ヒトラーが1945年の4月に敗色濃いベルリンで自ら命を絶ったという史実が,あまねく知れ渡っているという現実を前提に,失敗に終わった「ヒトラー暗殺計画」をヴィヴィッドに描くにはどうしたらよいのか。
才人ブライアン・シンガーは,トム・クルーズという絶対的な映画スターを輝かせるという,おそらくは15年に亘るフィルモグラフィーの中でも初めてとなる制約の下でこの困難な課題に挑み,残念ながら劇中の爆破作戦と同 . . . 本文を読む
最少得点差で迎えた後半残り10分の戦い振りを観ていて,本当に大人のチームになってきたという印象を受けた。
攻めて追加点を取りに行くのか,それとも引き気味にポジションを修正して守りに徹するのか,難しい判断を迫られる局面。そこでチームが全体の意志として選択したのは,相手のカウンターを食らわないことを意識した最終ラインを保ちながら,ボールポゼッションを維持し,無闇に攻め込んでボールを失わないということだ . . . 本文を読む
試合開始直後に上里とキリノという攻撃の核となる二人をいっぺんに負傷退場で欠いたことが,かえってイレブンの気持ちを鼓舞したのか,今季のホームゲームでは(と言ってもまだ2試合目なのだが)最高に気合いの入った闘いを見せてくれたコンサドーレ札幌。
これだけチャンスを作りながら,点が入らないというのは,まるでWBC2次ラウンドの韓国戦(3試合目)のようだと思いつつ,これで優勝した日本のように最後に笑えれば文 . . . 本文を読む
ノーマン・ジュイソンの「月の輝く夜に」の脚本でオスカーを受けたことがある演出・脚本家のジョン・パトリック・シャンリィが,自身のヒット舞台作を映画化した話題作。
評判通り,芸達者4人の演技合戦は,(物語のエピソードとして出てくる)加熱した電球が何度も切れてしまうほどに熱く激しい。しかしメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの真っ向勝負という,例えて言えば「ステーキの前菜がすき焼き」みたい . . . 本文を読む
スコットランド生まれで,主にカナダを舞台に活躍した伝説のアニメーター(らしい),ノーマン・マクラレンの作品集が,札幌唯一の名画座,蠍座で公開されている。
アニメーションの熱心なファンとは言えない私は,名前すらも聞いたことがなかったクリエイターだったが,今回の上映では1940年から30年以上に亘る活動歴の中から選ばれた代表作13本を観ることが出来た。
そのほとんどが1本10分以内で,短いものは2分, . . . 本文を読む
マイスペースにおける記録破りの聴取回数が評判となって,本格デビュー後,一躍トップアイドルの座に躍り出たリリー・アレンのセカンド。ティーン(公式HPによると「特に同姓」)の琴線をくすぐる歌詞に,自由奔放な発言とそれを裏付けるような恋愛遍歴等々,私生活も含めた「人間リリー・アレン」丸ごとの魅力で人気を集めているようだが,本作は熟成されたサウンドプロダクションと練達のメロディ,そしてニュアンスに富んだリ . . . 本文を読む
改革元年のスタートを迎えたACL(アジア・チャンピオンズリーグ)。日本と韓国,それぞれのリーグ・チャンピオン同士の対決となったG組の初戦は,元韓国代表監督と,2014年のブラジルW杯を目指す日本代表を率いることになるかもしれない監督とのバトルとしても注目を集める試合となった。
初日に幸先良く2勝を挙げた日本勢の余勢を駆って,鹿島もJリーグ王者らしい闘いを見せてくれるものと期待してTVを見つめたが, . . . 本文を読む
前身の東芝出身である監督が就任し,前線からバックまで各ラインに有望な外国人選手を補強して迎えたコンサドーレ札幌J2リスタートのシーズン。1年でJ1に戻るという期待が否が上にも盛り上がる中で行われた初戦は,そんな期待とは裏腹に,コンサが目指す攻撃的守備を相手のベガルタに展開され,セットプレーで取られた1点を取り返すことが出来ないまま,試合終了の笛が吹かれるという結果となった。
「攻撃的守備」を標榜 . . . 本文を読む
公開前には,主演のアンジェリーナ・ジョリーが,夫であるブラッド・ピットと同時にオスカーにノミネートされたことが話題には上っていたが,作品そのものに関する評価はあまり聞かれなかった。むしろ,この後に公開が控えている「グラン・トリノ」における役者としてのイーストウッドの評価の方が,「ひょっとすると演技者としてはこれが最後になるかもしれない」という根拠の薄弱な噂と共に,耳にする機会が多かったくらいだ。
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先週の月曜日に突如として巻き起こった「おくりびと」アカデミー賞受賞旋風を眺めていて感じたのは,既に映画が娯楽の王様の座から滑り落ちて久しいこの国においても,映画というメディアが持つ潜在的な「興味喚起力」のようなものは衰えていないんだなぁということだった。
取り上げた題材と独創的な技術が相俟って圧倒的な高評価を受けていたというイスラエルの戦争映画「戦場でワルツを」と,教育問題を扱ってカンヌでパルム . . . 本文を読む