンター,という一般的に言われるJ2仕様から,自ら仕掛ける攻撃的なチームへの変貌を託されたミーシャの選択は,個々の選手の技術・走 . . . 本文を読む