子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

FIFA 女子W杯 1次リーグB組 日本代表 VS ニュージーランド代表【2:1】

2011年06月28日 00時26分53秒 | サッカーあれこれ
真の実力差は一発勝負ではあてにならない,という男子のU-22が味わったばかりの教訓をなぞるような試合だった。 宮間の超絶技巧のFKがなければ,TV解説をしていた森島の全盛期を思い起こさせるような永里の先制点も水泡に帰し,メダルどころかリーグ突破の危機に瀕していたかもしれない。しかし,どんなに素晴らしいサッカーをしていても,真剣勝負において絶対はないということを思い知らされたなでしこは,貴重な経験を . . . 本文を読む

映画「127時間」:覚醒する男を描いてきたダニー・ボイルの真骨頂

2011年06月23日 22時32分09秒 | 映画(新作レヴュー)
右腕を岩に挟まれて身動きが取れなくなった男の5日と7時間を,90分間のドラマにする。一見,ロベール・ブレッソンの「抵抗」を思い起こさせるような試みだが,これまでダニー・ボイルが培ってきた練達の作劇術によって,ほとんど動か(け)ない被写体が,真の生命力を得てリズミカルに躍動するまでのドラマは想像以上にドラマティックだった。 冒頭,スプリット・スクリーンに映し出される群衆の映像。続いて描写される,主 . . . 本文を読む

ロンドン五輪サッカー2次予選 U22日本代表 VS U22クウェート代表【3:1】

2011年06月19日 22時02分16秒 | サッカーあれこれ
怪我からの回復途上にある香川の招集が見送られたのは理解できる。だが如何なる理由からかは定かでないが,宇佐見と宮市という,絶対的な切り札となり得る若い選手をもメンバーから外してしまった関塚ジャパンにとっては,永井の負傷欠場は致命傷になる可能性もあった。たとえFIFAのランクが100位以下の国であっても,一発勝負のトーナメントでは何が起こるか分からない。圧倒的にボールを保持していても,決めるべき所で決 . . . 本文を読む

映画「キッズ・オールライト」:5人の俳優が奏でる明るくパワフルなコンチェルト

2011年06月17日 22時36分49秒 | 映画(新作レヴュー)
ジュリアン・ムーア主演作に(「ブラインドネス」を始めとして,二三の例外はあるが…)駄作なし,という法則がある。と言っても,本作を観終えた当方が,勝手にかつ漠然とそんなことを思っただけの話なのだが,その似非法則でも本作に関しては「ズバリそうでしょう」と,多くの人の賛同を得られそうな気がする。「キッズ・オールライト」は,そんな風に舞い上がってしまうほどのパワーに満ち溢れている。 二人の「ママ」がいる . . . 本文を読む

2011年TVドラマ春シーズン・レビューNO.4:「glee」

2011年06月13日 23時19分01秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
新年明けてすぐにレンタルが始まり,更に新学期に合わせてNHKのBSで放送が始まって以降,どこのレコードショップでも,レンタル店でも,この番組に関連したコーナーを見かけるようになった。過去に米国製のTVドラマのヒット作は数多くあったが,ここまで大規模な関連プロモーションが展開された例は,なかったのではないかという気がするくらいだ。オハイオの片田舎に住む落ちこぼれの高校生が,つぶれかけたグリークラブで . . . 本文を読む

映画「マイ・バック・ページ My Back Page」:「ノルウェイの森」よりもこっちを原曲で聴きたかった

2011年06月09日 23時24分44秒 | 映画(新作レヴュー)
思春期の戸惑いを,レイ・ハラカミの浮遊感に満ちた音楽に乗せて,寓話的な筆致で描き出して私をノックアウトした「天然コケッコー」の山下敦弘が,60年代の雑誌記者が抱えた葛藤,という題材に挑むとは思わなかった。しかし「激動の昭和」の断片に,一見真正面から取り組んだ社会派作品を装いながら,結局「マイ・バック・ページ」の焦点もまた,一人の若者の内面という,小さくて大きな闇にあてられていた。だからこれもまた, . . . 本文を読む

映画「ブンミおじさんの森」:素晴らしき「生死の境界があいまいな森」ツアー

2011年06月06日 23時50分00秒 | 映画(新作レヴュー)
死期が迫った男の元に,死んだ妻の霊が訪れて,優しく世話を焼く。行方不明になっていた息子も,全身を毛で覆われた猿のような姿になって現れるのだが,その姿を見た叔母は「随分と毛深くなって…」と言いつつ,その帰還を喜ぶ。 絶えることのない微かな葉擦れの音は,やがて心臓の鼓動とシンクロし,静かな森に行き交う生者と死者の眼差しが,観るものを優しく包み込む。ついに男に死が訪れた時,残された生者は森を離れてもなお . . . 本文を読む

映画「落語物語」:柳家小三治激賞の落語もの。「ウソがねえ」と傑作になったのか?

2011年06月04日 23時25分24秒 | 映画(新作レヴュー)
落語ものの映画作品と言えば,最近では平山秀幸の「しゃべれども しゃべれども」が思い浮かぶ。伊東四朗と国分太一の師弟関係,更には国分と八千草薫による孫と祖母のやり取りが醸し出す,何とも柔らかくゆったりとした空気が印象に残る秀作だった。 だが,どうやらそれは本家の噺家から見ると「こうじゃない」という気持ちにさせるようなものだったらしい。 そんな「落語家」ものに飽きたらなかった本職の林家しん平が,自らメ . . . 本文を読む

映画「ブラック・スワン」:芸術家の苦悶を背筋も凍るようなホラー仕立てで描くという発想の勝利

2011年06月01日 23時35分27秒 | 映画(新作レヴュー)
「レスラー」に続くダーレン・アロノフスキーの新作は,インディペンデント界からカルト作品でデビューしたという出自を全面に打ち出すと同時に,エンターテインメントを提供する映画作家としての成熟を示した傑作だ。ナタリー・ポートマンというプリマドンナを得て,古典的な物語とダークな実験性を緻密なモザイクのように繋いだ技には,デヴィッド・リンチの後継者と呼びたくなるような風格が漂っている。 細かいことをあれこ . . . 本文を読む