昨年出たメイヴィス・ステイプルズのアルバムは,公民権運動時代に唄われた歌をライ・クーダーのプロデュースで採り上げた傑作だったが,そこで聴くことの出来たライのギターは,近年の本人のアルバムにおける演奏を遙かに凌駕する素晴らしいものだった。米国音楽のルーツを探る旅も良いが,そろそろこんなプロダクションで,本人のアルバムを聴きたいものだと思っていたら,そんな要望が形になって届けられた。驚き,喜び,感涙に . . . 本文を読む
The Musicの日本版公式ホームページ(ユニバーサル)に入ると,アルバムの最初に収録されリード・シングルとなった「Strength In Numbers」のプロモーション・ヴィデオをYou Tubeで観ることが出来る。
ついこの間まで,自前のプロモをYou Tubeに投稿することに異議を唱えていたはずのレコード会社が,変わり身も素早く,宣伝のためにYou Tubeを使い倒しているという現実に直 . . . 本文を読む
コールドプレイのファースト・アルバムを聴いていなかった私が,バンドのフロントマンであるクリス・マーティンの名前を最初に聞いたのは,ブラッド・ピットと別れた女優のグウィネス・パルトロウが,結婚相手に選んだロック・ミュージシャンとしてだった。だからと言って「申し訳ない」と感じる筋合いはないのだが,チャレンジ精神と大衆性を高いレベルで止揚させたニューアルバムを前にして,私は素直に頭を垂れている。いやー, . . . 本文を読む
(承前)
今クールにおいて2大学園ドラマに続いて話題をさらったのは,今,正にこの時間帯に最終回が放送されている「ラスト・フレンズ」だろう。しかし「のだめ~」の上野樹里が役者根性を見せたことを除くと,私の興味からは3万光年くらい隔たっていたために,最初の2回でめげてしまった。しかし,世間の感じ方は違ったようだ。終わりに近づくにつれて,尻上がりに上昇傾向を見せていた視聴率は,ついに先週,フジのもう一つ . . . 本文を読む
フジの「CHANGE」がひと月半遅れでスタートしたせいもあってか,各ドラマとも最終回を迎える段階に来ている,という達成感のような気分が希薄だ。
その理由としては,ドラマ本体よりも,改変期のバラエティ・宣伝番組の方が数字が稼げる現状を反映して,各ドラマの放映回数が基本である12回から減少してきているということがまず挙げられるだろう。加えて,コミックを原作とする作品が増えつつある一方で,ドラマの1クー . . . 本文を読む
美しく,凛々しい物語を,極めてオーソドックスに語りながらも,篠原哲雄監督は大きなミスを二つ犯してしまったように見える。観客の想像力を疑っていたからなのか,はたまた登場人物への感応力とも呼ぶべきものを信じていなかったからなのかは分からないが,そのことによって本作は到達できていたかもしれない高みにかかった手が滑り,残念ながら藤沢周平の原作ならば,届いて当たり前のレベルの作品に留まってしまっている。
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写真に写っているのは,札幌ドーム試合開始直前のメインスタンド。とても寂しい光景だが,それでも今日の入場者数は10,269人。でも今日の試合を観て,チームの今のレベルと状態と姿勢に疑問を抱き,次節のチケットを買うのを躊躇う人が何割かはいるだろう。ナビスコ予選リーグ敗退確実というハードルがありながら,1万人の大台を死守したサポーターの慈悲も尽き,次の試合は大台を割ってしまうかもしれない,と悲観的になっ . . . 本文を読む
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン。アメリカ映画界を代表する名優二人が,死期の迫ったがん患者に扮し,残り少ない人生を見つめ,「生」を謳歌しながら死んでゆく。この情報だけを聞かされていたなら,おそらく食指が動かされることはなかったように思う。
後ろ向きの人生観を抱えたまま旅立とうとするニコルソンを,不屈の男フリーマンがその過ちに気付かせ,二人で手を携えながら感動的な最期を迎える。観る前から, . . . 本文を読む
戦前の松竹を代表する名監督,清水宏の「按摩と女」を,現代の技術で徹底的に「カバー」したという作品。ユニークなのは,一般的に行われる,原作のストーリーや脚本を採用しつつ,オリジナルとは異なるアングルによるシークエンス構成や,現代風のアレンジを施した,所謂「リメイク」作品ではなく,基本的に同一の脚本とカメラアングルを可能な限り再現したというところだ。
「オリジナルを崇めつつ,隙を見て超えてみせる」とい . . . 本文を読む
ドイツW杯で敗退した後,盛んに言われたのは「個の力を高めないと勝てない」ということだった。その文脈で見ると,どれも個の力でもぎ取った今日の3得点は,正に日本が目指してやって来たことが実を結んだ,理想の得点だったと言えるだろう。
しかし,試合後に中澤が口にしたように,まだまだ取れたはず,という思いもまた正直な感想として選手の胸に残ったのではないだろうか。勝ち点3の重みと共に,高いポテンシャルを組織と . . . 本文を読む