衝撃的な幕切れだった。
セレッソのホームで1点差で勝利を収めながら,アウェー・ゴールを3点も献上した時点で,ある程度決着は見えていたのかもしれない。
だが,今日のアウェー戦で石に齧り付いてでも引き分けに持ち込みさえすれば,と韓国に「念」や「気」を送っていたJリーグファンの儚い望みは,全北の前線3人,ルイス,エニーニョ,そしてイ・ドングクの力強い攻撃によって文字通り蹴散らされてしまった。
これで久し . . . 本文を読む
始まる前から嫌な予感はした。どうも後ろの席で観ている女性グループが,その会話から生粋の韓流ファン,しかもウォンビンの追っかけらしい雰囲気をプンプンと漂わせていたのだ。うーむ,今日はハードな鑑賞環境になるかもと覚悟したが,残念ながらその予想は当たってしまった。約2時間の上映時間の間中,ほとんどお喋りは止むことはなく,ウォンビンに対する賛辞は,昨今の円高並みに高値を付け続けた。「ワイルド」「かわいい」 . . . 本文を読む
東日本大震災の発生によって,公開が半年延期されていた「SF映画」。だと思って観に行ったら,古いTVドラマの「コンバット」を現代にアダプトしたみたいな「戦争映画」だった。
話の骨子は,スティーブン・スピルバーグの「プライベート・ライアン」そのまま。ライアンを民間人に置き換え,待ち伏せを敵前突破に変え,ドイツ軍をエイリアンにしたら,こうなったという感じだ。
戦争映画といっても,一般的な「戦争映画」に . . . 本文を読む
伝統あるベルリン映画祭でグランプリに当たる「金熊賞」に輝いた「蜂蜜」を監督したセミフ・カプランオールは,受賞後にRadikal紙のインタビューに対して「トルコでは映画館でいつもいくつかの決まった映画だけが上映される状況にあり、多くの観客を集めることができなかったため、幾人かの才能ある監督たちの作品が上映されてこなかった」と答えている。トルコ映画と聞いても,思想犯として捕らえられた獄中から指示を出し . . . 本文を読む
2年前の秋,「マルティン・ベック」シリーズと呼ばれるスウェーデンの傑作警察小説と同名の「笑う警官」という日本映画が公開された。北海道警察内部の腐敗を抉った佐々木譲の原作を,角川春樹のメガホンで映画化した作品だったが,仮に原作の改悪,演出と編集の不在,ベタな音楽にミス・キャストといった数え切れないほどのネガティブな要素に目を瞑ったとしても,舞台となっている札幌の風景がどこにも出て来ないという驚愕の事 . . . 本文を読む
「つぐない」で見せた戦場シーンの長廻しは,ジョー・ライトという監督の資質を余すところなく示す,けれんたっぷりの「見せ場」だった。物語そのものは,前作の「プライドと偏見」同様の「文芸もの」としての体裁を纏いながら,このシーンで突如として「見せ物屋」魂を全開にするというチャレンジは,観客の度肝を抜くに充分の荒技と言えた。
そんなジョー・ライトの新作「ハンナ」は,「つぐない」で姉を悲劇のどん底に突き落と . . . 本文を読む
コンサドーレ札幌は,典型的なJ2仕様の戦法で昇格争いのライバル栃木SCに競り勝ち,見事に昇格圏内の2位奪取という目的を成し遂げた。
実際には「成し遂げた」と言っても,残りがまだ14試合もある時点では単に「この試合の目標」でしかないのだが,それでも勝たなければならないホームの試合を泥臭く勝ちきった,という点では,最大級の賛辞を送っても良いのではないかと思う。
立ち上がり直後の,まだ試合が落ち着きを . . . 本文を読む
デンマークの映画監督スサンネ・ビアは「アフター・ウェディング」や「ある愛の風景」において,母国デンマークの隣に,発展途上の外国(インドやアフガニスタン)を並列に置くことによって,平和で豊かな生活に潜む暴力や運命の過酷さを,容赦はないが愛はある筆致で描き続けてきた。そんなビアが監督した「未来を生きる君たちへ」もまた,デンマークとアフリカの2カ所を舞台に,力強く示唆に富んだ素晴らしい物語を紡ぎ上げてい . . . 本文を読む
W杯直前の親善試合で1対1で引き分けた「新興強豪国」の韓国は,やはり手強かった。前半に先制するまで,ほぼW杯モード全開でボールを廻していた日本代表が急にペースダウンしてから前半終了間際まで,なでしこが目指してきた質の高いボール・ポゼッションを,ほぼ完璧な形で展開して見せたのは韓国の方だった。
ボールへの寄り,囲まれても簡単にはボールを取られない足元の確かさ,そして何より縦に入ってくる選手の運動量。 . . . 本文を読む
本田と長友という,ザックジャパンの核となってきた選手二人を欠いた日本だったが,北朝鮮からなかなかゴールを奪えなくとも,決して慌てず騒がず自分たちのサッカーを貫いて,最後に勝ち点3をもぎ取った。おそらく明日の新聞は「FIFAランキング114位のチーム相手に苦戦した」という論調が支配的になるかもしれないが,ロスタイムのCKの連続からの,怒濤の攻撃における豊かなバリエーションだけを取っても,日本は確実に . . . 本文を読む