ベネディクト・カンバーバッチという俳優には,これまで絶賛された「イミテーション・ゲーム」を筆頭に「エジソンズ・ゲーム」や「裏切りのサーカス」,まさかのMARVEL作品まで,トーンの異なる作品においても常に独特の佇まいで「秘めた情熱」を低い体温で表現してきたという印象を持っていたが,キューバ危機の裏側にあった緊迫のドラマを映画化した「クーリエ 最高機密の運び屋」での演技には,まさに「渾身の」という形 . . . 本文を読む
「サマーフィルムにのって」
録画してあったテレ東の夜ドラ「お耳に合いましたら」を観ていたら,主演の伊藤万理華がエンドロールで披露するダンスが,本作のラストの立ち回りを彷彿とさせるものだったのだが,監督が同じ松本壮史だった。動かない被写体としては,決して個性的とは言い難い伊藤が,突如として全身を使ったしなやかでスピード感に溢れた立ち回りを披露する本作のエンディングは,「大人の世界」である時代劇に魅せ . . . 本文を読む
副題の「あるいは,革命がテレビ放送されなかった時」が全てを表している。ウッドストックが開かれていた同じ夏に,ハーレムのど真ん中で開かれていた黒人のための音楽祭の記録がこうして「発掘」され,クエストラブの手で見事なドキュメンタリー作品として公開されるに至ったのは,音楽の世界に留まらずアメリカの社会にとって大きな意味を持つ。
勿論,若きスティーヴィー・ワンダーから始まって,クライマックスとなるスライ& . . . 本文を読む
ネットで「村上春樹/映画化作品」という条件で検索をかけてみると,これまでまったく聞いたことがなかった作品も含め10作品以上のリストが出てきた。外国人のスタッフやキャストによる作品や短編作品もある中で,私が劇場で観たのは「風の歌を聴け」「ノルウェーの森」「トニー滝谷」「バーニング(劇場版)」の4本だった。このリストを見て作品の出来はひとまず措いて感じることは,小説のテイストを映像に置き換えることが難 . . . 本文を読む