子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「だれもが愛しいチャンピオン」:根性とも勝利至上主義とも無縁なのに泣かせるクライマックス

2020年01月26日 18時35分21秒 | 映画(新作レヴュー)
今年のお正月映画は凄い。興行収入の年間トップを争うであろうヒット作(「アナと雪の女王2」「S.W.エピソードⅨ」など)がクリスマス・シーズンから年を跨いで上映されていることに加え,「パラサイト 半地下の家族」や「フォードvsフェラーリ」,「ジョジョ・ラビット」など,既に欧米の賞レースを賑わせている秀作が一挙に公開されている。特にアメリカでは,オスカー狙いの芸術路線作が年末に公開されることが多いため . . . 本文を読む

映画「パラサイト 半地下の家族」:娯楽と芸術の境界を軽々と飛び越えるポン・ジュノの最高傑作

2020年01月21日 21時21分58秒 | 映画(新作レヴュー)
「グエムル 漢江の怪物」や「母なる証明」などの秀作によって,現在アジアNO.1の俊英と呼んでも過言ではないポジションを獲得したポン・ジュノの新作「パラサイト 半地下の家族」は,昨年のカンヌで見事に韓国映画として初めてとなるパルム・ドールを獲得した。隣国の日本ではそれから半年以上が経過し北米での記録的なヒットの報を耳にした後,満を持しての堂々たる「正月映画」としての拡大公開となったが,ポン・ジュノと . . . 本文を読む

映画「フォードvsフェラーリ」:タコメーターで興奮させる見事な技

2020年01月19日 12時02分38秒 | 映画(新作レヴュー)
同じ「X-MEN」シリーズの2本だけを取っても,かなり波の荒いディレクターという印象のあるジェームズ・マンゴールドだが,本作は主演二人の素晴らしい演技という強力なサポートもあって,見事な大当たりを引き当てた。車離れの著しい昨今,スピードに賭けた男のオイルと汗の匂いがほとばしる物語が,どこまで幅広い層の興味を惹きつけることが出来るか疑問は残るが,かつてウォシャウスキー姉妹が「スピードレーサー」でVF . . . 本文を読む

映画「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」:ひたすらシャーリーズ・セロンの美しさに酔う

2020年01月18日 11時41分01秒 | 映画(新作レヴュー)
暮れに公開された「男はつらいよ お帰り寅さん」は,山田洋次監督に新作の構想案を話した横尾忠則氏が,原案者へのリスペクトに欠ける,とクレームを発したことにより,作品そのものの評価とは別次元で話題になっているようだ。その「男はつらいよ」は主演の渥美清さんが存命中,年に2作ずつお盆とお正月に公開されていた。併映にはほぼ小品の喜劇映画がセットされていたこともあり,この松竹の戦略によって「お正月は喜劇」とい . . . 本文を読む

映画「家族を想うとき」:ケン・ローチ,むきだしの怒りにたじろぐ

2020年01月13日 10時16分35秒 | 映画(新作レヴュー)
前作の「わたしは,ダニエル・ブレイク」で,グローバルに拡がる格差問題を力強く描いてカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いた名匠ケン・ローチの新作が届いた。前作を最後に引退するのでは,という報道も流れていただけに,映画ファンにとっては実に嬉しいお年玉だ。 取り上げたのは前作に続いて,経済のグロ−バル化に伴う歪みの荒波を受ける家族の姿。引退の意志を撤回してまで新作に取り組んだ齢83歳になるケン・ローチの . . . 本文を読む

映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」:42年間の「スーハー」,お疲れさまでした

2020年01月11日 10時56分12秒 | 映画(新作レヴュー)
1977年の第1作の公開から足かけ42年間という,年数だけから言ったらギネスブックに載った「男はつらいよ」シリーズを遙かに上回る長期に亘ってマニアを楽しませてきたシリーズが完結した。 登場人物やコアなストーリーを一新した新シリーズが企画されているというニュースも耳にしたが,ルークやレイア姫,アナキンにレイ,レンといったキャラクターにまつわるエピソードや彼らの間の関係性こそが「スター・ウォーズ」とい . . . 本文を読む