「日活ロマンポルノ」と銘打った最初の作品,西村昭五郎監督による「団地妻 昼下がりの情事」の公開から「45周年」ということで,この度現役の監督5人によるリブートシリーズが始まった。「50周年」ではなく「45周年」というところが,何とも「らしい」感じがして微笑ましいのだが,ともかく人畜無害,清廉潔白,滅菌漂白な作品ばかりが幅を利かせるスクリーンに,一石を投じる効果は間違いなくあるはず。選ばれた,もしく . . . 本文を読む
本読みの方々の多くに共通する習慣に,気に入った本は何度も読み返す,ということがあるように思う。苦しい時の道しるべになってくれるような本,生き方を決めるきっかけとなった本,文体が好きな本,昔なら伏せ字になっていたような描写のある本,などなど。私にも,心情的にはそのくらい好きな本がない訳ではないのだが,実際に通して何度も読み返したという経験はほとんどない。貧乏暇なし,限られた時間しか充てられない読書の . . . 本文を読む
ここ数年,ホロコーストの中心的役割を担ったアドルフ・アイヒマンを描いた作品が相次いで公開されているが,その中でも最もドラマティックかつ手に汗握る物語として,数多くの観客の心を掴んだ作品と言えば本作になるだろう。ドイツの若手監督ラース・クラウメは,「信念の人」というと得てして「奇人,変人だろう」という世間一般のステレオタイプな見方を逆手にとって,「主義や信条を越えて,応援したくなる可愛らしさをも併せ . . . 本文を読む
遙か昔,昭和の時代のお正月興行と言えば「寅さん」か,オールスター総出演の戦争映画か,東映マンガまつりか,というイメージが強かったのだが,そんな頃から30有余年。改めて今年のラインナップを眺めてみると,既に興行の世界では「お正月映画」という心浮き立つような一種の「イヴェント」は,既に消滅してしまったのだな,という感興を覚える。劇場に足を運ぶ観客の主体が,生産年齢人口の上限域と下限域に集中しつつある中 . . . 本文を読む
2016年の10作。いつものように鑑賞順に。
1 ブリッジ・オブ・スパイ:スティーヴン・スピルバーグ
2 母よ,:ナンニ・モレッティ
3 スポットライト 世紀のスクープ:トム・マッカーシー
4 グランドフィナーレ:パオロ・ソレンティーノ
5 ブルックリン:ジョン・クローリー
6 ヤング・アダルト・ニューヨーク:ノア・バームバック
7 ハドソン川の奇跡:クリント・イーストウッド
8 手紙は憶えてい . . . 本文を読む