札幌文化芸術劇場hitaruの企画「映画へと導く映画」のVol.5が,「ドライブ・マイ・カー」と「偶然と想像」で話題の濱口竜介監督を招いて,創世スクエア3階のScartsで開かれた。このひとつ前の回は「私をくいとめて」で「のん。」の本格復帰を飾った大九(おおく)明子監督をゲストに開催されていたようだが(結果的に翌年に延期),今や世界的にも話題の濱口監督を口説いた企画の妙とそれに応えて忙しい中来札さ . . . 本文を読む
「スパイの妻」によりヴェネチア国際映画祭の監督賞にあたる銀獅子賞を受賞した黒沢清監督の特別講演会が札幌で行われた。元々は春に予定されていた企画だったが,COVID-19の感染拡大を受けて延期され,この度ようやく開催に漕ぎ着けたとのこと。その間に上述した受賞があり,受賞作の上映も市内の二つの映画館で始まったこともあって,会場は満員。年齢層は比較的高かったが,すでに受賞作を鑑賞してきた観客も多かったよ . . . 本文を読む
1950年代のハリウッドを支えた3人の女優,オードリー・ヘップバーン,マリリン・モンロー,そしてエリザベス・テイラーの年代記を並列したノンフィクション。
ドル箱スターとしての価値,奔放な私生活,そして映画というメディアに与えた影響の大きさという点で,「大」よりも「怪物」という形容詞の方が相応しいと思われる3人の女優が,基本的には交わることなく,しかし常に互いを意識しながら生きた1950年代という時 . . . 本文を読む
南アフリカW杯について,サッカー界においては有名な著者2人が現地と日本で行った対談をまとめた新書。初版の発行は8月10日になっているので,大会の終了から発売まで敢行されたと思しき突貫作業は,代表が与えてくれたエネルギーに与るところが大きかったのではないだろうか。
内容は書名通り,主に日本代表の快進撃について,サッカーコーチとサッカージャーナリストという立場から分析を加えた章に,この大会で明らかにな . . . 本文を読む
2010年のパシフィックリーグは,ソフトバンクが杉内の涙の勢いで逆転優勝,福岡の3連戦で屈辱の3連敗を喫した西武が2位,そして最後のオリックス2連戦に連勝して日本ハムを振り切った千葉ロッテが3位に滑り込み,という結果になった。144試合をほぼフルに使い切って順位を争ったことに象徴されるように,今年のペナントレースは熾烈を極め,楽天を除けば成績の上下はいずれも紙一重の実力差だったと言える。
それだ . . . 本文を読む
「ウルトラ」シリーズが始まって45周年を記念して,北海道立旭川美術館で「ウルトラマン アート! 時代と創造 ウルトラマン&ウルトラセブン」展が開かれている。私のように,記念すべき第1シリーズの「ウルトラQ」で「円谷プロ」が描き出した,リアル・ワールドと異次元との境界が放つ危険な磁力の虜になってしまった人間にとっては堪らない企画だ。
展示はエントランス部,ウルトラマンやウルトラセブンを始めとする初 . . . 本文を読む
(承前)
山下達郎のステージが終わったのが17時45分。ここまで延びることもあるかと予想して,移動に便利な,ステージに向かって左側に位置していたのが功を奏し,早足で移動した結果「グリーン・オアシス」には開演7分前に到着。その時点ではまだ観客用のフィールドには殆ど人が集まっておらず,ステージから3mくらいの至近距離に場所を確保し,余裕を持ってムーンライダーズの登場を待つことが出来た。
ステージ上で . . . 本文を読む
2年前に,気力と体力と忍耐力を試される場という,正に北海道のキャンペーン・コピー(試される大地)を地で行く体験をした時には,もう二度と参加することはないだろうと思っていたライジングサン。でも今年は,ムーンライダーズにyanokami,そして相対性理論という当方のツボをくすぐるラインナップ。これに29年振りの夏フェス登場という山下達郎と来れば,蛮勇を奮うしかないと決心し,妹夫婦2組と一緒に再度の参戦 . . . 本文を読む
長く札幌に住んでいるが,俗に「日本3大ガッカリ」の一つと呼ばれる名所,札幌時計台でライブを観るのは初めての体験だった。特に2年前の安藤裕子のアコースティック・ライブを体験できなかったことは,今もって悔やまれるのだが,「時計台ありがとう,おかげで凄く調子が良いです!」と気持ち良さそうに語ったトクマルシューゴのライブは,その時の悔しさを補って余りある楽しい1時間余だった。
様々な楽器を使いながら,音 . . . 本文を読む
9年振り6回目となる日本公演で初めてその姿を観ることが出来たボブ・ディランは,ライヴ・ハウス(Zepp 東京)の宿命で,前に陣取ったお客さんの揺れる頭越しに時折帽子が見える程度の邂逅ではあったが,その「大きさ」は客席との距離に反比例するかのようにずしりと伝わってきた。
60年代の「フォークの神様」は,50年近い活動歴の中であらゆるアメリカ大衆音楽を丸ごと飲み込むことによって,いつの間にかジャンルを . . . 本文を読む