NHK朝ドラ「おちょやん」が終わった。途中は「いつまでこんな暗いトーンが続くのか」と思った時期もあったが,千代(杉咲花)がラジオドラマに出演するようになってからの最終盤は,生瀬勝久と塚地武雅のサポートもあって,若干盛り返して大団円を迎えた。視聴率が一度も20%に届かない,千代の父親役トータス松本が「朝ドラ史上最悪の父だ」と話題になるなど,どちらかというとネガティヴなネタに事欠かなかったという印象の強い「おちょやん」だが,最後まで一度も「今日はどうなる?」という気持になれなかった原因は何だったのだろうか。
序盤は父親,中盤は千代の夫役の成田凌と,主人公に絡む男性がいずれも千代の着物の裾を踏む構造がまず,ドラマの前進力を削いでいたことは間違いないだろう。
加えて道頓堀の興行界で,劇団の覇権争いを繰り広げた二人(板尾創路と星田英利)のやり取りも,「ちょっと朝からこんなん見せられるのは勘弁」という気持になったことも確かだ。千代の弟や,やがて劇団を支えることになる寛治(藤山寛美がモデル)らが,揃いも揃って千代に人の道を説かれる展開も,途中で「もうお腹一杯」的な印象しか残せなかったのは,役者の力量不足というよりも脚本のフレームワークに問題があったと感じる。
一方で千代が世話になった御茶屋「岡安」の娘役東野絢香や,千代の劇団員仲間となった「いつでもカメラ目線」の明日海りおといった,これからが楽しみなキャラクターを生んだことはちゃんと記しておきたい。道頓堀の巨大なオープンセットや,劇中劇での劇場や芝居小屋における美術の仕事には,国営放送ならではのスケールと重厚感があったことも事実だ。
しかしそれでもなお「なかなか終わらんのう」という感想しか持てなかった最大の要因は,ヒロインの造形と俳優のミスマッチにあったと思う。
浪花千栄子という女優は,晩年に小津作品「小早川家の秋」に出演したり,テレビCMに出たりという印象はあったものの,どんなに関西で人気があったとは言え,あくまで全国的な知名度から見れば「関西地方限定のローカル俳優」に留まっていたはず。それが朝ドラの主人公として「人気俳優の下積み時代」というトーンで描かれても,視聴者が「そんなエピソードもあったのか」と驚くことはないのだ。そうであれば,もっと事実から離れて,明るいエピソードを膨らませるのが,朝ドラとして取るべき戦略だったと言わざるを得ない。
加えて致命的だったのは,千代を演じた杉咲花の演技だ。いくら浪花が早口で有名だったとは言え,まるで早口言葉のトレーニングのようにきっぱりとした口調で台詞を棒読みする台詞回しからは,微妙なニュアンスがすっぽりと抜け落ちてしまい,常に「これしかない」的な切迫感で押してくる演技には,トータスとは次元の異なる「もうええわ」という感想しか持てなかった。あれを「演技派」と評する方もいるようだが,「イチケイのカラス」における黒木華の軽くても懐の深い演技と比べると,日本代表とJ3のレギュラーFWくらいの差がある。「岡安一代記」か「花車夫婦善哉」にして,「千代半世紀」色を薄めたならば,逆に物語に拡がりが出たかもしれない。とりあえず,あの早口言葉を聞かなくてもよくなったことに安堵して,★をひとつ追加。
★★
(★★★★★が最高)
序盤は父親,中盤は千代の夫役の成田凌と,主人公に絡む男性がいずれも千代の着物の裾を踏む構造がまず,ドラマの前進力を削いでいたことは間違いないだろう。
加えて道頓堀の興行界で,劇団の覇権争いを繰り広げた二人(板尾創路と星田英利)のやり取りも,「ちょっと朝からこんなん見せられるのは勘弁」という気持になったことも確かだ。千代の弟や,やがて劇団を支えることになる寛治(藤山寛美がモデル)らが,揃いも揃って千代に人の道を説かれる展開も,途中で「もうお腹一杯」的な印象しか残せなかったのは,役者の力量不足というよりも脚本のフレームワークに問題があったと感じる。
一方で千代が世話になった御茶屋「岡安」の娘役東野絢香や,千代の劇団員仲間となった「いつでもカメラ目線」の明日海りおといった,これからが楽しみなキャラクターを生んだことはちゃんと記しておきたい。道頓堀の巨大なオープンセットや,劇中劇での劇場や芝居小屋における美術の仕事には,国営放送ならではのスケールと重厚感があったことも事実だ。
しかしそれでもなお「なかなか終わらんのう」という感想しか持てなかった最大の要因は,ヒロインの造形と俳優のミスマッチにあったと思う。
浪花千栄子という女優は,晩年に小津作品「小早川家の秋」に出演したり,テレビCMに出たりという印象はあったものの,どんなに関西で人気があったとは言え,あくまで全国的な知名度から見れば「関西地方限定のローカル俳優」に留まっていたはず。それが朝ドラの主人公として「人気俳優の下積み時代」というトーンで描かれても,視聴者が「そんなエピソードもあったのか」と驚くことはないのだ。そうであれば,もっと事実から離れて,明るいエピソードを膨らませるのが,朝ドラとして取るべき戦略だったと言わざるを得ない。
加えて致命的だったのは,千代を演じた杉咲花の演技だ。いくら浪花が早口で有名だったとは言え,まるで早口言葉のトレーニングのようにきっぱりとした口調で台詞を棒読みする台詞回しからは,微妙なニュアンスがすっぽりと抜け落ちてしまい,常に「これしかない」的な切迫感で押してくる演技には,トータスとは次元の異なる「もうええわ」という感想しか持てなかった。あれを「演技派」と評する方もいるようだが,「イチケイのカラス」における黒木華の軽くても懐の深い演技と比べると,日本代表とJ3のレギュラーFWくらいの差がある。「岡安一代記」か「花車夫婦善哉」にして,「千代半世紀」色を薄めたならば,逆に物語に拡がりが出たかもしれない。とりあえず,あの早口言葉を聞かなくてもよくなったことに安堵して,★をひとつ追加。
★★
(★★★★★が最高)
書いた奴は誰だと言いたい。
製作者は精一杯努力している。
コメントする奴はただ見てるだけ!
脚本は想像を超えて良い本を書いている。
キャストも一人ひとりが持ち味を出して良いハーモニーを奏でている。
強いて言えば、
朝から見るにしては、爽やかさに欠けるくらいか。
それも、かつての「おしん」と比べたら、何の問題はない。
見る人によって評価が分かれるが、
このように酷評を書かれると、ただただ腹が立つ!
読んで損した
批判して自己満足している最低の記事。
こういう記事こそ、お腹一杯です。