韓国Kリーグの代表2チームはきっちりと試合が分かれたのに,Jリーグの2チームはどうしていきなり対戦しなければならないのか。J主導で改革が進んだと協会関係者が胸を張る新方式のアジア・チャンピオンズ・リーグ元年。多くのJリーグ・サポーターと同様に,憤りと共にTVで観た準々決勝だったが,ストイコビッチ監督が試合後のインタビューで「VERY HIGH QUALITY!」と賞賛したとおり,実にスリリングな素 . . . 本文を読む
雪に覆われたパリの街の俯瞰から劇場の入り口へ,そこで交わされる主人公と物まね男との会話を挟み,劇場の中を通って舞台裏へと続く移動を,ワンカットで撮った冒頭のショット。アコーディオンを学びに行っていた「ラジオ男」の家から,新雪を踏みしめて自分の家に帰る主人公の子供を,直上から捉えたショット。そして,世相に合わせた新しいメニューを逆さ文字で窓に書き付けるレストランの主人をガラス越しに捉えた,何度も出て . . . 本文を読む
数多いトニー・スコット監督作品の中で,これまで「入場料を返して欲しい」と思わなかったのは,クウェンティン・タランティーノが脚本にあたった「トゥルー・ロマンス」を除けば,デンゼル・ワシントンがジーン・ハックマンと渡り合った「クリムゾン・タイド」のみだった。とかく過剰で大げさに走る,どこかマイケル・ベイにも共通するところのある演出は,興行収入的にはド派手なアクション映画との相性が良いようだが,彼にとっ . . . 本文を読む
「三丁目の夕日」2部作の魅力は,昭和30年代を知る人にとっては「こうだったはず」という一種の思い込み,当時を知らない人にとっては「こうあって欲しい」という願望を,丁寧に作り込んだ街並みや屋内セットによって,具体の形にして見せたところにあった。職人的な美術とCG技術が結集したその「再現作業」,実質的には「創造作業」の成果は,画面に殊の外高い密度をもたらし,ストーリーはその画面から逆算して縒り合わされ . . . 本文を読む
「1980年代生まれの3兄弟によるイキの良いギター・バンドに,1963年生まれの伝説のギタリストが電撃加入!」オアシスのノエル脱退以上に意表を突くニュースを聞いて,日々若い人との接触に難渋している1960年生まれの私は仰け反った。そのヴェテラン・ギタリストが,ザ・スミスを皮切りに多くのバンドを渡り歩き,若きギタリスト達に多大な影響を与える仕事を残しながらも,自身は遂に安住の地を見つけられないままこ . . . 本文を読む
札幌市北区にある名画座「蠍座」で,昨年新作「buy a suit スーツを買う」の編集作業終了後に急逝した,映画監督市川準の回顧上映祭が行われている。おかげで未見だった「大阪物語」を,(私も含めて)中高年でほぼ満席の熱気の中で観ることが出来た。
CMディレクター出身の市川準だが,21本(沢山撮ってたんだ!)の監督作品のうち半数弱を観た限りにおいては,短時間で鮮明なメッセージを伝えるCMとはまるで . . . 本文を読む
モス・デフ扮するチャック・ベリーが,コンサート会場で彼のことを白人カントリー歌手だとばかり思っていた関係者に,身分証明書の提出を求められた上で門前払いされてしまうエピソードが,この作品の内容とムードを象徴している。
白人と黒人,ブルーズと(カントリーやサーフィン・ミュージック等の)ポップ・ミュージック,名誉と金。せめぎ合う二つの世界の境界に生まれたアメリカ社会のダイナミズムが,レコード盤のように輝 . . . 本文を読む
かつて藤田俊哉がホーム・グラウンドとしていたユトレヒトで日本代表は,サッカーがボールのポゼッションを争う競技ではなく,ゴールの数を競うゲームだということを思い出させてくれた。
ゴールに向かって飛び出す選手と,スペースを探しては縦に繰り出されるパス,そして枠を目掛けて文字通りボールを「蹴飛ばす」ようなシュート。そのどれもが,4日前のオランダ戦では全く感じることが出来なかった「前へ」そして「ゴールへ」 . . . 本文を読む
ヨハン・クライフが編み出した「トータルフットボール」という,正に日本が世界を目指すよすがとすべき戦術の母国,オランダ。考えようによっては,W杯南アフリカ本大会よりも興味深い対戦とも言える試合だったが,高い授業料に見合う高いレヴェルの講義だったのではないだろうか。
ロスタイムを入れて94分間の試合のうち,前半の69分間で得た手応えと,それを木っ端微塵に砕かれた後半の25分間の経験をどう活かすか,岡田 . . . 本文を読む
冒頭,ヴォーカルのジェフ・トゥイーディーが羽織る,鮮やかなバラの刺繍を施した白いジャケットに度肝を抜かれる。本気で格好良いと思っているのか,ギャグなのか,カントリーバンドという出自を忘れずにいるための自戒なのか,判然としないまま画面に見入っているうちに,以前これに近い感想を持ったことに思い当たる。それは初めて動くザ・バンドを見ることが出来た「ラスト・ワルツ」で,ロビー・ロバートソンが着ていたど派手 . . . 本文を読む