スティーブン・ソダーバーグ制作の社会派作品と聞いて,即座に「エリン・ブロコビッチ」のテイストを想起したのだが,結果は,半分は当たって,半分は外れた,という印象だ。一瞬たりとも緩むところのない脚本を,落ち着いた色調でじっくりと撮り上げたトニー・ギルロイは,同じく脚本家から監督に転身した「クラッシュ」のポール・ハギスと同様,監督としても見事なデビューを飾った。
予想が外れたのは,「エリン~」が根本的 . . . 本文を読む
「ブレアウィッチ・プロジェクト」で使われた,ヴィデオカメラに残された映像記録の再生,という手法を再利用して作られた,話題の怪獣映画。どうしてもアイデア自体に使い古し感が漂うにも関わらず,あえて制約の多いフォーマットに挑んだ制作陣には,映像の斬新さで勝負できるという目算があったのだろう。
しかし致命的な脆弱さを抱えた脚本と,「自由の女神像」の頭部が飛んでくる予告編以上に迫力のある絵に乏しく,ひたすら . . . 本文を読む
結果的に前・後半の立ち上がりに,カウンターからチョンが決めたシュート以外でゴールネットが揺らされることはなく,淡々と試合は終了したが,両チームの力の差は,目眩がしてくるほど圧倒的だった。
アウェイを意識して,リスクと体力に配慮し,無理して攻め込まず,しかし確実に勝ち点を積み上げるという戦い方とはこれだ,という見本を見せつけられた札幌イレブンのショックは,大きいに違いない。
中村憲剛の優雅なボール . . . 本文を読む
私の前列に座った中年の男女ペアの男性の方が,途中で何度も携帯電話を開けていた。どうやら,時間を確かめているようだった。しまいには,いつまで経ってもお目当てのシーンが始まらないせいなのか,頭が前後にグラグラし出してしまった。ありゃりゃ。
そして,トニー・レオンが座ったベッドのシーツの皺が暗転するラストシーンに,クレジットが被さるや否や,その男性は「あれー」と小声で呟いて,余韻に浸って画面を観ている気 . . . 本文を読む