「哀れなるものたち」ヨルゴス・ランティモス
「ロブスター」で注目を浴び,「聖なる鹿殺し」ではタイトルの意味探しも含めて映画ファンを唸らせ,「女王陛下のお気に入り」で遂にオスカー(主演女優賞)を獲得するに至ったギリシャの鬼才ランティモスが,前作に続いてエマ・ストーンと組んだ新作は,映画ならではのスペクタクルを全編で展開した傑作だ。
作品の骨格は初期の「籠の中の乙女」に似ており,独自の手法によって「人 . . . 本文を読む
功成り名遂げたヴェテランが第一線にカムバックするというニュースは,場合によっては「今更?」という受け止められ方をする危険性が多分にある。ポピュラーミュージック界にあっては,特にグループの再結成において「何をやろうというのか?」「お金の問題か?」というネガティヴな反応が生まれやすく,その危惧はたいてい当たる。あの偉大なスティーリー・ダンでさえ,再結成後のアルバムはグラミー賞に輝いたとは言え「ガウチョ . . . 本文を読む