監督デビュー作が好評を博したジョエル・エドガートンにレッド・ホット・チリ・ペッパーズのオリジナルメンバーのひとりであるフリー,そしてグザヴィエ・ドラン。ガラルド・コンリーが書いた体験記を映画化するにあたって結集したこのメンツだけを見ても,相当に不穏な気配が漂ってくる「ある少年の告白」は,想像以上に骨太の骨格を持つ人間ドラマだった。メジャーとマイナーの境界で,こうした題材をストレートに映画化できる環 . . . 本文を読む
戦争で夫を亡くした未亡人が,海辺の町で書店を開く。町の人の偏見や売り上げの不振など,様々な困難に見舞われるが,本を愛する彼女の気持ちが通じて,やがて書店は成功を収める。そんな美しい予定調和の物語を予想して席に座ったのだが,予期せぬ感動に見舞われてしまった。女流監督,という呼び名も最早死語になりつつある今,イザベル・コイシェの繊細で温かくも,時折剛胆さをも感じさせる手腕に,女性ならでは,という賛辞を . . . 本文を読む
札幌の昨年の大躍進を支えた立役者の一人,三好の凱旋試合。選手紹介の時には「おかえり」の気持ちを込めた大きな拍手が送られ,場内は温かい雰囲気に包まれたが,試合自体は三好にとって非常に悔しいものとなった。
ゼロトップといっても良い横浜の布陣はボールを上手に保持して,常に菅が下がった状態でほぼ4バックになっていた札幌の守備の隙を窺うものの,フィニッシュにまで持ち込む場面は少なく,天野がベンチに下がった段 . . . 本文を読む
ほとんど台詞はない。いわゆるスコアと呼ばれる音楽もない。物語の核になる夫が犯した犯罪も,家を訪れてドアを叩く被害者の親の罵詈雑言と,偶然発見した「証拠」らしき写真によって,間接的に語られるだけ。原題である「アンナ」という演劇教室に通う老年の家政婦の所作を,ほぼフィックスのカメラで捉えた物語は,思いの外さまざまな感情を呼び起こすドラマだ。
映画のほとんどは,夫が収監された後に一人残されたアンナの生 . . . 本文を読む
配信専用作品の扱いに関する大論争のきっかけとなったアルフォンソ・キュアロンの「ROMA」を筆頭に,個性的な秀作が揃った今年のオスカー作品賞を制したのは,まさかのピーター・ファレリー監督作だった。弟ボビーとの共同監督作「メリーに首ったけ」で,あのキャメロン・ディアスにまさかのヘアーワックス素材を使わせた,あのピーター・ファレリーがシリアスな題材に挑む。そのニュースを聞いて果たしてどんなことになるのか . . . 本文を読む
皮肉でも何でもなく,Aマッチウィーク明けに喫した名古屋戦の大敗は,やはり本物だった,ということが証明された試合となってしまった。前半終了間際に完全に相手とソンユンの1対1という局面が生まれたにも拘わらず,ポストに救われる幸運がなければ,前半で0:3となってしまっていた訳で,そうなれば試合はそこで完全に壊れてしまっていただろう。どうやら今の札幌はミシャ就任前の状態に戻ってしまったようだ。
最初の失 . . . 本文を読む