子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

映画「フィクサー」:生身の人間が織り上げた,汲めども尽きぬ味わい

2008年04月17日 22時59分55秒 | 映画(新作レヴュー)
スティーブン・ソダーバーグ制作の社会派作品と聞いて,即座に「エリン・ブロコビッチ」のテイストを想起したのだが,結果は,半分は当たって,半分は外れた,という印象だ。一瞬たりとも緩むところのない脚本を,落ち着いた色調でじっくりと撮り上げたトニー・ギルロイは,同じく脚本家から監督に転身した「クラッシュ」のポール・ハギスと同様,監督としても見事なデビューを飾った。 予想が外れたのは,「エリン~」が根本的 . . . 本文を読む

映画「クローバーフィールド」:これが「グエムル-漢江の怪物-」に対するハリウッドの返答なのか?

2008年04月06日 23時09分31秒 | 映画(新作レヴュー)
「ブレアウィッチ・プロジェクト」で使われた,ヴィデオカメラに残された映像記録の再生,という手法を再利用して作られた,話題の怪獣映画。どうしてもアイデア自体に使い古し感が漂うにも関わらず,あえて制約の多いフォーマットに挑んだ制作陣には,映像の斬新さで勝負できるという目算があったのだろう。 しかし致命的な脆弱さを抱えた脚本と,「自由の女神像」の頭部が飛んでくる予告編以上に迫力のある絵に乏しく,ひたすら . . . 本文を読む

コンサドーレ札幌VS川崎フロンターレ【0:2】点数に現れない大きな差

2008年04月02日 23時13分56秒 | サッカーあれこれ
結果的に前・後半の立ち上がりに,カウンターからチョンが決めたシュート以外でゴールネットが揺らされることはなく,淡々と試合は終了したが,両チームの力の差は,目眩がしてくるほど圧倒的だった。 アウェイを意識して,リスクと体力に配慮し,無理して攻め込まず,しかし確実に勝ち点を積み上げるという戦い方とはこれだ,という見本を見せつけられた札幌イレブンのショックは,大きいに違いない。 中村憲剛の優雅なボール . . . 本文を読む

映画「ラスト,コーション」:絡み合う視線と肢体

2008年04月01日 23時19分59秒 | 映画(新作レヴュー)
私の前列に座った中年の男女ペアの男性の方が,途中で何度も携帯電話を開けていた。どうやら,時間を確かめているようだった。しまいには,いつまで経ってもお目当てのシーンが始まらないせいなのか,頭が前後にグラグラし出してしまった。ありゃりゃ。 そして,トニー・レオンが座ったベッドのシーツの皺が暗転するラストシーンに,クレジットが被さるや否や,その男性は「あれー」と小声で呟いて,余韻に浸って画面を観ている気 . . . 本文を読む